クライマックス・シリーズファイナルステージは東京ドームでチャンピオンのジャイアンツに挑戦。初戦は望月がプレッシャーのためか安全に行こうとしてジャイアンツ打線に呑まれ、2戦目はメルセデスの前に打線が沈黙。3戦目は打ち合いになり、大山の決勝ホームランで一矢報いる。4戦目は西が岡本和のホームランのみの失点で踏ん張ったが、打線も高橋優から小刻みなリレーの前に1点どまりで、なんと2死からの丸のセーフティスクイズで決勝点を奪われ。2014年以来の日本シリーズ出場はならず。シーズン終盤から連投、イニングまたぎで奮闘してきた中継ぎ陣にさすがに疲れが見え、ついに力尽きたというところか。トーナメントの決勝戦みたいな試合運びの限界が見えた。とはいえ5位で終わる可能性もあったのに、ここまで続けられたのだから、タイガースの選手は自信を持っていい。ようがんばった。
◎ジャイアンツ1回戦……2−5
タイガースの先発は望月。1回裏、亀井を歩かせるも坂本勇をショートゴロ併殺にとる。しかし丸と岡本に連続でソロホームランを打たれ、2点を先制された。2回裏、1死から田中俊にセンター前ヒットを打たれると、小林の打席で二盗を許し、小林は四球。山口のバントは一塁マルテが好捕して三封したが、亀井にレフト線にタイムリー二塁打を打たれ、さらに二三塁で坂本勇にセンター前に落ちる2点タイムリーヒットを打たれて5点差とされる。望月は2回5失点で降板。この後は3回裏から岩貞、5回裏から能見、7回裏から守屋がそれぞれ2イニングずつ無失点で抑え、この試合も盤石のリリーフ陣がジャイアンツ打線を封じた。ジャイアンツの先発は山口。4回表2死まで一人の走者も出せなかったが、福留がライト前に初安打を放つと、マルテもライト前ヒットで続き、糸原が歩いて満塁とする。高山の打席で山口は暴投、福留が生還して1点を返し、高山も四球でまたも満塁に。しかし大山はセンターフライに倒れ、追加点は取れず。5回以降は山口の緩急差をつけた投球に苦しむが、8回表、北條がレフト前ヒットで出ると、木浪の二塁ゴロで二封。ここで山口は交代。二番手中川に対し、近本はショートフライ、福留は空振り三振と無死での走者を生かせない。9回表、ジャイアンツはクローザーのデラロサを投入。1死から糸原と高山の連打でチャンスを作り、代打に原口。しかし原口は三塁ゴロで二封。2死一三塁となる。ここからデラロサはコントロールを乱し、梅野を歩かせ満塁とすると、北條も押し出しの四球で3点差に。デラロサを引きずり降ろし、四番手は田口。しかし木浪は三塁ゴロに倒れ、最後まで食い下がるも逃げ切られた。
◎ジャイアンツ2回戦……0−6
ジャイアンツの先発はメルセデス。1回表、1死から北條のショート前のフライは坂本勇が捕れずワンバウンドして内野安打に。福留三振の間に北條は二盗。しかしマルテは投手ゴロに倒れて先制点はならず。タイガースの先発は高橋遥。1回裏、亀井にライト線に二塁打を打たれると、坂本勇はライト前に落ちるヒットで無死一三塁に。丸のショートゴロ併殺の間に亀井が生還して1点を先取される。高橋遥は2回1失点で降板。3回表、1死からヒットの近本が二盗するも北條は空振り三振、福留は投手ゴロで同点ならず。3回裏、二番手ガルシアは2死から亀井と坂本勇の連打で二三塁とされるが、丸を空振り三振にとり、切り抜けた。しかし4回裏、二塁打の岡本和を置いてゲレーロにレフトスタンドにツーランホームランを打たれて3点差に。5回裏は三番手島本が亀井の二塁打と坂本勇への四球で1死一二塁とされ、丸の打席で重盗を許し、二三塁から丸に犠牲フライを打たれて4点差に。6回から7回は岩貞が無失点に抑える。タイガース打線はメルセデスの速球にタイミングが合わず7回無失点に抑えこまれる。8回表も二番手大竹の前に三者凡退。8回裏、五番手守屋が1死から代打阿部にライト前ヒットを打たれ、代走に陽。重信の打席で陽は二盗。梅野の悪送球で三進。若林のセンター前タイムリーヒットでダメ押しの6点目を奪われる。9回表、三番手のデラロサに対し、2死から福留が右膝を直撃する死球で出塁。代走の江越はマルテの打席で二進。しかしマルテは一塁ファールフライで試合終了。苦手のメルセデスを攻略できず連敗。
◎ジャイアンツ3回戦……7−6
ジャイアンツの先発は新人の戸郷。3回表、梅野がレフトスタンドにソロホームランを叩きこみ先制する。なおも近本の内野安打、福留とマルテの四球で2死満塁と攻めるも糸原は三塁へのファールフライで追加点はならず。タイガースの先発は青柳。若林への死球、亀井のヒット、坂本の投手ゴロで1死一三塁取れ、ガルシアに交代。丸への四球で1死満塁とされ、岡本和にセンターのフェンス最上部に当たる2点タイムリー二塁打を打たれ、さらに阿部にライト前タイムリーヒットを打たれて逆転を許す。4回表、二番手桜井に対し高山の四球、代打陽川のヒット、近本の四球で2死満塁とするも北條は空振り三振で得点できず。4回裏、三番手島本が陽にセンターバックスクリーンに飛び込むソロホームランを打たれ、3点差に。5回表、続投の桜井から福留の四球、マルテの死球、糸原の四球で無死満塁に。ここで三番手高木京に交代。高山はライト前に落ちるタイムリーヒットを放ち2点差に。大山三振のあと、梅野のレフト前タイムリーヒットで1点差とする。代打原口は見逃し三振に取られたが、近本はライト線に走者一掃のタイムリー三塁打を放ち、逆転して2点差とする。ここで四番手澤村に交代し、北條はライトフライに倒れる。5回裏、四番手ドリスは四球の丸を置いて岡本和に同点ツーランホームランをレフトスタンドに打たれてしまう。6回表、澤村に対しマルテと糸原の四球で1死一二塁とすると、五番手大竹に交代。高山はショートゴロ併殺打に倒れ、得点できず。6回表はドリス、岩崎の継投で三者凡退に抑える。7回裏、岩崎は丸と岡本和の連打で無死一二塁とされるも、後続を断ち得点を許さず。8回表、中川に対し北條と福留の連打でチャンスを作るもこちらも後続を断たれる。8回裏からは藤川がきっちりと三者凡退に抑え、9回表、大山の右中間スタンド最前列に飛びこむソロホームランを放ち、勝ち越すと、9回裏は藤川が坂本勇、丸、岡本和をきっちりと抑え、連敗を止めた。勝利投手は藤川。ヒーローインタビューは決勝ホームランの大山。
◎ジャイアンツ4回戦……1−4
ジャイアンツの先発は高橋優。1回表、2死から福留が歩き二盗を決めるもマルテはショートライナーで惜しくも先制ならず。2回表、大山が左中間を破る二塁打で出ると、梅野が送り三進。糸原のレフトへの犠牲フライで先制する。タイガースの先発は西。3回まで走者を一人も出さない好投。4回裏、1死から坂本勇にセンター前ヒットを打たれるも、丸を二塁ゴロ併殺に打ち取る。5回表、2死から近本が歩き北條の打席で二盗を試みるも捕手大城が盗塁を読んで大きくウエストボールを投げさせ、ストライク送球で刺される。5回裏、岡本和にバックスクリーンに同点ソロホームランを打たれ、1死から大城にセンター前ヒットを打たれるも、ゲレーロの打席で牽制死。原監督のリクエスト申請も判定は覆らず。6回表、北條が歩き代走は植田。福留も歩いて無死一二塁とし、ここで高橋優は降板。二番手大竹に対し、マルテは三塁ゴロで三封。大山、梅野は連続三振で得点できず。6回裏、山本泰にレフト線に二塁打を打たれると、亀井のバントで三進。坂本勇を空振り三振に取って2死三塁となる。ここで丸が意表を突くセーフティスクイズ。西は必至で一塁に送球するもわずかにそれてリードを許す。西はしばらく動けず。7回表は三番手田口に抑えられ、7回裏、二番手岩崎が1死から大城を歩かせゲレーロにレフトスタンドにツーランホームランを打たれて3点差とされる。8回表は四番手中川に抑えられ、8回裏は藤川が2死から丸と岡本和を歩かせるも代打重信を一塁ゴロに打ち取り、追加点は許さず。9回表、デラロサの前にマルテ、大山が内野ゴロに仕留められ、最後の打席となる鳥谷が代打で出るも二塁ゴロで試合終了。ジャイアンツに日本シリーズ進出を許した。
愛すれどTigers週間MVP
投手……西勇輝 ベイスターズ戦で痛めた左足の指はまだ完全ではないだろうに、ジャイアンツ打線に対して素晴らしい投球を見せた。丸のセーフティスクイズで決勝点をとられたあと、しばらく倒れたまま動けず、立ち上がることもできなかった。それだけ全身全霊で投球していたということだろう。負けはしたが、その力投を讃えたい。
野手……梅野隆太郎 毎日のように小刻みに登板するリリーフ陣を引っ張り続け、なおかつ打つ方でもホームランや犠牲フライなどここというところで役割を果たした。シーズン終盤からこのシリーズにかけての経験が、来季に向けて大きく生きてくると確信している。
さすがに勢いを止められると、もともと打力では差があるだけにそれが結果となって現れたという感じだったが、ここまできた経験が若手から中堅になってきた各選手たちを鍛え上げてくれたと思う。来季は甲子園でこのCSという舞台を迎えてほしい。全力を出しつくしての敗戦から得たものは大きいはずだ。そして、鳥谷。来季の去就ははっきりしていないが、このシリーズでの打席を見ても、どこか冷めたような様子が見られた。もうすでにタイガースの鳥谷であることに見切りをつけたというようにも見えた。来季は果たしてユニフォームを着ているのか、脱いでいるのかわからないが、「HANSHIN」のマークのついたユニフォームは現役選手としてはこれが最後と思うと感慨深いものがある。
(2019年10月14日記)