甲子園でのジャイアンツ2連戦。しかし雨で初戦を流して1試合のみ。緊迫した試合に水を差したのは審判の判定だった。1点差でチェンジとなるところが、コリジョンルールの適用でアウトがセーフとなり点差をつけられ敗れた。1敗と負け越したことになる。横浜スタジアムでのベイスターズ戦は新井良の決勝ホームランで先勝。しかし2戦目は岩貞が筒香のホームランで調子を狂わせ惜敗。3戦目は能見が好投するも守備の乱れで流れを相手にやり引き分け。1勝1敗1分と勝ち越しを逃した。今節は1勝2敗1分。今季通算では19勝19敗3分の勝率.500で4位に降下。首位のジャイアンツとは3.0ゲーム差。若手の台頭で出番を失っていた新井良、俊介らが起用され、それぞれ持ち味を発揮した。
◎ジャイアンツ7回戦……1-3
タイガース先発のメッセンジャーが初回に失点。2死から坂本に左中間スタンドに先制のソロホームランを打たれた。しかし2回表は三者凡退と立ち直ったかに見えた。3回表、先頭の小林誠にセンター前ヒットを打たれると、田口のバントで二進を許す。立岡は三振に取ったが、脇谷にセンター前に落ちるヒットを打たれる。大和のバックホームはストライク返球。捕手原口も走路を開けてうまくタッチし、主審嶋田の判定はアウトに。ところがジャイアンツサイドから抗議が出、審判のビデオ協議でコリジョンルールが適用されて判定はセーフに覆った。金本監督が激しく抗議したが一度覆ったものは元に戻らず。気落ちしたかメッセンジャーは坂本を歩かせ、2死一二塁からギャレットにライト前にタイムリーヒットを打たれ、大きな3点目を失った。ジャイアンツの先発田口はテンポよくスライダーを投げ込み、1回裏に先頭の高山がヒットで出るが盗塁死したあと、なかなかチャンスを作れない。7回裏、制球の乱れた田口をやっととらえる。先頭の大和がセンター前ヒットで出ると、福留がレフト前ヒットで続く。ゴメスが四球を選んで無死満塁としたところで田口は降板。二番手マシソンから原口が押し出しの四球を選び、1点を返した。しかし鳥谷はピッチャーゴロでホームゲッツー。代打上本は三振。絶好の逆転機を逃した。メッセンジャーは終盤再三走者を背負いながらもなんとか失点せずに切り抜け、8回3失点と試合を作った。9回表はドリスが2死一二塁とされながらも立岡を三振に取って打線の反撃を待つ。ジャイアンツは8回裏もマシソンで抑え、9回裏に澤村を投入。前回は打ちこんだタイガース打線も、今回はゴメスが四球を選んで2死一塁としただけで最後は原口がセカンドフライに終わって逃げ切られた。走路を開けてタッチしてもブロックとみなされるという、コリジョンルールの判定で流れをつかみ損ねた試合だった。
◎ベイスターズ9回戦……3-2
タイガース藤浪とベイスターズ井納の投手戦。先制したのはベイスターズ。2回裏、1死から山下幸がライト前に落ちるテキサスヒットで出ると、二盗を試みる。原口の送球はアウトのタイミングだったが、鳥谷がグラブではじいてしまいセーフに。続く戸柱の当たりはゴメスのミットを弾きライト前に転がるタイムリーヒットとなる。味方のミスで失点したが井納のバントを失敗させ三振、石川も三振で最少失点にとどめた。以降の藤浪はコントロールもよく、ベイスターズ打線を寄せつけない。7回を投げて1失点という好投を見せた。しかし、ベイスターズ先発の井納は落ちる球を有効に使い、タイガース打線を寄せつけない。6回表、先頭の板山がセンター前ヒットを放ち、大和のバントで二進。たん山の四球でチャンスを広げたが、福留とゴメスが連続セカンドゴロでチャンスを生かせない。8回表、代打今成がセンター前ヒットで出ると、代走に上本を送る。1死後、大和が左中間を破るタイムリー二塁打で同点に追いつくと、高山のサードフライは山下幸が打球を見失いレフト前に落ちる失策。2死後、ゴメスがライト線に勝ち越しのタイムリー二塁打を放ち、ついに逆転した。8回裏、二番手ドリスが打たれる。先頭の代打下園に死球を与えると、石川はバント失敗ののち三振に打ち取るが乙坂にライト前ヒットを打たれて一三塁とされたところで三番手高橋聡に交代。高橋聡は梶谷にライト前タイムリーヒットを打たれて同点とされた。それでも筒香、ロペスと連続三振で同点にとどめた。9回表、抑えの山崎康から新井良がレフトスタンドにホームランを放ち1点勝ち越すと、9回裏はマテオが抑えて辛勝。ヒーローインタビューは決勝ホームランの新井良。
◎ベイスターズ10回戦……1-3
2回裏、岩貞が打たれる。先頭の筒香にライナー性の先制ソロホームランをライトスタンドに叩き込まれた。続くロペスにレフト前ヒット、倉本の内野安打で無死一二塁に。白崎のバントは岩貞が三塁に送り進塁を許さない。戸柱をレフトフライに取ったが、今永を歩かせて満塁に。桑原のレフト前にテキサスヒットを打たれ、2点を追加される。3回以降はしっかり抑えただけに、今永に与えた四球が悔やまれる。岩貞は4回を投げて降板。5回表、1死から陽川がこの試合チーム初安打となるレフト前ヒットを放つと、鳥谷のセカンドゴロで二進。原口は四球で一二塁に。ここで代打狩野がレフト前に落ちるタイムリーヒットを放ち1点を返した。しかし、大和はセンターフライに終わり、追い上げはならず。タイガースは二番手の榎田が好投。5回と6回をしっかり抑えて味方の反撃を待つ。しかし、今永の前に6回3安打1得点と抑えられた。7回表には須田に抑えられ、7回裏、三番手安藤が桑原と梶谷のヒットで2死一三塁とされて筒香を迎えたところで高橋聡に交代。筒香はショートフライでピンチを脱した。8回表、三番手三上に対し、2死から代打板山のヒットと福留の四球でチャンスを作るが、ゴメスのセンター前の当たりを梶谷に好捕されまたも得点機を逸する。8回裏は藤川が走者を出しながらもなんとか抑える。9回裏、抑えの山崎康に対し、2死から鳥谷がライト線に二塁打を放つも原口が三振で逃げ切られた。
◎ベイスターズ11回戦……5-5
先制したのはタイガース。ベイスターズ先発山口に3回までノーヒットに抑えられていたが、4回表、先頭の俊介が今季初安打となるセンターオーバーの二塁打で出ると、大和、福留が連続四球で満塁に。ゴメスはショートゴロで併殺。しかしその間に俊介が生還して1点を先制。続く鳥谷がレフトスタンドに2ランホームランを放ち、突き放す。6回表には2死からゴメスが左中間に二塁打を放つと、鳥谷がライト前に落ちるタイムリーヒットで1点を追加した。山口はこの回限りで降板。能見は7回まで散発3安打無四球と完封ペース。しかし8回裏につかまる。先頭の白崎にヒットを許すも2死まで取るが宮崎にライト線にタイムリー二塁打を打たれて1点を失ったところで交代。二番手の高橋聡は梶谷を内野フライに打ち取ったが、高く上がった飛球は風に流され内野手の間に落ちるヒットとなる。このタイムリーヒットで2点を返され、1点差に。それでも筒香を抑え、なんとかリードは保つ。ベイスターズは7回をザガースキー、8回を熊原で抑え、9回表は四番手の左腕大原。ゴメスがレフトスタンドにソロホームランを叩きこみ、リードを2点とあける。9回裏、マテオが登板。先頭のロペスにライトスタンドにソロホームランを打たれて1点差とされると、レフトオーバーの二塁打の乙坂を置いて代打下園にライト前タイムリーヒットを打たれて同点に。続く桑原、宮崎にもヒットを打たれて2死満塁とされるが梶谷をショートゴロに抑えてサヨナラ負けは防いだ。延長10回以降、ベイスターズは三上、田中、須田のリレーでタイガース打線を抑えると、タイガースもドリス、榎田とつないで得点を許さず引き分けに終わった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……榎田大樹 ビハインドの場面で使われることが多いが、その時々の持ち場で安定した力を発揮。先発投手陣の完投がほとんどないだけに、どんな場面でもしっかりと試合を締める榎田の存在は貴重だ。
野手……新井良太 数少ないチャンスながら、ベイスターズ戦の決勝ホームランでは本領発揮のビックリ箱ホームランで勝利に貢献。若手に出番を譲ることが多かったけれど、二軍で腐らず準備をしていたということがよくわかる。
なんとか5割ラインで踏みとどまっている。次節は本拠地甲子園でドラゴンズ、カープと6連戦。地の利を生かして2カードとも勝ち越してほしい。疲れの見えた若手に対してベテランたちが奮起すべきところなのだが、福留、鳥谷がなかなか調子をあげてこない。鳥谷がベイスターズ戦で好転の兆しを見せた。ここから交流戦まで、勢いのつくような試合を見せてもらいたい。
(2016年5月16日記)