関東遠征の締めくくりは東京ドームのジャイアンツ戦。初戦は苦手のポレダに対して足でかき回し先勝。２戦目は菅野の前に打線が沈黙して落としたが、３戦目はメッセンジャーの投打にわたる活躍で大勝し、昨年２勝しか挙げられなかった東京ドームで久々にカード勝ち越し。甲子園球場に戻って今季初の本拠地での試合はカープ戦。初戦は打線がなかなか爆発せず苦労したが西岡のサヨナラ打で勝利。２戦目は岩貞の好投も打線が２安打２得点のみで延長戦を落とした。３戦目は藤川が乱調で大敗かと思われたが１点差まで追い上げる惜敗。今節は３勝３敗。今季通算では８勝６敗１分の勝率．５７１で２位。首位のジャイアンツとは１．０ゲーム差。ジャイアンツ戦ではゴメスの盗塁など積極的な攻撃が功を奏し、カープ戦では最後まであきらめない姿勢を存分に見せてくれた。
◎ジャイアンツ１回戦……８－２
ジャイアンツの先発は昨年苦手にしていたポレダ。しかし、初回に先頭の高山がレフト前ヒットを放ち、出鼻をくじく。横田のショートゴロで二封されるが、ヘイグのセカンドゴロで横田は二進。福留のセンター前タイムリーヒットで１点先制する。直後の１回裏、今度はタイガースの先発藤浪が打たれた。先頭の長野にレフト前ヒットを打たれると、立岡のバントで二進。坂本は打ち取ったが、ギャレットにセンター前に同点タイムリーヒットを打たれる。ポレダに襲いかかったのは３回表。先頭の藤浪がライト前ヒットで出ると、高山のライト前ヒットで一気に三塁まで走る。一三塁から横田が高いバウンドのピッチャーゴロを打つと、これがタイムリー内野安打にヘイグが歩いて無死満塁とし、福留のライトへの犠牲フライでさらに１点を追加。１死一三塁でゴメスは三振するも重盗が成功し、横田が生還してこの回３点を奪った。藤浪は援護点をもらい快調に飛ばす。４回裏にはギャレット、クルーズ、堂上を三者三振。６回表、ポレダは大きく崩れた。１死からゴメスが四球で出塁し、すかさず盗塁。鳥谷のレフト前ヒットで一三塁とすると、西岡は叩きつけるバッティングで一塁へタイムリー内野安打。１死一二塁から梅野のファーストゴロで二三塁とすると、藤浪は四球で満塁に。高山の打席でポレダは焦ってセットポジションで制止できずボーク。鳥谷が生還してもう１点を加えると、高山は走者一掃のライト線へのタイムリーヒットで７点差をつけた。ポレダはこの回限りで降板。苦手を足でかき回してノックアウトした。７回裏、堂上のライトスタンドへのソロホームランで１点を返され、８回表は土田に抑えられる。８回裏、藤浪に疲れが見えた。１死から代打中井にレフト前ヒットを打たれ、２死後、立岡を歩かせる。坂本はファーストゴロを打たれるが、高く弾んで内野安打となり満塁に。藤浪はここでギャレットを空振り三振に取ってピンチを脱した。９回表は小山に抑えられたが、９回裏、二番手榎田がすべてセカンドゴロの三者凡退で締め、快勝。ヒーローインタビューは４安打の高山。
◎ジャイアンツ２回戦……０－３
タイガースの先発は岩田。２回までは快調な投球だったが、３回裏には１死一二塁のピンチを迎える。ここは長野をショートゴロ、立岡を空振り三振に打ち取って難を逃れたが、４回裏に先制点を許す。先頭の坂本は高いバウンドのサードゴロだったが、ヘイグがうまく捕れず内野安打に。１死後、クルーズのセカンドゴロで二進を許し、中井を歩かせ村田ののライト前タイムリーヒットで１点を奪われた。５回裏には先頭の菅野にセンター前ヒットを打たれると、長野のライト線への二塁打で無死二三塁に。立岡のセンター前タイムリーヒットでまず１点、坂本は三振にとったがギャレットを歩かせて満塁とされ、クルーズのセカンドゴロは二封したが併殺にはできずこの回２点目を失った。岩田は５回３失点で降板。歳内、高橋聡、金田とつないで無失点で切り抜けただけに、岩田が踏ん張れなかったのは大きかった。タイガース打線はジャイアンツ先発の菅野から序盤にはヒットを続けてチャンスを作るも決め手となる一打が出ない。７回表、鳥谷が一塁への内野安打で出、１死後、梅野のレフトフライをレフト中井がショートバウンド捕球し、新人のコールが遅くフライと判断した鳥谷の走塁が遅れて二封されレフトゴロという珍記録になってしまうなどの不運も重なった。判定の遅さに対する金本監督の抗議も実らず。尻上がりによくなる菅野の前に試合後半は完全に牛耳られ、完封負けを喫してしまった。立ち上がりに攻めきれなかったのが最後まで尾を引いた試合だった。
◎ジャイアンツ３回戦……１０－１
ジャイアンツの先発はプロ入り初登板の高卒３年目の平良。３回表まではテンポの良い投球に苦しんだタイガース打線だったが、４回表につかまえた。１死からヘイグが四球で出ると、福留がライトスタンドに先制の２ランホームランを放つ。２死後、鳥谷も四球。西岡のレフト前ヒット、岡崎の四球で満塁とする。メッセンジャーはファールで粘る。カウントを間違えてフルカウントになったところで四球と思ったメッセンジャーが一塁へ行こうとしたが止められた。それならばとライト前に２点タイムリーヒットを放つ。平良はここで降板。土田は高山を打ち取ってこの回はいったん切ったが、５回表にはタイガース打線がつかまえる。横田のライト前ヒット、ヘイグのレフト前ヒット、福留の四球で無死満塁とし、ゴメスのレフト前タイムリーヒットで１点追加。鳥谷のライトへの犠牲フライで２点目。西岡が歩いてまたも満塁とし、岡崎がレフト線に２点タイムリー二塁打を打つ。メッセンジャーの打席で土田は暴投、この回だけで５点を奪い、９点差と大きく勝ち越す。タイガースの先発はメッセンジャー。５回裏には無死から亀井のヒットと村田のライトオーバーの二塁打で二三塁とされたが、小林誠、代打堂上をともにキャッチャーへのファールフライに打ち取り、長野はセンターフライで無失点で切り抜けた。６回裏には立岡、坂本の連打で走者をため、クルーズのセンター前に落ちるテキサスヒットで１点を失ったが、亀井、村田をフライにとって最少失点で切り抜けた。ジャイアンツは６回から小山、８回は田原誠がタイガース打線を抑えたが、９回表、五番手マシソンから代打江越のソロホームランがレフトスタンドに飛びこみ、ダメ押し。９回裏は高宮、マテオとつないで締め、最初のジャイアンツ３連戦を勝ち越した。ヒーローインタビューは今季初勝利を自らのタイムリーで飾ったメッセンジャー。
◎カープ１回戦……３－２
タイガースの先発能見とカープの先発新人横山の投手戦。先制したのはカープ。１回表、先頭の田中が初球をセンター前ヒット。安部は三振に取ったが、丸にライトの頭を越えるタイムリー二塁打を打たれる。返球の間に丸は三進。ルナがセンター前に２点目となるタイムリーヒットを放った。直後の１回裏、タイガースも反撃。江越がレフトポール際に飛びこむ３打席連続となるソロホームランで１点差とする。このあと、両投手が立ち直る。能見は７回表にヒットと死球で２死一二塁とされるが、ルナの内角を突いて見逃し三振。打線の援護を待つ。しかし、タイガース打線は横山を打てない。３回表に高山にセンターの横に落ちる二塁打が出たが、以降は全くヒットが出ない。両投手とも７回を投げ切ってリリーフ勝負に。８回表、二番手歳内が２死から鈴木にヒットを打たれると、石原を歩かせる。代打松山に対し、三番手高宮を送る。松山はセカンドゴロで、追加点を防いだ。８回裏はカープの二番手ジャクソンの前に三者凡退。９回表は四番手高橋聡が田中、安部の連続三振などで三者凡退に退ける。９回裏、カープのクローザー中崎が登板。１死から福留がショートとレフトの間に落ちるヒットで出ると、代走は荒木。続くゴメスのセンター前ヒットで一三塁とし、代走に大和。鳥谷の鈍い当たりのピッチャーゴロが内野安打となる。これで荒木が生還して同点に。中崎の一塁悪送球で新井貴がこぼし、その間に大和は三進。西岡は右中間を破るサヨナラタイムリーヒットを放ち鮮やかな逆転劇。ヒーローインタビューはサヨナラヒットの西岡。最後は久々にヒーローインタビューとなって万感の思いのため、言葉にならなくなってしまった。
◎カープ２回戦……２－６
タイガースの先発は岩貞。前回のベイスターズ戦で自信をつけたか思い切りのよい投球で三振を取っていく。４回表、丸を三振に取ったあと、ルナとエルドレッドに連打を浴びてピンチを招くが、新井貴、鈴木を連続三振に取りピンチを脱する。直後の４回裏、それまでカープの先発黒田に完全に抑えられていたが、先頭の高山がチーム初安打となるライト前ヒットを打つと、続く江越がバックスクリーンに先制の２ランホームランを叩きこんだ。２死後、ゴメスの一打は黒田の足首を直撃。大きく跳ねた打球を三塁ルナが好捕してアウトにされたが、黒田はこのとき足を痛めたため降板。ただ、このあとのカープの中継ぎ陣にタイガース打線はヒットが打てない。５回から今村、７回は新人のオスカルに抑えられた。７回表、岩貞は球が高めに浮くようになり、鈴木にレフトフェンス直撃の三塁打を打たれたが、代打小窪をピッチャーゴロに打ち取り、難を逃れた。しかし、８回表についに捕まる。１死から田中、菊池の連打で一三塁とされ、丸のセカンドゴロの間に１点を返される。ここで福原が登板したが、ルナにセンター前にタイムリーを打たれ同点に。１２奪三振を取りながら、岩貞の勝利は消えた。カープは８回裏をジャクソンで抑え、タイガースは９回表にはマテオを投入。先頭の新井貴を歩かせ、代走には赤松。赤松が盗塁し１死後、代打松山のライト前を襲う飛球を福留が飛びこんでダイレクト捕球。しかし一塁塁審がワンバウンド捕球と判定し、金本監督も福留も猛抗議。審判団が集まり、アウトを宣告すると、カープの緒方監督も長時間の抗議。しかし判定はアウトのまま再開。代打會澤のセンターフライは前進守備の江越の頭を越えるかと思われたが、ここも江越が飛びついて捕りアウトに。９回裏は永川に抑えられ延長戦に。１０回表、四番手の榎田が１死から菊池にライト前ヒットを打たれると、丸のセンターオーバーの二塁打で勝ち越しを許す。ルナにもレフトオーバーの二塁打で２点差とされ、榎田は降板。五番手の金田はストライクが入らない。エルドレッド、赤松を歩かせて満塁とされ、鈴木にも押し出しの四球。さらに代打天谷にはレフトへ犠牲フライを打たれて、４点差とされた。１０回裏、前の試合で逆転された中崎が登板。ここでもタイガース打線は抑えこまれ、連勝ストップ。打ったヒットは４回に２点を取った時のみ。カープの中継ぎ投手陣にはノーヒットで好投の岩貞を援護することができなかった。
◎カープ３回戦……７－８
タイガースはゴメスの腰痛、ヘイグの発熱で両外国人選手がベンチから外れる。タイガースの先発藤川が初回に失点。先頭の田中を歩かせ、菊池にレフトポール際に飛びこむ２ランホームランを打たれた。しかし、２回以降は徐々に立ち直る。カープ先発は福井。３回裏、先頭の高山がライト前ヒットで出ると、鳥谷はよく粘りフルカウントからのエンドランを何度も試みてついにレフト線にヒットを放つ。一二塁で江越がレフト前にタイムリーヒットを放つと、１死後今季初先発出場の今成がセンター前にタイムリーヒットで同点に追いつく。一三塁で西岡がセンター前にタイムリーヒットで勝ち越し、なおも一三塁でやはり今季初先発出場の北條がライト前にタイムリーヒットで追加点をあげた。勝利投手の権利のかかった５回表、藤川がつかまる。１死から田中にセンター前ヒットを打たれると、菊池にもライト前ヒットでつながれ、丸にはライト前タイムリーヒットを打たれた。さらにルナにレフト前に同点タイムリーを打たれ、エルドレッドにはライト線へ２点タイムリー二塁打を浴びて逆転を許した。ここで藤川は降板。二番手高橋聡は新井貴を三振に取ったが鈴木に右中間に二塁打を打たれてさらに１点を失った。６回表には高宮が菊池にリフト前ヒットを打たれると盗塁を許し、丸には投手強襲の内野安打で無死一三塁に。ルナのセンター前タイムリーで４点差とされる大きな１点を失った。カープは福井が立ち直り６回を投げ切ると、７回から継投。７回裏、二番手オスカルに対し福留のヒットと今成の四球でチャンスを作るが、西岡はショートゴロ。ここで三番手中田に交代し、北條と梅野は連続三振でチャンスを逸した。タイガースは７回から榎田が好投し、カープの流れを断ち切ると、９回には安藤が今季初登板で無失点の好投。流れを引き寄せる。カープは８回裏はジャクソンで抑えたが、９回裏、五番手永川がつかまる。先頭の江越がサード内野安打をヘッドスライディングで決めると、福留のライト前ヒット、今成の死球で無死満塁に。ここでカープはクローザーの中崎を投入。西岡がライト前タイムリーヒットで１点を返すと、続く北條のファーストゴロの間にさらに１点を奪う。二三塁から梅野は三振で２死とされたが、代打狩野の三遊間の当たりはサードが弾いてタイムリー内野安打となり、１点差に迫った。しかし、高山が内角のきわどい球をストライクと判定されて見逃し三振。最後の追い上げもかなわず連敗した。
愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……ランディ・メッセンジャー なかなか勝てなかった開幕投手にやっと今季初勝利がついた。しかも自らタイムリーヒットを放つなど、自らを乗せる試合展開。ここからギアをあげてくれそうだ。
野手……江越大賀 ジャイアンツ戦ではマシソンから、カープ戦では黒田からみごとなホームランを放つ。横田から力でスタメンの座を奪い返し、カープとの３戦目では４点差から１点差に迫る攻撃の呼び水となるヘッドスライディングで執念を見せた。若手のポジション争いの激しさ。ますます楽しみになってきた。
今年のタイガースは確かに一味違う。対戦が一巡し、次節からは２度目の対戦となる。相手も研究してくるだろうし、若手も壁に当たるだろう。それでもはつらつとしてプレーを見せてくれることを期待したい。次節は甲子園でベイスターズ３連戦のあと、ナゴヤドームでドラゴンズ３連戦。藤川と岩田が本来の力を出し切っていないのが気になるが、前回勝ち越した相手だけに今回も期待できる。
（２０１６年４月１１日記）
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