愛すれどTigers


岩貞がプロ入り初完封勝利

 交流戦前の関東遠征。まずは神宮球場でスワローズと3試合。初戦は能見の好投と打線の活躍で先勝。しかし2戦目は藤川が打たれ、3戦目はマテオが打たれて2試合連続のサヨナラ負け。1勝2敗と負け越した。東京ドームでのジャイアンツ戦、初戦は岩貞が菅野との緊迫した投手戦を制してプロ入り初完封勝利。2戦目は岩崎の好投に打線が報いて連勝。しかし3戦目はメッセンジャーが来日通算1000奪三振をあげるも奪三振をあげるも高木勇の力投の前に打線が振るわず敗れた。2勝1敗と勝ち越し。今節も3勝3敗。今季通算では25勝25敗3分の勝率.500で3位。首位のカープとは3.0ゲーム差。5割ちょうどで交流戦を迎えることになった。

◎スワローズ9回戦……7-4
 スワローズの先発は今季初登板の八木。1回表、振り逃げを含む4三振を奪われるなど嫌な雰囲気で始まり、2回表も2連続三振で6三振。ところが2死から鳥谷、能見と連続四球で出ると、北條がセンターオーバーの2点タイムリー二塁打を放ち、嫌な流れを断ち切った。さらに大和が三塁川端のグラブの下をかすめるレフト前タイムリーで3点目を奪う。3回表には原口とヘイグのヒット、鳥谷の四球で1死満塁となり、能見のセンターへの犠牲フライで1点を追加した。能見は3回までノーヒットと快調な立ち上がり。4回裏、川端、山田に連続四球で無死一二塁としバレンティンにセンター前にタイムリーを打たれるが、後続を断ち6回1失点と試合を作った。スワローズは八木を3回限りで降ろし、4回からは松岡、6回からは村中の継投で追加点を許さない。それでも7回表、村中に対し原口がライトポール際にソロホームランを打ちこみ待望の追加点。7回裏、二番手の安藤がバレンティンと雄平に連続四球を与えピンチを作るが畠山は内野フライ、大引きは三振と2死までこぎつける。代打今浪に対し、三番手に高橋聡をぶつけるが、ライト前にタイムリーヒットを打たれる。さらに2死一二塁で一塁に牽制悪送球で二塁走者まで返してしまい、2点差に迫られた。8回表、秋吉に三者凡退に取られると、8回裏、四番手の藤川が先頭の坂口をセカンドゴロに取るも難しいバウンドで北條が捕りきれずエラーで出塁。川端、山田には連続四球で無死満塁に。バレンティン、雄平には火の玉ストレートの片鱗を見せる速球を交えて三振とファールフライに取るが、畠山には押し出し四球で1点差に迫られた。9回表、五番手ルーキから先頭の福留がレフト前ヒットで出ると、ゴメスの右中間への深い二塁打で代走上本が一気に生還。さらに原口のヒットで一三塁とする。高山の打球はショートフライと思われたが、ショート今浪が目測を誤り、レフト前に落ちる二塁打となってゴメスが生還して3点差とした。9回裏、マテオが登板。今浪のヒット、西田の二塁打で無死二三塁とされ、坂口は三振に取ったが川端にレフトに犠牲フライを打たれて2点差に。山田を歩かせてピンチは続いたがバレンティンを大きなライトフライに辛うじて打ち取り、辛くも逃げ切った。ヒーローインタビューは3安打にホームランの原口。
◎スワローズ10回戦……8-9
 先発の横山が初回につかまる。先頭の大引に二塁打を打たれ、1死後山田のサードゴロをヘイグがトンネルしてしまい、先取点を取られた。山田を二塁に置き、バレンティンにスコアボード直撃の2ランホームランを打たれる。タイガース打線は3回表に反撃。スワローズ先発のデイビーズに対し、先頭の横山が左中間を破る二塁打を放つと、北條がライト線にタイムリー二塁打で返し、まず1点。1死後福留が歩いて一二塁とし、ゴメスがライトスタンドに逆転の3ランホームランを運ぶ。しかし横山は抑えが効かない。3回裏、四球の坂口と二塁打の山田を塁に置き、またもバレンティンにバックスクリーン上に当たる3ランホームランを打たれて逆転を許し、この回限りで降板。二番手の田面は4回裏、1死から坂口のヒットと山田への四球でピンチを作り、バレンティンのセカンドゴロで2死二三塁に。川端にはセカンドゴロを北條がこぼし内野安打とされて1点を追加されると、畠山にもレフト前にタイムリーヒットを打たれて2点を追加される。4点差をつけられたが、若手たちはあきらめない。二番手村中から6回表に高山が内角低めを曲芸のようにさばいてライト前ヒットを放つと、鳥谷がレフトスタンド最前列に2ランホームランを放つ。さらに代打新井良、北條の連続四球でチャンスを作ると、福留のレフト線への二塁打でさらに1点を追加し、1点差に迫る。村中はここで降板し、秋吉がマウンドへ。このチャンスでゴメスはショートゴロ。秋吉には7回も抑えられる。6回からは榎田が登板。7回裏、川端、畠山のヒットなどで2死満塁のピンチを招くが、大引を三振に取って無失点で切り抜けた。8回表、ルーキから鳥谷の四球と新井良の死球で走者をため、北條が送って1死二三塁とする。ここで代打の狩野がレフト前に落ちるテキサスヒットで鳥谷を返して同点に追いついた。しかしスワローズはオンドルセクを投入し、福留、ゴメスが連続三振で勝ち越しのチャンスを逸した。8回裏、安藤が走者を背負うも無失点。9回表はオンドルセクに抑えられる。9回裏、藤川がマウンドに上がったが先頭の畠山に二塁打を打たれると、雄平は敬遠。西田のバントで1死二三塁とされ、代打今浪にセンターに犠牲フライを打たれてサヨナラ負け。完敗のところをなんとか追いついただけに、悔しい敗戦となった。
◎スワローズ11回戦……5-6
 タイガースの先発は藤浪。初回、先頭の大引にセンター前ヒットを打たれ、盗塁と坂口のファーストゴロで三進。山田は三振に打ち取ったがバレンティンのサード強襲のタイムリーヒットで1点を先制された。しかし、スワローズの先発小川も不調。2回表、ゴメスのバックスクリーンへのソロホームランで同点に追いつく。3回裏、ヒットの坂口を置いてバレンティンにレフトスタンドに2ランホームランを叩きこまれたが、4回表、福留が日米通算1000打点目となるソロホームランをレフトスタンドに運ぶと、原口もレフトスタンドに同点ソロホームランを放つ。5回裏、ヒットの坂口を置いて、2死までこぎつけたが川端にインコースをものの見事にライトポール際に運ばれて2ランホームランでまたもリードを許す。藤浪は7回を投げて5失点で降板。6回表、1死からヒットのゴメスと死球の原口を塁に置き、板山はファーストフライに取られるも、ヘイグがレフトオーバーの2点タイムリー二塁打で追いついた。小川は6回限りで降板。スワローズは7回から秋吉、ルーキの継投でタイガース打線を抑える。タイガースも8回は高橋聡が抑え、勝負は9回に。9回表、オンドルセクから先頭の今成が四球を選び、北條が送って1死二塁に。このチャンスに大和も福留も平凡な外野フライで得点できず。9回裏、マテオが登板。先頭の坂口を歩かせ、山田にはレフト前ヒット、バレンティンには死球で無死満塁に。死球に怒ったバレンティンが激昂し、あわや乱闘となり警告試合の宣告を受けた。ここで川端は浅いセンターライナーに打ち取ったが、畠山にはピッチャー返しのサヨナラセンター前ヒットを打たれ、2試合連続のサヨナラ負けを喫してしまった。
◎ジャイアンツ8回戦……1-0
 防御率1位の菅野と2位の岩貞による投手戦。先制したのはタイガース。1回表、1死から板山が四球で出ると、福留のレフト前ヒットで一二塁に。ゴメスのショートゴロは坂本が三塁へ悪送球し、球がファールゾーンを転がる間に板山が生還して1点をもらう。原口の死球でチャンスは続いたが、高山の併殺で追加点はならず。初回から快調に飛ばす岩貞が乱れたのは4回裏。重信と坂本を歩かせて無死一二塁とされる。クルーズはショートゴロ併殺で2死三塁に。長野は敬遠気味に歩かせ岡本を見逃し三振に取ってピンチを脱した。タイガースは6回表、ゴメスのヒットと高山のレフト線への二塁打で2死二三塁と菅野を攻めるが、今成が見逃し三振で得点できず。ジャイアンツは8回からマシソンが登板してタイガース打線を抑え切るが、岩貞の内外角を突く投球にジャイアンツ打線は狙い球を絞れず。無失点のまま岩貞は9回のマウンドに。クルーズ、長野、相川をそれぞれ外野フライに打ち取り、みごとプロ入り初の完封勝利を飾り、勝率を.500に戻した。ヒーローインタビューは完封勝利で4勝目の岩貞。
◎ジャイアンツ9回戦……6-4
 タイガースの先発は岩崎。3回裏、2死から坂本を歩かせ暴投で二進を許す。クルーズのセカンドゴロは北條が一塁へ悪送球し、その間に坂本が先制のホームを踏む。クルーズも二進。長野のレフト前タイムリーヒットで2点目を失った。ジャイアンツの先発は左腕今村。失点直後の4回表、タイガース打線が反撃。先頭の俊介が歩くと、福留三振のあとゴメスがライト前ヒットを放ち、1死一三塁に。原口も初球攻撃でライト前タイムリーヒット。なおも一三塁と攻め立てヘイグがレフト線に二塁打を放って同点とする。二三塁から新井良がライト前に2点タイムリーヒットを放って逆転に成功した。ただ、ここで続く北條は併殺打。エラーと併殺の北條はこのあと大和と交代させられる厳しい面も見られた。岩崎はストレートをつまらせる投球で7回2死まで快調に投げたが、大田に右中間に二塁打を打たれ、重信を歩かせたところで安藤と交代。安藤の初球を叩いた坂本はショートゴロ。大きなピンチを防いだ。ジャイアンツは8回から戸根、宮國のリレー。8回表、タイガースの三番手高橋聡は先頭クルーズの内野フライを取りにいきゴメスと衝突しそうになったことでゴメスが落球というピンチを招いたが、後続を断つ。9回表、宮國から原口、ヘイグが2者連続のホームランをレフトスタンドに放ち4点差とする。さらに大和の三塁打で2死三塁のチャンスを作るも、鳥谷は左腕公文の前にセンターフライ。9回裏、肩のの炎症で二軍落ちしたマテオにかわるクローザーとして藤川が登板。しかし、コントロールが安定しない。1死から亀井、大田の連打と代打相川への四球で満塁とされ、暴投で1点を献上。さらに二三塁から坂本に犠牲フライを打たれて2点差と迫られたが、クルーズをキャッチャーへのファールフライに打ち取った辛くも逃げ切った。ジャイアンツは7連敗。タイガースは2位に浮上した。ヒーローインタビューは勝ち越しのタイムリーを放った新井良。
◎ジャイアンツ10回戦……1-2
 メッセンジャーと高木勇の投手戦。3回裏、先頭の脇谷に右中間を破る二塁打を打たれると、重信のセンター前タイムリーヒットで1点を失った。重信は一二塁間の狭殺プレーでアウトにしたが、坂本にレフトスタンドにソロホームランを打たれて2点差に。直後の4回表、鳥谷がレフトスタンドにソロホームランを放ち1点差とする。メッセンジャーは落ちる球を有効に使い、4回以降は走者を背負ってもいらつくことなく打たせて取る。高木勇はスライダーと速球のコンビネーションがよく、タイガース打線に的を絞らせない。メッセンジャーは8回を一人で投げ抜き、8回裏に亀井から奪った空振り三振で来日後通算1000奪三振を達成した。ジャイアンツは8回表はマシソン、9回表は澤村という必勝リレー。連敗脱出の気迫がタイガース打線を勝り、逃げ切られた。

愛すれどTigers週間MVP
投手……岩貞祐太
 今やリーグを代表する左腕エースの風格さえ漂わせる。一試合ごとに自信を深め、昨年までの打たれてはいけないと逃げに入っていたのが嘘のようだ。いずれは初完封と思っていたが、まさか1-0ゲームで達成するとは。精神面でも強さを見せるようになった証拠だろう。
野手……原口文仁
 神宮でも東京ドームでもみごとなホームラン。1ヶ月前に育成枠から昇格したとは思えない堂々たる五番打者になった。この勢いで交流戦でもパ・リーグの好投手に立ち向かってもらいたい。

 次節から交流戦開始。先代でイーグルスと3戦したあと、甲子園でライオンズと3戦。両チームともパ・リーグでは下位に低迷しているだけに、最低でも両カード勝ち越しの期待がかかる。スタートダッシュで勢いをつけて、交流戦の間にセ・リーグの他チームをぶっちぎっていってほしい。それには鳥谷の復調、これあるのみ。

(2016年5月30日記)


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