甲子園で「ウル虎の夏」第二弾のベイスターズ戦。初戦は岩貞と今永の手に汗握る投手戦も、筒香の一発に泣き、同率2位に。第2戦は小野の乱調でリードされ、追い上げも届かず2連敗。3位に陥落。しかし第3戦は崖っぷちの今季初登板の岩田が必死の投球。打線にも助けられて連敗ストップ。1勝2敗で同率2位にもどした。続いて長期ロードの最初のカードとなるナゴヤドームでのドラゴンズ戦。初戦は大和の先制ホームランなどで得点を重ね、秋山の好投で完封リレー、第2戦は俊介の先制ホームランでリードするもメッセンジャーが追いつかれて延長戦に。田島から福留が決勝ホームランを放ち連勝。しかし第3戦は能見が大量失点。やはり崖っぷちの八木の前に完封リレーで連勝ストップ。2勝1敗と勝ち越し。今節も3勝3敗。通算で49勝42敗、勝率は.538で2位。首位カープとは10.0差。3位ベイスターズとは1.5差。ナゴヤドームでの中堅、ベテランの活躍が光った。長期ロードはまずまずの滑り出し。
◎ベイスターズ12回戦……0-1
タイガース岩貞とベイスターズ今永の投手戦。岩貞が3回までベイスターズをパーフェクトに抑えれば、今永も3回までショート倉本のエラーのみに抑える。4回表、1死後田中浩を歩かせ、筒香のセンター前ヒットで一三塁とされるも、ロペスをサードフライ、宮崎をサードゴロに取ってピンチを逃れた。4回裏、西岡三振のあと大山のセンター前ヒットが出たが、ロジャース、中谷が連続三振。両投手ともチェンジアップとスライダーを巧みに織り交ぜ、ともに引かない。試合が動いたのは7回表、先頭の筒香が初球を叩いてライトスタンドに先制のソロホームランを放つ。それでも岩貞はよく切り替えて後続を断った。今永は7回で降板。岩貞は8回を投げて1失点の好投。ベイスターズは8回裏、三上で抑える。9回表、二番手高橋聡が先頭の桑原将にヒットを打たれ、柴田のバントで二進。ここで筒香を空振り三振に取ると、ロペスにはメンデスを当て、これも空振り三振で切り抜けた。しかし9回裏、山崎康に三者三振に抑えられ、惜敗。
◎ベイスターズ13回戦……5-6
タイガースの先発は小野。初回は上々の滑り出しだったが、2回表に崩れる。先頭の宮崎に死球を与えると、戸柱のレフト前ヒットで一二塁とされ、梶谷に一二塁間を破る先制のタイムリーヒットを打たれる。ウィーランドの打席で梶谷は二盗。ウィーランドは三振に取ったが、1死二三塁から倉本にライト前2点タイムリーヒットを浴びる。2死後、柴田に死球、筒香に四球で満塁とされたが、ロペスの三塁への強烈な当たりを鳥谷が好捕してサードゴロに仕留め、なんとか3点でおさめた。ベイスターズの先発は初対戦となるウィーランド。3回裏、先頭の梅野が二塁打で出ると、小野が送って1死三塁と絶好のチャンス。しかし、高山はセカンドライナー、上本が三振で1点も返せず。5回表、ロペスにレフト線に二塁打を打たれると、宮崎のセカンドゴロで三進。戸柱の投手強襲安打で一三塁とされ、梶谷のレフトへの犠牲フライで1点を追加される。小野はこの回限りで降板。5回裏、先頭の鳥谷がレフトオーバーの三塁打を放つと、大和のセカンドゴロの間にホームイン。1点をなんとか返した。タイガースは6回から7回まで、岩崎がなんとか無失点でリズムを作る。7回裏、先頭のロジャースがレフトフェンスを直撃するライナーの二塁打を打つと、1死後、鳥谷が歩き、大和のレフト前ヒットで満塁とする。代打西岡が出ると、ベイスターズはウィーランドをあきらめて砂田を投入。西岡のセカンドゴロで二封されたが、その間に鳥谷が生還して1点を返した。さらに代打中谷に対しては加賀が登板。中谷はライト前にタイムリーヒットを放ち、1点差とする。8回表、三番手藤川は倉本をセンターフライに打ち取るもダイビングキャッチした中谷のグラブの土手に球が当たり大きくそらす間に二塁まで進まれる。桑原将のバントで三進。柴田のレフトフライはレフト大山とセンター中谷がお見合いをし、間に落ちるタイムリー二塁打となる。筒香を歩かせて2死後に宮崎にライト前タイムリーヒットを打たれまたも3点差にされた。8回裏、四番手パットンからロジャースがバックスクリーン左にソロホームランを打つ。9回表は松田が抑え、9回裏の攻撃にかける。ベイスターズは山崎康を投入。先頭の大和がヒットで出塁するも代打原口は三振。中谷のサードゴロは山下が二塁に悪送球して一三塁と攻める。ここで坂本がライト前に1点差と迫るタイムリーヒットを放つ。なおも1死一三塁とし、上位打線にまわったが、上本も福留も落ちる球に手を出して連続空振り三振で試合終了。あと一歩まで追い詰めたが、悔しい連敗。
◎ベイスターズ14回戦……10-3
タイガースの先発は今季初登板の岩田。1回表、先頭の桑原将は三球三振に取ったが、田中浩にライト前に落とされ、筒香のサードゴロは当たりが弱く鳥谷がどこにも投げられずオールセーフで一二塁とされる。宮崎三振の間に重盗を決められ2死二三塁とされ、後藤の打席で暴投。田中浩が生還して先制点を献上した。後藤を歩かせ、嶺井を空振り三振に取って最少失点にとどめた。しかし2回表、先頭の梶谷を歩かせ石田のバントで二進。倉本にセンター前にタイムリーヒットを打たれて2点目を失った。ベイスターズは左腕石田が先発。俊介と北條の一二番で臨む。4回裏、北條の四球と大山のセンター前ヒットでチャンスを作ると、1死後中谷がレフトスタンドに逆転のスリーランホームランを叩きこんだ。岩田は勝利投手の権利を保ちつつ、5回2失点で降板。6回からメンデスが登板。7回表、倉本に二塁打を打たれ、桑原将のバントで三進。田中浩はセカンドゴロで三塁走者は釘付けに。筒香を迎えたところで高橋聡がマウンドに。筒香をセカンドゴロに打ち取って無失点で切り抜けた。石田は6回限りで降板し、7回裏には田中健が登板。2死後、代打西岡の打席の途中で雨が激しくなり、40分の中断。再開して西岡はセカンドゴロ。8回表、四番手桑原謙が登板。先頭の宮崎にレフト前ヒットを打たれると、後藤のショートゴロは北條が弾いてオールセーフ。嶺井のバントで1死二三塁とされる。ここで桑原謙は踏ん張る。梶谷をセカンドフライに打ち取ると、代打荒波はショートの後方に打ちあげ、北條がランニングキャッチでピンチを脱した。8回裏、三番手砂田を攻める。ライト前ヒットの俊介を北條が送り、大山がレフトスタンドにツーランホームランを放つ。さらにロジャースと中谷の連打と鳥谷の四球で1死満塁とし、大和のライト前タイムリーヒットでさらに1点を追加。ここで砂田は降板し三嶋がマウンドに。2死後、代打高山が右中間を破る走者一掃のタイムリー二塁打で試合を決定づけた。俊介のファーストゴロを一塁手後藤がトンネルして高山が生還し、ダメ押し。9回表は松田が桑原将にレフトポール直撃のソロホームランを打たれたが、なんとか逃げ切り。ヒーローインタビューは逆転ホームランの中谷、点差を広げるホームランの大山、そして1年10ヶ月ぶりの勝利投手となった岩田。
◎ドラゴンズ15回戦……5-0
ドラゴンズの先発は苦手バルデス。1回表、先頭の俊介がレフト前ヒットで出ると、北條が送る。大山が歩いて1死一二塁とし、ロジャースのレフト前ヒットで俊介がホームを突いたが、前進守備の遠藤の好返球もあり、タッチアウト。中谷が歩いて満塁とするも、鳥谷はショートゴロで先制点ならず。それでも2回表、先頭の大和がレフトスタンドに先制のソロホームランを放つと、坂本がレフト前ヒットで続き、秋山のバントで二進。俊介は一塁へのファールフライに倒れるが、ビシエドが向こうむきで捕球したのを見て坂本がタッチアップで三進。焦ったビシエドが三塁へ悪送球し、坂本はホームイン。大きな2点目をとった。タイガースの先発は秋山。2回裏、1死から藤井を歩かせ福田のセンター前ヒットで一三塁とされる。ここで遠藤を浅いレフトフライに取ると、杉山を空振り三振に取ってピンチを脱した。4回表、鳥谷と大和の連打、坂本のバントで1死二三塁のチャンス。秋山は三振に倒れたが、俊介が左中間を破る走者一掃のタイムリー二塁打を放ち、4点差をつける。5回裏、先頭の福田にレフト前に運ばれ、遠藤はファーストゴロで二封するも併殺ならず。杉山にはライト前ヒットを打たれて1死一三塁とされたが代打堂上直をセカンドゴロ併殺に取ってこのピンチもしのいだ。バルデスは5回4失点で降板。6回から7回は祖父江に抑えられる。7回裏、先頭のビシエドにセンター前ヒットを打たれるも藤井、福田と連続三振。遠藤にはライト前ヒットを打たれ、代打工藤を迎えたが、見逃し三振に取って、秋山は7回無失点で降板した。8回表、三番手福谷から先頭の大山がショートへの内野安打で出ると、ロジャースは四球。1死後、鳥谷のライト線へのタイムリー二塁打でダメ押しの1点を奪った。タイガースは8回裏を岩崎が抑え、9回表は田島に抑えられたが、9回裏、メンデスで逃げ切り、連勝。ナゴヤドームでの連敗も止めた。ヒーローインタビューは9勝目の秋山。
◎ドラゴンズ16回戦……4-2
タイガースの先発はメッセンジャー。初回こそ走者を許したが、2回以降はドラゴンズ打線を完全に封じる。しかし、タイガース打線も左腕小笠原の前に5回までロジャースの二塁打のみに封じられる。6回表、センター前ヒットのメッセンジャーを置いて、俊介がレフトスタンドに先制のツーランホームランを放つ。小笠原はこの回限りで降板。7回は伊藤準に抑えられる。完封ペースだったメッセンジャーだったが、7回裏につかまる。先頭の藤井にレフト線に二塁打を打たれると、福田のセンター前ヒットで無死一三塁に。遠藤のショートゴロは高く弾み、大和が一塁へ送球するもセーフ。この内野安打で藤井が生還して1点差に詰め寄られた。松井雅のバントで1死二三塁とされ、2死後、京田の叩きつけるショートゴロは大和が走者に視線を遮られたこともあってか前にこぼし、一塁に送球するも俊足の京田はヘッドスライディングで内野安打に。この間に福田が生還して同点に。メッセンジャーはこの回限りで降板。ドラゴンズは又吉、田島のリレーで9回までタイガース打線を抑える。タイガースも8回から桑原、高橋聡のリレーでドラゴンズ打線を抑え、試合は延長戦に。イニングまたぎとなった田島は、10回表に先頭の大和を歩かせる。梅野はスリーバント失敗で走者を進められず。ここで代打福留がライトスタンドにツーランホームランを放ち、田島をノックアウト、若い丸山が後続を断つも、9回裏はドリスが三者凡退で片付け試合終了。勝利投手は同点の場面で中軸をみごとに抑えた高橋聡。ヒーローインタビューは代打決勝ホームランの福留。
◎ドラゴンズ17回戦……0-7
能見が打たれる。2回裏、2死から松井佑にレフト線へ二塁打を打たれると、続く福田にも左中間を破るタイムリー二塁打を打たれ、先制点を許した。3回裏にも2死から失点。ヒットの大島を置いてゲレーロにバックスクリーンにツーランホームランを打たれた。4回裏には、先頭の松井祐にレフト前ヒットを打たれると、福田に右中間スタンドにツーランホームランを叩きこまれる。さらに杉山にヒットを打たれると八木のバントで二進。京田にライト前にタイムリーヒットを打たれ、6失点でこの回限りで降板。ドラゴンズの先発は久々の登板となった八木。ていねいにコーナーを突く投球で狙い球を絞らせず、6回2安打無失点と、ここに書くこともないくらいチャンスも作れず走者を進められず。早くも大差がついたため、ベテランらしく余裕のある安定した投球の前に手も足も出ず。タイガースは5回から6回まで松田が、7回は藤川が好投。ドラゴンズは7回から又吉、祖父江のリレーでタイガース打線を抑える。8回裏、四番手メンデスが先頭の松井佑にヒットを打たれると、またも福田にタイムリー二塁打を打たれてダメ押しをされる。それでも後続を断って、続くピンチを脱した。9回表は伊藤準に抑えられ、カード3タテはならず。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 負けはしたが今季最高の投球をした岩貞、初完封もできただろう秋山。内容的にはこの2名のどちらかということになろうが、昨年から一軍でほとんど活躍できていなかった岩田の復帰勝利の重みが勝った。瀬戸際に立たされた岩田の必死の投球には心打たれるものがあったのだ。
野手……俊介 結果の出ない高山にかわり、左腕対策とはいえ一番に固定されてホームランに猛打賞と大活躍。守備と走塁は安心して見ていられる。昨シーズン結果の出なかった中堅陣が、大和、上本と若手に負けない奮起を見せているのが嬉しい。
次節はマツダスタジアムでカープ3連戦。10ゲーム差は絶望的な数字だが、まだまだこれからというところを見せてほしい。続いて東京ドームでジャイアンツ3連戦。かなり復調してきている相手だけに油断は禁物。特に菅野に対してはもう一度叩いてメッセンジャーの最多勝の援護をしてあげたい。
長期ロードが始まったが、今節はナゴヤドーム、次節は東京ドームと空調のきいた球場で試合ができるのはありがたいことだ。ベテラン福留をあえてスタメンから外して休ませただけに、次節は頭から出て思い切り暴れてほしい。
(2017年7月31日記)