甲子園球場でのベイスターズ3連戦。初戦は今成のプロ入り初のサヨナラヒットで取ったが、2戦目は山口の前に打線が沈黙。3戦目は岩崎の久々の好投もあり三浦を打ち崩して2勝1敗。ナゴヤドームでのドラゴンズ3連戦は、初戦、プロ野球史上最高齢先発の山本昌にみごとにひねられ完封リレーで敗れると、2戦目は山井に、3戦目は雄太に打線が金縛りにあったように打てず、なんと0勝3敗。今節は2勝4敗。今季通算64勝59敗1分で勝率.520。首位ジャイアンツとのゲーム差は4.5と開き2位カープとの差も1.5と開き3位。昨年の轍を踏むようにずるずると後退を始めた。
◎ベイスターズ17回戦……4-3
メッセンジャーが立ち上がり苦しむ。1回表、梶谷の打球を足に受けヒットにすると、白崎のバントで二進。グリエルの左中間への二塁打で先制点を許す。その後きわどいコースがすべてボールと判定され、ブランコと下園を歩かせ2死満塁に。松本、黒羽根と連続押し出し四球で3点を先制された。しかし、2回以降は立ち直り、落ちる球と速球のコンビネーションが冴えて8回を投げ切り12奪三振を記録する快投。シーズン奪三振は201を記録し、これは二リーグ制後の外国人投手ではバッキーをこえる新記録となった。タイガース打線はかつての同僚久保の前に緩急をつけられなかなか打ち崩せない。6回裏、先頭の梅野がショートへの内野安打で出ると、メッセンジャーはスリーバント失敗の三振に倒れたが、上本がサードグリエルのグローブをかすめレフト線を破る二塁打で1死二三塁とする。代打新井貴のセカンドゴロの間に梅野が生還し、1点をついに返した。さらに鳥谷がレフト前に1点差と迫るタイムリーヒットを放つ。久保も8回まで投げ切る。9回表、安藤が三者凡退でいいリズムを作ると、9回裏にはクローザーの三上に対し1死からゴメスのレフト前ヒットで流れを呼び込む。マートンはレフトフェンス直撃の二塁打を放ち二三塁とする。福留は敬遠気味の四球で満塁に。今成のレフト前ヒットで代走の坂が帰り同点。そして二塁からマートンも一気にホームを突く。本塁上はクロスプレーとなったが、マートンの足がタッチより先にベースに触れており、逆転サヨナラ勝利。ベイスターズ中畑監督は激しく抗議したが退場処分に。ヒーローインタビューはプロ入り初めてサヨナラヒットを放った今成。
◎ベイスターズ18回戦……1-3
先制したのはタイガース。1回裏、ベイスターズの先発山口に対し、先頭の上本が背中にぶつけられる死球で出ると、大和が送り、鳥谷の叩きつけるバッティングで高く跳ねたサードゴロはバルディリスの送球が遅れ内野安打に。1死一三塁としてゴメスのこれも鈍い当たりのセカンドゴロで上本が生還して1点を奪う。しかし、タイガースの先発岩田も2回表にバルディリスにレフト前ヒットを打たれ、白崎のレフト前タイムリーヒットで同点に追いつかれる。さらに4回表、バルディリスにセンターバックスクリーンにソロホームランを打たれてリードを許す。5回表には梶谷のヒット、ブランコ、バルディリスへの四球で2死満塁とされ、下園のセンター前ヒットでさらに1点を追加された。二塁走者も一気にホームを突いたが、タッチアウトで大量失点は防いだ。岩田はこの回限りで降板し、金田、筒井のリリーフ陣は無失点で切り抜ける。しかし、打線は山口の重い速球に力負けし、5回以降はノーヒット。反撃の足掛かりも作る事ができず完投されてしまった。
◎ベイスターズ19回戦……5-3
先制したのはタイガース。ベイスターズ先発三浦に対し、2回裏1死から福留のセンター前ヒット、鶴岡のライト前ヒットで一三塁のチャンスを作る。ここで大和のセーフティスクイズがみごとに決まり、福留が先制のホームを駆け抜けた。しかし、直後の3回表、タイガースの先発岩崎がつかまる。1死から黒羽根にセンター前ヒットを打たれると、三浦のバントを自ら捕って二塁へ送球するも送球がそれてセンター前にボールが転がる間に黒羽根は三塁に。梶谷のセンターへの犠牲フライで同点に追いつかれた。それでもこの日のタイガースは粘る。3回裏、2死からゴメスがレフトスタンドに勝ち越しのソロホームランを放った。岩崎は5回まで1被安打の好投を見せていたが、6回表、センター前ヒットの桑原を塁に置き、ブランコに左中間スタンドに運ばれる逆転2ランホームランを浴びた。6回裏、タイガースが反撃。先頭のゴメスがショートへの内野安打で出ると、マートンのセンターフライを桑原が落球。福留のバントで1死二三塁とし、代打は新井貴。こは敬遠されて満塁に。代打関本が三振に倒れ2死とされたが、代打坂の三遊間へのゴロは白崎の捕球体勢が悪く、二封しようとしたが一塁走者の新井貴が全力で二塁ベースまで走り内野安打となって同点に。さらに上本がレフト前への2点タイムリーを放ち、勝ち越した。ベイスターズは7回から長田、国吉のリレーでタイガース打線をなんとか抑えて味方の反撃を待つ。7回表、タイガースの二番手安藤は黒羽根の二塁打と石川への四球でピンチを作るが、桑原を三振に取って切り抜けた。8回は福原が、9回は呉昇桓がそれぞれ三者凡退にとって逃げ切った。ヒーローインタビューは勝ち越しタイムリーの上本。
◎ドラゴンズ19回戦……0-6
ドラゴンズの先発は49歳の山本昌。プロ野球史上最高齢先発記録をこの試合で作る。まさに老獪な投球で、タイガース打線はタイミングをずらされ、打てそうで打てない。タイガースの先発能見も初回からとばし、3回までパーフェクトに抑える。しかし、4回裏、1死から荒木に初安打を打たれると、とたんにリズムがくるってしまう。ルナは空振り三振で通算1000三振を記録したが、平田と森野に四球で満塁に。ここで藤井にセンター前に弾き返されて2点を先制された。さらに6回裏、先頭の平田を歩かせると森野のライト前ヒットと藤居への四球で無死満塁に。代打小笠原のライト前ヒットで大きな1点を追加されると、能見はマウンドを歳内に譲った。歳内は同い年の高橋周をセカンドゴロに打ち取りホームで封殺。しかし代打谷繁に押し出しの四球を与えてしまう。大島はピッチャーゴロでホームゲッツーにとってピンチは脱したが、4点は重すぎた。山本昌は勝ち投手の権利を残して無失点のまま5回限りで降板。二番手祖父江に対し、6回表にゴメスのサードゴロをルナがトンネルし、続くマートンのヒットでチャンスを作るも新井貴は三振。代打今成は浅いレフトフライ。そして鶴岡は三振。7回表は武藤の前に三者凡退。7回裏、三番手筒井がいきなり荒木とルナの連打でピンチに。1死後、森野と藤井の連続タイムリーで決定的な2点を奪われる。8回裏は高宮が抑えて打線の爆発を待ったが、又吉、福谷の前にあえなく抑えられ、山本昌にプロ野球史上最高齢勝利という記録を作らせてしまった。
◎ドラゴンズ20回戦……2-7
タイガースの先発は藤浪。1回裏、先頭の大島を歩かせてしまい、荒木の一塁ゴロで二進。ルナは三振に打ち取ったが、平田のセンター前タイムリーで1点を先制された。ドラゴンズの先発山井はセンター大島の堅い守りにも助けられ、タイガース打線を封じる。藤浪も尻上がりに調子をあげてきたが、5回裏、先頭の堂上直が内野安打で出塁し谷繁の一塁ゴロで二進、2死後大島にレフト線に二塁打を打たれ2点目をとられてしまった。しかしタイガース打線は6回表に山井をとらえた。1死から鳥谷がセンター前ヒットを放つと、ゴメスもライト前ヒットで続く。ここでマートンがレフト前タイムリーで1点を返すと、今成もライト前に落としてゴメスを返し同点に追いついた。1死一三塁、伊藤隼の打席でベンチが勝負をかける。ダブルスチールを敢行、伊藤隼は三振し、二塁への送球を見てホームに突っ込んだマートンは荒木の素早い返球でタッチアウト。勝ち越しのチャンスを逃した。打線に助けてもらった藤浪だったが、直後の6回裏、1死から平田にライト前ヒットを打たれ、森野のライト線へのタイムリー二塁打でまたもリードを許す。7回表、先頭の代打坂が振り逃げで出塁し、代走に大和。代打鶴岡のバントで二進し、上本は四球を選んで1死一二塁に。代打新井は四球を選んで1死満塁に。ここで鳥谷はセカンドゴロ併殺。せっかくのチャンスを生かせない。7回裏には安藤が無失点で抑えたが、8回裏、福原がつかまる。ルナと森野のヒットで2死一三塁とされ、藤井の二塁打で2点を奪われた。さらに堂上直にもヒットでつながれ、暴投でまたも失点。谷繁にもタイムリーを許す。ここで福原は筒井にスイッチ。代打小笠原にはヒットを打たれたが、大島を打ち取りなんとか猛攻を止めた。ドラゴンズは8回には又吉、9回には祖父江のリレーでタイガース打線を抑え、タイガースは大きな連敗を喫してしまった。
◎ドラゴンズ21回戦……0-2
タイガースの先発は岩貞。2回裏、先頭の森野にレフト前ヒットを打たれたが、藤井、堂上直とライトフライに打ち取り、谷繁もライトフライに打ち取ったが、狩野がこれを落球、2死二三塁とされる。雄太のショートゴロは間一髪で内野安打となり、1点を先制される。ドラゴンズの先発は雄太。3回裏、エラーを挽回しようと先頭の狩野が右中間に二塁打を放ち、1死三塁まで攻め立てたが、岩貞のショートゴロで狩野は三本間の狭殺プレーでアウトに。上本もショートゴロでチャンスを逸した。岩貞は速球主体の組み立てでフライアウトを量産。対する雄太はゾーンをフルに使い内野ゴロでタイガース打線を封じる。6回表、2死一塁でゴメスが内角球を見送ったのをストライクと判定され、バットでベースの横に線を引いたのに対して侮辱行為で審判から退場を命じられるなど、タイガースにとって不利な状況が続く。それでも岩貞は6回1失点で踏ん張っていたが、7回裏、ついにとらえられた。先頭の藤井を歩かせ、堂上直のバントで二進。谷繁はファールフライに打ち取ったが、代打谷に左中間を破られて2点目を奪われた。それでも続く大島はショートゴロに打ち取り、最小限に失点をとどめた。8回裏は金田が抑え、打線の反撃を待ったが、8回には二番手祖父江に抑えられ、9回は三番手福谷からマートンのヒットと今成の二塁打で2死二三塁と同点のチャンスを作ったが代打関本がサードゴロで試合終了。今季初めてカード3連敗を喫してしまった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 ベテランがビハインドの場面でも起用され、連日無失点で切り抜けている。一時疲れを見せた時もあったが、9月に入ってからは福原につなぐ役割を十分果たしている。あと一息、苦しいマウンドが続くが、最後まで踏ん張ってくれることだろう。
野手……今成亮太 ベイスターズ戦のサヨナラ打をはじめとして、ここというところでチャンスメイク、あるいはポイントゲッターとしての役割を果たしている。ただ、相手投手の左右によって、打順が流動的になっているのが気にかかる。ここは攻撃的な二番打者としてチャンスを作ったり広げたりする役割を果たしてほしい。。
次節は甲子園で6連戦。首位ジャイアンツ、2位カープと直接対決となる。勝たねばならない負けられないと焦れば焦るほど、チーム全体の雰囲気が重くなってくる。ここは思い切って怖さを知らない若手を上にあげて負けてもいいぞと思い切り暴れさせてやるのも一つの手ではないだろうか。横田や北條が打てなくてもファンは文句は言わない。それどころか、打ってくれればもうけもの。それくらいの荒療治が今のタイガースには必要なのではないか。なにより和田監督が開き直ってどんどん行けと指示を出してやることが肝要。現状ではもう一試合を大切になどといって慎重になればなるほど、雰囲気が重くなるだけだと思うのだ。いい意味での開き直りを期待したい。
(2014年9月8日記)