3月31日、マツダズームズームスタジアムで、タイガースは今シーズンの開幕を迎える。相手は昨シーズン優勝の広島東洋カープである。開幕投手はメッセンジャー。来日8年目で4度目の開幕投手である。さらに、能見、岩貞と左腕を並べて開幕ダッシュを狙う。開幕当初のローテーションは、このあと藤浪、青柳、秋山と続く。オープン戦でふるいにかけられて残った顔ぶれである。むろん、秋山や青柳は一年間ローテーションを守ったことがないので、岩田、横山、そして新人の小野が虎視眈々と先発ローテーションに入ろうと狙っている。先発の手薄なチームならば実績やオープン戦の内容からいくと岩田はローテーションに入ってもおかしくない。さらに二軍で先発ローテーションに入っている竹安などにもチャンスは巡ってくるだろう。本格右腕、変則のアンダースロー、そして左腕とバラエティーに富んだ顔ぶれである。
中継ぎでは左腕でベテランの高橋、今季からリリーフにまわった岩崎、度胸満点の島本、経験豊富な高宮や榎田らがいる。スリークォータの山本などはワンポイント起用すれば面白い存在になるのではないか。右腕ではオープン戦で結果を出した桑原、若い速球派の松田と石崎、百戦錬磨の藤川、抑えもできるマテオに加え、ベテラン安藤、今季に賭ける歳内や守屋、ホークスから移籍のベテラン柳瀬に期待がかかる。抑えはドリスが現状では濃厚だが、故障からの復帰ということも考えると、局面によってはマテオや藤川を起用することもあるだろう。新外国人のメンデスが入れ替わりで昇格することも考えられる。
正捕手は梅野を固定してくるだろう。ただ、骨折が完治すれば坂本との競争になるだろうし、ベテラン岡崎も控えで終わるつもりはないだろう。新人の長坂にもチャンスがあるかもしれない。一塁にコンバートした原口も展開によっては捕手での起用も考えられる。
内野は競争が激しい。現状は一塁原口、二塁上本、三塁鳥谷、遊撃北條がレギュラーだが、スイッチヒッターに転向した守備の名手大和、走力ではトップクラスの荒木や植田、守備に定評のある森越、打撃での実績十分の今成と新井良、一発の魅力がある陽川、ドラフト1位の大山、即戦力の新人糸原ら多士済々のメンバーが控えている。これにアキレス腱断裂から復活を目指す西岡がシーズン中盤以降に加わるかと思うと、その競争の激しさは、ベテランの鳥谷もうかうかしていられない。あ、故障中で調整している新外国人のキャンベルも忘れてはならんぞ。
外野では勝負強くライト守備の名人福留と、FA移籍の超人糸井がセンター、昨シーズの新人王高山がレフトでレギュラー確定だが、古傷のある福留や糸井を休ませて、長足の進歩を遂げている中谷、代打の切り札狩野、守備と足だけならレギュラー間違いなしの俊介、長打力の江越、思い切りのよい打撃の板山や緒方、崖っぷちの伊藤隼らを交代で起用してもよい。
昨シーズンからの積み重ねで、選手個々のレベルが上がり、こうやって名前をあげても層が厚くなったと感じさせる。
ベテラン、中堅、若手がうまくかみ合えば、優勝を争えるところまで昨秋のキャンプから春季キャンプで金本監督も掛布二軍監督も選手を鍛え上げてきた。
FA3名に実績のある外国人補強をしたジャイアンツは若手の伸びが弱く、控え選手に不安がある。昨シーズン優勝のカープにあの勢いが残っているか。投手力が不安なスワローズ、新外国人頼みのドラゴンズなどとは互角以上の戦いができるだろう。怖い存在となるのはベイスターズか。若手の伸びと勢いは昨シーズンのカープを思い出させる。
どの解説者も「セ・リーグは混戦」とみる。その混戦から飛び出せるだけの精神力があれば、スローガン通り優勝に「挑む」ことができるだろう。若手の伸びに胸を躍らせる1年となりそうだ。
(2017年3月28日記)