長期ロード前の甲子園球場6連戦は「ウル虎の夏」として黄色の特別ユニフォーム。まず最下位争いをしているスワローズを圧倒。初戦は岩貞が先制されたが久々のゴメスの爆発などで先勝。第2戦は能見が今季初完封。第3戦は青柳が好投し、打線が大量援護をして3連勝。続くドラゴンズ戦は、初戦が藤浪が打たれ伊藤準の好投の前に連勝を止められたが、第2戦はメッセンジャーの力投と福留の地震二度目となるサイクルヒットなどで流れを引き戻し、第3戦は岩崎の粘りの投球に打線がこたえて逆転勝利で2勝1敗。今節は5勝1敗。今季通算では43勝53敗3分の勝率.448で4位に浮上。首位のカープとは15.0ゲーム差。2位ジャイアンツとの差は7.0差と少し縮まった。
◎スワローズ14回戦……5-3
タイガースの先発は岩貞。1回表、大引、西浦の連打で無死一二塁とされる。バレンティンは空振り三振に取ったが、山田にライトポール直撃の先制3ランホームランを打たれた。しかし、2回以降はチェンジアップを有効に使い、追加点を許さない。タイガース打線はスワローズ先発石川の老獪な投球に苦しんだが、4回裏1死から福留がセンター前ヒットを放つと、続く原口がライト線に二塁打で1死二三塁とする。ゴメスの当たりはライト前に落ちるタイムリーヒットとなり1点を返すと、新井良が三塁線を破るタイムリー二塁打で1点差に迫った。大和はスクイズを敢行するもファールとなるが、その失敗の穴を埋めるようなライトへの犠牲フライでついに同点に追いついた。両先発はその後一歩も引かず、ともに7回を投げ切ってリリーフに後を託す。8回表、藤川が大引から日米通算1000奪三振を記録。代打坂口のヒットなどで2死一二塁とされたが、バレンティンを往年の火の玉ストレートを思わせる速球で空振り三振に取りピンチを脱した。8回裏、スワローズはルーキをマウンドに送る。1死からセンター前ヒットの原口を置いてゴメスが待望の勝ち越し2ランホームランをバックスクリーン左に打ちこみ、9回表はドリスが締めて連勝。ヒーローインタビューは決勝ホームランのゴメスと1000奪三振を記録して勝利投手となった藤川。
◎スワローズ15回戦……9-0
タイガースの先発は能見。2回表、先頭のバレンティンに四球を与え、大引、西浦の連打で無死満塁とされるが、ジェフンを空振り三振に取ると、中村のファーストゴロはゴメスが本塁に送り、原口から一塁に転送されて併殺打。無失点で切り抜けた。スワローズの先発杉浦の前に走者を出しても返せなかったタイガース打線が4回裏に大爆発。江越のライト前に落ちるヒット、福留のレフト前ヒットで走者をため、原口がレフトスタンドに先制の3ランホームランを放つ。ゴメスがレフト前ヒットで続き、新井良の右中間をもう少しで破るセンター前ヒットで一三塁とし、荒木郁がプロ入り初打点となるライト前タイムリーヒットで4点目。能見が送って1死二三塁とし、高山のライト前2点タイムリーヒットで6点目。ここで杉浦は降板。二番手の中島から北條が四球を選ぶと、江越のライト前ヒットで1死満塁とし、福留が押し出し四球で7点目。原口が1イニング5打点となるレフト前2点タイムリーヒットを放ち、この回一挙9点を奪った。このあとゴメスのヒットでまたも満塁としたが、新井良は併殺打で猛攻はストップ。能見は味方の大量援護に応え、7回まで三者凡退を続ける。8回表に代打飯原と西田の連打で1死一二塁とされるも、比屋根、荒木貴と連続三振に取る。スワローズは岩橋、松岡のリレーで追加点を防いだが、9点差は重く、9回表、山田の内野フライを野手がお見合いして先頭打者を出してしまうが、バレンティンをライトフライに打ち取ると、井野をショートゴロ併殺に切って取って完封勝利。ヒーローインタビューは5打点と好リードの原口と完封した能見。
◎スワローズ16回戦……10-5
タイガースの先発青柳は3回までパーフェクト投球。しかし4回表、2死から山田にヒットを打たれ盗塁を許すと、バレンティンのセンター前タイムリーヒットで1点を先取された。しかし、タイガース打線はすぐに反撃。スワローズの先発小川に対し、4回裏1死から福留がライトオーバーの三塁打を放つと、原口のセンター前タイムリーヒットで同点に追いつく。さらにゴメスが左中間スタンドに勝ち越し2ランを叩きこむ。続く新井良が二塁打で出、小川の暴投で三進。北條がスクイズを決めてこの回4点を奪った。5回裏には先頭の高山がライト線に二塁打を放つと、荒木郁が送り、江越の死球と福留の死球で満塁に。ここでまたも原口があわやスタンドインかというレフトオーバーの二塁打で走者を一掃。またもゴメスが今度はバックスクリーンに2ランホームランを放りこみ、8点差をつけた。しかし、青柳が突如6回表に崩れる。上田、坂口、山田に三者連続四球で無死満塁としたところで降板。二番手安藤はバレンティンを三振に取ったものの今浪と大引に連続押し出し四球、森岡のショートゴロは併殺崩れとなり、さらに1点を追加され、ノーヒットで3失点。7回表には三番手高橋聡が西浦に二塁打を打たれ、坂口のレフト前タイムリーヒットで1点を返された。このピンチにマテオが登板、山田を浅いレフトフライに打ち取り、バレンティンは歩かせたが今浪をセカンドゴロに打ち取り、スワローズ打線を止める。スワローズは6回から成瀬がタイガース打線を抑えたが、8回裏、三番手の平井から北條が右中間に二塁打。鳥谷のライト前ヒットで無死一三塁とし、鳥谷盗塁。1死後、大和のライトフライは上田が取れずに二塁打となり、1点を返した。タイガースは点差はあったが8回表を藤川、9回表をドリスにまかせ、逃げ切った。ヒーローインタビューは来日初の1試合2ホーマーを放ったゴメスと満塁で走者を一掃するなど4打点をたたき出した原口。
◎ドラゴンズ16回戦……1-3
タイガースの先発は藤浪。初回2者連続三振を取るが、エルナンデスにライト前ヒットを打たれると、ビシエドは弱い当たりのサードゴロ。これを新井良が取れず内野安打にしてしまう。そして平田にレフトスタンドに先制3ランホームランを打たれた。このあと、今季初めて組んだベテラン鶴岡のリードにも引っ張られて7回まで投げて13奪三振と抑えただけに、初回の失点は痛かった。ドラゴンズの先発は伊藤準。手元で微妙にずれる球にタイミングが取れず、4回までノーヒット。しかし5回裏、福留が初安打をセンター前に落とすと、2死後北條、代打原口が四球で満塁に。しかしそのまま打席に立った藤浪が見逃し三振でチャンスを逸した。6回裏、1死から荒木郁のヒットと代打緒方の右中間への二塁打で二三塁のチャンスを作る。ここで二番手左腕岡田に交代。福留のショートゴロの間に荒木郁が生還し1点を返すが、三番手祖父江に対しゴメスは空振り三振。打線がつながらない。7回裏には四番手山井から新井良がヒットを打つも、2死後代打に出た鳥谷は五番手岩瀬に三振にとられる。8回表、松田が抑え、9回表は高橋周のヒットなどで2死一二塁とされると、島本と交代。島本は大島を三振に取って味方の反撃を待つ。しかし9回裏は田島に対して福留の内野安打で食い下がるが、ゴメス、狩野が連続三振。北條はショートゴロで試合終了。伊藤準の好投と小刻みな継投で連勝を止められた。
◎ドラゴンズ17回戦……8-2
先制したのはタイガース。ドラゴンズ先発吉見から2回裏に福留がライトスタンドにソロホームラン。さらに4回裏、先頭の福留がセンター前ヒット。1死後、ゴメスのピッチャーゴロで二進し、新井良の四球で一二塁とすると、北條のライト前に落ちるヒットで福留が一気にホームを突いて2点目を奪う。5回裏、先頭の高山がライトスタンドにソロホームランを放つと、ヒットの荒木郁を緒方が送り、福留のライトオーバーのタイムリー三塁打で返す。続く原口はセンター前に落ちるタイムリーヒットでこの回3点を奪って吉見をノックアウトした。タイガースの先発メッセンジャーは毎回のように走者を背負いながらしのいできたが、6回表にビシエドにライトスタンドにソロホームランを打たれて1点を返された。しかし6回裏、二番手山井に対し1死からメッセンジャーがセンター前ヒットを放つと、高山のヒットと荒木郁の四球で満塁とし、福留の左中間を破るタイムリー二塁打で走者一掃。決定的な3点を奪った。福留はこの二塁打で自身2度目のサイクルヒットを史上最年長で達成した。7回表、メッセンジャーは苦しむ。先頭の堂上直にライト前ヒットを打たれると、藤井、代打亀澤は続けて内野ゴロでそれぞれ二封し得点圏には進ませなかったが、大島にライト線を破るタイムリー二塁打を打たれてしまう。さらに工藤のヒットとエルナンデスへの四球で満塁と迫られたが、ビシエドを空振り三振に取ってピンチを脱した。ドラゴンズは7回は阿知羅、8回は左腕小川でタイガース打線の勢いを止めたが、タイガースも8回から安藤、島本とつないで逃げ切った。ヒーローインタビューは先発勝利のメッセンジャーとサイクルヒットの福留。
◎ドラゴンズ18回戦……6-1
タイガースの先発は岩崎。2回表、ビシエドの二塁打、福田のヒットで1死一三塁とされ、堂上直のセンター前タイムリーヒットで1点を先制されたが、桂、ジョーダンを連続三振に取って最少失点にとどめた。3回以降は低めに球を集め、5回表に許したジョーダンのヒットのみにとどめる好投。しかし打線はドラゴンズ先発ジョーダンの速球に押され、6回までわずか2安打に抑えられる。7回裏、先頭のゴメスがヒットで出るも江越は併殺。またも抑えられるかと思われたが、中谷がセカンドエルナンデス強襲のヒットで出ると、北條がレフト前ヒットでつなぐ。2死一二塁から、代打狩野がレフト線に走者一掃のタイムリー二塁打を放ち逆転。8回表は藤川が三者凡退で切り抜ける。8回裏、二番手祖父江を襲う。先頭の荒木郁が四球で出ると、代打鳥谷がレフト前ヒット、原口の四球で無死満塁に。ゴメスが右中間を破る2点タイムリー二塁打を放つと、三番手岡田から福留が犠牲フライで1点を追加。中谷のファーストフライをビシエドが落球して一三塁とし、北條のライト前タイムリーヒットで決定的な1点を追加した。9回表は故障のドリスに変わって昇格した新外国人サターホワイトが登板。ヒット2本を許したが、なんとか無失点で逃げ切った。ヒーローインタビューは勝利投手の岩崎と決勝タイムリーの狩野。
愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 今季初完封。負傷離脱者の多いスワローズ打線とはいえ、山田、バレンティンを抑えこんでの完封には価値がある。今ひとつ波に乗り切れていないベテラン左腕。これをきっかけに一気に乗っていってほしい。
野手……福留孝介 ゴメス、高山、原口と候補はいるが、ここは自身2度目となる史上最年長でサイクルヒットを達成した福留を讃えたい。これまで孤軍奮闘の観があったが、ついに打線がつながるようになり福留の活躍が勝利に結びつくようになった。
次節は長期ロード突入。まずは横浜スタジアムでベイスターズと、続いて神宮でスワローズとそれぞれ3連戦。ベイスターズは好調。特に筒香の神がかり的な打棒にどう対応するか。神宮でのスワローズ戦はいささか分が悪いが、甲子園での3タテを再現して一気に浮上していきたい。鳥谷はまだ先発復帰できず、主に北條がショートを守っているが、北條にはここから定位置を奪い取るくらいの活躍を望みたい。二番セカンドで固定されている荒木の成長ぶりも見もの。ユニフォームの色が変わってまた弱くなったなどと言われないようにしてほしいところだ。
(2016年8月1日記)