今節は甲子園でジャイアンツ3連戦。往年の黒いユニフォームの復刻で臨む。初戦は秋山と菅野の息詰まるような投手戦も、菅野に完封をされて落とす。2戦目は能見と吉川光の投手戦で鳥谷の顔面に死球というアクシデントもあったが、こちらも息詰まる投手戦に。能見の早すぎる交代が裏目に出て、桑原が打たれ連敗。3戦目は鳥谷の代役キャンベルの来日初アーチなどで大竹を攻略し、メッセンジャーの好投で連敗を止め、1勝2敗。続いて甲子園でベイスターズ3連戦。初戦は藤浪が四球から自滅して敗れ、岩貞に続き藤浪も二軍降格。2戦目は青柳が荒れ球ながら要所を締め、糸井、福留、中谷のホームランで快勝。3戦目は新人の小野が味方の守備の乱れから崩れて敗れ、1勝2敗。今節は2勝4敗。今季通算27勝19敗で勝率.587で2位。首位カープとは1.0差。8つの勝ち越しで交流戦に向かうことになった。
◎ジャイアンツ8回戦……0-1
タイガース先発秋山とジャイアンツの先発菅野の投手戦。1回表、先頭の長野にショートへの内野安打を打たれたが、立岡の一塁ゴロで二封。立岡の二盗を梅野が阻止。坂本勇にはライト前ヒットを打たれたが阿部を三振に取って立ち上がりをなんとか無失点で切り抜けると、秋山は尻上がりに調子をあげる。1回裏、高山が四球で出、上本が送ってチャンスを作るも糸井はセカンドゴロ。高山を三塁に進めたが、福留はセンターフライとこちらも菅野の立ち上がりを攻めきれない。菅野も2回以降調子をあげる。3回裏には先頭の高山がヒットで出、またも上本が送るが糸井と福留はフライアウト。均衡が崩れたのは7回表。2死から石川に左中間を破る二塁打を打たれると、中井は敬遠気味の四球で2死一二塁に。ここで小林に高めに浮いた球をライト線に二塁打され、ついに1点を先制された。7回裏、先頭の代打キャンベルがセンター前ヒット。代打荒木のバントは菅野が二塁に悪送球で無死一二塁とチャンスを作るが、高山、上本、糸井と三者三振に倒れて同点機を逸した。8回表、二番手伊藤和は先頭の長野にヒットを許し、立岡のバントと坂本勇の二塁ゴロで2死三塁とされる。ここで高橋聡がマウンドに上がり、阿部を一塁ゴロに打ち取って失点を防いだ。ジャイアンツは8回裏をマシソンで抑え、タイガースは9回表を藤川で抑える。9回裏、クローザーのカミネロから糸原のレフト前ヒットでチャンスを作るも北條はスリーバント失敗で送れず。代打伊藤隼は三振に倒れるが、糸原がプロ入り初盗塁で二進。しかし高山はセンターフライで試合終了。緊迫した展開の好ゲームだった。
◎ジャイアンツ9回戦……1-3
タイガース先発能見とジャイアンツ先発吉川光の投手戦。1回表、先頭の長野を歩かせ、立岡のバントと坂本勇のセカンドゴロで2死三塁のピンチを招くが、阿部をファーストゴロに打ち取り切り抜けると、その後は6回2死から坂本勇にセンター前ヒットを打たれるまでノーヒットピッチングを続けた。一方の吉川光も4回まで走者を出さない投球を続けていたが、5回裏、先頭の福留がライト線へ三塁打を放ち、初めてのチャンスを作る。中谷は浅いライトフライに倒れ、打席には鳥谷。吉川光の球は鳥谷の頭部に。この死球で吉川光は危険球退場。二番手に急遽田原誠が上がる。鳥谷には糸原が代走で出て、代打伊藤隼。ピッチャーゴロで福留がホームを突くもアウトに。梅野はセカンドゴロで大きなチャンスを逸した。6回裏には高山のヒットで2死一塁としたところで、三番手森福に交代。糸井はファーストゴロでこの回も得点ならず。7回裏には1死から中谷のショートへの内野安打が出たが、糸原のバントはキャッチャー前に転がり、併殺に。8回表、一度は能見がマウンドに上がったが、代打相川が出ると桑原にスイッチ。その相川にライト前ヒットを打たれてしまう。長野のバントで代走重信が二進。代打亀井のライト前タイムリーヒットでジャイアンツに先制点を許した。坂本を歩かせたが、阿部のライトへの大きな当たりは福留が好捕。マギーもライトフライに打ち取り、追加点は与えず。8回裏、マシソンに抑えられ、9回表は藤川がマウンドに。石川の高いバウンドのピッチャーゴロは藤川が素手で捕りにいきこぼして内野安打に。中井のバントで二進され、小林のライト前ヒットで1死一三塁にされる。代打脇谷はファーストゴロで三塁走者を狭殺。2死二三塁とされたところで長野にセンターの頭を超える走者一掃のタイムリー三塁打を打たれてしまい、3点差とされた。9回裏、抑えのカミネロから上本がレフトスタンドにソロホームランを放ち一矢報いるも反撃はそこまで。糸井はライトフライ、福留は三振で試合終了。今回も能見の好投に打線がこたえることができなかった。
◎ジャイアンツ10回戦……6-1
不振の糸井を一番に、前日顔面死球の鳥谷にかわりキャンベルをサードに入れた新打線で臨む。ジャイアンツの先発大竹寛に初回から襲いかかった。先頭の糸井が久々にセンター前に落ちるヒットを放つと、上本が左中間を破るタイムリー二塁打で先制。1死後、福留の叩きつけた当たりのセカンドゴロは中井が取りそこね後ろにそらすエラーとなり、上本が生還して2点目。2死後、キャンベルがバックスクリーンに来日初ホームランを叩きこみ、この回一挙4点とメッセンジャーを援護する。審判の判定にいらついていたメッセンジャーは、2回表に先頭のマギーにセンター前ヒットを許すと、石川のサードゴロで二進。2死後、小林にセンター前タイムリーヒットを打たれて1点を返された。しかし、3回裏、先頭の福留がセンター前ヒットで出ると、中谷のサードゴロで二進。キャンベルが右中間を破るタイムリーヒットで1点を返すと、北條が歩き、梅野のレフト前タイムリーヒットでさらに1点を加えた。大竹寛はこの回限りで降板。この後は投手戦となる。ジャイアンツは4回から左腕の池田、6回から2年目の桜井がタイガース打線を抑え切る。しかしメッセンジャーは8回まで投げて10奪三振とジャイアンツ打線をしっかりと抑え、9回表はマテオが締めて連敗を止めた。ヒーローインタビューはハーラートップタイの6勝目をあげたメッセンジャーと、3打点の活躍を見せたキャンベル。
◎ベイスターズ7回戦……2-5
タイガースの先発藤浪は今回も荒れ球。1回表は桑原将と梶谷の連打、筒香への四球で1死満塁とされるも宮崎をショートゴロ併殺で切り抜ける。2回のみ三者凡退。5回まで毎回のように四球を出すがなんとか無失点で切り抜けていた。しかし6回表につかまる。1死から嶺井にヒットを打たれると暴投と田中浩のライト前ヒットで一三塁とされ、井納にライト前タイムリーヒットを打たれる。これを福留が弾く間に走者に二三塁と進まれ、ここで藤浪は降板。二番手の岩崎は倉本にライト前タイムリーヒットを打たれ、2点差に。2死後、梶谷にレフト前ヒットを打たれて満塁とされると、ロペスのレフトフライは目測を誤った伊藤隼が一度前に出てから背走、頭を越されて走者一掃の二塁打となり、5点差をつけられた。7回表からは三番手伊藤和が好投し、追加点は許さず。ベイスターズの先発井納の前に6回裏までヒットが出なかったタイガース打線だったが、7回裏、先頭の糸井が三遊間の深い当たりのショート内野安打で出ると、上本のレフトフライで一二塁とし、1死後、福留のライト前タイムリーヒットで1点を返す。なおも続いたチャンスを前に、キャンベルがショートゴロ併殺で波に乗れない。8回裏、二番手砂田に対し、2死から梅野が左足に死球、代打原口が歩き、糸井が久々のタイムリーとなるライト前ヒットで2点目を返した。ベイスターズは三番手三上が登板。上本はセンターフライに倒れて一気の攻めができない。タイガースは9回表に藤川が無失点でリズムを作るが、9回裏、山崎康の前に抑えられ、試合終了。藤浪の苦悩はまだまだ続く。
◎ベイスターズ8回戦……9-2
タイガースの先発は青柳。1回表、死球の桑原将が梶谷のセカンドゴロで二進。ロペスを歩かせ、筒香は三振に取ったが宮崎は三塁内野安打で2死満塁に。このピンチで戸柱を空振り三振に取って無失点で切り抜けたのが大きかった。ベイスターズの先発はクライン。3回裏、先頭の糸原がセーフティバントを試み、クラインが足にあててしまうエラーで出塁。岡崎の打席でクラインの牽制悪送球により糸原が二進。岡崎は死球で無死一二塁とする。青柳はスリーバントを失敗して走者を進めることができなかったが、糸井がライトスタンドに先制のスリーランホームランを運び、ミスを帳消しにした。続く上本はセンター前ヒットで出たものの盗塁死。それでもヒットの高山を塁に置き、福留がレフトポールを直撃するツーランホームランでこの回5点を奪う。4回裏、四球の糸原を岡崎が送り、青柳のセカンドゴロで三進。糸井の一塁線に高く弾んだ打球は内野安打となり、糸原が生還して1点を追加した。クラインはこの回限りで降板。青柳は5回表、梶谷のピッチャーライナーをとりそこね強襲ヒットとされると、ロペスの三塁ゴロをキャンベルが一塁へ大きく悪送球。球が転々とする間に梶谷が生還して1点を返された。無死二塁から筒香と宮崎を浅い外野フライに打ち取ったが、戸柱にセンター前に弾き返されるタイムリーヒットを打たれて2点目を失った。ベイスターズは5回裏は田中健が抑えたが、6回裏、三番手の加賀をタイガース打線が攻略。キャンベルが歩き、代走大和が偽走で揺さぶって糸原のライト前ヒットを生む。岡崎のバントで1死二三塁とし、代打鳥谷が歩いて満塁。糸井の一塁ゴロはロペスがバックホームするも送球が大きくそれて2点を追加した。8回裏、四番手の平田から中谷がレフトポール直撃のソロホームランでダメ押し。タイガースは7回を高橋聡、8回を伊藤和、そして9回を桑原謙とリレーしてベイスターズ打線を封じ、青柳は今季初勝利。ヒーローインタビューは一挙5点を叩きだしたスリーランホームランの糸井とツーランホームランの福留。
◎ベイスターズ9回戦……2-6
ベイスターズの先発は今永。2回裏1死から四球のキャンベルを置いて大和が左中間を破るタイムリー二塁打でタイガースが先制。タイガースの先発の小野は初回から筒香を三振に取るなど好投していたが、3回裏1死から倉本、桑原将を歩かせ、梶谷の一塁ゴロで二三塁とされる。ロペスは浅いセンターフライに打ち取ったかと思われたが、センターの糸井とショートの大和が交錯して、大和のグラブに収まりかけたボールが落ちる。2者が一気に生還し、逆転を許した。記録はロペスのタイムリー二塁打。筒香を歩かせ、宮崎にライト線にタイムリー二塁打を打たれると、戸柱にライトスタンドにスリーランホームランを打たれてこの回一挙6失点。小野はこの回限りで降板。タイガース打線も今永に球数を投げさせ、5回限りで降板となったため、あとはリリーフ陣の勝負となる。タイガースは4回は岩崎、5回からは藤川、7回は高橋聡、8回は伊藤和、9回はドリスと惜しげもなくリリーフ投手を投入。ベイスターズ打線の追加点を許さない。ベイスターズは6回は加賀が抑えるが、7回裏はパットンが打たれる。1死から糸井の四球と上本のレフト前ヒット、高山のセカンドゴロを石川が弾いて満塁に。ここでこの試合プロ入り初の四番に入っていた中谷がレフトへ犠牲フライを放ち1点を返す。しかし続く原口は三振で大量得点はならず。8回からは三上、9回は山崎康の必勝リレーにタイガース打線は封じられ、交流戦を前に首位の座をカープに明け渡した。
愛すれどTigers週間MVP
投手……高橋聡文 勝ちパターンだけでなく、ビハインドで流れを持ってくる好投を続けている。自分に与えられた持ち場で表情ひとつ変えずに結果を残す。ベテランとは思えない若々しい投球が光った。
野手……エリック・キャンベル 鳥谷が顔面死球で先発を外れた試合で大竹から来日第1号ホームラン。これで流れを持ってきて、連敗を止めた。また選球眼もよく、ベイスターズ戦では四球で出塁して打線をつなぐ役割を果たした。まだまだ数字的には物足りないけれど、控えで辛抱しながら出番を待ち、先発の機会をとらえたのはさすが。
次節から交流戦。まずはZOZOマリンスタジアムでマリーンズと3連戦。続いて甲子園でファイターズ戦。どちらもパ・リーグでは下位に沈んでいる。特にマリーンズはなかなか調子が上がらないまま。ここでしっかり弾みをつけて、一時のどん底を脱したファイターズにももう一度沈んでもらおう。カープの勝敗が気になるが、まずは糸井と福留を中心とした打線に若手がつなげていくといういい時の今季のタイガースの試合を続けるまでだ。
(2017年5月29日記)