交流戦は甲子園球場で連戦。マリーンズ戦で初戦は呉昇桓が角中に逆転満塁ホームランを打たれ、第2戦は藤浪が完封ペースで行きながら8点差を一気に追いつかれる壮絶な展開で最後は鳥谷のサヨナラ犠飛でけりをつける。第3戦は岩貞の好投で接戦をものにして2勝1敗。雨で1日空き、ファイターズ戦。初戦はメッセンジャーと大谷の投手戦。ワンチャンスをものにして接戦をとり、第2試合は能見の好投とリリーフ陣の踏ん張りで2勝0敗。今節は4勝1敗。今季通算で29勝28敗とついに勝率5割を越した。勝率.509で3位を確保。首位ジャイアンツとの差は2.5ゲームと、首位も視界に入ってきた。
◎マリーンズ1回戦……3-6
先制したのはマリーンズ。1回表、タイガースの先発岩田は1死から鈴木を歩かせ、岩田の暴投で二進。すかさず角中にライト前へタイムリーヒットを打たれた。今江のヒット、クルーズのサードゴロを今成がエラーして1死満塁とピンチが続いたが、井口をサードゴロ併殺に打ち取って最少失点で抑える。タイガースは涌井から2回裏に福留と今成の連打で無死一三塁とし、伊藤隼のセンターへの犠牲フライで同点とする。3回裏、ヒットの鳥谷を上本が送り、1死後、ゴメスのライト線への二塁打で勝ち越す。しかし、岩田はすぐにクルーズにレフトスタンドに同点ソロホームランを叩きこまれた。そのあともハフマンを歩かせ田村、涌井の連打でまたも1死満塁に。ここで岩田は清田、鈴木を連続空振り三振に打ち取り同点でとどめる。これ以降は岩田と涌井の投手戦。岩田は7回を投げ切る。7回裏、岩田の代打坂のヒットと鳥谷のレフト前ヒットでチャンスを作ると、上本がレフト線に勝ち越しタイムリー。ただ、それ以上の追加点が取れない。岩田に勝ち投手の権利を残したまま、8回表には福原が好投。マリーンズはロサ、上野の継投でタイガース打線を抑える。9回表、呉昇桓は簡単に2死を取るも、根元のショートのグラブをはじくセンター前ヒット、清田の三遊間のゴロも鳥谷はよくおさえたが、送球動作で足元が滑りどこにも投げられない。鈴木を歩かせて満塁とし、フルカウントから角中に逆転満塁ホームランを打たれてしまう。ショックの大きい打線は9回裏、西野の前に三者凡退で悪夢のような試合が終わった。
◎マリーンズ2回戦……9-8
タイガースの先発は無失点を続ける藤浪。1回表、清田のセンター前ヒットと鈴木への四球でピンチを作るが、角中を三振、三盗を試みた清田を鶴岡が刺し、今江への死球をはさんでクルーズを三振に取って無失点で切り抜ける。ここから藤浪はギアをあげ、6回まで2安打11奪三振の快投。マリーンズの先発はイ・デウン。1回裏、ヒットの上本を置いてゴメスが右中間スタンドに先制2ランホームランを放つと、2回裏には1死から伊藤隼が二塁打。鶴岡のピッチャーゴロで三進、藤浪がセンター前にタイムリーヒットで1点追加。3回裏、内野安打と盗塁の上本を福留のライト線へのタイムリー二塁打で返し、イ・デウンはこの回限りで降板。二番手香月には抑えられたが、5回裏、三番手益田に対し1死からマートンのヒットとゴメスの死球でチャンスを作り、福留のタイムリーヒットでさらに1点。今成もライト前ヒットで続き、伊藤隼の右中間を破る2点タイムリーでこの回3点。6回裏には四番手金森から二塁打の上本をマートンのセンター前タイムリーで返して8点目を刻んだ。楽勝ムードは7回表に吹き飛んだ。先頭の今江のライト前ヒットを伊藤隼が後ろにそらして三塁打とすると、クルーズ三振のあと根元のセカンドゴロを上本が弾いて今江がホームインし、藤浪の連続無失点が途切れた。中村がレフト前ヒットで続き、吉田はセカンドライナーにとって2死としたが代打井口のレフト線への2点タイムリー、清田への四球、鈴木のセンター前へのタイムリーヒットで4点差に詰め寄られ、藤浪は降板。二番手の高宮は角中に粘られてセンター前タイムリーで3点差に。三番手の松田は今江にバックスクリーンに同点3ランホームランを浴びる。クルーズにもヒットを打たれた松田だが、それでも根元を三振に取って同点でなんとか切り抜けた。マリーンズの得点はこの回だけだったが、恐ろしいまでの集中打だった。マリーンズは7回と8回を大谷が抑え、タイガースは8回を福原が抑える。9回は両チームともクローザーを投入。8回表、呉昇桓は先頭の清田にヒットを許し、鈴木のバントで二進。さらに角中のライトフライで三進とピンチを迎えたが、今江のレフトフェンス際への飛球をマートンが好捕し、前日の悪夢を振り払う。9回裏は西野に難なくおさえられて試合は延長戦に。10回表、呉昇桓は先頭の代打福浦にヒットを打たれながらも後続を断つ。10回裏、マリーンズはロサを投入。今成は三振に倒れたが、俊介の左中間を破る二塁打でサヨナラのチャンス。代打狩野は四球を選び、代打坂のレフト前ヒットで満塁に。ここで鳥谷がレフトへサヨナラ犠牲フライを放ち、長い試合にけりをつけた。控え選手たちが作ったチャンスをキャプテンが生かして勝った大きな勝利。ヒーローインタビューはサヨナラ犠飛の鳥谷。
◎マリーンズ3回戦……3-0
タイガースの先発は岩貞。初回、先頭の清田にレフト前ヒットを打たれ、1死後角中にもレフト前ヒットを浴びてピンチとなるが、今江はライトフライ、クルーズは三振とピンチを脱した。2回以降は得意のスライダーとコーナーいっぱいを突く投球で、走者は許しても後続を断つ。マリーンズの先発はプロ入り初登板初先発の植松。こちらはスローカーブやナックルを有効に使う投球でタイガース打線を抑えこむ。特にマートンは2打席連続の併殺と完全にやられ、ゴメスもノーヒット。それでも2回裏、四球の今成を置いてこの日一軍昇格したばかりの江越が低めの球をうまくすくい上げてセンターオーバー馬あわやホームランという三塁打で1点先制。植松には6回1失点と好投された。しかし、それ以上に岩貞が好投。7回表、吉田を歩かせ代打ハフマンにレフト前ヒットを打たれたところで安藤に後を託す。安藤は清田をセンターフライに打ち取り、ピンチを脱した。7回裏、二番手の上野に対し、2死から代打大和がレフト前ヒットを放つと、鳥谷は四球で一二塁とし、上本の左中間を破る二塁打で2点を追加。タイガースは8回から高宮、福原とリレーし、9回表には呉昇桓を投入。三者凡退に抑えて逃げ切る。荒れ気味だったこのカードも3戦目にしてようやく締まった試合になった。ヒーローインタビューは今季初勝利の岩貞と、先制打の江越。この日は始球式をかつてタイガースとオリオンズでエースとして活躍した小山正明さんが行ったが、伝説の大投手の前で若手が躍動した。
◎ファイターズ1回戦……1-0
タイガースメッセンジャーとファイターズ大谷の力のこもった投手戦。メッセンジャーは2回表1死からハーミッダを歩かせて初めての走者を許すが岡のファーストライナーで飛びだしたハーミッダが戻れず併殺。タイガースは2回裏、福留、上本、今成と三者三振。3回裏には2死から鳥谷が四球を選んだが盗塁死。4回表、メッセンジャーは1死から中島卓に初安打を許すと田中賢を歩かせて初めてのピンチ。しかし中田をサードゴロ併殺に打ち取り、ピンチを脱した。直後の4回裏、この日唯一大谷とタイミングのあっていた柴田がセンター前ヒットで出ると、マートンがライト前ヒットでつないで無死一三塁とする。しかしゴメスと福留が連続三振でチャンスをつぶしかけたと思われたが、上本がよく食らいついてセンター前にテキサス性のヒットを放って柴田を迎え入れ、虎の子の1点を先制した。5回表、先頭のハーミッダにセンター前ヒットを打たれ、岡の投手前バントはメッセンジャーがうまく取れず無死一二塁に。しかしここでメッセンジャーは踏ん張る。大谷、レアードを連続三振にとると、大野をセンターフライにとって無失点で切り抜けた。6回裏、大谷はさすがに疲れが見え2死からゴメスと福留を連続で歩かせたが、上本は今度は三振。7回1失点で降板し、8回裏には左腕石井が登板。鳥谷が石井のグラブをはじく投手強襲安打で出、柴田のバントで二進。ここで三番手白村が登板。マートンはショートゴロ、ゴメスはライトフライで追加点が取れない。しかし、9回表、抑えの切り札呉昇桓は西川、中島卓、田中賢を三者三振で締めて1点差を逃げ切った。ヒーローインタビューは大谷に投げ勝ったメッセンジャーと決勝打の上本。
◎ファイターズ2回戦……4-1
タイガース能見、ファイターズ吉川の両左腕が先発。先制したのはタイガース。1回裏、2死からマートンがライト前ヒットを放つと、ゴメスも右中間を破るタイムリー二塁打で1点を奪う。対するファイターズは直後の2回表、先頭の中田を歩かせたが続く近藤を併殺にとり、安心した能見の失投を岡がレフトスタンドにソロホームラン。同点となる。両投手は走者を背負うも粘りの投球。5回裏、先頭の藤井がセンター前ヒットで出るが、能見はバント失敗で三振。しかし、鳥谷は四球を選び、2死後、マートンがレフト前に運ぶ。中田がそらす間に藤井が生還して1点リード。能見は6回1失点の好投。6回裏、2死から江越がセンター前ヒットを放つと、藤井は四球。能見の代打狩野がレフト前タイムリーヒットで待望の追加点をあげ、吉川はこの回限りで降板した。7回表は安藤が三者凡退で抑え、7回裏、ファイターズの二番手白村に対し、上本が四球、盗塁で無死二塁とすると、マートンは左中間を破る二塁打でダメ押しの1点を加える。8回表は高宮が走者を出しながらもなんとか無失点で切り抜けた。8回裏、ガラテからは得点できなかったが、9回表、呉昇桓が中田をセカンドゴロに打ち取ると、近藤と岡を連続の空振り三振に打ち取り、難なく逃げ切った。ヒーローインタビューは決勝タイムリーを含む2打点のマートンと代打で貴重な追加点をあげた狩野。
愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 他のリリーフ陣が打たれても、今節は福原が安定した投球で嫌なムードを断ち切った。ベテランが昨年のタイトルホルダーに恥じない活躍を見せてくれている。
野手……江越大賀 少ない出場機会を生かして、決勝打や連打の口火など、ようやく一軍にも慣れて本領を発揮し始めた。大和、俊介、伊藤隼、柴田とセンターのポジションを争うライバルとともに、切磋琢磨して思い切りのよい打撃を見せ続けてもらいたい。
梅雨入りした関係で予定していたファイターズとの1戦が持ち越しになった。もしかしたら藤浪と大谷の投げ合いが見られるかもと期待したりもしている。そういう余裕のあることを書けるのも、勝率を5割に戻し、さらに1つの勝ち越しを果たしたからだろう。マートンに復調の気配も見られる。次節はヤフオクドームで強敵ホークスと、そして関西ダービーと呼ばれるバファローズとの3連戦も。ジャイアンツとベイスターズがよたよたしている間にぐっと差を縮めていってもらいたいものだ。
(2015年6月8日記)