愛すれどTigers


鳥谷がついにスタメン落ち

 オールスター明けの後半戦は甲子園球場のジャイアンツ3連戦から始まる。初戦はメッセンジャーの好投を打線が見殺しに。第2戦は能見がめった打ちを食らい、第3戦は青柳が好投しながらも打線の不振と継投の失敗で3連敗。しかも、西岡が右アキレス腱断裂で今季の出場は絶望となってしまった。マツダスタジアムでのカープ戦は、初戦が藤浪が打たれ、第2戦は岩崎が打たれ、カープ黒田の日米通算200勝のアシストをしてしまった。第3戦はついに鳥谷がスタメンから外れ、連続フルイニング出場の記録も途切れた。しかし、これで若手たちが奮起したかメッセンジャーが打ちこまれてもカープのリリーフ陣を攻めて連敗ストップ。島本がプロ入り初勝利をわずか1球で手に入れた。今節は1勝5敗。今季通算では38勝52敗3分の勝率.422で最下位。首位のカープとは17.5ゲーム差。2位ジャイアンツとの差は7.5差と大きく広がった。

◎ジャイアンツ14回戦……1-2
 メッセンジャーとマイコラスの投手戦。2回裏、2死からゴメスがレフト線に二塁打を放ち、高山のセンター前ヒットでホームを突くもタッチアウト。3回表、先頭のギャレットに二塁打を打たれ小林誠のセカンドゴロで1死三塁とされるも、マイコラス、橋本到を連続三振に取ってお互い譲らず。先制したのはタイガース。4回裏、1死から江越が相手の意表を突く三塁前のセーフティバントで出塁し、すかさず二盗。福留は三振に倒れたが原口のレフトフェンス上に当たる二塁打はギャレットのまずい守備にも助けられてタイムリーとなる。6回表、小林誠の右中間への当たりを江越がダイビングするも届かず三塁打にしてしまう。ここもマイコラス、橋本到を連続三振に取り、山本をファーストゴロに打ち取ったが、ゴメスがこぼし慌てて一塁に送球するもそらしてしまい内野安打で同点とされてしまう。メッセンジャーはこのあとも踏ん張り、8回無失点と素晴らしい内容。しかしマイコラスも好投して7回1失点でマシソンにの運度を譲り、マシソンも8回裏を抑えた。9回表、ドリスが登板。先頭の山本にセンター前ヒットを打たれると、代走に鈴木尚。坂本勇はショートゴロに打ち取ったが、鳥谷の二塁へのふわっとしたトスをついて鈴木尚が二塁ベースに一瞬早くついてフィールダーズチョイスに。無死一二塁のピンチで、長野がバントを失敗してフルカウントになったところで二塁走者の鈴木尚がドリスの牽制に釣り出される。鈴木尚は帰塁したが、二塁に到達していた坂本勇がタッチアウト。長野はピッチャーゴロで鈴木尚は二塁に釘付け。しかし、阿部に初球を三遊間に転がされタイムリーヒットとなって、大きな1点を入れられた。9回裏は澤村で逃げ切られ、好投のメッセンジャーをまたも見殺しにしてしまった。
◎ジャイアンツ15回戦……1-6
 タイガースの先発能見が2回につかまる。阿部、村田と連続三振に取りながら、ギャレットに当たりそこねのセンター前ヒットを打たれ、小林誠にもセンター前に弾き返される。内海のサードゴロは北條が大きく弾くエラーで2死満塁に。橋本到のライトへのフライはファールゾーンから風に押し戻されてフェアゾーンに落ちる二塁打となり、2点を先制された。さらに3回表、1死から長野と阿部に連打を浴び、村田に左中間フェンスを直撃する二塁打でさらに2点を失う。2死後、小林誠を敬遠。しかし内海にも四球で満塁とされ、橋本到にライト線へ二塁打を打たれて2失点。3回途中6失点で能見は降板。プロ入り初先発マスクの坂本誠も退き、松田と原口のバッテリーに。坂本勇をサードゴロに打ち取ってなんとか嫌な流れを断ち切った。松田は5回まで投げて無失点と結果を出す。内海の前に沈黙していたタイガース打線だったが、5回裏2死から原口のセンターバックスクリーンに飛びこむソロホームランで一矢報いる。さらに西岡のヒットと鳥谷の四球でチャンスを作るも江越はセンターフライに倒れる。タイガースは6回以降、安藤、榎田、高橋聡、マテオのリレーでジャイアンツを抑えこんだが、打線は7回まで内海の前に凡打の山。8回裏は山口から西岡のヒットのみ。9回裏には宮國で逃げ切られ、連敗。
◎ジャイアンツ16回戦……2-6
 タイガース先発の青柳が2回表、阿部と村田の連続ライト前ヒットでピンチに。ギャレットのファーストゴロを一塁原口が二塁併殺を狙い村田を二封。しかし、鳥谷の一塁への送球をベースカバーの青柳が取れず後逸し、その間に阿部が生還、1点を献上する。小林誠を歩かせて田口のバントで2死二三塁とピンチが続いたが橋本到を三振に取って最少失点にとどめた。直後の2回裏、ジャイアンツの先発田口から中谷がレフト線に二塁打を放つと、梅野のセカンドゴロで三進。2死後、西岡がレフト前タイムリーを放ち同点とする。しかし、西岡は一塁ベースの手前で転倒。動くことができず担架で退場。アキレス腱断裂とのちに判明した。代走に大和が入り逆転を狙うが、鳥谷はセカンドゴロで流れをつかめない。青柳は荒れ球でジャイアンツ打線を翻弄。田口はコントロールが定まらず、四球でチャンスを何度も作るが得点に至らず。5回裏、1死から江越、福留の連打でチャンスを作ると、田口は降板。二番手田原誠に対し、原口は四球で満塁とするも北條の強い当たりのサードゴロは村田に好捕され併殺。6回表、坂本勇を歩かせ2死一塁としたところで阿部のセンター前ヒットで一二塁に。村田のライト前に落ちるタイムリーヒットで1点を失うと、青柳は降板。二番手高橋聡がギャレットにライトスタンドに3ランホームランを打たれて、試合はほぼ決した。タイガースは7回から安藤、マテオとつなぎ、ジャイアンツも宮國、マシソンの継投でタイガース打線を抑える。9回表、島本が二塁打の村田を置いて2死から中井に右中間を破る三塁打を打たれ、決定的な1点を追加された。9回裏、ジャイアンツは山口を投入。甲子園は観客席で六甲おろしを歌うという異様な応援。しかしその思いに応えるように、代打狩野が左中間スタンドにソロホームランを叩きこみ、意地を見せた。しかし反撃もそこまで。スタメンを外された代打ゴメスも力なくセンターフライに倒れた。
◎カープ16回戦……2-4
 初回は三者凡退と上々の滑り出しを見せた藤浪が2回裏につかまる。先頭のルナにヒットを打たれると、松山三振の間に二盗。鈴木にセンター前タイムリーヒットを打たれ、鈴木が二盗を試みると捕手梅野の悪送球で三進。安部のライト前タイムリーヒットで2点を失う。続く石原のヒット、野村のバント、田中への四球で2死満塁と苦しむが菊池を三振に取って大量失点は防いだ。3回裏にはライト線へ三塁打したルナを松山のレフト前タイムリーヒットで返されて3点差に。タイガースは直後の4回表に反撃。最多勝レースのトップを走る野村に対し、二塁打で出た福留を鳥谷がライト線へ久々のタイムリー二塁打で返して1点を返す。5回裏、ヒットのルナ、四球の鈴木、ヒットの安部を背に2死満塁から石原に押し出しの四球を与え、藤浪は6回4失点で降板。リードをもらった野村は6回で降板。7回表、二番手ヘーゲンズから鳥谷の四球、代打緒方のヒットで2死一三塁とし、高山の内角をうまくさばくレフト前に落ちるタイムリーヒットで1点を返したが、反撃もここまで。タイガースは安藤、マテオの継投でカープ打線を抑えたが、カープは8回をジャクソン、9回を中崎で締めて逃げ切り。カープ戦の連敗を8にのばしてしまった。
◎カープ17回戦……0-7
 カープ黒田の日米通算200勝がかかった試合。その雰囲気に呑まれたか、タイガース岩崎の球にはいつもの切れがない。1回裏、いきなり田中と菊池を歩かせ、ルナにレフトスタンド最前列に先制の3ランホームランを叩きこまれた。3回裏にはヒットの菊池を置いて丸にレフトオーバーの三塁打を打たれ、さらに1点を追加されると、ルナには死球。新井貴のレフト前タイムリーで1点追加。ここで岩崎は降板し、松田が登板。鈴木にレフト前にタイムリーヒットを打たれ、下水流はショートゴロ併殺に取ったものの三塁に新井貴を残し、石原にもタイムリーヒットを打たれてこの回4点を得しなう。タイガース打線は初回に緒方のヒットなどでチャンスを作るもゴメスがバットを併おられる内野ゴロでそのチャンスを生かせない。先頭打者は再々出るのだが、黒田のコーナーに投げ分ける投球に翻弄され、7回無失点と勝利投手の権利を持ったまま黒田は降板。タイガースは島本、高橋聡、藤川とつないでカープ打線を抑えるも時すでに遅し。カープの今村、一岡のリレーの前に完封負けを喫してしまった。これで黒田は200勝達成。なお、その黒田から7回表に坂本誠がプロ入り初安打を記録。梅野、原口に負けじと存在感を示した。
◎カープ18回戦……8-5
 タイガースのスターティング・ラインナップから鳥谷の名前が消えた。連続フルイニング出場の記録はとぎれたが、不振が続く鳥谷に対する金本監督にしかできない英断。タイガースの先発はメッセンジャー。1回裏、2死から丸を歩かせると、苦手の松山にライト線に二塁打を打たれ、2死二三塁とされる。新井貴にライト前に運ばれ、タイムリーヒットで1点を先制された。しかし、タイガース打線も奮起する。カープ先発中村恭から2回表に原口がレフトスタンド場外に運ぶ同店のソロホームランを放つと、1死後新井良がセンターバックスクリーンに勝ち越しのソロホームランを叩き込む。大和の二塁打、高山の内野安打などで2死一三塁と攻め立てたところで早くも中村恭は降板。九里が二番手に。ここは北條がショートゴロに打ち取られ、追加点はならず。しかし3回表、1死から福留と原口の連打でチャンスを作ると、ゴメスが三塁安部のグローブをかすめるレフト前タイムリーヒットで追加点をあげた。しかし、メッセンジャーがこの試合は味方の援護を守りきれない。3回裏、1死から丸と松山の連打、新井貴への四球で満塁とされ、鈴木のレフト前のテキサス性のタイムリーヒットで同点に追いつかれた。4回表、メッセンジャーと高山の連打、北條のバントを新井貴が三塁に送球するも間に合わず野選で無死満塁に。江越がレフトに犠牲フライを放ち再び勝ち越すも、後続を断たれて1点の勝ち越しに終わる。4回裏、先頭の代打西田にライトフェンスを直撃する二塁打を打たれると、田中に送られ、菊池のセンター前タイムリーヒットで同点に。丸の左中間の当たりはワンバウンドでレフトスタンドに入るエンタイトル二塁打で1死二三塁に。松山のサードゴロは新井良が弾き、その間に菊池が生還してリードを許す。なおも新井貴の四球で満塁とされたが、なんとか後続を断ち大量失点は防いだ。汗だくのメッセンジャーは5回裏、西川のヒットと菊池への四球で2死一二塁とされ、無念の降板。二番手島本の初球を丸が打ちファーストゴロに仕留められ、ピンチを脱した。6回表、5回から登板の一岡を捕まえる。荒木郁がセカンドへの内野安打で出ると、1死後、北條との間にエンドランを決め、レフト前ヒットで1死一三塁に。2死後、福留が歩いて満塁とすると、四番手ヘーゲンズと交代。原口が叩きつけるバッティングでショートの頭を超えるレフト前2点タイムリーヒットで逆転した。続くゴメスはセカンド内野安打でまたも満塁とし、代打鳥谷が一二塁間を襲うセカンドへのタイムリー内野安打で2点差に広げる。タイガースは6回からマテオが2イニングを無失点で切り抜けると、8回表には五番手オスカルから江越がいきなりライト線へ三塁打。福留、ゴメスの四球で1死満塁とし、鳥谷の押し出し死球で3点差に広げる。8回裏は藤川がヒットで走者を許しながらも丸、松山を連続三振に取るなどして切り抜け、9回裏にはドリスで逃げ切り、連敗を止めた。ヒーローインタビューは同点ホームランと決勝タイムリーの原口。

愛すれどTigers週間MVP
投手……マルコス・マテオ
 敗戦処理も勝ちゲームでも得意のスライダーが切れて無失点。中継ぎとして申し分のない働きをした。これでは新外国人サターホワイトの出番がない。一軍復帰後、しっかりと自分のポジションをつかんだといえる。
野手……原口文仁
 今節は梅野がマスクをかぶる機会が多く、ゴメスに代わって一塁を守ったりもしたが、キャッチャーとして大きく育ててほしい。連敗脱出の試合での特大のホームランを見ると、若手では一番のスケールの大きさを感じさせた。

 次節は甲子園で6連戦。最初は最下位を争うスワローズ、次いでタイガースに劣らず不調の続くドラゴンズ。前節は上位チームに立て続けにあたり苦戦したが、次節は目のすぐ上にいる相手。ここで団子状態の中からaクラス浮上のきっかけをつかんでほしい。鳥谷がどのように起用されるかわからないけれど、本調子に戻るまでは大和との併用が続くだろう。大和もこの機会にショートの定位置をつかむくらいの気持ちで競争してもらいたい。

(2016年7月25日記)


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