京セラドーム大阪でのドラゴンズ3連戦は、相手のミスにも助けられたり、中継ぎから先発にチャンスをもらった金田が好投したりして3勝0敗。マツダズームズームスタジアムでのカープ戦は、初戦、前田健の好投の前に完封を食らい、打線全体が調子を落とし、2連敗。3戦目は岩貞の好投に打線がこたえ1勝2敗。今節も4勝2敗。今季通算60勝51敗1分で勝率.541。首位ジャイアンツとのゲーム差は1.5で2位。ジャイアンツが連勝が続かず苦戦しているだけに、今度こそ首位に躍り出るチャンスだ。
◎ドラゴンズ16回戦……8-1
タイガースの先発メッセンジャーが1回表にいきなりピンチを迎えた。先頭の大島にライト線に二塁打を打たれ、荒木のバントをメッセンジャーはファンブルしてしまい投げられない。無死一三塁となり、ルナを、平田を連続空振り三振に取ると、森野はサードゴロに打ち取って無失点で切り抜けた。1回裏、ドラゴンズ先発朝倉から二塁打の今成を塁に置き鳥谷がライト前タイムリーを放ち先制。ゴメスが歩いて1死一二塁に。マートンのセンターオーバーの二塁打でさらに1点を、2死後、伊藤隼のライト前タイムリーで1点、梅野のセンター前ヒットで4点目を入れて、大きく先行。2回裏には2死から鳥谷がショート内野安打を放つと、ゴメスのレフト線の二塁打で一気に生還して大きな追加点を加えた。朝倉は2回でノックアウト。二番手岡田に対して4回裏、上本がサードへの内野安打を打つと、今成がサードへセーフティバントを決めて無死一二塁に。鳥谷がレフトへヒットを放つと、大きくイレギュラーしてレフト藤井が後ろにそらす。走者一掃の二塁打となり2点を追加。メッセンジャーは球数が多く、6回表につかまる。ルナと平田を連続四球で出し、藤井にはメッセンジャーの足に当たってからセンター前に抜けるタイムリーを放たれて1点を失った。ここは後続を断ち、最少失点で切り抜け、降板。以降をリリーフに託す。三番手の田島には抑えられたが、7回裏、四番手のパヤノに福留がレフト線へ二塁打。代走の大和が三盗を仕掛けると、捕者の赤田の悪送球でホームイン。対するタイガースは、筒井、渡辺、小嶋のリレーでドラゴンズ打線を抑え、余裕の勝利。初回の攻防が試合の明暗を分けた。ヒーローインタビューはハーラートップの11勝目をあげたメッセンジャー。
◎ドラゴンズ17回戦……3-1
タイガース先発の岩田は初回は三者凡退で上々の滑り出しだったが、2回表につかまる。平田、藤井、谷繁のヒットで1死満塁のピンチを迎える。三ツ俣はファールで粘るが、最後はショートゴロ併殺に打ち取り、無失点で切り抜ける。直後の2回裏、今度はタイガースがドラゴンズ先発の濱田をとらえる。先頭のマートンがセンターオーバーの二塁打を放つと、今成のセカンドゴロで三進。新井良のセンターへの犠牲フライで1点を先制した。しかし、ドラゴンズは一振りで追いつく。4回表、平田の低めの球をすくい上げたレフトスタンド最上段へのソロホームランによって同点とされた。岩田はこのホームラン以降は走者を許さず、岩田の持ち味であるゴロを打たせて取る投球でドラゴンズ打線を封じる。タイガース打線も濱田の投球リズムにタイミングが合わず、6回までは得点できない。7回裏、先頭のマートンがライト前ヒットで出ると、今成のバントで二進。新井良は歩かされ、代打関本は三進。続く代打の新井貴が四球を選び2死満塁とする。上本は平凡なセンターフライ。しかし、この打球をレフトの藤井とセンターの大島が同時に取りにいき、こぼしてしまう。このエラーで2点を奪うと、8回表、二番手福原は鳥谷のファインプレーにも助けられて三者凡退で呉昇桓にバトンタッチ。8回裏はドラゴンズ三番手祖父江を攻め、鳥谷の四球とゴメスのヒット、代打福留の四球で2死満塁と追加点の好機を作ったが、鶴岡がライトフライに倒れて追加点ならず。9回表、呉昇桓は先頭の大島を歩かせ、2死後に平田のセンター前ヒットで2死一三塁とピンチを招いたが、最後は森野をセカンドフライに打ち取り逃げ切り。ジャイアンツがスワローズに敗れたため、首位との差は0.5ゲームに縮まった。ヒーローインタビューは8月初勝利の岩田。
◎ドラゴンズ18回戦……5-4
タイガースはここまで中継ぎで3勝の金田がプロ入り初先発。1回表、先頭の大島にショートへの内野安打を打たれたが、これは盗塁を試みたところを梅野が刺してアウトにする。しかし、二塁打の荒木を塁に置き、ルナに先制の2ランホームランをレフトスタンドにもっていかれた。ドラゴンズの先発はカブレラ。2回裏、この試合チーム初安打をマートンが打つと、福留がライトスタンド上段に同点の2ランホームランを叩きこむ。ドラゴンズは前回同様守備のミスでタイガースを助ける。3回裏、ライト前ヒットの今成を塁に置き、鳥谷は併殺コースのショートゴロ。しかしエルナンデスが二塁へ悪送球し、無死二三塁とする。ゴメスはアウトコースの球を強引に引っ張ってレフト前タイムリーで勝ち越し。続くマートンもレフト前タイムリーヒットを放ち2点差に広げる。金田は先制のホームランを打たれたあとはいつもの投球ができるようになり、5回を投げ切って降板。6回表は渡辺と筒井が小刻みな継投で無失点に抑える。すると6回裏、先頭の伊藤隼が内野安打で出ると、梅野のバントはカブレラが捕ったものの送球が遅れ内野安打に。代打大和のバントで二三塁とし、上本が歩いて満塁に。今成のショートへの強い打球はエルナンデスが好捕したが、本塁への送球がそれて捕手武山がベースタッチできず3点差とした。必勝リレーで7回表に安藤が登板。藤井の二塁打とエルナンデスへの四球で無死一二塁に。代打高橋周のセカンドゴロで二三塁とされ、代打小笠原のセカンドゴロの間に1点を失い、大島のセンター前タイムリーヒットで1点差に迫られる。ドラゴンズは7回から田島、福谷のリレーでタイガース打線を封じる。タイガースは8回表に福原を投入。ルナのヒットと森野の二塁打で1死二三塁とピンチを背負うが、藤井、エルナンデスを連続空振り三振に取り、ピンチを脱した。9回表は呉昇桓が四球の走者は出したが、落ち着いて後続を断ち逃げ切った。ヒーローインタビューは先発初勝利の金田と同点ホームランの福留。
◎カープ17回戦……0-5
広島市内の土砂災害で多数の死傷者が出たため、マツダスタジアムには半旗が掲げられ、カープの選手たちは肩に喪章をつけ、鳴り物入りの応援も自粛、試合前には被害者の方々へ黙祷がささげられるという、特別な雰囲気の中で試合は行われた。それだけに、カープの選手の気迫に呑まれてしまったと言うべきか。タイガースの先発は藤浪。1回裏、先頭の天谷の鈍い当たりの投手ゴロを内野安打にしてしまう。菊池のバントと丸のセカンドゴロで2死三塁とされ、キラを歩かせる。松山のセンター方向への大きな当たりで天谷が生還、先制される。ただ、キラがなぜか二塁でストップしたのを松山が見ておらず二塁近くまで走ってしまい、狭殺プレーに。キラが三塁を陥れようとしたところをはさんでアウトにし、最少失点にとどめる。3回裏、2死から丸のヒットとキラへの四球で一二塁とし、松山のレフト線への二塁打で2点を追加される。5回裏には1死からヒットの丸を置いてキラにセンターオーバーの二塁打を打たれ、4失点で藤浪はマウンドを降りた。6回裏には二番手榎田が會澤にライトスタンドにソロホームランを浴びる。7回は筒井が三者凡退に抑えたが、8回裏には玉置が1死から田中と木村の連打で一三塁とされ、會澤は三振に取ったが、前田健の打席でボークを宣告され三塁走者が生還し、6点目を献上した。タイガース打線は初回から気迫のこもった前田健の投球になかなかヒットも出ず、4回表に鳥谷が内野安打でやっと初安打。それでも2死一三塁まで追い込んだが、伊藤隼がチェンジアップを引っ掛けてセカンドゴロでチャンスをつぶした。8回表には1死から上本と今成の連打で久々にチャンスを作ったが、鳥谷はショートゴロ、併殺は免れたが、ゴメスが空振り三振。9回表、なんとか完封を阻止せんと1死から福留の四球と伊藤隼のライト線の二塁打で二三塁としたが、代打新井貴は三振、代打関本はセンターフライに倒れ、連勝ストップ。何が何でも勝たねばというカープの選手の思いに負けてしまったのかもしれない。
◎カープ18回戦……1-2
タイガースの先発は能見。4回まで、5奪三振でノーヒットと快調な立ち上がり。しかし、打線がそれにこたえられない。カープ先発大瀬良に対し、初回にいきなり上本がヒットで出るも盗塁死。2死から鳥谷がライトオーバーの二塁打、ゴメスの四球で一二塁とするも、マートンは見逃し三振。ここでマートンが球審に暴言を放ち、退場処分を受ける。打線の核が一人いなくなったことが、この試合に大きな影響を与えた。4回表にはゴメスと福留の四球で1死一二塁とするも、伊藤隼、鶴岡が凡退してチャンスを逸する。大瀬良は無失点ながらここで降板。5回表、二番手戸田には能見の四球と鳥谷の内野安打でチャンスを作るが、上本、今成、ゴメスはいずれも三振。5回裏、能見は先頭のロサリオに初安打を打たれ、梵のバントで二進。2死から田中の内野安打で一三塁とピンチを招くが、會澤をショートフライに打ち取る。6回裏には鈴木誠のヒットと菊池への四球で1死一二塁とされるが、丸をピッチャーゴロ併殺に打ち取る。7回表、四番手江草から上本、今成の四球と鳥谷のセンター前ヒットで1死満塁と攻め立てるが、ここで登板した永川勝に対し、ゴメスは三振、代打関本はセカンドゴロでまたもチャンスを逃す。8回裏、能見はついに力尽きた。會澤にレフトスタンドにソロホームランを打たれ、さらに2死から菊池にリフトスタンドにまたもソロホームランを打たれてしまう。9回表、切り札ミコライオに対し、先頭の代打坂が四球を選び、上本のライト前ヒット、今成のバントで1死二三塁とし、鳥谷のセンター前タイムリーヒットで1点差に迫る。一発逆転のチャンスにゴメスはセカンドゴロ併殺。1点が重い試合であった。
◎カープ19回戦……8-2
カープの先発は来日初登板のヒース。2回表、今成がライトスタンドにソロホームランを叩きこんで先制するも、回を追うごとにコントロールが安定してきて追加点を奪えない。タイガースの先発は岩貞。3回裏、先頭の鈴木聖にレフト線に二塁打を打たれ、會澤を歩かせる。ヒースはバント失敗の上三振に打ち取り、田中をセカンドゴロに打ち取って2死二三塁となり、菊池を追いこみながら左中間に走者一掃のタイムリー二塁打を打たれ逆転を許す。ただ、安打を打たれたのはこの回のみで、6回を投げ切って2失点と試合は作った。ヒースにはだんだん手も足も出ない状況だったが、初登板ということもあってか6回で降板。7回表は中田に抑えられたが、8回表、三番手の中崎をとらえた。先頭の鳥谷がレフト前ヒットを放ち、ゴメスは大きなセンターフライに終わったが、マートンがライト前ヒット。今成が歩いて1死満塁とし、続く伊藤隼も四球を選び押し出しで同点に。代打関本は左中間に弾き返し、2点をとって勝ち越した。さらに9回表、四番手江草から1死で鳥谷が四球を選ぶと、五番手横山に交代。ゴメスがサードのグラブを弾く強い当たりの強襲ヒットを放ち1死一二塁とすると、マートンがレフトスタンド最前列に飛びこむライナー性の3ランホームラン。さらに2死から代打坂、俊介の連打でチャンスを作り、福留のダメ押しとなるセンター前タイムリーで8点目を奪った。7回裏からは安藤、福原、呉昇桓のリレーできっちりと逃げ切った。ヒーローインタビューは勝ち越しタイムリーの関本。
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愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー ドラゴンズ戦で初回のピンチを三振に次ぐ三振で切り抜けた投球にはしびれた。打線とのかみ合わせもよくなってきて、ついにリーグトップの11勝目をあげた。この調子で最多勝のタイトルを狙ってほしい。それだけの安定感が今のメッセにはある。
野手……福留孝介 ドラゴンズ戦では同郷の後輩金田を助ける同点ホームランを放ち、カープ戦でも最終戦にダメ押しタイムリーを打つなどシーズン当初と比べると、非常に信頼できる打席が増えてきた。好調のバロメーターは選球眼。まだ外角のボール球に手を出すことはあるが、ここというところでしっかりボールを見極めて貴重な四球を選ぶ場面もよく見られるようになった。優勝争いの経験豊富なベテランがここからは精神的支柱となってくるだろう。
次節は東京ドームで首位ジャイアンツと直接対戦。3連勝して首位の座を奪い取ってもらえたら、昨年の悪夢の3タテのお返しができるというもの。メッセンジャー、岩田、藤浪の好調3投手で一気に勢いをつけたいところだ。そして甲子園に戻ってスワローズ戦。神宮では打ち負けて負け越した。広い甲子園ではそうはいくまい。強力打線を能見が封じて勝てば、さらにチームに勢いがつくというもの。さらには金田、岩貞の若手がその勢いに乗って思い切りのよい投球を見せてくれることを望んでいる。さあ、勝負はこれからだ。
(2014年8月25日記)