今節でシーズンも終了。甲子園球場で3試合。まずはスワローズ戦。苦手山中から北條と荒木郁のタイムリーでリードし、小刻みなリレーで1勝。3日おいてジャイアンツと2連戦。初戦は藤浪が好投。リリーフの岩崎が失点するも抑えの澤村を打ち崩して俊介のサヨナラ犠飛で先勝。第2戦は岩貞が無失点の安定した投球を見せ、打線が大竹と高木勇を打ち崩し、福原の引退登板を勝利で飾る。2勝して終盤7連勝でシーズンを終えた。今節も3勝0敗。今季通算では64勝76敗3分の勝率.457で4位。優勝したカープとは24.5差と離されたが、2位のジャイアンツとは7差。3位ベイスターズとは5差と縮めて来季に期待をもたせた。
◎スワローズ25回戦……4-3
先制したのはタイガース。1回裏、苦手の山中から先頭の板山が初球を叩いてライトオーバーの三塁打を放つと、続く北條がレフトオーバーのタイムリー二塁打で1点を奪う。高山のセカンドゴロで三進するも、福留はピッチャーゴロで北條は三本間にはさまれたが、捕手西田がボールをこぼして帰塁。福留はセカンドに進む。しかし、ゴメスは三振、鳥谷はセカンドゴロで追加点ならず。タイガースは青柳が先発。コントロールも安定し好投。しかし3回表、西田を歩かせ山中のバントで二進。坂口のファーストゴロで三進され、川端の三塁線を抜くレフト前タイムリーヒットで同点に追いつかれた。しかしバレンティンの痛烈なライトライナーを福留がダイビングキャッチして逆転は許さず。青柳も山中も一歩も譲らぬ投手戦を続けたが、7回表に先頭の西浦にレフト前ヒットを打たれると二盗を許し、1死後、山中の投手前バントを青柳は一塁に悪送球し、オールセーフで一三塁に。ここで青柳は降板。二番手岩崎は坂口をショートゴロに打ち取って西浦を本塁で刺す。川端のサードゴロを鳥谷がトンネル。山中が生還して1点のリードを許した。しかし岩崎は山田を歩かせたもののバレンティンを三振に取って追加点は許さず。7回裏、先頭の代打荒木郁がライト前ヒットで出ると、代打俊介が送り、板山は四球で1死一二塁に。ここでスワローズも山中をあきらめ平井が登板。北條は三振に倒れたが高山がセンター前タイムリーヒットで同点に。8回表、三番手山本翔が先頭の雄平にレフト前ヒットを打たれ、サターホワイトに交代。代打荒木貴のバントで二進。2死後、西田のセンターオーバーのタイムリー二塁打でまたもリードを許した。8回裏、三番手ルーキが登板。1死から鳥谷と代打原口の連打でチャンスを作ると、荒木郁が一塁荒木貴のミットを弾きライト線に抜けるタイムリー二塁打で同点に。1死二三塁で梅野はスクイズバントを試みるがファール。ヒッティングに切り替え前進守備のセンターの頭を越すタイムリーヒットでついに勝ち越した。9回表はマテオが三者凡退で逃げ切り、5連勝を果たした。ヒーローインタビューは20セーブを記録したマテオ、同点打の荒木郁、決勝打の梅野。
◎ジャイアンツ24回戦……2-1
藤浪と内海の投手戦。藤浪はチェンジアップを有効に使い、6回まで投げて1安打1四球7奪三振無失点と今季最後の登板をいい形で締めた。内海はタイガースの若手主体の打線に対し追いこんでからのフォークを振らせる好投。こちらは7回を投げて3安打無失点。タイガースは7回表から継投。能見がきっちり三者凡退で抑える。8回表は安藤が先頭の村田を見逃し三振に抑えると、続く堂上剛に対しては左の岩崎をつぎこむ。これが裏目に出た。堂上剛にレフト前ヒットを打たれると、小林誠にバントで送られる。代打長野の前進守備のセンターの頭を越すタイムリー二塁打でついに1点を先取。岩崎は立岡に死球を当てピンチが続いたが代打相川をセカンドゴロに取って追加点は阻んだ。ジャイアンツは8回裏にマシソンを投入。9回表、タイガースの五番手金田は先頭の亀井のサードフライを鳥谷が落球してピンチを迎えるが、橋本到にバントで二進された。それでもクルーズは内野フライ、村田はサードゴロとまたも追加点を阻む。9回裏、ジャイアンツはクローザー澤村で逃げ切りをはかるが、1死から高山の投手強襲のヒットを足場に、原口のレフト前ヒットで高山は一気に三塁を陥れる。代打福留が初球を叩いて同点のレフト前タイムリーヒットを放つと、鳥谷のライト前ヒットで満塁に。俊介の浅いセンターフライで原口がホームインし、サヨナラ勝ちを決めた。ヒーローインタビューはサヨナラ犠牲フライの俊介。
◎ジャイアンツ25回戦……6-0
ジャイアンツの先発大竹を初回からとらえる。先頭の北條がセンター前ヒットで出ると、2死後、原口がレフトフェンス直撃の二塁打を放つ。北條がいったんホームインしたが、打球がフェンスのラバーにはさまりボールデッドとなったという審判の判断で三塁にもどされた。ここでゴメスがセンター前に先制の2点タイムリーヒットを放つ。2回表には先頭の板山がセンター前ヒットで出ると、続く俊介がセンター前に落ちるテキサスヒットで板山は一気に三進。無死一三塁から岩貞がバントを決めて俊介は二進。北條の浅いセンターフライで板山が思い切ってホームを突き、犠牲フライとなって3点目を奪う。タイガースの先発岩貞は2回表に2死二三塁のピンチをクルーズのショートフライで切り抜けると、味方の援護もあってジャイアンツ打線を手玉に取る。速球とチェンジアップを巧みに操り、7回2死まで走者を許さない。7回表2死から中井と代打相川の連打で一三塁とされたが實松をサードゴロに打ち取り、10勝目の権利を持ってマウンドを降りる。大竹は4回3失点で降板し、5回から宮國が無失点の好投。しかし、7回裏からマウンドに上がった高木勇をとらえる。先頭の代打福留がライト前ヒットを放つと、北條のレフト線への二塁打で無死二三塁とし、上本がセンターオーバーのタイムリー二塁打で2点を追加。8回表、引退登板の福原が立岡をレフトフライに打ち取り、現役最後の投球を終えた。三番手安藤は長野に二塁打を打たれたものの後続を断つ。8回裏、続投の高木勇から大和がレフト線に二塁打を放ち、中谷のセンター前ヒットで一三塁とすると、福留のセンターへの犠牲フライでダメ押しの1点を入れた。9回表には新人の望月がプロ入り初登板。先頭のギャレットを空振り三振に取り、代打亀井にはレフト前ヒットを打たれたが、中井をセカンドゴロに、代打堂上剛をショートゴロに打ち取って、上々のデビュー登板を果たした。また6回にはヒットの俊介の代走に植田が起用され、盗塁を試みるが刺されたものの、一軍デビューを果たした。試合終了後、福原の引退セレモニーが行われた。
愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 岩貞と違うんかというお声もあろうが、ここは引退登板ですべて速球勝負、立岡をレフトフライに打ち取り有終の美を飾った功労者に最後の勲章をあげたいやんいですか。ナインたちがみんな人目をはばからず泣いて送ったのも印象的。長年の労が報われたことでしょう。
野手……高山俊 北條の方がよく打ったというお声もあろうが、ここはタイガース新人最多安打記録を更新し、新人王を確定させた記録男を讃えたい。もし高山がくじでスワローズに行っていたらと思うとぞっとしませんか。
今季の振り返りはポストシーズンがすべて終わってから書くけれど、とにかく「超変革」の1年目は終わった。勝つことよりも戦力の見極めで1年間を通した金本監督の頑固さが、高山、北條、板山、中谷、原口ら未来の主軸を表舞台に立たせ、岩貞、望月といった新しいローテーション投手を生み出した。へたにクライマックス・シリーズに出るよりも、この悔しさを来季は歓喜に変えてくれると信じよう。最終試合のあいさつで、金本監督は「来年は見返す年にしたい」と宣言した。FAでバファローズの糸井を獲得しようとしているらしいが、補強よりも育成を貫いてほしいものだ。
福原忍投手、鶴岡一成捕手の両ベテランが引退し、筒井和也投手、鶴直人投手、二神一人投手、小嶋達也投手、岩本輝投手、坂克彦内野手、柴田講平外野手の中堅たちが戦力外通告を受けた。元タイガースではバファローズの白仁田寛和投手も戦力外通告を受けている。トライアウトで他球団との契約に向けて練習を始めた選手もいる。タイガースの一員として活躍した場面もあった彼らの今後に幸あらんことを願う。
(2016年10月3日記)