今節はいよいよ勝負のカープ3連戦。しかし、マツダズームズームスタジアムの空気は、タイガースの勝機をことごとく飲みこんでいった。初戦は藤浪が打たれながらもリリーフ陣が奮起。打線も9回表に福留の逆転ホームランで勝ったかと思われた。しかし、ドリスがまさかの逆転サヨナラホームランを安部に打たれてまさかの敗戦。第2戦は岩田が好投し、3点リードで勝ちパターンのリリーフをつぎこんだがマテオがなんと同点にされ、石崎がサヨナラ打を打たれる。第3戦は先取点を取るも秋山が5回裏だけ乱れて逆転負け。初戦でカープの勢いを止めていれば逆もあったかもしれないが、赤一色のスタンドがそれをさせなかった。0勝3敗でマジックが四たび点灯。甲子園に戻りベイスターズ戦戦。初戦は鳥谷の2000本安打達成で勢いに乗り、打線が圧倒。第2戦は小野と石田の投手戦となり、延長12回裏、鳥谷のサヨナラヒットで連勝。第3戦はメンドーサがゲームを作るも勝ちパターンのリリーフ陣がじわじわと攻められて同点に。9回裏、伊藤隼のサヨナラヒットでベイスターズを3タテし、3勝0敗。今節は3勝3敗。通算で68勝52敗1分、勝率は.563で2位。首位カープとは9.5差と大きく開いた。カープのマジックは5。3位ベイスターズとは6.5差。4位ジャイアンツがベイスターズとゲーム差なし。
掛布二軍監督が今季限りの退任を発表。熱心な指導で若手選手を育てていただけに、もう少し続けてほしかったが、いろいろと事情もあるのだろう。来季は掛布さん以上に熱意を持って指導する二軍監督にその任についてほしい。
◎カープ21回戦……7-8
タイガースの先発は藤浪。1回裏、先頭の田中を歩かせ、菊池のバントで二進。2死後、松山にライトスタンドに先制のツーランホームランを打たれた。しかし、カープの先発野村もピリッとしない。2回表、大山、中谷、鳥谷の三連打で無死満塁に。北條のショートゴロ併殺の間に大山が生還して1点差とし、2死三塁から坂本のセンター前タイムリーヒットで同点とする。さらに3回表、先頭の西岡が右中間へ二塁打を放つと、福留の鋭い当たりの一塁ゴロで三進。大山の一二塁間のゴロは菊池と安部がお見合いをするような形でその間を抜け、ライト前タイムリーヒットになり勝ち越す。3回裏、藤浪は先頭の田中のセーフティバントで出塁されると、菊池を歩かせ、丸へは死球で無死満塁に。松山のショートゴロの間に田中が生還して同点とされると、安部のレフト前2点タイムリーヒットでまたも2点差とされる。藤浪は4回5失点で降板。しかしタイガース打線も負けてはいない。5回表、福留の死球と鳥谷のヒットで2死一二塁とすると、北條のレフト前タイムリーヒットで1点差に迫る。野村は5回4失点で降板。5回裏は岩崎が抑え、6回表、二番手ジャクソンから代打上本博がバックスクリーンへの同点ソロホームランを放つ。6回裏、藤川がきっちりと抑えると、カープも7回表は一岡が抑える。7回裏、高橋聡が登板。先頭の菊池のライトフェンス際への大きな当たりは糸井が好捕。2死から松山のヒットと代走野間の盗塁で2死二塁とされ、安部にライト前に勝ち越しのタイムリーヒットを打たれた。8回表は今村の前に三者凡退。8回裏、石崎はヒットの堂林、四球の代打新井貴、死球の田中と2死満塁のピンチを作るも菊池をサードゴロに抑えて追加点を阻んだ。9回表、抑えの中崎に対し、先頭の糸井がヒットを打つも西岡のバントで二封。ところがここで福留が逆転のツーランホームランをレフトスタンドに運ぶ。9回裏はドリスが登板。1死から野間にショート内野安打を打たれ、打者安部の打席でワンバウンドの球を坂本が前に弾いて抑えるも球の行方を見失い、野間はその間に二塁へ。そして安部にはライトスタンドに逆転サヨナラツーランホームランを打たれ、まさかの敗戦。カープにマジックナンバー12が四たび点灯した。
◎カープ22回戦……3-4
タイガースの先発は岩田。ゴロを打たせて取る本来のピッチングが冴え、カープ打線を翻弄。カープの先発は中村祐。2回表、中谷がレフトスタンドに先制のソロホームランを放つ。しかし中村祐の速球に押され、追加点がなかなか取れない。5回裏、2死から松山にライトオーバーのあわやホームランという当たりを打たれ、リプレイ検証の結果三塁打に。しかし新井貴を空振り三振にとって同点のピンチを脱する。7回表、先頭の福留が四球で出ると、2死後、鳥谷がレフトオーバーのタイムリー二塁打を放ち待望の追加点を奪う。中村祐は7回2失点で降板。7回裏、岩田は安部を三振に取ったところで代打天谷に対しては二番手の桑原を投入。天谷にはショート内野安打を許すが、後続を断ち、無失点で切り抜ける。8回表、二番手ブレイシアに対し、1死から代打上本博が右中間を破る二塁打を放つと、糸井は歩き、一二塁に。西岡凡退のあと、福留がセンター前タイムリーヒットで3点差に。大山にもヒットが出て2死満塁と攻め立てたが、中谷はセンターフライで追加点が取れず、これで流れが変わったか。8回裏、三番手マテオは1死から菊池にレフトフェンス際のフライを打たれ、福留が飛球を見失ってしまい捕球できず三塁打となる。丸のショートへの当たりはタイムリー内野安打となり、1点を返された。松山のセンター前ヒットで一三塁とされ、松山の代走には野間。新井貴のセカンドゴロは二封できず一塁の三アウトの内野ゴロとなり、その間に1点を追加された。安部のライト前タイムリーヒットで同点とされ、糸井が後逸する間に安部は三進。ここでマテオは降板。高橋聡が登板し、天谷を三振に取り、なんとか同点でとどめる。9回表は中崎に抑えられ、9回裏は藤川が代打エルドレッドを歩かせ、代走に上本崇。會澤のバントで二進。田中を敬遠して、菊池をレフトフライに打ち取ったところで岩崎に交代。岩崎は丸をレフトフライにとって試合は延長戦に。10回表は今村、10回裏は続投の岩崎が抑え、11回表、一岡に対し1死から鳥谷が1998本目のヒットを放つも後続を断たれる。11回裏、石崎が登板。1死から上本崇を歩かせ、會澤の打席で上本崇は二盗。會澤にはライトオーバーのサヨナラタイムリーヒットを打たれ、2試合続けて勝利目前で頼みのリリーフが打たれて惜敗。カープのマジックナンバーは10に。
◎カープ23回戦……4-6
カープの先発ジョンソンを初回に攻略。先頭の糸井が歩き、一軍復帰したばかりの大和はセカンドゴロで二封となったが、福留が四球で1死一二塁に。ここで大山が三塁線を破るタイムリー二塁打を放つと、1死二三塁で中谷がライト前に落ちるテキサス性の2点タイムリーヒットを放ち、3点差をつける。タイガースの先発秋山は立ち上がりからしっかりとカープ打線を抑えていたが、3回裏、1死からジョンソンにセンター前ヒットを打たれると、田中にライトスタンドにツーランホームランを打たれて1点差に迫られた。4回表、先頭の中谷が歩き、鳥谷のファーストゴロで二封されたが、上本博のショートへの内野安打と坂本の四球で1死満塁とし、秋山のサードゴロは西川が三塁ベースを踏んでアウトにするも、一塁送球がそれ、併殺崩れに。その間に鳥谷が生還して2点差とする。ジョンソンはこの回限りで降板。5回表、九里の前に三者凡退。これで流れが変わる。5回裏、先頭の會澤に二塁打を打たれると、田中の一塁ゴロで三進。菊池を歩かせ、丸にライト前タイムリーヒットを打たれて1点差に詰め寄られた。1死一三塁から松山にセンターに犠牲フライを打たれて同点にされると、安部には左中間を破るタイムリー三塁打で逆転される。中谷が飛びつくも及ばず。西川のライト線へのタイムリー二塁打で2点差とされ、秋山もこの回限りで降板。6回表も九里に抑えられると、7回からは一岡、今村、中崎のリレーの前に得点できず。6回から3イニング投げ切った榎田の好投が救いに。中崎から鳥谷が1999本目のヒットを放つも、後続を断たれ、3連敗。カープのマジックナンバーは8に。
◎ベイスターズ18回戦……8-3
タイガースの先発は能見。立ち上がり、コントロールが定まらない。1回表、レフト前ヒットの桑原将を柴田に送られ、筒香のライト前タイムリーヒットで1点を先制される。2回表には1死から四球の梶谷を井納に送られ倉本のセンター前ヒットで梶谷がホームを突く。返球のタイミングはアウトだったが、わずかにそれてホームイン。2点差をつけられた。ベイスターズの先発は井納。2回裏、1死から中谷が歩くと、鳥谷の左中間を破るタイムリー二塁打で1点を返した。鳥谷はこのヒットで通算2000本を達成。ベイスターズからは早稲田大の後輩田中浩が、タイガースは2000本安打の先輩福留がそれぞれ花束を渡し、記録達成を祝った。大和のセカンドゴロで鳥谷は三進。坂本がレフトポール際に逆転のツーランホームランを放ち、記録に花を添える。しかし能見は3回表に筒香に左中間スタンドに同点のソロホームランを打たれてしまう。ここから両先発は立ち直り、能見は6回3失点でリリーフ陣に後を託す。7回表、岩崎が抑えると、タイガース打線が奮起。1死から坂本のセンター前ヒット、代打上本のレフト前ヒット。ここで井納に代わり砂田が上がるが、糸井の一塁ロペスのミットを弾くセカンドへの内野安打で満塁とし、西岡がセンター前にテキサス性のタイムリーヒットを打って勝ち越し。福留のセンターへの犠牲フライでさらに1点を追加した。三番手三上には大山がセカンドゴロに抑えられたが、ついに勝ち越し。8回表は高橋聡が抑え、8回裏には続投の三上をとらえる。先頭の中谷がレフト線に二塁打を放つと、鳥谷は四球。大和のバントは三上が三塁へ送球するも悪送球となり、球が外野に転がる間に中谷が生還。無死二三塁として坂本のセンター前2点タイムリーで点差を広げる。代打伊藤隼が凡退すると、糸井に対しては三嶋がマウンドへ。糸井はファーストゴロ併殺に終わる。9回表、石崎が三者凡退で締め、連敗ストップ。好リリーフの岩崎が4勝目。ヒーローインタビューは勝ち越しタイムリーヒットの西岡と、2000本安打達成の鳥谷。
◎ベイスターズ19回戦……2-1
タイガースの先発は小野。1回表、三者三振という素晴らしい立ち上がり。ベイスターズの先発は石田。1回裏、先頭の俊介がレフト前ヒットで出ると、上本が歩き、糸井のセカンドゴロは柴田がファンブルして送球が遅れオールセーフで無死満塁に。大山はサードゴロで本封。しかし中谷のピッチャーゴロは石田が落球してどこにも投げられず、上本が生還して1点を先制した。さらにチャンスは続いたが、鳥谷、大和と凡退して追加点はならず。石田はこの後立ち直り、6回2安打1失点と好投。小野も自信たっぷりの投球で、7回を投げて自己最多の9奪三振。しかし、7回表、ついにつかまる。1死から宮崎にセンター前ヒットを打たれる。代打乙坂のショートゴロは二封のみ。一塁は辛うじてセーフの併殺崩れに。梶谷に右中間を破られ、俊足の乙坂は一気にホームイン。しかし、外野からの返球をカットした大山がバックホームせず三進しようとした梶谷を二三塁間に挟み、タッチアウトで逆転のチャンスは作らせなかった。ベイスターズは7回裏から三上、8回裏からパットンが抑え、タイガースも8回表は桑原謙が三者三振、9回表はドリスが三者三振で延長戦に。10回表、マテオは梶谷にヒットを打たれるもやはりアウトはすべて三振。10回裏からはベイスターズはエスコバー、山崎康のリレーで無失点。タイガースは11回表、岩崎が1死から桑原将を歩かせ、柴田のバントで二進。筒香を敬遠気味に歩かせて、石崎にスイッチ。ロペスは初球をセカンドフライでピンチを脱した。11回裏、山崎康に抑えられると、12回表は藤川が抑え、試合は12回裏に。マウンドには田中健。2死から糸井のライト線への二塁打でサヨナラのチャンス。大山は敬遠。中谷の打席で三嶋に交代。三嶋の暴投で二三塁とすると、中谷は敬遠気味に歩かされる。そして鳥谷がセンター前にサヨナラタイムリーヒット。藤川が3勝目。ヒーローインタビューは前日に続いて、サヨナラヒットの鳥谷。
◎ベイスターズ20回戦……7-6
ベイスターズの先発は今季苦手としている濱口。1回裏、タイガースが先制。先頭の糸井がライト前ヒットで出ると、俊介が送り、福留のセンター前タイムリーヒットで1点を奪う。タイガースの先発はメンドーサ。2回表、先頭の宮崎ににレフト線に二塁打を打たれると、梶谷のショート内野安打で一三塁に。高城の打席で梶谷が二盗。高城を歩かせて満塁に。1死後、倉本のレフト前に落ちる2点タイムリーヒットで逆転される。桑原将には右中間を破るタイムリー二塁打を打たれ、さらに1点を失った。2回裏、1死から大和がレフト線へ二塁打を放つと、坂本のセンター前ヒットで一三塁とし、メンドーサのレフトへの犠牲フライで1点を返す。さらに3回裏、1死から福留がセンターオーバーの三塁打で出ると、大山が内角をうまくさばいてライト線へ同点タイムリー二塁打。2死後、上本、大和の連続四球で満塁とし、坂本が押し出しの四球を選び逆転した。4回裏には糸井のレフトスタンドへのソロホームランで2点差とする。さらに俊介のヒットを足がかりに暴投などで1死三塁としたが、さらなる追加点はならず。5回裏には大和の四球、坂本のヒット、糸井の内野安打などで2死満塁と攻め立て。濱口はここで降板。二番手三嶋の前に俊介はライトフライと得点はできなかったが、苦手意識を払拭できる試合運びとなった。6回表、タイガース二番手の榎田は、高代、倉本のヒットなどで1死一三塁とされ、桑原将のセンター前タイムリーヒットで1点差とされた。ここで三番手高橋聡が登板、柴田、筒香を連続三振に取ってリードを保つ。ベイスターズは砂田が6回裏を抑え、タイガースは7回表にマテオを投入。1死から宮崎にヒットを打たれると、梶谷のライトポール際の大きなフライは一度は逆転ホームランと判定されたが、リプレイ検証でファールに。打ち直しとなってライト前ヒットに。代打乙坂の当たりは三塁を襲い、鳥谷のグラブを弾く。これがエラーとなり、宮崎が生還して同点とされた。7回裏、エスコバーに抑えられると、8回表は桑原謙が柴田にライトスタンドにプロ入り初ホームランを叩きこまれ、ついに勝ち越しを許す。8回裏、続投のエスコバーから俊介の四球と福留のヒットで無死一二塁とし、ここでパットンが登板。大山の打席で暴投。大山はセカンドライナーに倒れるが、代打中谷が歩いて満塁に。森越も押し出し四球を選び、同点に追いついた。後続を断たれ、逆転はならず。9回表、ドリスが抑えると、9回裏には三上がマウンドに。先頭の鳥谷が歩き、糸井のヒットで一二塁に。俊介はスリーバント失敗に終わるが、福留の打席で暴投。福留は四球で満塁に。大山は三振に倒れ、2死までこぎつけられたが、代打伊藤隼がライトオーバーのサヨナラヒットを放ち、接戦を制した。ドリスが4勝目。ヒーローインタビューはサヨナラ打の伊藤隼。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 カープを無失点で抑えていただけに、いけるところまでいってほしかった。カープ打線は岩田を明らかに嫌がっていたのだ。リリーフ陣に疲れが見えているだけに、先発がよい時はなるべく長く投げさせてもらいたいのだが。この試合での岩田の降板で3連敗は決したのかもしれない。
野手……鳥谷敬 本来なら打撃絶好調の坂本といきたいところだが、今節は2000本安打達成の鳥谷。なにより、カープ戦3連敗の嫌なムードが鳥谷の記念のヒットで吹き飛んだ。2001本目がサヨナラ打というのもなかなか見せてくれるやないですか。
次節は甲子園でジャイアンツと三連戦。藤浪、岩田、秋山で今度は3連勝といきたい。ベイスターズを3タテしてジャイアンツに負け越したりなんかしたら、横浜のファンに申し訳ない。1日あけて、甲子園でドラゴンズ戦。2位確保のためにも、取りこぼしは避けたいところ。カープの胴上げを1日でも先に延ばせるように意地を見せてほしいものです。
(2017年9月11日記)