愛すれどTigers


青柳プロ初登板先発勝利

 交流戦が始まった。まずはkoboスタ宮城でゴールデンイーグルス3連戦。初戦は能見が打たれて大敗。しかし2戦目はプロ入り初登板初先発の青柳が好投し、打線の援護もありプロ入り初勝利を飾った。3戦目は藤浪が打たせて取る投球で今季初完封。2勝1敗と勝ち越した。甲子園球場に戻ってライオンズ戦、初戦は岩貞がメヒアに満塁ホームランを打たれなど乱調で大敗。2戦目はメッセンジャーの力投と福留の猛打で勝ったが、3戦目は延長12回、投手陣を使い果たし最後に島本が打たれて敗れる。1勝2敗と負け越し。今節もまた3勝3敗。今季通算では28勝28敗3分の勝率.500で4位。首位のカープとは2.5ゲーム差。順位は落ちたが上位との差は縮まった。

◎ゴールデンイーグルス1回戦……1-9
 タイガースの先発能見が先制点を奪われる。2回裏、ウィーラーにレフトスタンドにソロホームランを運ばれると、3回裏には岡島にライトフェンスぎりぎりに飛び込むソロホームランを浴び、4回裏にはヒットと盗塁の茂木を置いて中川にセンター前タイムリーヒットで3失点。6回限りで降板した。イーグルス先発の則本は初回から快調に飛ばし、5回までノーヒットピッチング。6回表、先頭の鳥谷がセンター前ヒットで出ると、続く上本がレフト線に二塁打を放つ。鳥谷は一気にホームを突くが主審の判定はタッチアウト。ビデオ判定に持ち込まれ、鳥谷の足が一瞬早くベースタッチしていたという判定となり、1点を返した。しかし、反撃もそこまで。7回裏、二番手榎田は1死から松井稼にセンター前ヒットを打たれると、足立のバントは捕手原口が二塁へ送球するもその送球がワンバウンド送球となり犠打野選で一二塁に。オコエのプロ入り初ヒットとなるライト前ヒットで無死満塁とされると、岡島にセンター前2点タイムリーヒットを打たれた。吉持のショートゴロは二封するも一塁送球がハーフバウンドでゴメスが取れず併殺崩れで2死一三塁に。茂木のレフト前に落ちるタイムリーヒットでさらに1点を失う。ここで榎田は降板し、三番手に秋山が今季初登板。ウィーラーを歩かせて2死満塁に。中川にはバットをへし折る三遊間のゴロを打たせるが走者が目に入ったか今成のグラブを弾き、内野安打となってさらに2点を追加され、7点差に開く。秋山は8回裏にもライト線三塁打の松井稼を置いて足立のライトへの犠牲フライでさらに1点を失う。則本は9回まで力を抜くことなく3安打1失点完投。失策がつかなくても明らかにエラーといえるミスを連発し、交流戦初戦は惨敗。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……5-2
 タイガースの先発はプロ入り初登板の新人青柳。クォータースローから投げ込む荒れ球でイーグルス打線をなんとかかわす。イーグルスは今季初先発の左腕リズ。2回表、ゴメスがレフト線へ二塁打を放つと、狩野のライト前ヒットで無死一三塁とする。高山のショートゴロ併殺の間にゴメスが生還して1点先取。3回裏、1死から岡島、吉持へ連続四球、さらに茂木にも死球を与えて満塁とされた青柳だったが、ウィーラーを三振に、銀次をショートゴロに打ち取ってピンチを脱した。直後の4回表、1死から福留がライト線に二塁打を放つと、ゴメスが歩いて一二塁とし、狩野がレフトスタンドに3ランホームランを放つ。4回裏、島内を歩かせ盗塁を許し、オコエのプロ入り初打点となるセンター前タイムリーヒットで1点を返されたが、7回表、二番手の金刃を攻めたてる。四球のヘイグを板山が送り、大和のセンター前タイムリーヒットで1点を追加。この1点が大きかった。5回で青柳を退け、6回は安藤が抑える。7回裏、三番手高橋聡が1死から岡島にライト前ヒットを打たれると、吉持にもライト前ヒットで続けられる。茂木のレフトフライを狩野が弾いてタイムリー二塁打とされ1点を返されると、1死二三塁からウィーラーのショートゴロの間に1点を返されて2点差と迫られた。イーグルスは8回から福山、青山とつないでタイガース打線を封じる。タイガースも8回裏はドリスが三者凡退で反撃を断ったが、9回裏に登板した藤川が不安定。1死から岡島を歩かせ、代打枡田は三振に取ったが、茂木にセンター前ヒットを打たれて一三塁とされる。しかしウィーラーを空振り三振に取って辛くも逃げ切った。ヒーローインタビューはプロ入り初登板初先発初勝利の青柳。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……3-0
 先制したのはタイガース。1回表、イーグルス先発の美馬から鳥谷が右中間を破る二塁打を放つと、西岡のセカンドゴロで三進。福留のファーストゴロの間に鳥谷が生還して1点を奪う。2回表には2死から高山の四球、大和のヒット、今成の四球で満塁と攻め立てるも鳥谷がレフトフライでチャンスを逸した。しかし3回表、西岡、福留の連続ライト前ヒットで無死一三塁とし、ゴメスはバットをへし折られながらも鈍い当たりのサードゴロで西岡を返し、2点目。5回表には鳥谷のレフトフライが風に乗りフェンスを越えてソロホームランとなり3点目を奪った。藤浪はストレートの走りがよく、イーグルス打線はいずれもつまらされて内野ゴロの山。2回表、先頭の枡田にセンター前ヒットを打たれるも銀次をピッチャーゴロ併殺に打ち取る。打たれたヒットはこの1本だけ。奪三振はわずかに4。しかし内野ゴロは21を数えた。美馬は6回途中で降板。イーグルスは西宮、福山、安楽とつないでタイガース打線を抑えたが、藤浪は6回裏にオコエの投ゴロが足を直撃してもトレーナー不要と追い返し、テンポよく投げ込んで今季初完封で7試合ぶりの勝利を飾った。ヒーローインタビューは完封勝利の藤浪。
◎ライオンズ1回戦……3-12
 岩貞がコントロールが甘くなったところを打たれた。3回表、2死から秋山翔を歩かせてしまう。フルカウントからストライクを取りにいった自信のある球をボールと判定され、そこを切り替えられないまま金子侑のレフト前ヒット、栗山にもきわどい球をボールと判定され四球。ストライクを取りにいったところをメヒアに左中間スタンドに満塁ホームランを叩きこまれる。しかしライオンズ先発のバンヘッケンに対して、すぐにタイガース打線も反撃。4回裏、北條、ヘイグの連打でチャンスを作ると、ゴメスのセンター前タイムリーヒットで1点、続く狩野もセンター前タイムリーヒットで2点目、原口三振のあと高山もライト前タイムリーヒットで3点目と1点差まで追い込んだ。しかし大和、岩貞と連続三振で追いつけず、これで流れを呼び込めない。5回表、1死から秋山翔が四球で出ると、金子侑がレフト前ヒットを放ち、秋山翔は三進。金子侑は二封で2死としたが栗山のレフト線の当たりを狩野が飛びこんで取りにいったが捕球できずタイムリー三塁打になり2点差に。5回裏、先頭の鳥谷がヒットで出、北條のセカンドゴロは二封を焦った捕球ミスが出て無死一二塁に。ここでバンヘッケンは降板。二番手小石に対しヘイグは止めたバットに当たった投手ゴロ併殺で2死三塁となり、ゴメスは歩いたが狩野は三振。思い切った投手リレーの前に得点できない。6回表、浅村、森の連打で無死一三塁とされ、鬼崎の鈍い当たりのサードゴロはヘイグがどこにも投げられず浅村が生還。炭谷のバントで1死二三塁とされ、代打竹原はセカンドフライに取ったが、秋山翔に一塁線を破るタイムリー二塁打を打たれて2点を追加される。岩貞はここで降板。二番手島本は金子侑にレフト前タイムリーヒットを打たれ、この回だけで4失点。ライオンズ三番手佐野が6回から登板してタイガース打線を抑える。島本が7回を抑えたが、8回表、三番手秋山拓が打たれる。内野安打の秋山翔と二塁打の金子侑を置いて、無死二三塁で栗山のピッチャーゴロの間に1点を奪われ、続くメヒアにこの日2本目となる2ランホームランを打たれて試合は完全に決した。9回裏は変則左腕の中崎に抑えられ、またも初戦は大敗。
◎ライオンズ2回戦……5-1
 ライオンズの先発はドラフト1位の多和田。1回裏から連打で先制。鳥谷、北條がライト前ヒットで無死一二塁とし、福留もライト前に弾き返してタイムリーヒットで1点先制。なおも一三塁としてゴメスの犠牲フライで2点目を取った。3回裏、先頭の福留がセンター前に落とすヒットで出ると、ゴメスのサードゴロは金子侑が二封しようとして悪送球でオールセーフ。高山のレフト前タイムリーヒットで1点を追加すると、横田三振のあと今成がレフトオーバーのタイムリー二塁打でさらに1点を追加した。多和田は4回4失点で降板。タイガースの先発はメッセンジャー。落差のあるカーブを有効的に使いライオンズ打線を抑える。2回表、メヒアと浅村を審判の厳しい判定もあり連続四球で出したが、森、鬼崎、炭谷と三者三振で切り抜ける。4回表には先頭の栗山に初安打を打たれたが、メヒアをセンターフライに打ち取ると、浅村を三振、森にはセンター前ヒットを打たれたが鬼崎を三振と、積極的に振ってくるライオンズ打線を逆に翻弄する。7回表、鬼崎と代打竹原のヒットで2死一二塁とされ、秋山翔の放った鳥谷のグラブの先をかすめるセンター前タイムリーヒットで1点を返されたが、代打中村剛は三振。ライオンズは5回以降、小石と武隈のリレーでタイガース打線を抑えたが、8回裏、四番手のバスケスをつかまえる。8回1死から鳥谷がショート鬼崎のエラーで出ると、北條が四球を選んで一二塁に。福留は三振したがゴメスがレフト前タイムリーヒットでダメ押しの1点を追加。代打狩野は代わった中崎に三振に取られた。7回1失点のメッセンジャーから、8回表はドリスが走者を出しながらもなんとか抑え、9回は藤川が三者凡退で締めた。ヒーローインタビューは5勝目のメッセンジャーと先制タイムリーを含む猛打賞の福留。
◎ライオンズ3回戦……2-3
 タイガースの先発は岩崎。1回表、先頭の秋山翔にライト前ヒットを打たれると、金子侑のバントで二進。栗山は三振に取ったが、メヒアにライトオーバーのタイムリー二塁打を打たれて1点を先制される。タイガースも反撃。ライオンズ先発野上から直後の1回裏に北條のヒットとゴメスの二塁打で2死二三塁とし、高山の投手強襲タイムリーヒットで同点とした。3回表、1死から秋山翔のレフト前ヒットを高山が後逸し、三塁まで進まれる。金子侑のセンターへの犠牲フライでまたも勝ち越された。タイガース打線は2回以降野上の前にヒットが出なかったが、6回裏、2死から高山が四球で出ると、原口の左中間を破るタイムリー二塁打で同点に追いついた。それ以降は緊迫した投手戦。岩崎、野上とも6回を投げ切って2失点でリリーフ陣に託す。7回は榎田、牧田がそれぞれ抑える。8回表、三番手ドリスが2四球で無死一二塁とされたがメヒアを三振に取ると、浅村、森は内野ゴロに仕留めて難を脱した。9回はタイガースが藤川、ライオンズが武隈で抑えて試合は延長戦に。10回表は高橋聡が秋山翔を歩かせるもメヒア、浅村を連続三振で切り抜ける。10回裏、ライオンズのクローザー増田から先頭の大和がヒットで出るも続くゴメスが併殺打。11回表、安藤が抑え、11回裏、増田に対し1死から今成がライト前ヒットを放つも、そのまま打席に立った安藤がバントができず、俊介はファーストへのファールフライでサヨナラのチャンスを生かせない。12回表、安藤は先頭の代打上本達にライト前ヒットを打たれ、炭谷にバントで送られる。ここで島本と交代。島本は秋山翔を三振に取ると、代打中村を敬遠。栗山にセカンドの頭を越すタイムリーヒットを打たれ、ついにリードを許してしまう。メヒアに対しては守屋が登板して空振り三振を奪い、打線の反撃を待つ。しかし、12回裏、小石の前に三者凡退。栗山がヒット性のフライを3本好捕し、さらにタイムリーを放つなど、試合のキーになった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……藤浪晋太郎
 今季初完封をわずか100球で達成。1ヶ月ぶりの勝利をあげた。三振よりも打たせて取る新境地で疲弊したリリーフ陣を救った。この勝利がきっかけとなってここから若きエースとしての真価を発揮してくれると期待できそうだ。
野手……狩野恵輔
 交流戦用に、速球に強いところを買われて5番でスタメン出場。イーグルス戦ではその期待に応えて今季第1号の3ランを放った。他の試合でもここぞというところでの効果的な一打が光った。代打だけではないところを見せてくれたいぶし銀の味である。

 次節はパ・リーグの本拠地で。QVCマリンスタジアムでマリーンズと3戦し、札幌ドームでファイターズと3戦。本当なら藤浪と大谷の投げ合いなど見たいところだが、残念ながらローテーションの関係で直接対決は今季は見られないようだ。ここにきて原口、高山らに疲れが見えてきた。岡崎、狩野らベテランの域にはいった選手たちがその分地味ながら力を発揮してくれている。ムードメーカーの西岡も一軍に戻ってきた。亡くなった後藤次男さんは最後までタイガースのことを気にかけてくれたそうだ。長老の墓前に勝利の花を贈ってほしい。

(2016年6月6日記)


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