東京ドームでのジャイアンツ3連戦は、初戦は勝ちゲームを呉昇桓の乱調で逆転され、2戦目は負けゲームを山口とマシソンの不調で逆転するという首位決戦にふさわしい白熱したゲームが展開されたが、3戦目で完封負けして1勝2敗。長期ロードから帰った甲子園でのスワローズ3連戦は、初戦、赤川をとらえて大量得点で勝ったものの2戦目は石山に、3戦目は小川に打線を封じられ1勝2敗。今節は2勝4敗。今季通算62勝55敗1分で勝率.530。首位ジャイアンツとのゲーム差は2.5でカープに抜かれて3位。首位に躍り出るチャンスが一歩後退。しかし、長期ロード、そして8月はなんとか勝ち越し。
◎ジャイアンツ19回戦……3-4
先制したのはタイガース。4回表、杉内からゴメスがレフトスタンドにソロホームランを叩きこむ。さらに5回表、新井良もレフトスタンドにひく目をうまくすくい上げてソロホームランを放ち追加点を奪う。2死後、上本がショートに内野安打を打つと、二盗に成功。大和のセンター前ヒットで3点目をとった。タイガースのメッセンジャーは初回から快調に飛ばし、完封ペース。ところが6回裏、片岡にセンター前ヒットを許すと、2死後に阿部にレフトスタンドに1点差に迫られる2ランを打たれてしまう。それでも8回表には橋本の右中間を破るかと思われる当たりを福留のランニングキャッチでアウトにするなど、バックの守りにも支えられ、8回までなんとか投げ切った。杉内は7回まで投げ、8回から西村が登板。走者は出すが、決定打が出ず、1点差で9回裏を迎える。マウンドには呉昇桓。先頭の阿部にライトオーバーの二塁打を打たれると、代走に俊足鈴木尚が出る。呉昇桓の暴投で三進され、村田のライトへの犠牲フライで同点に追いつかれた。続く矢野には四球を与え、暴投で二進。2死まで行ったが、ロペスにサヨナラ打となるセンター前タイムリーを打たれ、まさかの逆転負けを喫してしまった。
◎ジャイアンツ20回戦……5-4
この試合に敗れると自力優勝の可能性がなくなるタイガース。大切な試合を託された岩田が1回裏につかまる。橋本と阿部にヒットを打たれ2死一二塁とされたところで村田にライトスタンドに先制3ランホームランを打たれてしまう。しかし、2回以降は走者を出しながらも要所を締めて追加点を許さない。ジャイアンツの先発は小山。得意の速球につまらされてなかなかチャンスを作れない。しかし、球が上ずってきた6回表についにつかまえる。先頭の上本がレフト前ヒット、1死後鳥谷がレフト前ヒットで一二塁のチャンスを作ると、ゴメスが一二塁間を破る鈍い当たりのライト前ヒットを放ち、上本を迎え入れ、1点を返した。なお走者を置いてチャンスは続いたが、マートンは三振。二番手青木高の前に福留もレフトファールフライで反撃を止められた。ジャイアンツは7回表は西村を連投させてしのぐ。タイガースも7回裏は安藤が好投。8回表、必勝を期してジャイアンツが投入した山口をタイガース打線がとらえる。上本の四球と今成の死球で無死一二塁のチャンスを作り、鳥谷が右中間を破るタイムリー二塁打で上本を返すと、ゴメスは敬遠気味の四球で満塁に。マートンはセカンドゴロ併殺に打ち取られたが、その間に今成が生還して同点に追いついた。8回裏、三番手福原が1死から村田に死球を与えると、ロペスがバント。代打長野は敬遠気味に歩かせ、続く大田には勝負に行って歩かせて2死満塁に。しかし隠善をショートライナーに取ってピンチを脱した。9回表、マシスンに抑えられると、その裏には金田が三者凡退で延長戦に持ち込んだ。10回表、続投のマシスンから鳥谷がセンター前ヒットを放つと、ゴメスがレフトスタンド上の看板を直撃する勝ち越しの2ランホームラン。10回裏、前日の汚名返上に燃える呉昇桓が登板。阿部にレフトスタンドにソロホームランを打たれて1点差に迫られたが、村田、ロペス、井端と三者凡退で締め、前日の雪辱を果たした。ヒーローインタビューは決勝ホームランのゴメス。
◎ジャイアンツ21回戦……0-4
藤浪には知らぬ間に未知のプレッシャーがかかっていたのか。1回裏、橋本に先制打者ホームランを打たれ、1点を先行された。2回裏には1死から隠善にセカンドへの内野安打を打たれると、小林は三振に打ち取ったものの、澤村に左中間を破るタイムリー二塁打を打たれる。このタイムリーでリズムを乱したか橋本にもセンター前ヒットでつながれ、片岡のセンター前タイムリーヒット、坂本のレフト前タイムリーヒットとこの回3点を失う。4点の援護でジャイアンツの先発澤村はのびのびと投げる。4回表と6回表には先頭打者を四球で出すものの後続を断たれ、二塁にも進めない。藤浪は3回以降は立ち直ったが、2回の3失点は大きすぎた。5回を投げたところで代打を出されて降板。二番手渡辺、三番手筒井もジャイアンツ打線を封じて打線の爆発を待ったが、結局澤村に2安打完封を許し、このカードは負け越しに終わってしまった。
◎スワローズ18回戦……10-5
スワローズの先発は赤川。先制したのはタイガース。初回、四球の上本を大和が送り、鳥谷のセカンドゴロで三進。ゴメスも四球でつなぎ、マートンのレフト前ヒットで1点を奪う。2回裏には新井良にかわって一軍昇格した狩野が今季初打席でライト前ヒットを放つと、鶴岡三振のあと能見が送り、上本のレフト前タイムリーヒットで生還し、2点目を奪う。3回裏、四球のゴメスを塁に置き、狩野がレフトスタンドに2ランホームラン。4回裏、先頭の能見がライト前ヒットで出ると、1死後、大和が四球を選び、鳥谷の左中間を破るタイムリー二塁打で生還。ここで赤川は降板し、阿部にスイッチ。しかし、タイガース打線は容赦しない。ゴメスのタイムリー、マートンの犠牲フライに続き、今成もライト線の二塁打でつなぐと、またもや狩野がレフト前に2点タイムリー。この回一挙5点をあげた。6回裏には三番手山中から鳥谷とゴメスの連打で無死一三塁とし、マートンのセカンドゴロで10点目をあげた。能見は初回からていねいなピッチングで、走者を出しても3併殺と要所を締める。7回表、能見がつかまる。1死から畠山を歩かせて飯原のライト前ヒットでピンチを迎えると、中村のレフト線―の二塁打で1点を返された。さらに山田のサードゴロを今成が弾いてしまい、その間にもう1点を返される。8回表には二番手加藤が登板。比屋根と雄平の連打に加え、飯原を歩かせて2死満塁とし、中村に2点タイムリーを打たれて6点差に縮められる。9回表、三番手渡辺が山田の内野安打と谷内への四球で降板し、四番手榎田が川端の二塁打で1点を返され、さらに比屋根を歩かせて無死満塁とされたところで、和田監督は呉昇桓に交代させるが、ここから激しく雨が降り、さすがの甲子園のグラウンドにも水が浮いてきて、10分ほど中断したあと主審がコールドゲームを宣告。あっけない幕切れで初戦をとった。ヒーローインタビューは豪雨のためなし。ただ、予定では狩野と能見がお立ち台に上がる事になっていたとのこと。
◎スワローズ19回戦……1-4
先制したのはタイガース。スワローズ先発石山から2回裏にゴメスとマートンの連打でチャンスを作ると、今成併殺の間にゴメスが三進。伊藤隼がセンター前に先制のタイムリーを放った。しかし、タイガースの先発金田が4回表につかまる。1死から畠山のセンター前ヒットと雄平の二塁打で二三塁のピンチを招くと、ユウイチのセンター前タイムリーで2点を奪われて逆転された。金田は5回2失点で降板。6回表、二番手筒井が先頭の川端をライトフライに打ち取ったが、伊藤隼の打球への反応が悪く追いつけずに後ろにそらし二塁打にしてしまう。畠山のライトフライで川端は三進し、筒井の暴投で1点を奪われた。さらに雄平と飯原に連打を食らい、武内のサードゴロは三塁走者雄平がホームに突っ込んできたのを今成が好返球で刺す。ここで渡辺に交代し、中村に四球。満塁で石山の当たりはライト前に。伊藤隼は判断よく一塁に送球し、ライトゴロでなんとか追加点を阻止した。しかし、打線は石山の速球に詰まり、走者も出せない。8回表、四番手榎田は雄平と飯原の連打と武内のバントで1死二三塁とされて五番手鶴と交代。中村のレフトへの犠牲フライで決定的な4点目を奪われた。スワローズは8回裏は秋吉、そして9回裏はバーネットと必勝リレー。バーネットの前にマートン、今成、伊藤隼と三者三振で全く反撃できず敗れた。
◎スワローズ20回戦……2-4
タイガースの先発岩貞が初回につかまる。先頭の山田にセンター前ヒットを打たれ、比屋根のバントで二進。川端はショートゴロに打ち取ったが、畠山、雄平に連続四球を与え、飯原のセンター前2点タイムリーヒットで先制された。4回表には飯原への四球、相川のショートへの内野安打、谷内のファーストゴロはゴメスが弾き失策がついて1死満塁に。小川は空振り三振に打ち取ったが、山田に押し出し四球を与えて3点目を与える。6回表、1死から相川のヒットと谷内への四球を小川のバントで送られ、1死二三塁に。ここで岩貞は無念の降板。二番手は鶴。山田を歩かせ満塁とし、代打バレンティンに押し出しの四球。この1点は大きかった。ここは三番手高宮が川端をショートゴロに打ち取って、大量リードは許さない。タイガース打線はスワローズ先発小川の前に6回裏まで散発3安打と打てない。小川は決して好調ではなかったが、タイガースの各打者が力みかえって打ち損じ。7回裏、ゴメスのレフトスタンドへのソロホームランでやっと一矢を報いる。続くマートンのヒットと福留の四球で押せ押せムードとなったが、代打新井貴、代打関本が凡退。小川をとらえきれなかった。9回裏、クローザーのバーネットが登板。1死からマートンと福留の連打でチャンスを作る。代打坂はショートゴロで二封。2死一三塁としたところで、鶴岡のショートへの内野安打で1点を返し、一気に逆転といきたかったが、狩野がショートフライで試合終了。最下位スワローズに思わぬ連敗を喫した。
愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 ジャイアンツに連敗して嫌なムードになりかけていたのを、いい時の投球を取り戻して甲子園に戻っての初戦をとった。大量リードにも油断することなく落ち着いた投球で、リリーフが打ちこまれて逆転の危機もあったけれど、降雨コールドという運も取り戻した。ここからがエースの勝負である。
野手……マウロ・ゴメス ジャイアンツ戦での勝ち越しホームランや、効果的な一発と好機にはライト打ちをして走者を返すなど、ついに91打点で打点トップのエルドレッド(C)に並んだ。この調子で打ちまくり、来日1年目でのタイトルも夢ではなくなってきた。チームは少し調子を落としているが、四番がしっかりしているのでまだまだ再浮上のチャンスはある。
次節は甲子園で好調ベイスターズと対戦。相手の勢いに呑まれないように、開き直ってのびのびと試合に臨んでほしい。続いてナゴヤドームでドラゴンズ戦。こちらは最下位の危機もあるくらい落ち込んでいる。調子を合わせるのではなく一気に叩き落として、次々節の上位との連戦をいい形で迎えてほしい。復帰していきなりホームランを放った狩野や、中継ぎで勝ち星をのばす金田など、ラッキーボーイの勝ち運を信じてどしどしと起用してもらいたいものだ。先発の頭数がそろわない弱点が露呈した節となったが、次節には岩崎も戻ってくる。中盤の快進撃を支えたルーキーの復帰にも期待したい。勝負は9月。和田監督がキャンプから言い続けていた言葉を選手は現実のものにしてもらいたいのだ
(2014年9月1日記)