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小野、13度目の登板でついにプロ初勝利

 ファイターズをリリースされたルイス・メンドーサ投手がウェーバー公示され、骨折のメッセンジャーにかわる先発要員として獲得。この時期の異例の補強に、逆転優勝への希望を捨てていないことを示した。
 今節は甲子園に帰還。まずはスワローズ戦。初戦は小野が悪いながらも粘りの投球を見せ、打線もそれにこたえて13回目の登板でついにプロ入り初勝利をあげた。第2戦はこれもプロ入り初という糸井のサヨナラホームランで連勝。第3戦は秋山が投手戦を制して3勝0敗。続くドラゴンズ戦。初戦は青柳が終盤崩れたが中谷と鳥谷のホームランで逆転勝利。第2戦は打線が爆発、4本塁打で能見を助け、圧勝。第3戦は補強したばかりのメンドーサが先発したが、守備の乱れもあり惜敗で2勝1敗。今節は4勝1敗。通算で68勝52敗1分、勝率は.567で2位。首位カープとは6.5差とまた少し縮んだ。カープのマジックは三度消える。3位ベイスターズとは5.5差。メンドーサの補強は、敗れはしたが次回に期待できる投球で成功したか。なにより小野の初勝利が喜ばしい。能見も一時の不振を脱出。岩田も試合を作っており、先発ローテーションに余裕ができてきている。あとは藤浪の復活を待つのみ。

◎スワローズ22回戦……3-0
 タイガースの先発は小野。1回表、1死から山崎を歩かせるもバレンティンの打席でツーストライクからの二盗を坂本が刺し、バレンティンは見逃し三振と上々の立ち上がり。2回表には先頭の山田を歩かせ、リベロのライト前ヒットで無死一二塁のピンチに。藤井の打席で坂本が捕逸。山田はその間に三進。藤井のファーストゴロは大山がバックホームし狭殺プレーとなり、山田はタッチアウトで1死二三塁に。中村は三振に取ったが、奥村には四球で満塁に。ここで石川を見逃し三振にとって最大のピンチを脱すると、3回以降は小野のペースに。2回裏、スワローズの先発石川に対し、先頭の中谷のサードゴロを藤井が後逸し、中谷は二進。1死後、鳥谷のセンター前タイムリーヒットで先制する。北條のレフト前ヒットは、ダイビングしたバレンティンのグラブをかすめてフェンスまで達し、タイムリー三塁打となり、2点差とする。3回裏には小野にプロ入り初安打が出る。4回表、1死からリベロにレフト線に長打コースとなるヒットを打たれるも、中谷が二塁に好返球。二塁を狙ったリベロをタッチアウトとバックが小野を盛りたてる。5回裏、1死から坂本のレフトバレンティンが落球。坂本は二進。2死後、俊介の三塁への内野安打で一三塁とし、上本のセンター前タイムリーヒットで待望の追加点。小野は6回を投げて2安打無失点でリリーフに初勝利を託す。石川も7回3失点と試合は作ったが、味方のミスからの失点と不運が重なった。8回裏は石山がタイガース打線を抑えたが、7回表から桑原、マテオ、ドリスがされざれ三者凡退に抑えて逃げ切り、13度目の先発でついに小野が初勝利。ヒーローインタビューは初勝利と初安打の小野。
◎スワローズ23回戦……4-3
 スワローズの先発原樹を初回から攻める。糸井が二塁内野安打で出ると、上本が送り、大山の三遊間を破るタイムリーヒットで先制する。3回裏は2死から上本が四球を選び、すかさず二盗。大山がセンター前に落ちるタイムリーヒットで追加点を奪った。タイガースの先発岩田は初回から速球を投げ込みスワローズ打線を力で抑えていたが、6回表につかまる。坂口のレフト前ヒット、山崎のライト前ヒットで無死一二塁に。バレンティンは三振に取ったが、山田を歩かせて二死満塁に。ここで岩田は降板。二番手の藤川はリベロを往年の快速球を思わせる球で空振り三振に取ったが、荒木貴にうまく合わせられてセンター前に落ちる2点タイムリーヒットで同点に。7回表、三番手桑原は先頭の西浦にレフト線に二塁打を打たれ、原樹のバントで三進。坂口の二塁ゴロはバックホームして狭殺プレーとなり、西浦はタッチアウト。2死二塁から山崎を一塁ゴロに打ち取ってピンチを脱した。原樹は内角を意識させる投球でタイガース打線を抑える。7回裏1死から鳥谷が四球で出るも、北條とのエンドランは空振り三振。鳥谷も二封され、チャンスを生かせない。8回表、マテオが山田にレフトスタンドへソロホームランを打たれ、ついにリードを許す。勝利を意識した原樹は8回裏、突如乱れる。代打伊藤隼がストレートの四球で出ると、代走には植田。代打梅野のバントで二進すると、原樹はここで交代。二番手は松岡。糸井、上本の連続四球で1死満塁とし、大山の浅いセンターフライは植田が快足を飛ばしてタッチアップからホームインして犠牲フライとなり、同点に。9回表はドリスが、9回裏はルーキがそれぞれ抑え、延長戦に。10回表、高橋聡は先頭の坂口を歩かせ、山崎のバントで二進。上田の打席でワンバウンドのフォークを梅野はなんとか止めるが大きく前に弾いて坂口は三塁へ。上田を空振り三振に取ると、山田は歩かせ、リベロと勝負。ここでみごとに空振り三振に取り、ピンチを脱した。10回裏、近藤の前に2死を取られるも、糸井がライトスタンドにプロ入り初めてとなるサヨナラのソロホームランを放った。粘りのリリーフを見せた高橋聡が勝利投手に。ヒーローインタビューはサヨナラホームランの糸井。拳を突き上げて「やりました!」と絶叫し、ファンを沸かせた。カープが敗れ、またもマジックナンバーは消滅。自力優勝の可能性が復活した。
◎スワローズ24回戦……1-0
 タイガースの先発は秋山。1回表、先頭の坂口にライト前ヒットを打たれるも強攻策に出た山崎は初球を打ち二塁ゴロ併殺。バレンティンを見逃し三振に取って上々の立ち上がり。1回裏、スワローズ先発のブキャナンから先頭の俊介がセンター前ヒットを打ち、上本が送ってチャンスを作ったが糸井はサードフライ、福留は三振とチャンスを生かせない。2回表は2死から中村にライト前ヒットを打たれ、荒木貴の内野フライは坂本と一塁大山がお見合いをして間に落ちる捕手エラーで一三塁とされるも西浦を二塁ゴロに打ち取り切り抜けた。3回裏、坂本のヒットと秋山のバントで1死二塁とするも、俊介はセカンドゴロ、上本は三振で得点できず。4回裏、1死から福留のライト前ヒットと大山の四球で一二塁とすると、鳥谷がセンター前に先制のタイムリーヒットを放ち、1点リード。この1点が大きかった。秋山とブキャナンはそれぞれ持ち味を出し切って好投。この後は両者無失点。7回表、先頭の中村のヒットと荒木貴のバントで1死二塁とされるが、西浦はサードゴロ、代打大松は空振り三振で秋山はガッツポーズ。秋山は7回無失点でリリーフ陣にバトンタッチ。ブキャナンも6回1失点、7回裏は故障明けの秋吉に抑えられた。8回表、二番手岩崎は坂口を空振り三振に取るも山崎にレフト前ヒットを打たれてマテオと交代。バレンティンはショートゴロで二封。この時の山崎の二塁へのスライディングが守備妨害ではないかと金本監督は抗議したが、判定は変わらず。山田をセンターフライに打ち取り、前日のお返しをした。8回裏、三番手村中から上本と糸井の連続四球で無死一二塁とするも、福留はサードフライ。大山の打席で山本哲と交代。大山はライトフライ、鳥谷はヒット性のセンターライナーで追加点はならず。9回表、ドリスはリベロをショートゴロに打ち取ると、中村と荒木貴を連続三振に取って逃げ切った。ヒーローインタビューはチームトップの12勝目をあげた秋山。
◎ドラゴンズ21回戦……5-3
 タイガースの先発は青柳。2回表、ゲレーロの右膝に死球。1死後、高橋周のライト前ヒットで一三塁とされるが、工藤のファーストゴロで飛び出したゲレーロをホームでタッチアウトにし、2死一二塁に。松井雅はレフトフライで失点を防いだ。ドラゴンズの先発は若い笠原。3回裏2死から上本と糸井が連続四球で一二塁とすると、プロ入り初の四番に座った大山がレフト線に先制タイムリー二塁打を放つ。直後の4回表、1死からゲレーロが内野安打で出ると、福田には太腿に死球。それでも高橋周と工藤をフライに打ち取り、反撃を許さない。4回裏、2死から坂本がセンターオーバーの二塁打を放つと、青柳のライト前タイムリーヒットで2点差とする。笠原はこの回限りで降板。ドラゴンズの二番手は三ツ間。5回裏、ヒットの上本が二盗するも糸井の三振と大山のセカンドライナーの際に上本の帰塁が遅れタッチアウトで併殺。追加点が取れない。三ツ間には6回裏も抑えられた。6回まで無失点の好投を見せていた青柳が7回表に崩れる。先頭の高橋周に左中間を破る二塁打を打たれると、工藤のバントは捕手坂本が三塁へ送るも鳥谷がタッチできず野選で無死一三塁に。松井雅への死球で満塁に。代打松井佑を迎えたところで桑原と交代。しかし頼みの桑原が松井佑に三遊間を抜く2点タイムリーヒットを打たれ同点に。京田のバントは桑原が三封。2死後、藤井のショートゴロを北條が弾き、球が外野に転がる間に工藤が生還して逆転されてしまった。さらにゲレーロには腕に死球で2死満塁に。それでも福田をレフトフライに打ち取ってさらなる追加点は阻止。7回裏は祖父江に抑えられ、タイガースも8回表に岩崎が好投。8回裏、ドラゴンズは又吉を投入してきた。1死から大山が歩き、中谷が逆転のツーランホームランをレフトポール際に放つ。さらに鳥谷もライトスタンドへのソロホームランで突き放す。9回表はドリスが京田、亀澤を連続空振り三振に打ち取り、藤井はレフトフライに取って逃げ切り。ビハインドでもしっかり抑えた岩崎に勝利がついた。ヒーローインタビューは連続でホームランを放った中谷と鳥谷。
◎ドラゴンズ22回戦……9-2
 先制したのはタイガース。ドラゴンズ先発の小熊に対し、1回表、先頭の糸井が初球を叩きライト線へ二塁打を放つと、プロ入り初スタメンの植田がバントで送り、福留の大きなセンター犠牲フライで鮮やかに1点を奪う。2回裏、ヒットの中谷と四球の上本を置いて坂本がレフトスタンドへスリーランホームランを放ち、4点差をつける。タイガースの先発は能見。インコースへの速球でドラゴンズ打線を抑える。3回表、1死から小熊のヒットと京田の左中間を破る二塁打で二三塁とされると、2死後、松井佑に死球を与えて満塁に。ゲレーロのショートへのゴロはイレギュラーバウンドをして植田がそらし、2点タイムリーヒットに。2点差に迫られてなおもピンチは続いたが、福田を空振り三振に取り、リードを保つ。3回裏、大山がレフトスタンドにソロホームランを放ち、失点直後に反撃。小熊は3回5失点で降板。4回裏、二番手のアラウホから坂本のヒットと能見のバントで2死二塁とすると、糸井のライト前タイムリーヒットで1点を追加。6回裏にはセンター前ヒットの鳥谷を上本が送り、坂本のレフト前に落ちるタイムリーヒットでさらに1点。能見は6回2失点でリリーフ陣にバトンタッチ。7回表は高橋聡が抑え、7回裏、三番手の福から植田がショートへの内野安打でプロ入り初安打を決めた。しかし植田は二盗失敗。走者が亡くなったところで福留がバックスクリーンにソロホームランを叩きこむ。8回表は藤川が遠藤に死球を与えるも松井佑を併殺に取る。8回裏、中谷がダメ押しとなるソロホームランをレフトスタンドに。9回表は石崎で締めて、5連勝。能見が前回に続く5勝目をあげた。ヒーローインタビューはプロ入り初の猛打賞と4打点の坂本と、先取点の犠牲フライにホームランで2打点の福留。
◎ドラゴンズ23回戦……2-4
 タイガースの先発はファイターズから緊急獲得したばかりのメンドーサ。立ち上がりから変化球を巧みに操り、ドラゴンズ打線を翻弄。しかし、4回表、先頭の亀澤のショート内野安打を植田が悪送球、カメラマン席に送球が入り、テイクワンベースで亀澤は二進。1死後、ゲレーロにレフトスタンドにツーランホームランを叩きこまれ、2点を先制される。ドラゴンズの先発は小笠原。速球とチェンジアップを巧みに織り交ぜられ、なかなか得点できない。4回裏、福留がNPB通算350二塁打を達成するも、後続を断たれてしまう。5回裏、上本が速球を叩いてレフトスタンドに突き刺さるソロホームランで1点差とすると、6回裏、先頭の糸井がライト線に二塁打を放ち、上田のバントで三進。福留が外角の逃げる球をうまくとらえてレフト前に同点となるタイムリーヒットを放つ。6回まで好投を続けていたメンドーサが7回表に味方のミスで崩れる。1死から福田のセンター返しの打球は上本のグラブの下をくぐりぬける。記録はヒットだがエラーともいえる守備だった。高橋周を歩かせ一二塁に。2死後、武山にセンターオーバーのタイムリー二塁打を打たれ、福田が生還。ホームを突いた高橋周はタイミングはアウトだったが、カットした植田の返球がそれ、坂本がこれを弾き、楽々セーフに。この2点目が効いた。メンドーサは7回4失点で降板。小笠原も6回2失点でリリーフ陣にバトンタッチ。タイガースは岩崎、石崎のリレーでドラゴンズ打線を抑えて打線の反撃を待つが、ドラゴンズは谷元、又吉、田島の必勝リレーで逃げ切り、タイガースの連勝は5でストップ。

愛すれどTigers週間MVP
投手……小野泰己
 新人で勝利なしの7連敗は球団新記録。このまま今季は勝てないかと本人も不安になっていただけに、ここにきての初勝利は大きい。この勝利をきっかけに、ここからは連勝していってほしい。
野手……大山悠輔
 富恵以来の新人4番打者に抜擢された。そしてその起用にみごとにこたえた。消化試合ではなくまだ優勝の可能性を残した段階での抜擢に、金本監督の期待の大きさを感じる。そこでホームランを放つのだからたいしたものだ。

 次節はマツダスタジアムでカープと三連戦。藤浪、岩田、秋山とうまくいけば3連勝もあり得る先発投手陣がカープ打線をどう抑えるか。引き分けでもカープに四たびマジックが点灯という苦しい状況だが、カープも必死で立ち向かってくるだろう。甲子園に戻り、ベイスターズ戦。眼下の敵ながらAクラスからの陥落まであと少しというところにいるだけに、こちらも必死で勝ちにくるだろう。逆転優勝、もしくは2位確保という意味でも重要な6連戦となってきた。もう少し夢を見続けたいので、カープに3連勝、たのんまっせ。
 横田慎太郎外野手が脳腫瘍で療養していたことが発表された。なんとか治療はうまくいき、来春のキャンプから本格的に再始動の予定。期待の若手だけに、難病からの復帰は朗報だ。来季の一軍定着を目指して再起動してほしい。

(2017年9月4日記)


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