愛すれどTigers


ジャイアンツに4連勝し日本シリーズ出場決定

 クライマックス・シリーズファイナルステージは東京ドームでチャンピオンのジャイアンツに挑戦。初戦は内海を攻略し、2戦目は澤村の危険球退場などでジャイアンツが自滅。3戦目は杉内を攻略して逆転勝利。4戦目は小山からホームラン3発で大量リードし、投打がかみ合って4連勝。2005年以来の日本シリーズ出場を決めた。日本シリーズの相手は1964年、2003年とともに敗れているホークスが6戦目まで苦戦しながらも出場を決めた。クライマックス・シリーズMVPはこのシリーズ6連投のリリーフエース呉昇桓。クライマックス・シリーズでは胴上げもビールかけも遠慮したが、日本シリーズでは胸を張って胴上げできるようにぜひ1985年以来の優勝を飾ってほしい。

◎ジャイアンツ1回戦……4−1
 ジャイアンツの先発内海を初回から攻略。先頭の西岡がレフト前ヒットで出ると、上本はバスターエンドランを仕掛けてファーストゴロで西岡は二進。鳥谷のセンターオーバーのタイムリー二塁打で先取点を奪うと、ゴメスがレフトスタンドに2ランホームランを叩きこむ。3点のリードをもらったタイガースの先発藤浪は初回から3回まで毎回走者を許すも後続を断ち、4回以降はペースをつかむ。3回表、先頭の上本が歩き、鳥谷のセンター前ヒットで無死一二塁とすると、ゴメスがライト前に落ちるタイムリーヒットで待望の追加点を奪う。6回表、1死から福留が左中間に二塁打を放ち、鶴岡がセンター前ヒットで続くが、福留は思い切ってホームを突き憤死。7回表には先頭の西岡のセンター前ヒット、上本のバントで1死二塁とするも、鳥谷が見逃し三振。ここで内海が降板し、二番手の江柄子がゴメスを敬遠。マートンはショートフライに倒れて、追加点が取れない。7回裏、先頭の阿部にライトスタンドにソロホームランを打たれた藤浪は、続くアンダーソンにもセンター前ヒットを打たれる。村田にはライト前ヒット、亀井にもライト前ヒットで無死満塁のピンチを迎えるが、代打セペダを一塁ゴロに打ち取りホームゲッツーに取ると、代打井端をファーストのハーフライナーに打ち取ってピンチを切り抜け雄叫びをあげた。ジャイアンツは8回を高木京、9回を久保で抑えて打線の反撃を待つ。タイガースは8回裏、福原を投入。2死から坂本に二塁打を打たれるが、阿部を迎えて三番手高宮が登板し、空振り三振でピンチを脱した。9回裏には呉昇桓が村田に死球を与えたものの最後は代打ロペスをショートゴロに切って取って逃げ切り。アドバンテージのあるジャイアンツに対して1勝1敗とする快勝。ヒーローインタビューは7回1失点でポストシーズン初勝利の藤浪。
◎ジャイアンツ2回戦……5−2
 先制したのはタイガース。ジャイアンツの先発澤村に対し、3回表1死から岩田が四球を選ぶと、西岡はサード村田のグラブを弾く強襲ヒット。上本のセンター前ヒットで岩田が一気にホームを突き、クロスプレーも好スライディングでセーフ。さらに鳥谷がライト前ヒットで西岡を迎え入れて2点を奪う。タイガースの先発は岩田。3回裏、先頭の井端にレフト前ヒットを打たれ、小林は三球三振にとったが、澤村のバントを自ら一塁へ悪送球し、1死二三塁に。長野を歩かせ満塁とし、橋本をセカンドゴロ併殺に打ち取ってピンチを脱した。5回表、先頭の西岡が四球を選ぶ。上本は澤村の投球を頭部に受けてしばらく立ち上がれない。澤村は危険球退場でマウンドには急遽久保が。鳥谷のセンター前タイムリーで3点目を奪うと、ゴメス三振のあとマートンのレフト前2点タイムリーで5点差とする。岩田は7回裏、レフト前ヒットの村田を置いて井端にレフトポール際に2ランホームランを打たれ、1死から代打矢野にもヒットを打たれたが、長野のファーストライナーで矢野が飛び出し併殺に。ジャイアンツは江柄子、西村とつないでタイガース打線を抑える。8回裏、二番手福原が先頭の代打亀井にセンターオーバーの大飛球を打たれるが大和のファインプレーでアウトに。しかし坂本に死球を与えて阿部を迎えると、阿部キラーの高宮を投入し、阿部のファーストライナーで坂本がまたも飛び出し併殺に。9回裏は呉昇桓が1死から村田にヒットを打たれたが、井端を空振り三振、ロペスをセカンドゴロに打ち取り逃げ切り、2連勝。ヒーローインタビューは先発勝利の岩田。
◎ジャイアンツ3回戦……4−2
 メッセンジャーが先手をとられた。1回裏、先頭の長野を歩かせ、亀井のバントで二進。坂本はライトフライに打ち取ったが、阿部にセンター前タイムリーを打たれて1点を奪われる。さらに3回裏には苦手の亀井にライトスタンドにソロホームランを叩きこまれ、2点差とする。4回表、タイガース打線が反撃の糸口をつかむ。上本とゴメスのヒット、マートンの四球で1死満塁と攻め立てるが、代打新井良は三振。藤井の左中間を破ろうかという大きな飛球も長野のランニングキャッチでチェンジに。6回裏、ついに杉内をつかまえた。先頭の上本がライト前ヒットで出ると、鳥谷は空振り三振に取られたが、ゴメスの打席で上本が盗塁。ゴメスはレフト前タイムリーで1点を返した。マートンのレフト前ヒットで杉内は降板。西村がマウンドに立つと代打は福留。レフト線への二塁打でゴメスが返って同点に追いつく。7回表、三番手山口から西岡がセンター前に落ちるヒットを放つと、上本はバントを失敗。ピッチャーゴロで西岡は二封される。しかし鳥谷のレフト線への二塁打で1死二三塁とし、ゴメスの左中間を破るタイムリーヒットで勝ち越しの2点を入れた。6回裏からタイガースは小刻みな継投。高宮、安藤がしっかりと抑え、8回裏には松田がマウンドに上がる。2死から村田への死球、ロペスのヒットでピンチを招いたが、呉昇桓をここで投入し、代打セペダをレフトフライに打ち取ると、9回裏は井端、長野を連続三振に取り、亀井の左中間への長打になろうかという当たりを大和がダイビングキャッチでとらえ、試合終了。3連勝で日本シリーズ出場にあと1勝となった。ヒーローインタビューは勝ち越しのタイムリーを含む3打点のゴメス。
◎ジャイアンツ4回戦……8−4
 タイガースがいきなりジャイアンツ先発の小山を叩く。1死から上本がサードへの内野安打で出ると、鳥谷がセンター前ヒットで続く。ゴメスが三振し2死となるが、マートンがレフトスタンドに先制の3ランを叩きこむと、続く福留もライトスタンドにソロホームランを打ちこみ4点を奪う。2回表には先頭の大和が歩き、能見のバントで二進。西岡がライトスタンドに2ランホームランを放りこみ、6点目を奪ったところで小山は降板。タイガースの先発能見は2回表に亀井のライトスタンドへのソロホームランで1点を失い、長野の二塁打と矢野のヒットで1死一三塁のピンチを迎えたが、坂本をショートゴロ併殺に打ち取って難を逃れた。3回裏には井端とアンダーソンの連打、阿部の一塁ゴロで1死二三塁とされ、村田にライトへ犠牲フライを打たれて2点目を失ったが、亀井を三振に取って最少失点にとどめた。このあとも能見は毎回のように走者を出しながらも5回まで投げて2失点で切り抜けた。タイガース打線は3回以降は笠原、高木京、江柄子の前になかなか得点できずにいたが、7回表に五番手久保から代打新井良のヒット、代走荒木と西岡の間のエンドランで1死二塁とすると、上本が四球と盗塁。鳥谷は敬遠気味の四球で満塁とする。ここでゴメスがフォークをうまくすくい上げてレフト前に2点タイムリーを放ち、試合を決定づけた。タイガースは6回から安藤、松田、福原のリレーでジャイアンツ打線を抑え、ジャイアンツも西村、マシソンとつないでなんとか失点を防ぐ。9回裏、抑えの呉昇桓がマウンドに。代打セペダのライトスタンドへのソロホームラン、坂本のレフトへのソロホームランで2点を失ったが、そこから冷静さを取り戻しアンダーソンにヒットは打たれたものの阿部は空振り三振、村田はセカンドフライと中軸を抑えて逃げ切った。勝利監督インタビューは和田監督。クライマックス・シリーズMVPインタビューは呉昇桓。胴上げは日本一になってからということでなかったけれど、選手たちはマウンドに集まって歓喜の輪を作った。

愛すれどTigers週間MVP
投手……藤浪晋太郎 MVPに輝いた呉昇桓も素晴らしかったが、初戦にピンチを切り抜けてジャイアンツの流れをせき止め、タイガースに流れをもたらした藤浪の功績が大きいと私は見ている。勝つためにどうすればよいのかをよく知る20歳。大エースへの道をこのシリーズを足がかりにしてまた一歩進めてもらいたい。
野手……マウロ・ゴメス 初戦にジャイアンツの出鼻をくじくホームラン。さらには勝ち越しタイムリー、ダメ押しタイムリーなど、ここで打ってほしいという場面で4番の仕事をした。日本シリーズでもこの調子で打線を引っ張っていってほしい。

 まさかまさかの4連勝だった。ここ一番に弱い、短期決戦に弱いという下馬評を覆し、実力では優勝したジャイアンツにひけをとらなかったということを証明してくれた。日本シリーズも挑戦者としての立場を傷さず、欲を出さずに自分たちの野球を続けていけば、優勝の可能性は十分にあるだろう。シーズン終盤に失速し、クライマックスシリーズでも苦戦したホークスが本調子を出す前に叩くことができれば、勝機は十分にある。ここまできたら日本シリーズ制覇を見たいものだ。

(2014年10月20日記)


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