今節から交流戦開始。甲子園球場でのイーグルス戦で初戦は岩田の4年ぶりの完封で、第2戦は藤浪が2試合連続の無失点で勢いをつけ、福留のサヨナラホームランでけりをつける。第3戦は最後まで粘り福留の押し出しサヨナラ四球で3勝0敗。翌日は西武プリンスドームに移動してライオンズ戦。初戦はメッセンジャーの好投でとったが、残る2試合は中村に連続試合ホームランで敗れて1勝2敗。今節は4勝2敗。今季通算で25勝27敗、勝率.481で3位に浮上。首位ベイスターズとの差は5.0ゲームiに縮まった。
◎ゴールデンイーグルス1回戦……3-0
交流戦の初戦。タイガースの先発岩田は課題の立ち上がりを2奪三振と快調に滑り出す。イーグルスの先発は左腕塩見。初回、いきなり鳥谷がレフト前ヒットを放ち、大和のバントで二進。マートンは三振したがゴメスは四球で2死一二塁に。福留は投手の足元を抜くセンター前タイムリーヒットで先制点をたたき出す。3回裏にはマートンのヒットとゴメス、関本の四球で2死満塁のチャンスを作ったが、上本は空振り三振。また追加点のとれない嫌なパターンかと心配になる。しかし岩田は4回表、藤田、松井稼、中川を三者三振に切って取るなど、追加点がなくても完璧な投球。5回表こそ枡田のヒットなどで2死一三塁のピンチを招くが、塩見を三振に取って同点にはさせない。直後の5回裏、ライト前ヒットのマートンを置いてゴメスが左中間スタンドに待望の追加点となる2ランホームランを放つ。塩見は7回裏、鳥谷のヒットとマートンの内野安打で1死一二塁としたところで降板。二番手は武藤。ゴメスの平凡なレフトフライもレフト枡田が緩慢な返球をしている隙をついて鳥谷とマートンがタッチアップで二三塁に。福留はファールフライに倒れて追加点はならなかったが、隙をつく走塁が明日以降につながるだろう。岩田は9回表、先頭の松井稼にヒットを打たれるも、後続を断ち、最後は後藤のセンターへの大きなフライを大和が難なく好捕し、試合終了。岩田は3安打10奪三振で今季初めての完封勝利。ここ数年交流戦は出鼻をくじかれ続けていただけに、大きな勝利だった。ヒーローインタビューは完封勝利の岩田。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……2-0
タイガースの先発藤浪は初回2死から枡田のレフト前ヒットとペーニャへの四球でピンチを作るが後藤を三振にとり、立ち上がりを切り抜けた。これがこの試合の奪三振ショーの幕開けとなる。5回表には先頭の西田に二塁打を打たれたが福田、美馬と連続三振。松井稼をファーストゴロに打ち取る。圧巻は9回表で、ペーニャ、後藤、嶋を三者三振。この藤浪の好投にタイガース打線がこたえられない。イーグルスの先発の美馬はスライダーを効果的に使い、4回までは毎回のように走者を出してプレッシャーをかけたが、ここというところの一打が出なかった。6回まで無得点で美馬は交代。7回からは福山、青山のリレーの前に走者も出せない。9回裏にはストッパーの松井裕が登場し、藤浪と対抗するように速球を投げ込む。藤浪は10回まで投げ13奪三振完封ながら勝利に恵まれない。10回裏、先頭の大和のヒットと鶴岡のバントでサヨナラのチャンスを作るも関本と鳥谷が連続三振。11回表は二番手の呉昇桓が1死から藤田にヒットを打たれながらも、枡田は鳥谷が地面すれすれにすくい上げるように捕球するショートライナー。代打牧田のセカンドライナーは上本がジャンプして捕球し、投手を助ける。11回裏、イーグルスは戸村が登板。2死からゴメスがライト前ヒットを放ち、代走俊介が走るそぶりを見せて戸村をかき乱す。そして、福留が左中間スタンドにサヨナラ2ランを放ち、連勝。呉昇桓は今季初勝利。ヒーローインタビューはウォーターシャワーでびしょぬれのサヨナラホームラン福留。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……4-3
タイガースの先発はサンティアゴ。初回につかまった。1死から藤田、松井稼に連打を浴び、枡田はレフトフライに打ち取ったものの、中川と後藤に続けてレフト前タイムリーを打たれて2点を先制された。5回表には枡田にバックスクリーン右にソロホームランを打たれて3失点でこの回限りマウンドを降りた。イーグルスの先発は菊池。5回までタイガース打線はノーヒットに抑えられていたが、6回裏に先頭の鳥谷がレフト前ヒットで出ると、荒木の右中間へのヒットで無死一三塁に。マートンの犠牲フライで1点を返した。ゴメスは三振に打ち取られたが、福留がライトオーバーの二塁打で荒木を返し、1点差に迫る。菊池はこの回限りでマウンドを降りた。タイガースは6回以降、松田、高宮のリレーで8回までイーグルス打線を封じる。イーグルスは7回は武藤が好投したが、8回裏、福山が打たれる。二塁打の福留を上本がショートゴロで三塁に進めると、伊藤隼のライト前に落ちるタイムリーで同点に追いついた。タイガースは9回表から呉昇桓を、イーグルスは9回裏から松井裕をそれぞれ投入。呉昇桓は延長10回表、2死満塁のピンチを招くが伊志嶺を空振り三振に取ってピンチを脱する。11回表は福原が四球の走者を出しながらも危なげない投球で抑えると、イーグルスは10回裏から前日サヨナラ負けを喫した戸村を投入。11回裏2死までは戸村に抑えられていたが、荒木がプロ入り初との猛打賞となるライト前ヒットを放つと、マートンの打席で盗塁。戸村は完全にペースをかき乱され、ストライクが入らずマートン、ゴメスと連続四球で満塁に。前日ホームランを打たれた福留に対してもボールスリーまでいく。ここで戸村は開き直り振りかぶってストライクを投げこみフルカウントに持ちこむが、ついに押し出し四球でサヨナラ。タイガースは交流戦3連勝のスタート。ヒーローインタビューはサヨナラに導く盗塁を決めた荒木と押し出し四球を選んだ福留。
◎ライオンズ1回戦……1-0
ライオンズ牧田の立ち上がりを攻める。1回表、鳥谷が四球を選ぶと、荒木との間にエンドラン。しかしセカンドライナーとなり鳥谷は帰塁できず併殺に。マートンが歩き、ゴメスのヒットでなおも攻め立てるが福留はセカンドゴロで先制機を逸した。タイガースはメッセンジャーが久々の一軍マウンド。1回裏、先頭の秋山の二塁打と栗山のバントで1死三塁のピンチを迎えたが浅村は浅いレフトフライ、中村は三振と、こちらもピンチを脱する。メッセンジャーはその後も毎回走者を許すがここというところで緩急をつけて三振の山を築く。タイガースは3回表、大和のショートゴロを金子侑が悪送球。これがカメラ席に飛び込みテイクワンベースで大和は二進。鳥谷は四球、荒木はバントで1死一三塁とする。マートンの当たりそこねのサードゴロの間に大和が生還し、待望の先取点を奪う。牧田はここからしり上がりに調子をあげ、タイガース打線を8かいまで無得点で抑える。しかしメッセンジャーもバッキーの通算記録を破る11奪三振で7回を投げ切った。8回裏、二番手高宮が先頭の秋山を歩かせてしまうが、栗山のバントを藤井が好捕し、二封すると鳥谷も機敏に一塁へ送球し併殺を完成させた。ここで三番手福原が登板。浅村を歩かせたが、中村をフェンスいっぱいまで運ばれながらもレフトフライに打ち取り無失点で切り抜ける。ライオンズは二番手武隈も好投。1点差で9回裏には呉昇桓が登板。メヒア、森、セラテリを三者三振に取って逃げ切った。ヒーローインタビューは無失点の投球で1ヶ月ぶりの3勝目をあげたメッセンジャー。
◎ライオンズ2回戦……2-9
先制したのはタイガース。ライオンズの先発菊池に対し、2回表に四球の今成を置いて2死一塁から鶴岡が右中間を破る二塁打で1点を奪う。しかし俊介は三振で追加点はならず。直後の2回裏、タイガースの先発横山はメヒアにレフトスタンドに叩きこまれソロホームランで同点に。3回裏には二塁打の秋山を浅村のタイムリーで返されて勝ち越しを許すと、中村にレフトスタンドに2ランホームランを運ばれ3失点。メヒアと森を歩かせたところで石崎に交代。石崎はここは抑えたが、4回裏につかまった。2死から秋山にショートへの内野安打を許すと、栗山のライト前ヒット、浅村には死球で満塁。そして中村に2打席連続となる満塁ホームランをレフトスタンドに叩きこまれて、試合は決した。石崎は5回裏にも2死から炭谷のヒットと渡辺直への四球でピンチとなり、秋山にセンター前タイムリーを打たれ、この回限りで降板した。6回以降は今季初登板の山本とベテランの安藤のリレーでライオンズ打線を抑えるが、打線はもう反発力がない。6回表に上本がレフトスタンドにソロホームランで1点を返したのみ。菊池は7回を投げ切って交代。岡本篤、大石の前に打線は沈黙、連勝は4でストップした。ドラフト1位と2位の両投手が期待にこたえられなかった。
◎ライオンズ3回戦……4-9
初回、ライオンズの先発郭を攻めたてる。内野安打の鳥谷を荒木は送れずファーストゴロで二封されたが、マートンは死球で一二塁とし、ゴメスのレフト線へのタイムリーヒットで先制する。福留もレフト前ヒットで続き、満塁としたが、今成は見送り三振、一う隼太はファーストゴロでビッグイニングを作れない。しかしタイガースの先発能見はライオンズ打線を緩急をつけた投球で翻弄。5回表、マートンがまた郭から同じところに死球を受けて怒りながら詰め寄り、審判は警告試合を宣告。これに対し和田監督は一方的にやられているのに両チームに警告とはなんだと詰め寄った。不穏なムードの中、打線は郭を6回表にとらえる。1死から伊藤隼太のライトフライを木村が弾いてこぼし、1死二塁に。藤井の左中間を破る二塁打で待望の追加点を奪う。上本敬遠で郭は降板。二番手の武隈は鳥谷に四球で満塁に。代打関本のセンターへの犠牲フライでさらに1点を加え、上本も三進。三番手岡本篤からマートンの内野安打で上本が帰り、この回3点を奪う。能見は直後の6回裏、ヒットの浅村を置いてメヒアのタイムリーで1点を返され、さらに7回裏につかまった。木村のショートゴロはヘッドスライディングで内野安打に。炭谷のライトオーバーの二塁打で無死二三塁とされると、渡辺直の犠牲フライで2点差に。秋山にはレフト前タイムリーで1点差。じわじわと追いつめられた。栗山を歩かせたところで二番手安藤にスイッチ。安藤は浅村を三振に取ったが、中村に逆転の3ランを打たれてしまう。安藤はさらにメヒアにも二塁打を打たれ、高宮に交代。高宮は森を三振に取ってなんとかライオンズの攻撃を止めた。しかし、8回裏には松田が1死から炭谷、渡辺直に連打を浴び、秋山はファーストゴロで二封して2死一三塁までこぎつけたが、脇谷にレフト前タイムリー、浅村にも走者一掃のセンターオーバーの二塁打を打たれてダメ押しの3点を奪われた。ライオンズは7回から宮田、増田、高橋朋とつないでタイガース打線を抑え、タイガースは連敗。中村の一発に泣かされる連戦となった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 ここのところ交流戦で失速することが多かったタイガースだが、岩田の久々の完封で幸先よい勝利。これでイーグルス戦は3タテ。次節も連敗ストッパーの役割を果たしてくれるか。
野手……福留孝介 イーグルス3タテの立役者。ただしライオンズ戦ではここというところでの一本が出ず苦しんだ。それでも相変わらず不振の打線の中で安定した結果を出しているのはさすが。
メジャーリーグのテキサス・レンジャーズを自由契約になった藤川球児投手と交渉の場をもつも、熱意が足りなかったのか独立リーグの高知ファイティングドッグスに行かれてしまった。藤川はたとえいま結果が出なくても、タイガース投手陣のキャプテンなのだ。本気で取りにいっていたかどうか疑問が残る。これで独立リーグを経て他チームにさらわれたりしないことを願う。
さて次節は甲子園で6連戦。マリーンズとファイターズはともに最多勝争いをする投手が出てくるだろう。打線の奮起を待ちたいが、投手陣の踏ん張りで接戦をものにしていってもらいたい。大谷と藤浪の投げ合いなんて見てみたいけれど、ローテーションの関係でちょっと難しいか。
(2015年6月1日記)