クライマックス・シリーズファーストステージは昨年に続き甲子園球場にカープを迎えた。しかし、初戦はメッセンジャーと呉昇桓の完封リレーに福留が前田健から値千金の一発を放ち先勝。２戦目は能見、呉昇桓、福原の完封リレー。打線も振るわず引き分けたが、規定によりファイナルステージ進出が決まった。クライマックス・シリーズのシステムができて以来、初めてのファイナルステージ進出である。
◎カープ１回戦……１−０
タイガースの先発はメッセンジャー。１回表、２死からロサリオとエルドレッドに連打を食らうが、松山をファーストゴロに打ち取り課題の立ち上がりを切り抜けた。以降は速球とフォークをおりまぜる藤井の好リードもあってカープ打線を手玉にとる。カープの先発は前田健。こちらはスライダーの切れが良く、３回裏に上本のヒットと鳥谷の死球でチャンスを作るが、ゴメスがセカンドフライでこちらもチャンスをものにできない。両投手の好投で息詰まる熱戦となったが、６回裏に福留が甘く入った高めの球をセンターバックスクリーンに叩きこみ、１点を先制した。７回裏には二番手一岡から上本の右中間を破る二塁打と鳥谷の四球で追加点のチャンスをつかむが、ゴメスとマートンが凡退。８回表、球が高めに上ずったメッセンジャーが先頭の代打田中を歩かせてしまい、代打中東の一塁ゴロで二進。しかし、菊池と丸をともに内野フライに打ち取り、８回無失点で呉昇桓にバトンをつないだ。９回表、呉昇桓はロサリオ、エルドレッド、松山を連続空振り三振に打ち取る圧巻の投球で１点差を守り切り、ＣＳ初戦を初めて取った。
◎カープ２回戦……０−０
タイガースの先発は能見。２回表、１死から梵にライト前ヒットを打たれ、続く小窪のセンター前に落ちるテキサスヒットで梵が三塁を狙ったが、大和の好返球でタッチアウト。鈴木誠をショートゴロに打ち取りピンチを脱した。カープの先発は大瀬良。タイガースは４回裏に２死からゴメスがフェンス直撃の二塁打を放つが、マートンはファーストゴロに倒れてチャンスを逸する。能見は７回表にロサリオとエルドレッドの連打、梵のバントで１死二三塁とされ、小窪を敬遠。満塁のピンチに鈴木誠をサードゴロに打ち取り、西岡が本塁封殺。會澤は内角球を見送り三振に取って最大のピンチを脱し、８回無失点で呉昇桓にバトンタッチ。大瀬良も７回無失点でヒースに交代。９回表、ヒースから先頭の鳥谷が四球を選ぶも盗塁失敗でチャンスをつぶす。延長戦に入り、呉昇桓は１１回まで３イニングを投げて無失点。カープも１０回から中崎がタイガース打線を抑える。引き分けでもファイナルステージ進出のタイガースは１２回表には福原を投入。２死から田中にヒットを打たれたが、鈴木誠をセンターフライに打ち取り、規定によりコールドゲームで引き分けが確定。念願のファイナルステージ進出を果たした。ヒーローインタビューは選手を代表して選手会長の上本が「もう一度甲子園に戻ってきます」と宣言した。
愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……呉昇桓 ２試合連投で無失点。特に２戦目はシーズンにもなかった３イニングの登板となったが、動じることなくカープ打線を抑え切った。むろん、先発のメッセンジャー、能見、２戦目で最後を締めた福原もＭＶＰ級の働きだった。ここは投手陣を代表して呉昇桓に、ということで。
野手……福留孝介 初戦、カープのエース前田健からまさに値千金の決勝ソロホームランをバックスクリーンに叩きこんだ。この勝利がなければ２戦目引き分けでのファイナルステージ進出もなかったのだから、本当に貴重な一発だった。ファイナルステージにこの好調ぶりをつなげていってもらいたい。
昨年は怖いもの知らずだったカープの若手たちが、今シーズンのシリーズでは緊張でいつもの野球をできなくなっていた。若いチームの弱点がもろに出た２試合で、タイガースはそれに助けられたとも言える。ファイナルステージでは大舞台を何度も経験してきたメンバーのいるジャイアンツだ。カープのように助けてはくれないだろう。藤浪、岩田、岩崎、メッセンジャーという顔ぶれのローテーションになる事が予想されるが、特にジャイアンツ戦初登板の岩崎がカギを握るのではないか。初物に弱いジャイアンツ打線が岩崎を打ちあぐんでくれれば日本シリーズ出場も見えてくるだろう。
（２０１４年１０月１３日記）
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