3月30日、東京ドームで、タイガースは今シーズンの開幕を迎える。相手はジャイアンツ。開幕投手は今年もメッセンジャー。来日9年目で5度目の開幕投手である。と、書くと去年と同じ書き出しになるのだが、ここから先が少し違う。ローテーションがまだ確定的でないのだ。直前のオープン戦を2試合雨で流したため、先発投手のテストが十分にできていないまま開幕を迎えることになる。メッセンジャーと秋山はまず確定しているのだが、藤浪はまだまだ安心して任せられるかどうか不安な部分を残しているし、能見も試合ごとに出来不出来の差が激しすぎる。岩貞は完全に自分の投球を見失った感じで開幕一軍枠にも残れそうにない。2年目の小野が非常に出来がよく、一応5人はめどが立っているという状態。6人目を誰に託すのか。青柳、岩田はキャンプのあと二軍での調整に入った。若い才木とルーキーの高橋遥がローテーションに入りそうだが、今年は経験を積むことが最優先になるだろう。ドラフト1位の馬場もまだ体力作りの段階だ。榎田との交換で移籍してきた岡本あたり、他にまでの先発で起用するとおもしろそうだ。優勝のためにはまずはローテーションを確固たるものにしていきたい。
リリーフ陣では高橋聡がオープン戦ではよく一発を食らっていて不安を残したが、藤川、岩崎、桑原、マテオ、ドリスとも仕上げは順調。ここに今季は石崎やルーキーの谷川が加わっていくことになるだろう。松田、島本、山本、竹安そして移籍の尾仲ら若手の台頭を望みたい。新外国人のモレノも面白い存在なのだが、枠の関係で起用できないのはもったいないな。
今季もリリーフ陣に頼る展開が多くなりそうだ。
打線では鍵を握るのは新外国人のロサリオだろう。4番一塁で固定して起用することが決まっているが、オープン戦では相手投手の変化球攻めに苦労していた。慣れるまでどれだけ辛抱できるか、だろう。もっとも過去はクルーズやキンケードのようにオープン戦では快調に飛ばしていたのにシーズンに入るとさっぱりという選手もいた。オープン戦では大型扇風機といわれていたフィルダーがシーズンに入ると打ちまくったという例もある。ロサリオに限らず、外国人選手はシーズンに入ってから出ないとわからない。昨季のドラゴンズ、ゲレーロのように開幕直後は三振が多かったが、辛抱して起用していると最終的にはホームラン王というケースもある。
二塁にコンバートの鳥谷、外野は福留と糸井。ここまでは固まったが、他のポジションはまだまだ流動的だ。しかし昨年のカープがそうだったように、調子のよい選手を見極めて日替わりで競争させることによりチーム力が上がっていった例もある。センターは高山、中谷、俊介、緒方、伊藤隼らが、ショートは糸原、西岡、北條、糸原が、捕手は梅野、坂本、岡崎、長坂がそれぞれ熾烈なレギュラー争いをする。三塁は大山を固定して育てる方針のようだが、陽川も虎視眈々とその座を狙う。鳥谷を休ませて起用するならば、上本が控えている。実績のある今成もこのまま二軍で腐るはずがない。二軍にも外野では新人の島田や板山ら、内野では新人の熊谷、森越、移籍の山崎が機会あらばと準備している。
確かに選手の底上げは進んでいる。戦力は整いつつある。
半年にわたる長丁場を戦い抜くだけの層の厚さがはっきりと見えてきた。
昨年の覇者、カープは先発投手陣が若く安定していない。ベイスターズはここにきて先発投手陣に故障者が出始めた。ジャイアンツはゲレーロ、上原、野上と例によって補強で戦力を整えてきたが、岡本や吉川尚ら実績のない若手に頼らざるを得ない。ドラゴンズはジー、アルモンテなど外国人補強がうまくいき、松坂の加入で若手が刺激を受けているだけに、のびしろはあるし、スワローズ打線は故障者が復帰してきたら非常に怖い。こうやってみると、どのチームも決め手に欠く。団子レースになった時に、鉄壁のリリーフ陣に支えられて終盤にも勝負をかけられる。
今季、あるいは来季、金本監督がまいた種がついに花開くと確信している。
監督も選手も「優勝」と口に出して言うようになった。
楽しみなシーズンになりそうだ。
(2018年3月27日記)