今節は甲子園でジャイアンツ戦。藤浪の今季4度目の完封でジャイアンツの優勝の可能性をかき消す1勝。甲子園でのベイスターズ戦は相手のミスでサヨナラ勝利が転がり込んで1勝。神宮球場でのスワローズ戦は延長11回の緊迫した試合だったが最後に能見がサヨナラ打を打たれて1敗。目の前で胴上げを見せられてしまった。最終戦は勝てば3位確定となる甲子園でのカープ戦。しかし藤浪と能見がホームランを打たれて1敗。最終順位は3日後のカープの最終戦の勝敗で決まることになった。そして、カープは最終戦でドラゴンズに敗れ、タイガースのクライマックス・シリーズ進出が確定した。今節は2勝2敗。今季通算では70勝71敗2分。勝率.496で3位。優勝したスワローズとは6.0ゲーム差、2位ジャイアンツとは4.5ゲーム差。甲子園最終戦は関本賢太郎内野手の引退試合。ファンへの挨拶、そして球場一周でユニフォームを脱いだ。
◎ジャイアンツ25回戦……2-0
タイガースの先発藤浪は、1回表の先頭打者立岡に左中間を破るかという当たりを打たれるが、江越のジャンピングキャッチで救われる。それでも片岡と阿部のヒットで2死一三塁と攻め立てられるが長野を空振り三振に取って無失点で切り抜けた。ジャイアンツの先発は苦手ポレダ。1回裏、鳥谷がレフト前ヒットで出ると、大和が送り、マートンの打席でポレダの暴投があり三進。マートンがレフト前タイムリーヒットで先制する。ゴメスのサードゴロは岡本が二封しようとして悪送球。マートンは三塁に進む。新井良のサードゴロ併殺崩れの間に、マートンが生還して大きな追加点をあげた。藤浪は2回以降立ち直り、6回までは三振の山。ポレダも立ち直り、タイガース打線は追加点が取れない。6回裏、二番手宮國に対し、1死からペレスが四球で出ると、代走俊介は二盗失敗。しかし江越がセンターとセカンドの間に落ちる二塁打で出る。鶴岡が歩かされて藤浪と勝負。しかし藤浪は三振で追加点は取れず。7回表、2死から長野の四球と亀井のヒットでピンチを作るも代打アンダーソンをセカンドゴロに打ち取り難を逃れた。ジャイアンツは7回から戸根、田原誠とつないでタイガース打線を抑える。8回表は井端のヒットと片岡への四球でまたピンチ。ここで和田監督自らマウンドで藤浪を激励。坂本を強い当たりのレフトフライに抑える。9回表には長野の二塁打と代打高橋由のヒットで2死一三塁とされ高橋由の代走鈴木に二盗を許すが、大田をピッチャーゴロに打ち取ってみごと完封勝利で連敗を止めた。ヒーローインタビューはハーラートップタイの14勝目を今季4度目の完封で飾った藤浪。
◎ベイスターズ25回戦……4-3
今季10勝目をかけて先発したメッセンジャーが先制点を許す。2回表、先頭の筒香にレフト線に二塁打を打たれると、ロペスのライト前タイムリーヒットで1点を奪われた。続くバルディリスにもヒットを許すが、飛雄馬をセカンドゴロ併殺に取り2死三塁となると、嶺井をファーストゴロにとって最少失点で切り抜けた。タイガース打線はベイスターズの先発山口に対し、その重い球にてこずっていたが、6回裏についにとらえる。1死から鳥谷がセンター前ヒットで出ると、山口のボークで二進。大和はショートへの内野安打で一二塁とし、マートンのレフト前タイムリーヒットで同点に追いつく。ゴメス三振のあと、今成が二塁の頭を越すライト前タイムリーで勝ち越し。7回裏には1死から江越が右中間へ二塁打を放つと、藤井のセンター前ヒットで一三塁に。メッセンジャーの代打福留がライトへ大きな犠牲フライを放ち、2点差に突き放す。8回表、リリーフ陣が乱れる。二番手高宮が1死から荒波をショートゴロに打ち取るも鳥谷が握りそこねて一塁送球はセーフに。三番手安藤は代打後藤をセカンドゴロに打ち取ったが続く梶谷にレフト前に1点差と迫られるタイムリーヒットを打たれた。筒香に対して四番手島本が登板。追い込むが、梶谷の盗塁の際にサイン違いの変化球を鶴岡が取れずパスボール。2死三塁で筒香を歩かせてしまう。五番手に福原を起用したが、ロペスをサードへのファールフライに打ち取るも今成が取れず、ファールに。そしてレフト前に同点タイムリーヒットを打たれ、この時点でメッセンジャーの勝利が消えた。ベイスターズは大原、須田、三上とつないでタイガース打線を抑える。9回表、歳内が三者凡退に抑えると、9回裏に思いもよらない結末が待っていた。三上から先頭の江越は空振り三振をとられたが捕手嶺井がパスボールで振り逃げとなって一塁に生きる。俊介のバントは三上が一塁に送るがロペスが捕り損ねる。その隙に江越は三塁まで進む。ここで代打関本が打席に。三上の暴投で江越が生還し、サヨナラ勝利。すべて相手のミスで得点するという、なんともしまらない勝利となった。ヒーローインタビューは9回を抑えて今季初勝利が転がり込んだ歳内。
◎スワローズ25回戦……1-2
スワローズの優勝マジック1で迎えた神宮球場。Aクラスを守りたいタイガースの緊張感あふれる好ゲームとなった。タイガースの先発岩田が1回裏に先制される。1死から川端にセンター前ヒットを打たれると、山田を歩かせ一二塁とし、畠山のレフト前タイムリーヒットを打たれた。しかし、2回以降は立ち直り、7回まで無失点で切り抜ける。スワローズの先発は小川。2回表、1死から江越がライト線に三塁打。梅野の鋭い当たりは畠山がライナーで捕球。球審はアウト、一塁塁審はセーフのジャッジ。塁審のジャッジを見ていた江越はホームに突入していたが、畠山が三塁に送球して併殺となる。ジャッジの食い違いに対して和田監督が猛抗議。10分の中断を経て、審判団は併殺の成立を宣言。ここから小川もタイガース打線を寄せつけない。6回まで無失点の小川を下げ、スワローズは7回表にオンドルセクを投入。タイガース打線はここまで不発。8回表、三番手秋吉に対し2死から代打西岡がライト前ヒットを放つと、四番手久古がマウンドに。鳥谷もライト前ヒットで続き、2死一三塁とし、代打関本を送る。ここでバーネットが登板。関本は初球を叩いてセンター前に同点タイムリーヒットを放つ。引退させるには惜しい一打であった。タイガースは8回裏には高宮が三輪、上田、川端を抑え、一歩も引かない。9回はスワローズはバーネット、タイガースは福原が抑え、延長戦に。10回からはロマン、能見の投げ合いとなる。10回表、先頭の江越がサード前の弱い当たりのゴロにヘッドスライディングでセーフとなり内野安打で出塁。梅野が送り、代打に福留。しかし福留はレフトフライに倒れ、鳥谷敬遠のあと坂が空振り三振でチャンスを逸した。11回裏、先頭の川端にレフト前ヒットで出塁されると、山田は空振り三振。しかし川端が盗塁を試み、鶴岡の二塁送球は川端にあたってレフト前に転がり、その間に川端は三塁へ。畠山を敬遠気味の四球で歩かせ、代打田中浩は浅いライトフライで2死とした。しかし、雄平にライト線へサヨナラタイムリーヒットを打たれ、スワローズの優勝が決まった。どちらが勝ってもおかしくない熱戦だったが、優勝への執念と勢いでスワローズに敗れた。
◎カープ25回戦……0-6
勝てば最多勝の可能性を残す藤浪が先発。カープは黒田。序盤は両投手の投手戦で一歩も引かず。しかし、4回表に藤浪がつかまった。先頭の菊池にセンター前ヒットを打たれると、続く松山にライトポール際に先制の2ランホームランを打たれる。2死後、田中を歩かせると、安部にレフト前ヒットを打たれる。この打球をマートンが弾きそらす間に二三塁と進塁を許す。そして石原にライト前に2点タイムリーを打たれてしまう。ライト福留がライトゴロにしようと一塁に送球したが、残念ながら間に合わず。藤浪は5回4失点で無念の降板。6回表には能見が二番手で登板したが、先頭の新井貴にレフト前ヒットを打たれると、田中にライトスタンドに2ランホームランを打たれ、試合はほぼ決した。7回からは安藤、歳内、鶴がそれぞれ1回ずつ投げ、しっかり抑えて打線の奮起を待つ。しかし打線は黒田の前に7安打を放ちながらも得点には至らず。8回裏には2死から鳥谷がヒットで出塁し、代打関本の出番を作ったが、現役最後の打席はピッチャーゴロ。9回裏、福留とマートンのヒットで1死一二塁のチャンスを作ったが、ここで抑えの中崎が登板。今成、梅野が連続三振で試合終了。勝てば文句なしで3位確定となるところだったが、3日後のカープの勝敗次第では4位転落もあるという結果になった。試合終了後、関本の引退セレモニーがあり、最後には関本は3回胴上げされて現役を締めくくった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……藤浪晋太郎 カープ戦で敗れて最多勝のチャンスは逸したが、ジャイアンツ戦での完封はみごとなもの。200イニングス登板には1イニングたらず、これは来季に目指すというモチベーションとなるか。真のエースになる準備の1年だったと考えたい。
野手……関本賢太郎 代打で快打を連発。本当に現役を引退するのかという活躍ぶり。しかし、その独特の打撃フォームを公式戦で見ることはもうないのだ。寂しいが、本人の決めたことなので仕方ない。
関本の引退だけではなく、渡辺亮投手も引退を表明。また、加藤康介投手、黒瀬春樹内野手が戦力外通告を受けた。マリオ・サンティアゴ投手も退団が濃厚。マット・マートン外野手も退団の方向で話が進んでいるようだ。和田豊監督も正式に退任を表明。金本知憲さんに監督就任の要請をしたというが、現状ではまだ未確定。歴史的な混戦の中、優勝のチャンスはあったがそれをものにできなかったという厳しい現実は変えようがない。かくしてストーブリーグが始まる。
クライマックス・シリーズ進出が確定した今、選手たちは和田監督に有終の美を飾ってもらえるよう目の前の試合に集中してほしい。そしてドラフト前には新監督が決定していることが望ましいが、さてどうなることか。
(2015年10月7日記)