今節は関東遠征。まずは東京ドームでのジャイアンツ戦。初戦は岩貞がめった打ちを食らい、試合途中で帰阪させられる屈辱の二軍落ち。第2戦は久々の一軍マウンドとなった青柳が好投。一度は逆転されたが、福留の同点三塁打とロジャースの決勝犠牲フライで逆転勝利。第3戦はメッセンジャーと内海の投手戦となったが、阿部の打球を足に受けたメッセンジャーが骨折。戦列離脱を余儀なくされ、マテオが打たれて敗れ、1勝2敗。横浜スタジアムでのベイスターズ戦。初戦は石田を打ちこんで圧勝。第2戦は能見の好投と福留の決勝ホームランで連勝。しかし第3戦は先発投手不足の中、急遽先発した松田が打たれ、岩崎とメンデスが筒香に連続ホームランを打たれて完敗し、2勝1敗と。今節は3勝3敗。通算で56勝46敗、勝率は.549で2位。首位カープとは8.5差。3位ベイスターズとは3.0差。岩貞の降格とメッセンジャーの離脱という苦しい中、岩田、能見らベテランの奮起が目立った。
◎ジャイアンツ14回戦……1-6
タイガースの先発は岩貞。初回からコントロールが定まらない。先頭の陽を歩かせ、1死後、坂本勇にレフト前ヒットを打たれ、一二塁とされたところで阿部にライト前タイムリーヒットを打たれて先制される。2回裏には1死から石川にライトスタンド最前列に東京ドームならではのソロホームランを打たれる。3回裏、陽とマギーを歩かせ無死一二塁とされるも坂本勇のセカンドライナーで陽が飛び出し二塁で封殺。この併殺で流れを持ってこれるかと思われたが、阿部のライト前ヒット、村田への四球で2死満塁とされ、長野に押し出しの四球、石川にセンター前2点タイムリーヒットを打たれる。送球の間に二三塁と進まれ、小林を敬遠してまたも満塁に。マイコラスにレフト前にタイムリーを打たれ、6点差をつけられた。ジャイアンツの先発マイコラスの前にタイガース打線はてこずる。2回表には中谷のレフトフェンス直撃のヒットと鳥谷の三塁村田のグラブの下をかすめるエラーで1死一二塁とするも大和のレフトフライで中谷が飛び出し帰塁が遅れ併殺。4回表には福留の二塁打と中谷の内野安打で1死一三塁とするも鳥谷は見送り三振、大和はファーストゴロで得点できず。岩貞は4回6失点で降板。6回からは松田が、8回からは藤川がジャイアンツ打線を抑えて追加点を許さなかったが、マイコラスに7回無失点では逆転の目はなし。8回表は西村に抑えられ、9回表、田原誠の前に2死と追いつめられる。しかし梅野が二塁打で出ると、大和のレフト前ヒットで一三塁とし、伊藤隼のセンター前タイムリーで1点を返して完封を免れた。さらに続くチャンスに代打原口は空振り三振に倒れ、反撃もここまで。カープが引き分けたため、ついにカープにマジック33が点灯した。
◎ジャイアンツ15回戦……5-4
ジャイアンツの先発は新人の畠。1回表、2死から福留がライト線に二塁打を放ち、ロジャースのセンター前タイムリーヒットで先制。3回表には1死後、高山がレフト前にテキサスヒットを打てば、上本三振の間に二盗。福留のレフト線へのタイムリー二塁打で2点差とする。タイガースは青柳が久々に一軍昇格。得意のジャイアンツ戦で復帰を飾る。3回裏には橋本到、小林、畠を三者三振。4回裏には陽を空振り三振に取ると、マギーはファーストフライ、坂本勇は見逃し三振とここまではジャイアンツ打線を寄せつけない。畠は5回2失点で降板。青柳は5回無失点で降板し、リリーフ勝負となる。6回表は田原誠に対し中谷と鳥谷の連打で無死一二塁としたが、大和は二塁ゴロ併殺。2死三塁で梅野が敬遠されると、青柳に代打西岡を出したがライトフライで追加点ならず。6回裏、タイガースは早くも桑原を投入。先頭の陽に二塁へ内野安打を打たれると、マギーのライト前ヒットで無死一二塁とされる。坂本勇はライトフライに取ったが陽は三進。阿部のセンターへの犠牲フライで1点差とされる。7回表、ジャイアンツは若い左腕の中川をマウンドに。先頭の代打俊介がライト前ヒットで出ると、上本が送り、福留は四球。ロジャースは三振に倒れたが、中谷はショートの頭を越すレフト前タイムリーヒットで俊介を返して再び2点差に。7回裏、岩崎を出したが、球にキレがない。亀井の四球と橋本到のレフト前ヒットで無死一二塁に。宇佐美のバントは梅野が判断よく三封したが、代打長野のセカンドゴロは二封のみで併殺にならず2死一三塁に。陽を歩かせたところで岩崎は降板。四番手マテオを出したが、マギーに左中間を破られ、2者が返り同点に。一塁走者の陽も一気にホームを突くが、大和の好返球でいったんはアウトの判定。しかしリプレイ検証に持ち込まれ、タッチの前にホームベースを掃いていたという判定で逆転を許した。マギーには代走寺内が出、2死二塁で再開。坂本勇を歩かせたが、阿部を空振り三振に取って追加点は防ぐ。8回表は西村に抑えられ、8回裏は高橋聡が抑え返す。1点差で迎えた9回表、ジャイアンツはクローザーのカミネロを起用。1死から代打伊藤隼がセンター前ヒットを放つと、福留がライトオーバーのタイムリー三塁打で同点。ロジャースのレフトフライで福留がホームを突き、タッチをかいくぐり逆転した。9回裏はドリスが三者凡退で逃げ切り、前日の雪辱を晴らした。勝利投手は8回をきっちりおさえて反撃のリズムを作った高橋聡。ヒーローインタビューは二塁打2本と同点の三塁打の福留。カープがドラゴンズに敗れたため、マジックナンバーは消え、自力優勝の可能性が復活した。
◎ジャイアンツ16回戦……2-5
先制したのはタイガース。ジャイアンツの先発内海に対し、2回表に中谷の四球と鳥谷のライト前ヒットで無死一三塁とする。大和は見逃し三振に倒れたが、梅野が三遊間を破るタイムリーヒットで1点を奪う。メッセンジャーが送って2死二三塁とし、俊介のライト前タイムリーヒットでさらに1点追加した。メッセンジャーは3回までノーヒットの好投。4回裏、1死からマギーに二塁打を打たれたが、坂本勇を三塁ゴロ、阿部を見逃し三振に取り、ピンチを脱した。5回裏、長野にレフトスタンドにソロホームランを打たれて1点差とされる。6回表、先頭の鳥谷がセンターフェンス直撃の三塁打を放つも、大和は浅いセンターフライで帰れず、梅野のセーフティスクイズは内海が好捕してホームへ送り、鳥谷はタッチアウト。このミスで流れが変わった。6回裏、先頭の代打石川にライトフェンス最上部にあたる三塁打を打たれ、1死後、マギーにライトに犠牲フライを打たれて同点に追いつかれた。7回表、二番手西村に対し、先頭の俊介が四球で出るも上本のバントは併殺打となり、チャンスを生かせない。7回裏、先頭の阿部のピッチャー返しの打球がメッセンジャーのくるぶしに当たり、降板。しかし二番手桑原は1死満塁までピンチを広げたが、代打橋本到を一塁ゴロ、代打相川をセンターフライに打ち取って無失点で切り抜けた。8回表はマシソンに抑えられ、8回裏、マテオを投入。しかし先頭の陽を歩かせると、マギーにはライト前ヒットで続かれる。坂本勇のライトフライで1死一三塁とされ、中井は空振り三振に取ったが、村田を歩かせて2死満塁に。寺内にレフト線に2点タイムリー二塁打を打たれ、亀井のショートゴロは北條が弾いてさらに1点を追加された。9回表、カミネロの前に前日ヒットを放った代打伊藤隼、代打福留を送ったがいずれも凡退。俊介もサードフライに倒れ試合終了。セーフティスクイズの失敗ではっきりと潮目が変わった。この日カープも敗れたため、マジック再点灯はなし。
◎ベイスターズ15回戦……8-1
タイガースの先発は岩田。1回裏、1死から田中浩のサードゴロを鳥谷が弾いて出塁を許す。筒香に四球を与えて1死一二塁とされるも、ロペスをライトフライ、宮崎をピッチャーゴロに抑え、なんとか切り抜けると、以降は自分のペースで好投。ベイスターズの先発は石田。2回表、1死から中谷のレフトフライを筒香が落球。中谷は一気に三進。続く鳥谷は左中間フェンス最上部に当たる二塁打で1点を先制。一度はホームランの判定が出たが、リプレイ検証で二塁にもどされた。大和もヒットで続き一三塁とするも、坂本は三振。岩田もショートゴロで追加点ならず。3回表、俊介とロジャースのヒットで2死一二塁とし、中谷がレフトスタンドにスリーランホームランを放ち、突き放す。5回表には先頭の西岡がサードへの内野安打を全力疾走でもぎ取ると、代走に森越が入る。大山は左中間を破るタイムリー二塁打で森越が生還。返球の間に大山は三進。ロジャースが左中間スタンド最前列にツーランホームランを放ち、これでほぼ試合は決した。中谷の二塁打などで1死三塁としたところで石田は降板。二番手の加賀に後続を断たれた。5回裏、ヒットの梶谷を置いて倉本のタイムリー二塁打で1点を返されたが、ベイスターズの反撃もここまで。ベイスターズは6回表から平田が登板。7回表には四球のロジャースとヒットの鳥谷を塁に置き、2死一二塁から坂本がセンター前にタイムリーヒットを放ち、ダメ押し。このヒットで先発全員安打を記録。7回裏、疲れの見えた岩田をバックが救う。1死から嶺井に死球を与えたが、代打G.後藤の三遊間の当たりをショート大和が好捕、みごとに併殺を完成させる。ベイスターズは8回表から三嶋がタイガース打線を封じたが、タイガースも8回はメンデスが、9回は今季初登板の石崎がきっちりおさえて締めた。ヒーローインタビューは今季2勝目の岩田。
◎ベイスターズ16回戦……2-1
ベイスターズの先発は井納。1回表、先頭の俊介のヒットと福留の四球で1死一二塁とするもロジャースはショートゴロ併殺に倒れる。このあとも走者は出しても生かすことができない。タイガースの先発は能見。この試合は速球の切れがよく、また変化球もコーナーによく決まりベイスターズ打線を手玉に取る。しかし、4回裏、先頭の筒香に初球を叩かれバックスクリーン左に飛びこむ先制ホームランを打たれてしまった。6回表、先頭の西岡がセンター前ヒットを放つと、福留のサードゴロで二進。2死後、中谷が四球を選び、一二塁としたところで井納は降板。鳥谷に対し左腕田中健を当ててくる。鳥谷はショートゴロで1点差が遠い。能見は6回1失点で悔しい降板。7回表はエスコバーの前に三者凡退。7回裏は岩崎が2死から桑原将に二塁打を打たれるも田中浩をライトフライに打ち取って追加点を許さない。8回表、ベイスターズはパットンを投入して逃げ切りを図る。先頭の西岡がライト線に二塁打を放ち、福留はピッチャー返し。この打球が投手プレートに当たって二塁方向に跳ね、一二塁間を抜けてライト前まで転がると、西岡は一気にホームを突いて同点とする。しかし後続を断たれて勝ち越しはならず。8回裏、高橋聡がマウンドに。筒香のセンター返しの打球は西岡がよく抑えたが、一塁送球がそれて内野安打となる。無死一塁でマウンドには桑原謙。ロペスはレフトフライに打ち取ったが、宮崎にレフトフェンスに当たる二塁打を打たれ、1死二三塁に。ここで代打荒波を空振り三振に取ると、梶谷を歩かせて満塁とし、柴田はショートゴロで大和が自ら二塁ベースを踏んで無失点で切り抜けた。9回表は山崎康の前に三者凡退。9回裏、マテオは連続三振のあと戸柱にヒットを打たれるも筒香をサードフライに打ち取り、延長戦に。10回表、左腕砂田に対し、福留がレフトポール際に入る勝ち越しのソロホームランを放つと、10回裏はドリスが締めて逃げ切り。マテオが中継ぎで7勝目。ヒーローインタビューは同点タイムリーと決勝ホームランの福留。
◎ベイスターズ17回戦……2-8
先制したのはタイガース。ベイスターズ先発の濱口に対し、先頭の中谷が四球を選ぶと、鳥谷のライト前ヒットで無死一三塁とする。ここで大和がセンターに犠牲フライを放ち、1点をとる。続く梅野も内野安打でチャンスを広げたが松田はスリーバントを失敗し、俊介はチェンジアップを空振り三振。以降、タイガース打線はこの濱口のチェンジアップに翻弄され、タイミングが取れないまま気持ちよく投げさせてしまう。タイガースの先発はメッセンジャーの骨折で足りなくなった先発の谷間に起用された、プロ入り初先発の松田。1点のリードをもらったが、2回裏につかまる。先頭の戸柱にライト線に二塁打を打たれると、梶谷を歩かせ、濱口は三振で1死一二塁に。倉本のライトフライは中谷が構えるも照明が目に入り打球を見失ってしまう。球は右中間に転がり、走者一掃の不運なタイムリー二塁打。桑原将には左中間を破るタイムリー二塁打を打たれ、2点差をつけられる。松田は2回3失点で降板。3回裏は藤川が抑えたが、4回裏に岩崎がつかまる。桑原将の左中間の当たりは俊介がフェンスに当たりながら好捕するもグラウンドに転んだ際に落球し、三塁打となる。柴田のレフト前タイムリーヒットで1点を追加されると、筒香にレフトスタンドにツーランホームランを打たれ、この回3失点。5回裏は岩崎もしっかりと抑えただけに、この3失点は誤算。6回裏にはメンデスが1死から桑原将にヒットを打たれるが、柴田のショートゴロで二封。しかし一塁はぎりぎりセーフで併殺はならず。そして筒香にスコアボード直撃のツーランホームランを打たれ、大きくリードを広げられた。ベイスターズは濱口が6回1失点でリリーフにバトンタッチ。7回表は三上に、8回表は平田に抑えられる。タイガースも7回から2イニングを石崎がきっちりと抑えた。9回表、四番手三嶋に対し、1死から大和がセンター前ヒットを放つと、代打原口のライト線への二塁打で二三塁とする。高山が歩いて満塁とし、西岡の内野安打で1点を返した。しかし、反撃もそこまで。上本はファーストフライ、大山はライトフライと凡退し、カード3連勝はならず。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 メッセンジャーの離脱で苦しくなったところを、前回以上にていねいな投球でチームを救った。前半戦全く戦力にならなかった分、ここから一気に取り戻してくれそうだし、そうでないと困る。
野手……福留孝介 ジャイアンツ戦の同点三塁打。ベイスターズの決勝ホームランと、試合に出た時にはここというところで今節も大活躍。次節は左腕の少ないカープ戦だけに、フル出場して打ちまくってほしい。
次節は京セラドームで首位カープと3連戦。小野、藤浪、青柳が先発予定。二軍でリフレッシュした分、強力打線をきっちりと抑えてくれるものと期待している。ここでは3連勝しないとまたマジック点灯となるだけに、積極的な姿勢で追撃してほしい。続いてナゴヤドームでドラゴンズ戦。ここでは秋山が復帰登板の予定。メッセンジャーが不在でも、先発ローテーションを回せるだけの頭数はそろっているのだ。また、糸井も掛布二軍監督はゴーサインを出している。福留の負担を楽にするためにも糸井の復帰が待たれる。
順調にいけばメッセンジャーはCSには間に合うかもしれない。ここまでエースとして引っ張ってくれていた彼とビールかけができるように、残された投手陣にとっては正念場だ。
(2017年8月14日記)