今節はまずマツダズームズームスタジアムでカープ3連戦。第1戦は黒田を打ち崩すが岩田が打たれ敗れる。第2戦は中村恭を打線が打ち崩し能見も好投して大勝し、第3戦も薮田を打ち込み大勝で、2勝1敗。続く横浜スタジアムでのベイスターズ3連戦。初戦はメッセンジャーが伏兵乙坂に一発を浴びて逆転負けを喫したが、第2戦は藤浪が不調ながらも粘りの投球でなんとか抑える。。第3戦は岩崎の好投がついに実り、ゴメスの一発もあって岩崎は今季初勝利。2カード続けて2勝1敗。今節は4勝2敗。今季通算では52勝48敗1分。勝率.520でついに単独首位。2位スワローズと3位ジャイアンツの差は1.5ゲーム。なお、カープとの初戦で守備の際に腰を打った上本が亀裂骨折で戦列を離れ、代役に大和がセカンドに入ることになった。江越にセンターの定位置を奪われた大和が内野で復活するか注目したい。
◎カープ12回戦……5-6
先制したのはタイガース。カープ先発黒田に対し、2回表1死からマートンが二塁打を放つと、今成のセンター前タイムリーヒットで1点を奪う。さらに江越のライト線への二塁打で1死二三塁とすると、鶴岡が前進守備の二塁頭をこえるセンター前2点タイムリーヒットで岩田に大きな援護点を取った。しかし、岩田はこの試合、持ち味のゴロアウトが取れない。直後の2回裏、センター前ヒットの新井貴を置いてグスマンにレフトスタンドに2ランホームランを打たれる。さらに梵のヒットや黒田の内野安打などでピンチを招くが、菊池をサードライナーに打ち取って同点は免れた。3回表、先頭の上本がセンター前ヒットで出ると、盗塁。石原の悪送球を誘って三進。福留四球の後、ゴメスのショートゴロ併殺の間に上本が生還して2点差とする。それでも岩田はピリッとしない。3回裏、先頭の丸にセンター前ヒットを打たれると、ロサリオのセカンドゴロは上本がトンネル。無死一三塁とされる。ここで新井貴にレフトへ犠牲フライを打たれて1点差に。5回裏、1死から菊池に右中間に二塁打を打たれ、丸のセカンドゴロで三進。ロサリオのレフト線への二塁打で同点に追いつかれた。岩田はここで降板。二番手歳内が新井貴を三振に取って逆転は阻止した。歳内は6回裏も無失点で切り抜ける。カープは7回表、二番手ヒースを投入。2死から鳥谷がショート田中のエラーで出塁し、ヒースのボークで二進。上本が前進守備のライト頭を越す二塁打で再び1点リードを奪う。ここで7回裏、安藤がマウンドに。先頭の菊池にセンター前ヒットを打たれると、丸のセカンドゴロは上本が一塁へ悪送球。塁審に当たって走者の生還は免れたが、無死一三塁に。ロサリオのセンター前タイムリーヒットで同点に。新井貴はセカンドゴロで二封し、1死一三塁となる。代打野間の当たりはホームペース上に当たって大きなバウンドのセカンドへのゴロとなり、上本が捕球した時点でどこにも投げられず不運なタイムリー内野安打となってしまった。安藤は梵をセンターフライでアウトにしたところで降板。加藤が田中をセカンドゴロに打ち取り、なんとか1点差にとどめた。カープは8回表は大瀬良、タイガースは8回裏は岩本を投入してそれぞれ無失点で抑える。9回表、カープはクローザーの中崎を投入するが、代打関本、鳥谷、福留の四球で2死満塁と攻め立てた。ここでゴメスに期待が集まったが、サードゴロに倒れて試合終了。なんとも不運な逆転劇だった。
◎カープ13回戦……8-2
カープの先発は今季初登板初先発。しかも二年ぶりの一軍という中村恭。タイガース打線が着実に攻略。2回表、マートンのレフトスタンドへのソロホームランで先制すると、3回表には2死から大和のライトフライをロサリオが落球。大和は二塁に。福留が歩き、ゴメスのレフト前タイムリーで2点目を奪う。4回表には新井良がレフトオーバーの二塁打を放つと、江越のライト線への二塁打でさらに1点。鶴岡もライト線に二塁打で続いて1点を加えると、能見のバントで三進。ここで中村恭は降板。二番手の飯田は鳥谷に四球。大和のショートゴロ併殺崩れの間に鶴岡が生還して5点差をつける。タイガースの先発能見は味方の援護にこたえ、カープ打線に対し変化球を絶妙に投げ分けて狙い球を絞らせない。7回表、カープ三番手の永川をとらえる。先頭のゴメスがレフト前ヒットで出ると、マートンのライト前ヒットで一三塁に。新井良のセカンドゴロの間にゴメスが生還。江越のヒット、能見の四球で2死満塁とすると、鳥谷のセンター前2点タイムリーで8-0と大差をつける。能見は8回裏にヒットの田中を置いて會澤にレフトスタンドに2ランホームランを打たれて、この回限りで降板。カープは9回表を一岡で抑えたが、9回裏、歳内が走者を出しながらも無失点で切り抜け逃げ切って連敗ストップ。ヒーローインタビューは8勝目をあげた能見。
◎カープ14回戦……8-2
この日は8月6日「原爆の日」。ピースナイターと銘打って、カープの選手はすべてPEACEという胸マーク、86の背番号、背番号の上のネームはHIROSHIMAで統一されたユニフォームで臨む。どうもやりにくい試合なのだが、タイガースはカープの先発薮田を初回から攻め立てる。先頭の鳥谷がライト前ヒットで出ると、大和が送り、福留がライトスタンドに先制2ランホームランを放った。3回表には2死からゴメスが歩くと、マートンがセンター前ヒットで続く。一三塁とし、今成のセンター返しの当たりは菊池に阻まれたが二封に失敗、内野安打となりゴメスが生還。さらに江越がレフト前にタイムリーヒットを放ち、この回2点を追加した。4点の援護をもらった岩貞だが、投球が安定しない。3回裏、丸にレフトスタンドにソロホームランを打たれると、2死から梵にヒットを打たれ、2度の暴投で三進を許す。ここは鈴木誠をショートゴロに打ち取り難を逃れたが、4回裏、先頭の田中を一塁ゴロに打ち取りながら自らのベースカバーが遅れ内野安打とする。會澤のショートゴロは、セカンド大和の二塁ベースカバーがベースタッチできずエラーで一二塁に。薮田のバントは岩貞が三封したが、菊池のレフト前ヒットで満塁に。丸を三振に取ったところで岩貞は降板。二番手の岩本はロサリオを歩かせて押し出しで1点を返されたが、新井貴を空振り三振に打ち取る。岩本は5回、6回と三者凡退に抑えてカープへの流れを断ち切った。7回表から登板したカープ二番手戸田が乱調。鳥谷が四球、大和のバントで二進。福留も四球で一岡に交代。ゴメスが右中間に2点タイムリー二塁打を放つと、マートンはレフトオーバーの二塁打でさらに1点を追加。試合はほぼ決した。7回裏は安藤が、8回裏は福原が抑える。9回表、四番手江草に対し、2死からゴメスが歩き、マートンもヒットで続く。代打狩野のライト前タイムリーヒットでダメ押しの1点を加えると、9回裏は呉昇桓が三者凡退で切って取り、連勝。ヒーローインタビューは中継ぎで好投し、今季2勝目をあげた岩本。
◎ベイスターズ17回戦……4-7
先制したのはタイガース。ベイスターズ先発砂田を初回にとらえる。1死から大和がセンター前ヒットで出ると、この日三番を打つ鳥谷が歩き、ゴメスのライト前タイムリーヒットで1点を先取。なおも新井良の内野安打で2死満塁と攻め立てるも、江越が浅いレフトフライに倒れて大量点のチャンスを逸した。しかしタイガース先発のメッセンジャーは快調。4回裏までノーヒットの好投を見せる。ところが、5回裏、先頭の宮崎にレフト線への二塁打を打たれると、2死後代打の松本啓を歩かせてしまう。そして乙坂にバックスクリーンに逆転3ランホームランを浴びてしまった。メッセンジャーは6回3失点で降板。ベイスターズは6回から須田、8回は長田でタイガース打線を抑える。タイガースは7回は歳内が三者凡退でいい流れを作るが、8回裏に三番手加藤が打たれる。先頭の倉本にセンター前ヒットを打たれると、1死後桑原にライト線に二塁打を打たれ、二三塁とされた。ロペスを敬遠し、代打は新人の山下幸。センター前にタイムリーを打たれ、追加点を許す。ここで四番手岩本が登板するも、ベイスターズの勢いに呑まれる。バルディリスのセンター前タイムリーは江越の悪送球もあり2点打となる。さらに嶺井にもライト前タイムリーを打たれ、この回だけで4点を奪われ、一方的な展開に。9回表、ベイスターズは左腕大原を送りだす。ここでタイガースも抵抗。1死から今成がセンター前ヒットで出ると、代打狩野がレフトスタンドに2ランホームランで一矢報いる。ヒットの大和は鳥谷に対する投球の間に二塁に進み、2死後、ゴメスのライト前タイムリーでホームイン。ついにクローザーの山崎康を引きずりだした。マートンはショートゴロに倒れ、逆転はならなかったものの、一方的な展開に終わらなかっただけ、意地を見せたか。
◎ベイスターズ18回戦……5-3
先制したのはタイガース。ベイスターズ先発の高崎から1回表、鳥谷が内野安打で出ると大和が送り、福留のライト前ヒットで一三塁とする。ゴメスのセンターフライは浅く、犠牲フライにならず。マートンがセカンド内野安打で鳥谷を返し1点を奪う。三進しようとした福留はタッチアウトで追加点のチャンスは広げられず。タイガース先発藤浪は初回からコントロールが定まらない。先頭の乙坂を歩かせ、倉本は三振に取り、梶谷はセカンドゴロに打ち取ったが乙坂の二進を許す。筒香のセンター前タイムリーヒットで同点とされ、ロペスにもライトオーバーの二塁打で逆転された。宮崎のセンター前ヒットでロペスがホームを突くが、江越の好返球で憤死。追加点を阻む。2回表、タイガースは反撃。今成がセカンド内野安打で出ると江越のセンターオーバーの二塁打で二三塁とする。鶴岡はショートへのタイムリー内野安打で同点とし、藤浪のバントで1死二三塁に。鳥谷のファーストゴロは三塁走者江越が捕手嶺井のブロックをかいくぐり勝ち越し。大和がレフト前のタイムリーヒットで続くと、福留が歩いて満塁に。ゴメスがセンターへの犠牲フライでさらに1点を追加し3点差とした。3回裏、1死から梶谷と筒香の連打、宮崎への四球で2死満塁のピンチを招くがバルディリスを三振に打ち取り、難を逃れた。藤浪は7回まで投げ毎回のように走者を出しながらも要所を締めてリードを保つ。ベイスターズは高橋尚、大原、三上、エレラとつなぎ、タイガース打線も何度かチャンスを作るがあと1本が出ない。7回表には1死からゴメスのヒットとマートンの二塁打でチャンスを作るが、今成の三塁後方のフライを筒香がスライディングキャッチしたのに三塁塁審がアウトのコールでなくフェアのアクションをしたので落球したと思いこみ、タッチアップせずにホームに駆けこんでアウトとなる珍プレーも。8回裏、二番手福原は2死から宮崎を歩かせバルディリスにレフト線へ二塁打を打たれる二三塁とされたが嶺井を三振に取ってピンチを逃れる。9回裏は呉昇桓が三者凡退で逃げ切り、この試合終了時点で単独首位に立った。ヒーローインタビューは先発で9勝目の藤浪。
◎ベイスターズ19回戦……3-2
ベイスターズの先発はモスコーソ。2回表、ゴメスのライト前ヒットとマートンのサードへの内野安打でチャンスを作ると、今成のセカンドゴロは併殺狙いでマートンは二封されたがショート白崎の一塁悪送球でゴメスが生還し、1点を先制する。タイガースの先発は岩崎。初回からていねいな投球でベイスターズ打線を封じる。1回裏に梶谷に打たれたセンターへのテキサスヒットのみの1安打で6回裏まで抑えきる。待望の追加点は6回表。センター前ヒットの福留を置いてゴメスがレフト最上段に2ランホームランを叩きこんだ。岩崎は7回裏、梶谷にセンター前ヒットを打たれたところで異変を訴えて降板。急遽安藤がマウンドに。筒香のライト前ヒットで無死一三塁とされたが、ロペス、バルディリスを連続空振り三振に打ち取ると、白崎を平凡なセンターフライに取り、無失点で切り抜ける。ベイスターズは7回から須田、国吉とつなぎ、タイガース打線は走者を出しながらもあと1本が出ず追加点を奪えない。8回裏は福原が三者凡退で9回裏の呉昇桓にバトンタッチ。ところが呉昇桓が打たれる。代打松本啓にサードへの内野安打を打たれると、梶谷のレフトオーバーの二塁打で1点を返される。筒香はライトフライに抑えたが、ロペスのセンター前タイムリーヒットで1点差に迫られた。しかし、バルディリス、代打宮崎を打ち取ってなんとか逃げ切った。ヒーローインタビューは今季初勝利の岩崎。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩崎優 今季8度目の先発でついに初勝利。好投していても打線の援護なかったりと不運な面もあっただけに、この勝利をきっかけに5人目の先発投手としてローテーションを維持してもらえればと願う。
野手……鶴岡一成 ここにきてリードが冴えてきた。さらに今節はバッティングで貢献する場面が目立った。決して大物内ではないが、しつこく球に食らいつくバッティングが光る。岩田、藤浪、能見の時は鶴岡、メッセンジャー、岩崎は藤井と分業もはっきりしてきたが、主戦捕手として存在感は増すばかりだ。
次節は夏の長期ロードのなかの地元開催となる京セラドームでドラゴンズ3連戦。続いて神宮でスワローズ3連戦。最下位に沈むドラゴンズ戦では確実に勝ちを拾っていってほしい。そして首位争いとなるスワローズ戦。神宮ではここまでも苦しい試合を強いられているが、目の前の敵を直接たたく好機でもある。好調のスワローズ打線をメッセンジャーと藤浪でしっかり抑え切れば勝ち越す可能性は高くなる。上本離脱を奇貨として荒木ら控えがポジションを狙う新たな競争が起こればチームもまた活気づくに違いない。
(2015年8月10日記)