東京ドームでのジャイアンツ3連戦。初戦はメッセンジャーがミスから崩れ、打線は内海に抑えられ敗れる。第2戦は岩崎が好投しながらも打線が田口を打てず連敗。第3戦、ジャイアンツ戦初登板の青柳が1安打に抑え完封リレーで連敗ストップ。1勝2敗で負け越す。甲子園に戻りカープ戦は、藤浪、能見、岩貞がいずれも好調カープ打線の勢いに呑みこまれ3連敗。力の差をまざまざと見せつけられた。今節は1勝4敗。今季通算では35勝47敗3分の勝率.427で最下位独走。首位のカープとは15.5ゲーム差。2位ジャイアンツとの差は5.5差と開いた。
◎ジャイアンツ11回戦……2-3
メッセンジャーと内海の投手戦。快調に飛ばしていたのはメッセンジャー。初回から三者三振で始まり、5回まで2安打無失点の好投。しかし6回裏、1死から中井を歩かせると、橋本至のバントは一塁ゴメスが足を滑らせて投げられずオールセーフ。坂本のピッチャー強襲の当たりはメッセンジャーのグラブをはじいて二塁上本の右を抜ける先制タイムリーとなる。なおも1死一三塁で長野にライトへ犠牲フライを打たれ、阿部にはライト前にタイムリーヒットを打たれてこの回3点を失った。内海は直後の7回表に力尽きる。1死から福留がヒットで出ると2死後北條のライト前ヒットでつなぎ、中谷が四球で満塁に。こで内海は降板し、宮國がマウンドへ。代打原口も押し出し四球で1点を返した。しかし代打西岡はファーストゴロで満塁のチャンスに1点のみ。8回表、三番手マシソンから鳥谷がライトスタンドにソロホームランを放ち1点差とする。タイガースは7回にはマテオが三者三振。8回には安藤が三者凡退で追加点を許さない。9回表、クローザーの澤村が登板。先頭の江越が四球で出たが、北條、中谷ともファールでよく粘ったが連続三振に。原口のレフト前ヒットで勝ち越しの走者を出すも、代打伊藤隼がファーストゴロで試合終了。快調メッセンジャーが四球とゴメスのエラーから焦ったか投げ急ぐ悪い癖を見せてしまった。
◎ジャイアンツ12回戦……1-3
先制したのはタイガース。ジャイアンツの先発田口から3回表、1死から鳥谷が四球で出塁。ゴメスのレフト前ヒットで一三塁とし、福留の一二塁間を襲う内野安打で1点を奪った。タイガースの先発岩崎はのびる速球でジャイアンツの各打者をつまらせ快調に投げ続けていたが、5回裏、村田にスリーボールからストライクを取りにいった球を狙われてレフトスタンドに同点のソロホームランを打たれてしまう。さらに6回裏、1死から橋本到を歩かせ、坂本には三遊間に内野安打を打たれる。長野は投手ゴロに打ち取ったものの送球の際腰砕けとなって内野安打にしてしまい満塁に。阿部のピッチャー返しはセンター前に抜けて2点タイムリーとなる。岩崎はここで降板。安藤が後続を断ち、追加点は許さない。タイガース打線は4回表に江越の二塁打と中谷のヒットで無死一三塁としながらも岩崎のスリーバント失敗などでチャンスを広げることができず追加点が取れない。7回表、鳥谷の四球で1死一塁としたところで田口から宮國にスイッチ。ゴメスはショートゴロ、福留はセンターフライとまたもチャンスを生かせない。タイガースは7回裏は石崎、8回裏はマテオが無失点で打線の奮起を待つ。8回表、三番手マシソンからまたも江越の二塁打と中谷のヒットでチャンスをっくり代打攻勢に出るが、原口、西岡と平凡なフライでホームが遠い。9回表は澤村から鳥谷が二塁の左を襲うヒット性の当たりを放つも守備固めの寺内に好捕され、ゴメスはあわやホームランという惜しいファールを放つも三振に倒れて試合終了。前日と同じく、好投の先発投手を打線が見殺しにしてしまう試合となった。
◎ジャイアンツ13回戦……6-0
ジャイアンツの先発は高木勇。1回表、1死から鳥谷、江越が歩いて一二塁とし、福留の左中間を破るタイムリー二塁打で2点を先制する。3回表は内野安打の江越を置いてゴメスがライトスタンドに久々の2ランホームランを放ち、高木勇をノックアウト。味方の援護を得たジャイアンツ戦初登板の先発青柳は2回裏に村田に打たれたヒット1本だけにジャイアンツ打線を封じる。ツーシームとスライダーを自在に投げ分け、心配された四球も2つにとどめ、完全にジャイアンツ打線を手玉にとった。特に坂本、長野の三、四番は内角に腰が引け、外角球を追いかけて空振りと完全に翻弄した。ジャイアンツは4回から矢貫が登板。5回表につかまえる。西岡のヒットと鳥谷、江越の四球で無死満塁とし、福留は浅いライトフライに倒れたが、ゴメスが三塁横を破るレフト前2点タイムリーで待望の追加点をあげた。ジャイアンツは6回からは西村、田原誠、山口のリレーでタイガース打線を抑えたが、タイガースも8回から藤川、ドリスとつなぐ。藤川は三者三振、ドリスも三者凡退と抑えたので、ジャイアンツ打線を1安打のみに封じ込める完封リレーで連敗ストップ。ヒーローインタビューはジャイアンツを完璧に抑えこんで2勝目をあげた青柳。
◎カープ13回戦……2-8
藤浪が初回につかまる。先頭の田中を歩かせ、菊池のレフト線への二塁打で無死二三塁とされる。丸は三振に取ったがルナを歩かせ満塁に。苦手の松山は三振に仕留めたが、鈴木のレフト前タイムリーを江越が弾く間に二塁走者も生還して2点を先制される。なおも打者安部のところで鈴木が二盗。捕手岡崎が二塁へ送球する間にルナが本盗して3点目を献上した。2回表には田中にライトスタンドにソロホームランを打たれ、3回表には丸のセカンドゴロを大和が弾き出塁を許すと、ルナのセカンドゴロで二進。丸には三盗を許し、松山の犠牲フライで5点目を与えた。カープの先発ジョンソンの前に3回までノーヒットに抑えられていたが、4回表、先頭の鳥谷が一塁ルナのミットをかすめるライト前ヒットで出ると続く江越もレフト前ヒットで続く。ここで福留がセンター前にタイムリー。丸が後ろにそらす間に2点目を奪い、福留は三塁へ。ゴメス、中谷と歩いて無死満塁と攻め立てたが、北條は三振、代打原口は併殺打で逆転のチャンスを逸した。4回以降は藤浪は立ち直り、13奪三振を記録。しかし150球を越える熱投も8回表に力尽きた。ヒットのルナの代走赤松は藤浪のプロ入り初ボークで二進。しかし牽制球で釣りだしてタッチアウトに。2死から鈴木への死球、安部のライト前ヒット、石原への四球で満塁とされると、代打岩本がライト前にヒット。福留が雨にぬれた芝生に足を滑らせ、球はフェンスまで届く。その間に満塁の走者はすべて生還。岩本の三塁打で大きく引き離された。カープは8回からジャクソン、今村とつないで逃げ切った。タイガースは9回表、二番手石崎が四球で走者を出すも無失点。エラーがらみの失点が試合を決した。
◎カープ14回戦……1-7
先制したのはタイガース。カープ先発岡田から2回裏に先頭の中谷の一二塁間への当たりは二塁菊池が好捕するも間に合わず内野安打に。続く北條がライト前ヒットで続き、岡崎も一塁線を抜くタイムリーヒット。さらに能見が歩き無死満塁に。しかし西岡がサードゴロで本封。鳥谷はショートフライ、江越は空振り三振とビッグチャンスをものにできなかった。タイガースの先発能見は直後の3回裏、菊池と丸の連打で走者をためると、新井貴のレフトスタンドに飛びこむ3ランホームランであっさりと逆転を許した。3回裏、先頭の福留が二塁打で出ると、暴投で三進。しかしゴメスの強い当たりはサードライナー、中谷、北條は連続三振で反撃できず。能見は5回表、先頭の田中を死球で出すと、菊池のバント、丸のライト前タイムリーヒットで追加点を与え、6回4失点で降板した。7回表、二番手榎田が先頭の丸にハックスクリーン右にソロホームランを打たれると、ヒットの新井を置いて鈴木にレフトスタンドに2ランホームランを浴び、試合は決した。7回からカープは継投。ヘーゲンズ、今村、一岡がタイガース打線を抑え逃げ切り。タイガースも8回から高橋聡、石崎がそれぞれ抑えただけに序盤でのチャンスをものにできなかったのが大きかった。
◎カープ15回戦……0-9
岩貞が乱調。1回表、田中、菊池、丸に四球を与えて無死満塁。ルナのレフト前タイムリーヒットで1点先制されると、新井貴にはセンター前に弾き返されてさらに2点を追加された。この回は後続を断ってなんとか2度目の満塁の危機をしのいだが、2回表にも打たれる。田中に内野安打と岡崎のパスボール、菊池のセンター前ヒットで無死一三塁とされ、丸のセカンドゴロの間に1点を追加される。さらにルナのタイムリーヒットで1点を与える。ここで岩貞は降板。二番手石崎は新井貴、鈴木に四球で満塁とされ、2死後、會澤にセンター前に2点タイムリーヒットを打たれると、戸田にもライト前にタイムリーヒットを打たれ、5点のビッグイニングを作られてしまった。3回は榎田が抑え、四番手の安藤は4回は抑えたが5回表に丸にバックスクリーン左にソロホームランを打たれてダメ押しの9点目を与えた。6回からはマテオが2イニングすべて三振でアウトを取り、8回には藤川が走者を出しながらも無失点でしのぐ。9回はドリスが抑えて、勝ちパターンのリリーフ陣は好調カープ打線をしっかりと止めた。これが収穫か。打線は戸田の前に狙い球を絞りきれず。4回裏1死から江越が二塁打を放つも、福留のヒットで生還できず、ゴメス、中谷が凡退。8回にもチャンスを作るがあと1本が出ず、プロ入り初完封勝利を許し、このカード3連敗。
愛すれどTigers週間MVP
投手……青柳晃洋 初物と変則投手に弱いジャイアンツ打線に、「クォータースロー」の荒れ球ルーキーがみごとにはまった。ボール球を振らせ、まさに翻弄した。先発陣総崩れの今節、唯一安心して見られる投球を披露してくれた。他のチームにも通用するか。次の登板に注目だ。
野手……福留孝介 孤軍奮闘とはこのことか。最年長の四番打者にばかり負担をかけるんじゃない。
金本監督の選手を突き放すコメントが顕著になってきた。特に若手には厳しい。しかし、打線を固定せず日替わりで役割が変わるとなると、選手も戸惑うだろう。今は金本監督も監督の役割に迷いが出ているのだろうか。選手を試す時期は過ぎた。未来の四番打者を育てるためには、どんなに打てなくても辛抱して四番に据え続けることだ。ファイターズの中田もベイスターズの筒香もそうやって四番打者らしくなっていった。
次節は長野と神宮でスワローズと2連戦したあとオールスターゲームが2試合。藤浪と岩貞は勝敗を気にしなくてよいこの球宴でのびのびと本来のピッチングを取り戻してほしいものだ。
(2016年7月11日記)