甲子園球場に戻ってベイスターズと連戦。初戦はメッセンジャーが好投し、1点差をリリーフ陣が守り連敗を止めた。雨中止をはさんで第2戦は岩崎が序盤に失点、久保康の老獪な投球に翻弄されて完封負け。1勝1敗に終わる。ナゴヤドームでのドラゴンズ3連戦は、初戦、藤浪が自らのミスで自滅して敗れるが、第2戦は能見の好投をリリーフ陣が支えて勝利。しかし第3戦は岩貞が今季3本目の満塁ホームランを打たれて1勝2敗となかなかカード勝ち越しができない。今節は2勝3敗。今季通算では34勝42敗3分の勝率.447でついに最下位に転落。首位のカープとは12.0ゲーム差と開いていくばかり。ただし、2位ドラゴンズとの差は2.0差と団子状態。
◎ベイスターズ12回戦……5-3
タイガースが先制。ベイスターズ先発山口に対し、3回裏、先頭の高山がセカンドへの内野安打で出ると、鳥谷のライト前ヒットで一三塁とする。ゴメスはバットをへし折られるセカンドゴロだったが、その間に高山がホームイン。福留が歩いて1死一二塁とし、西岡のレフトオーバーの二塁打で2点目を奪った。しかし続く中谷、北條は連続三振。ビッグイニングは作れない。4回裏、先頭の岡崎がレフト線を破る二塁打で出ると、メッセンジャーが送って1死三塁に。高山がセンターへ犠牲フライを放つ。鳥谷がレフト線への二塁打で続きゴメスのレフト前タイムリーヒットで4点差と広げた。メッセンジャーは5回までパーフェクトピッチング。しかし6回表に先頭のエリアンを歩かせると、続く代打戸柱にはライト前に初安打を打たれ、代打山下幸にもライト前タイムリーヒットを打たれ1点を奪われる。桑原の投手強襲安打をメッセンジャーが一塁へ必死でトスするも送球がそれて球がファールグラウンドを転がる間にさらに2点を返されて1点差とされた。それでもメッセンジャーはここで踏ん張る。梶谷をサードへのファールフライに打ち取ると筒香を三振に、そして宮崎の三塁線を襲う強いゴロを北條が好捕して一塁へ素晴らしい送球で刺し、同点は免れた。7回表はメッセンジャーはペースを取り戻ししっかりと抑える。ベイスターズは6回から二番手ザガースキーが登板。7回裏、先頭の福留が歩きボークで二進、1死後中谷を迎えて長田に交代。中谷はサード内野安打で一三塁とし、北條の犠牲フライで1点を追加。8回表は藤川が大和のファインプレーにも助けられて抑えると、9回表にはドリスが三者凡退で締めて連敗を脱出した。ヒーローインタビューは先発勝利のメッセンジャー。
◎ベイスターズ13回戦……0-3
タイガースの先発はプロ入り初めてスライド登板となった岩崎。1回表、先頭の桑原にセンター前ヒットを打たれると、石川のピッチャーゴロの間に二進。梶谷のショートゴロの間に三進。筒香の三塁線を襲う当たりは北條が好捕して一塁に投げるも内野安打で1点を先制される。2回表には倉本にライト前ヒットを許すとエリアンもライト線に二塁打を放ち無死二三塁に。戸柱のピッチャーゴロは三本間の狭殺プレーとなりアウトを取るが、その間に戸柱の二進を許し1死二三塁。久保康のセカンド頭上を襲う当たりは前進守備のためにライト前タイムリーヒットとなり2点目を失った。ここから岩崎は調子をあげる。桑原を併殺に打ち取ると、3回表は梶谷と筒香を連続三振に取る三者凡退。しかし4回表、先頭の宮崎に初球をとらえられレフトスタンドにソロホームランを打たれる。岩崎は6回3失点で降板。ベイスターズ先発の久保康は変化球を効果的に使いタイガースの各打者のタイミングを外し、5回までパーフェクト。6回裏、先頭の北條がサードへの内野安打で出たが、中谷は三振、代打伊藤隼はレフトフライ、高山は高く上がったファーストフライで進塁打も打てず。7回裏には2死から福留がレフト前ヒット、8回裏には1死から北條がライト前ヒットを放つが、後続を断たれてやはり二塁は踏めず。タイガースのリリーフ陣は、7回から榎田、マテオ、伊藤和とつないで無失点で打線の援護を待つが、9回裏もあっさりと三者凡退。3安打無四球完封でなすところなく敗れた。
◎ドラゴンズ13回戦……2-7
ドラゴンズの先発はジョーダン。1回表、鳥谷のヒット、福留、ゴメスの四球で2死満塁と先制のチャンスを作るが北條が空振り三振でチャンスを逸し、その後はジョーダンの速球にことごとくつまらされてしまう。タイガースの先発藤浪は5回2死まで一人の走者も許さなかったが、福田のヒット、堂上直の二塁打でピンチに。ここは桂を敬遠気味に歩かせてジョーダンを三振に取ってピンチを脱したが、6回裏、自らのミスから崩れる。亀澤のピッチャーゴロを悪送球で生かすと、大島との間のエンドランが決まり無死一三塁に。平田のライト前タイムリーヒットで先制点を許す。続くビシエドにはレフトスタンドに3ランホームランを叩きこまれ、さらにナニータ、福田にも連打で苦しい投球。しかし、堂上直、桂、ジョーダンを三者三振に取ってさらなる追加点は許さず。藤浪はこの回限りで降板。7回裏、二番手伊藤和もつかまる。亀澤のヒットと大島への四球でピンチを作り、1死後、ビシエドに右中間にタイムリー二塁打を打たれ1点を追加されると、2死後福田を歩かせて満塁とされ、暴投で2点目を献上した。タイガース打線は2回以降ジョーダンからヒットを打てなかったが、8回表に1死から江越が四球で出ると、代打原口のライト前ヒットで一三塁とし、鳥谷のショートゴロが併殺崩れになる間に1点を返す。代打新井良を告げたところで又吉に交代。代打の代打伊藤隼がライトオーバーにタイムリー三塁打でもう1点を返したが、福留はサードゴロに打ち取られ、反撃もそこまで。8回裏、伊藤和は続投。代打森野、亀澤のヒットで2死一二塁とされると、平田の三遊間の当たりは鳥谷が好捕するも二塁の大和にワンバウンド送球したところが悪送球となり、内野安打とエラーでさらに1点を追加された。9回表は祖父江に抑えられ、連敗が決まった。
◎ドラゴンズ14回戦……3-2
先制したのはタイガース。ドラゴンズ先発小熊から2回表に先頭の福留がセンターオーバーの二塁打を放つと、続く西岡がライト線にタイムリーヒットで1点。1死後、北條の死球で一二塁とする。岡崎の打席で西岡と北條がダブルスチールを決め、二三塁として小熊の暴投で2点目を入れる。しかしタイガース先発の能見は直後の2回裏、レフト前ヒットのナニータを置いて福田に同点の2ランホームランをレフトスタンドに運ばれた。3回表、鳥谷のヒット、ゴメスの四球、福留のヒットで無死満塁と攻めるも西岡はピッチャーゴロでホームゲッツー。2死二三塁とまだチャンスは続いたが伊藤隼はライトフライでチャンスを生かせなかった。能見と小熊は立ち直り、同点でお互いにしのいでいたが、5回表に均衡が破れた。1死からゴメス、福留、西岡の四球で満塁とし、伊藤隼の投手強襲のタイムリー内野安打で1点をもぎ取った。しかし北條は交代した祖父江の前にセカンドゴロ併殺でビッグイニングを作れない。能見は6回を投げ切ってリリーフ陣に託す。7回はマテオが2三振、8回は藤川が死球の走者を出しながらも3三振と無失点で切り抜ける。ドラゴンズも岡田、山井とつないでタイガース打線を封じたが、9回裏、ドリスが四球を出しながらも速球でつまらせる投球で逃げ切った。ヒーローインタビューは決勝のタイムリー内野安打を放った伊藤隼。
◎ドラゴンズ15回戦……3-8
タイガースが先制。1回表、ドラゴンズ先発吉見から西岡が四球を選ぶと、鳥谷のところで盗塁を決める。鳥谷はピッチャーゴロに倒れたが、ゴメスがレフト前タイムリーヒットを放ち1点を奪う。しかし、タイガースの先発岩貞はすぐに追いつかれた。1回裏、1死から大島を歩かせ、盗塁を決められる。平田のショートへの内野安打で一三塁とされると、ビシエドにセンターへ犠牲フライを打たれて同点に。3回裏、大島を三振に取るも原口のパスボールで振り逃げに。平田を歩かせ、ビシエドのライト前タイムリーヒットで1点リードを許すと、ナニータを歩かせ満塁に。ここで福田にレフトスタンドに満塁ホームランを打たれてしまい、岩貞はこの回限りで降板。4回表、タイガースも反撃。先頭の福留がライト前ヒットで出る。原口と伊藤隼が凡退して嫌なムードになったが、北條がライト前ヒットでつないで一三塁に。高山は内角低めをうまくレフト方向にすくい上げ、2点タイムリー二塁打。しかし、反撃もここまで。タイガースは4回裏、榎田を投入。大島のヒット、平田と福田への四球で2死満塁とピンチを迎えたが堂上をセカンドフライに打ち取り、失点を防いだ。榎田は5回裏も抑える。ドラゴンズも6回から継投。岡田、福谷がタイガース打線を抑える。タイガースは6回は高橋聡が抑えたが、7回裏、四番手安藤がナニータにライトスタンドにソロホームランを打たれると、8回裏、今季初登板の筒井が先頭の荒木を歩かせ、大島は併殺で切り抜けたが、平田を歩かせビシエドにライト線にタイムリーヒットを打たれてダメ押しの1点を奪われた。9回表、大差はついていたがドラゴンズは田島を投入。1死から北條がヒットを打つも、高山、江越が倒れて完敗。
愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 一度は同点に追いつかれたが、1点のリードを気迫の投球で守り、ずるずると落ちていきそうなところをとどまった。ベテランがチームの危機を救った。エースと呼ばれた男の意地を見た。
野手……北條史也 一進一退ながら着実に成長を見せている。特に三塁守備は各段の向上を見せた。いいところでのつなぎのヒットや犠牲フライなど、打撃面でも進歩を見せている。チャンスで粘れないという難点はあるが、経験を積んでいけば克服できるはずだ。
打線が湿っていて、あと少しでビッグイニングを作れるというところでたたみかけていけない。金本監督は選手に任せているようだが、チーム全体でセンター返しなど方向性を示してやれば連打も出るだろう。気がかりはホームランが今節は出なかったこと。大きな一発はチームの雰囲気を変える。コンパクトに強く振って速球を弾き返していってほしい。次節は東京ドームでジャイアンツ戦。ジャイアンツも打線が機能していないだけに、投手陣が踏ん張れば勝ち越しの目はある。そして甲子園で首位カープを迎え撃つ。マツダスタジアムでの悪夢の3連敗のお返しをホームチームで見せてもらいたい。
オールスターゲーム、ファン投票で高山が選ばれ、監督推薦で藤浪と岩貞、そして原口が選ばれた。不調に陥っている若手たちが立ち直るきっかけとしてほしい。私としてはメッセンジャーと福留の方が選ばれる価値があると思うのだが。
(2016年7月4日記)