愛すれどTigers


山本翔也初勝利で連敗ストップ

 神宮球場でのスワローズ戦は岩田、岩貞、能見がそれぞれ崩れて、0勝3敗。横浜スタジアムでのベイスターズ戦は、初戦は呉昇桓がよもやの逆転サヨナラ負けを喫したが、第2戦はプロ入り初先発の山本の粘りの投球が実り勝つと、第3戦は藤浪が1失点の好投と打線の援護に助けられて勝ち2勝1敗。今節は2勝4敗。今季通算では38勝37敗1分。勝率.507で一度はスワローズに譲った首位の座を2日で取り返し、三たび首位に。2位ジャイアンツとの差は1.0ゲームで、セ・リーグで唯一勝ち越している状況は変わらず。

◎スワローズ11回戦……3-4
 序盤はタイガース岩田とスワローズ小川の投手戦。均衡が破れたのは4回表。1死からマートンと今成の連打でチャンスを作ると、鳥谷が右中間を破るタイムリー二塁打で2点先制。しかし、直後の4回裏に岩田が反撃を食らう。1死から畠山にレフトスタンドにソロホームランを叩きこまれた。これで試合の流れがわからなくなる。6回裏、岩田がついに捕まった。先頭の山田にセンター前ヒットを打たれると、荒木が送り、川端は四球。2死後、デニングに死球を与えて満塁とされ、大引のライトオーバーの二塁打で2点を返され逆転された。岩田はここで降板。二番手の高宮は2死二三塁の危機で雄平をショートゴロに打ち取る。7回裏は松田が三者凡退でしのぎ、打線の奮起を待つ。7回はロマンに抑えられたタイガース打線だが、8回表、オンドルセクに襲いかかる。1死からマートンがセンター前に抜けようかという当たりをオンドルセクが素手で取りにいって強襲ヒットとすると、代走は荒木郁。二盗を成功させ、2死後、鳥谷のファーストを襲う内野安打は送球をオンドルセクが弾き、荒木郁が一気にホームインして同点に。ところが頼みの福原がこの試合は不調。上田のヒットと川端への四球で無死一二塁とされ、畠山は空振り三振に取ったが、森岡のセンター前ヒットで1死満塁に。大引にセンター前に運ばれて勝ち越しを許す。しかし、川端も一気にホームを狙うがこれはタッチアウト。さらに大引きが二塁を狙うのを見て鶴岡は一塁送球し、打者走者をタッチアウトとして1失点で食い止めた。9回裏、バーネットの前に三人で片づけられ、連勝ストップ。
◎スワローズ12回戦……4-6
 先制したのはタイガース。2回表、成瀬からマートンがレフトスタンドにソロホームランを打つ。しかし、タイガースの先発岩貞は3回裏につかまる。2死から山田と荒木貴を連続で歩かせ、川端のセンター前タイムリーヒットで追いつかれると、続く畠山には右中間に走者一掃の二塁打を打たれて2点差をつけられる。岩貞はこの回限りで降板。直後の4回表、四球の新井良を置いて久々の先発出場の梅野が右中間スタンドへ同点2ランホームランを叩きこむ。4回裏には二番手の歳内がデニングのセカンドゴロを上本がそらすエラーと大引のテキサスヒットで無死一二塁とされるが、粘りの投球で後続を断ち、無失点で切り抜けた。しかし5回裏、先頭の山田を歩かせ荒木貴のバントで二進を許す。川端は三振に取ったが畠山を歩かせたところで高宮に交代。デニングはセカンドライナーに打ち取ったかに見えたが、上本のグラブをはじく強襲ヒットとなり、1点のリードを許す。高宮はこの回は後続を断ったが、6回裏、センター前ヒットの田中浩を置いて山田にレフトスタンドに2ランホームランを打たれてしまった。スワローズは成瀬を6回までで交代させ、7回にはロマン、8回にはオンドルセクと必勝リレーの動き。8回表、オンドルセクからゴメスがレフトスタンドにソロホームランを叩きこみ、2点差とする。タイガースは7回から安藤、松田とつぎこみ打線の爆発を待つ。9回表、抑えのバーネットに対し、1死から新井良がショーと大引へのゴロを打たされたが、大引が球をこぼして生きる。ここでこの試合休ませていた福留を代打で起用。左中間を深々と破る二塁打で1打同点というころまでこぎつけたが、坂はピッチャーゴロで走者は動けず、代打荒木郁はライトフライに終わり、反撃もそこまで。分のよいはずのスワローズに連敗してしまった。
◎スワローズ13回戦……1-10
 能見が乱調。5回途中で降板は誤算だった。2回裏、デニングにライトスタンドに先制のソロホームランを叩きこまれると、2死から雄平と中村に連打され、山中にプロ初安打のタイムリーを打たれてさらに1点。4回裏にはヒットと盗塁の大引を置いて中村にレフト前にタイムリーを打たれる。そして5回裏、山田にレフトスタンドにソロホームランを浴びると、ライト前ヒットの上田をレフト線の二塁打の川端に返され、降板。二番手の歳内は四球で満塁にしたが、後続を断つ。7回からは島本が登板。8回裏につかまる。先頭のデニングのファーストゴロをゴメスが弾いてエラーで出塁を許すと、大引のバントで二進。雄平の前進守備の頭を抜くレフトオーバーの三塁打で1点を追加。そして中村のヒットでもう1点。田中浩の代打2ランホームランでさらに2点。続く山田にもレフトスタンド上段に運ばれるソロホームランを浴び、ついに10点目を与えてしまった。タイガース打線はアンダースローの山中に手を焼き、6回表に内野安打の福留とゴメスが左中間を破る二塁打で二三塁とし、マートンの犠牲フライで返した1点のみ。7回からは松岡、中澤、秋吉、山本とつないでタイガース打線は彼らの前に無得点で終わり、3連敗。
◎ベイスターズ11回戦……3-4
 メッセンジャーと井納の投手戦。先制したのはタイガース。5回表、先頭の今成がショートへの内野安打で出ると、バントを失敗した藤井はエンドランの結果ピッチャーゴロに終わるが、走者を二塁に進める。メッセンジャーのセンター前ヒットで1死一三塁とし、上本が歩いて満塁に。ここで大和がライト前に落として2点を奪う。さらに6回表、鳥谷のライトスタンドへのソロホームランで3点差に。メッセンジャーは7回まで無失点の力投。疲れが見えたのが8回裏。1死から関根のショートゴロを鳥谷が一塁に悪送球し、関根は二塁に進む。梶谷は三振に取ったが、筒香に左中間を破るタイムリー二塁打を打たれ、2点差と迫られた。ベイスターズは8回から平田、林、長田とつぎこんでタイガース打線に追加点を許さない。9回裏、満を持して呉昇桓をマウンドに立てたが、先頭のバルディリスにセンター前ヒットを打たれると、代打後藤にライトスタンドに同点2ランホームランを打たれた。続く高城にもセンター前ヒットを許し、飛雄馬のバントで二進。石川の右中間を破るサヨナラヒットを打たれ、掌中の白星を逃してしまった。この試合でタイガースは創立以来1万試合目を達成したが、勝利で飾ることができなかった。
◎ベイスターズ12回戦……7-6
 タイガースは2年目の山本がプロ入り初先発。初回から打線が援護する。1回表、ベイスターズ先発の山口の初球を上本がレフトスタンドに先頭打者ホームラン。さらに大和の二塁打などで1死一三塁と攻め立てたが、マートンの併殺で1点どまり。しかし、今度は4回表、福留がライトスタンドにソロホームランを放ち、待望の追加点を奪う。5回表には先頭の上本がライト前ヒットを放つと、大和が送り、福留のセカンドゴロで三進。ゴメスとマートンは四球で満塁とし、鳥谷の一二塁間を抜くタイムリーヒットで1点をさらに追加した。山本は1回裏いきなり石川にヒットを打たれたが筒香を三振に取るなどして切り抜け、4回まで無失点。勝利投手の権利のかかった5回裏、黒羽根と関根のヒットで2死一二塁とし、梶谷に右中間を破る2点二塁打を打たれて1点差とされてしまう。しかし、筒香をレフトフライに打ち取り、リードしたままリリーフ陣にまかせる。6回表、二番手小杉から代打新井良が二塁打を放つと、1死後大和の四球で一二塁とし、福留のバックスクリーンへの3ランホームランで突き放した。6回裏は二番手松田が四球のバルディリスを置いて倉本にプロ入り初ホームランをバックスクリーンに打たれて2点差に迫られた。7回はベイスターズ林、タイガース高宮の両左腕がよく抑える。8回裏、四番手福原が先頭の筒香に二塁打を打たれるとロペスのセンターフライで三進を許し、バルディリスのライトへの犠牲フライで1点差と迫られた。9回表、エレラから先頭のゴメスが右中間に二塁打を放つと、続くマートンもやはり右中間にタイムリー二塁打を放って1点を追加し、2点差としたが、この得点が大きく意味をもつことになる。9回裏、呉昇桓が昨日同点弾を許した代打後藤にまたもライトスタンドにソロホームランを打たれたからである。しかし、よく切り替えた呉昇桓はこの一発にとどめて逃げ切り。連敗をストップさせ、勝率を五割に戻し、再び首位に返り咲いた。ヒーローインタビューはプロ入り初先発初勝利の山本。
◎ベイスターズ13回戦……8-1
 先制したのはタイガース。2回表、三浦から二塁打の鳥谷を置き藤浪が左中間を破るタイムリー二塁打を放つ。しかし、直後の2回裏、藤浪は筒香、ロペスを歩かせ、1死後、倉本にセンター前に運ばれて同点にされた。それでもタイガース打線はすぐに反撃。3回表、ゴメスがレフトスタンドに特大のソロホームランを放ち、再びリード。藤浪と三浦はそれぞれ持ち味を出して5回までは均衡を保っていたが、6回表に均衡が崩れた。2死から今成がライト前ヒットを放つと、鶴岡と藤浪が連続四球で満塁に。上本はレフトオーバーの二塁打で走者を一掃。3点を追加した。7回表には二番手長田からゴメスが二塁打。マートンのセンター前タイムリーヒットでさらに1点を追加し、マートンは送球の間に二進。三番手林が登板したが、鳥谷のレフト前タイムリーヒットでマートンが生還した。8回表には四番手萬谷から1死後上本と大和が連打。福留の一塁強襲のゴロはロペスが弾いてそらし、上本が生還してダメ押しの7点目を加えた。藤浪は8回を投げ切って9回裏、筒井に託す。今季初登板の筒井は高城にヒットを許したものの、倉本、飛雄馬、代打後藤をすべて三振に取って逃げ切った。ヒーローインタビューは勝利投手の藤浪。

愛すれどTigers週間MVP
投手……山本翔也
 初めての対戦で相手が戸惑ったところもあっただろうが、ていねいな投球でプロ入り初勝利をものにした。年下のドラフト同期、岩崎や岩貞の左腕投手たちがすでに勝利をあげていただけに、焦る気持ちもあっただろうが、よく辛抱してこの日に備えてきた。遅れてきた男の今後の活躍に期待したい。
野手……マウロ・ゴメス
 四番らしい働きを何度も見せて危機に陥った打線を福留と共に支える。マートンも復調気味であり、よけいに力を発揮できているのだろう。四番が打てばチームは勝つ。得意の夏に向けて、今後の大爆発が楽しみである。

 次節は甲子園に戻り、ドラゴンズ戦。台風が近づいているので天候が心配だが、今リーグで最も調子を落としている相手だけに一気に突き放していきたい。そして東京ドームに移動して久々のジャイアンツ戦。こちらも勢いを取り戻す前に叩いておきたいところである。オールスター・ブレイクまであと少し。ドラゴンズ戦では秋山が久しぶりにチャンスを与えられるようなので、今度こそ数少ないチャンスをものにしてもらいたい。
 オールスターの監督推薦で、タイガースからは藤浪と呉昇桓が選ばれた。バランスの問題もあるのだろうが、唯一の勝ち越しチームで首位のタイガースから3人しか出場しないというのが、個々の数字は低いがなぜか首位にいる不思議なチーム状況を表しているのかもしれない。

(2015年7月6日記)


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