愛すれどTigers


東京ドームで高橋、秋山がG倒

 今節はまず甲子園球場でカープ戦。初戦はガルシアの乱調と九里の好投で完敗。2戦目は青柳と強力リリーフ陣の好投で完封勝ち。3戦目は岩田が早々とノックアウトされ、1勝2敗。東京ドームに移りジャイアンツ戦。初戦は西勇をマルテが1試合4失策という記録を作って足を引っ張り敗れる。2戦目は高橋遥と菅野の息詰まる投手戦をものにして連敗を止め、3戦目は秋山の完投と陽川のホームランで遅まきながら東京ドームで今季初めてのカード勝ち越しとなる、2勝1敗。今節は3勝3敗。今季通算52勝50敗6分で勝率.510で3位。首位ジャイアンツとは11.5ゲーム差。ドラゴンズとは4.0差。ジャイアンツの優勝マジックナンバーは4。

◎カープ21回戦……1-5
 タイガースの先発はガルシア。2回表、西川を歩かせ、1死後、坂倉にレフト線の二塁打を打たれるも、中継の小幡の正確なバックホームで西川は本塁憤死。しかし3回表、上本崇を歩かせ九里のバントで二進を許し、長野のセンターの頭上を越える二塁打で二三塁に。田中広のショートゴロは小幡が素早く本塁へ送球し上本崇は三本間の狭殺プレーでアウトに。鈴木誠は申告敬遠で満塁とし、西川にレフト前2点タイムリーヒットで先制される。ピレラの三遊間の当たりは小幡がよく抑えて内野安打となりまた満塁に。坂倉のピッチャー返しはガルシアの足に当たって跳ね返りライト方向へ転がる2点タイムリーヒットとなり4点差と広がった。ガルシアはこの回限りで降板。4回表、二番手伊藤和は上本崇を歩かせる。九里のバントは捕手前の小フライとなり坂本が判断よくワンバウンドで捕り一塁でアウトにすると、上本崇は一二塁間の狭殺プレーとなるが小幡と接触し走塁妨害で二進。長野の打席で伊藤和の暴投が出て上本崇は三進。長野はレフトへ犠牲フライを放ち5点差とされた。伊藤和は5回まで投げて6回表三番手の藤川につなぐ。藤川は三好にレフト前ヒットを打たれるも、上本崇のショートライナーで三好が飛び出し小幡が一塁へ送球して併殺に。九里は見逃し三振で、久々の甲子園での投球は無失点。カープの先発九里の前に6回裏2死まで一人の走者も出せなかったが、近本がようやくライト線の二塁打で出る。しかし板山は三塁ゴロに倒れ得点はならず。7回表と8回表は四番手谷川が好投。9回表は五番手能見が上本崇と長野を歩かせ2死一二塁とするも田中広をレフトフライに打ち取り追加点は許さず。9回裏、完封目前の九里に対し、1死から近本がライト前ヒットを放つと、代打原口もセンター前ヒットで続き一二塁とし、糸井のライト前タイムリーヒットで1点を返す。ライトの曽根が本塁へ悪送球し、二三塁に。ここで九里は降板。二番手に抑えのフランスアを引きずり出す。大山に期待はかかったが投手ゴロで走者は釘づけ。サンズは空振り三振で反撃もここまで。
◎カープ22回戦……2-0
 タイガース青柳、カープ遠藤淳の投手戦。1回表、田中広にレフト前ヒットを打たれ、羽月のバントで二進。しかし鈴木誠と松山を連続の空振り三振に取って切り抜ける。1回裏、ヒットの近本が糸原の打席で二盗。続いて三盗も試みるがタッチアウトに。それでも糸原が四球で出ると、この試合から一軍復帰したマルテが左中間スタンドにツーランホームランを叩きこむ。さらに大山がライトへあわやホームランというフェンスぎりぎりの当たりを飛ばし、追いついた鈴木誠が落球して二塁に進む。しかしサンズは空振り三振、ボーアはショートフライで追加点はならず。2回以降は両投手とも持ち味を出し切った好投で試合は動かず。6回表、1死から羽月を歩かせるも鈴木誠を空振り三振に取ったところで青柳は二番手岩貞と交代。岩貞は松山を見逃しの三球三振に取る。7回表は三番手岩崎が代打長野のヒットと代打堂林への四球で2死一二塁とされるも代打ピレラをレフトフライに打ち取り切り抜ける。遠藤淳は2失点のみで6回まで投げて交代。7回裏、二番手菊池保には三者凡退。8回表は藤浪が161kmの急速をまたも記録。田中広のセンター前ヒットと羽月のバントで1死二塁とされたが鈴木誠を見逃し三振にとり、松山には速球で押して空振り三振。8回裏は三番手の左腕中村恭に近本と糸原が打ち取られ、マルテの打席で四番手中田廉が登板し、マルテは二塁へのフライに倒れる。9回表、抑えのスアレスは西川、長野、會澤をいずれも内野ゴロに打ち取り逃げ切ってリーグ単独トップの22S。ヒーローインタビューは2ヶ月ぶりの7勝目をあげた青柳と、開幕以来の出場で決勝ホームランを放ったマルテ。
◎カープ23回戦……5-9
 タイガースの先発は岩田。1回表、長野にセンターオーバーの二塁打を打たれる。近本の好返球で二塁タッチアウトにしたかと思われ、矢野監督がリクエスト申請したが、小幡のタッチがわずかに追いタッチになった分遅れ、判定は覆らず。1死後、鈴木誠を歩かせ、西川は見逃し三振に取ったが、會澤のレフト前タイムリーヒットで先制される。さらに堂林にもライト前タイムリーヒットを打たれ、いきなり2点差をつけられた。2回表、薮田を歩かせると長野のショートゴロで二封。田中広には死球を当てて一二塁とすると、鈴木誠も歩かせて満塁に。西川にも押し出し四球で3点差に。3回表、ピレラに二塁打を打たれ、上本崇のショートゴロで三進。2死後、長野にレフト線にタイムリー二塁打を打たれると、田中広にはライトの頭を越すタイムリー三塁打を打たれ、鈴木誠には三遊間を破るレフト前タイムリーヒットで6点差をつけられ、岩田はこの回限りで降板。4回表からは小川が6回まで無失点で流れを作る。カープ先発の薮田の前に5回裏まで得点できなかったが、6回裏、1死から代打陽川が歩き、近本のライト前ヒットで一三塁とすると、糸原のライト前タイムリーヒットで1点を返す。糸原は二進して二三塁とし、マるルテの打席で薮田は暴投、近本が生還して4点差に。7回表はこの日戦力外通告を受けたことが報道された能見が三番手で登板し、三者凡退に抑える。7回裏、二番手の塹江に対し2死から梅野がレフト前ヒットで出ると、中谷のセンター前ヒットで一二塁とする。ここで代打原口がレフトスタンドにライナーで飛び込むスリーランホームランを放ち1点差に迫る。8回表は四番手エドワーズが三者凡退に抑え、8回裏は三番手ケムナの前に三者凡退。9回表、五番手岩貞は西川の一塁ゴロエラーと會澤のヒットで無死一三塁とされ、堂林の打席で會澤が二盗。2死後、ピレラの低い弾道がレフトスタンドに飛びこみ、スリーランホームランとなり、4点差に逆戻り。ここで岩貞はマウンドを降り、六番手の藤川が後続を断つ。9回裏はフランスアの前にサンズが四球を選んだものの、梅野が併殺で逃げ切られた。
◎ジャイアンツ21回戦……4-5
 タイガースの先発は西勇。2回裏、1死から丸に先制のソロホームランをバックスクリーンに放りこまれる。続く若林にレフト線に二塁打を打たれると、田中俊の一塁ゴロをマルテが弾いた上に焦って一塁に悪送球し、若林が生還して2点目を献上。大城のライト前ヒットで一三塁とされ、今村のバントはマルテがまたも弾いて田中俊も生還し3点差とされる。ジャイアンツの先発は今村。3回まで完全に抑えられていたが、4回表、マルテのレフトスタンドにライナーで飛び込むソロホームランで1点を返す。5回裏、吉川尚にセンター前ヒットを打たれると、松原の打席で二盗、梅野の二塁への悪送球で三進。松原の一塁ゴロはマルテがまたしても弾き、無死一三塁に。坂本勇のレフト前タイムリーヒットで3点差とされると、岡本を歩かせて満塁に。丸は空振り三振に取るが、若林にまたもレフト前タイムリーヒットを打たれて4点差に。西勇は5回5失点で降板。6回裏、二番手岩貞は三者三振でジャイアンツの流れを止める。7回裏は三番手桑原が三者凡退に抑える。8回表、中谷のレフトへの強い当たりは若林に好捕されるも、代打坂本誠が歩き代打サンズりレフト前ヒットで一二塁に。サンズの代走は小幡。原口が左中間を破る2点タイムリー二塁打で2点差に迫る。ここで今村は降板し、二番手は高梨。近本、糸原と連続空振り三振で攻撃を断ち切られた。8回裏は四番手岩崎が三者凡退に抑え、9回表、抑えのデラロサに対し1死から大山が歩き、陽川のレフト前ヒットで一二塁に。陽川の代走は島田。中谷のレフト前タイムリーヒットで1点差に迫り、デラロサは降板。四番手は田口。代打糸井の打席で落ちる球を捕手大城が大きくそらし、暴投で二三塁に。一気に逆転のチャンスを迎えたが、糸井は空振り三振。代打植田はよく粘ったが、ライトフライに倒れて逃げ切られた。
◎ジャイアンツ22回戦……2-1
 タイガースの先発は高橋遥。1回表、1死から松原の内野安打と坂本勇への四球で先制点のピンチを作るが、岡本をキャッチャーへのファールフライに打ち取ると、丸を投手ゴロにしとめて切り抜ける。ジャイアンツの先発は菅野。3回まで完璧に抑えられていたが、4回表、近本化のセンター返しの打球はショート坂本勇に好捕されるも一塁送球は高投となり内野安打に。糸原の打席で低めのワンバウンドを捕手大城が前にこぼした際に近本が二塁を陥れ、暴投と記録される。糸原のライト前タイムリーヒットで1点先制。しかし菅のはここでギアをあげ、マルテ、大山、サンズが三者三振。4回裏、坂本勇を歩かせるも岡本は空振り三振、丸の二塁ゴロで二封。若林の打席で丸を牽制で釣りだして一二塁間で狭殺し得点を許さない。6回表、近本と糸原の連打でチャンスを作るもマルテは二塁ゴロ併殺。三塁に走者を残すも大山はライトフライに倒れ、チャンスを逸する。6回裏、菅野にセンターの頭上を越す二塁打を打たれ、吉川尚のライト前ヒットで無死一三塁に。松原のライトフライで菅野が生還して同点に。坂本勇の三塁ライナーで一塁走者の吉川尚が飛び出し大山が好送球で一塁もアウト。7回表、サンズのレフト前ヒットと坂本誠のバントで2死二塁とし、代打糸井は四球で一二塁に。糸井の代走に熊谷。代打原口がレフト前にタイムリーヒットを放ち、1点リード。さらに近本が歩いて満塁とするも、糸原は一塁へのライナーに倒れて追加点はならず。ここからはリリーフ勝負。タイガースは7回をエドワーズ、8回を岩崎で抑え、ジャイアンツは8回を鍵谷、9回をビエイラで抑える。9回裏、タイガースは切り札スアレスが登板。1死から岡本を歩かせたが、坂本勇は空振り三振。若林のレフトフライで試合終了。8回表の攻撃でサンズが見送り三振に倒れた際に判定に抗議してバットとヘルメットを放り投げ、退場処分に。同じようなコースでジャイアンツの打者はボールと判定されていただけに、サンズの怒りは当然。普段は判定に対して抗議することのないサンズが怒ったのはよほどのことである。高橋遥が5勝目。スアレスは23Sとタイトルに向けて一歩前進。ヒーローインタビューは勝ち越しタイムリーヒットの原口。
◎ジャイアンツ23回戦……4-2
 ジャイアンツの先発は畠。1回表、1死から糸原のセンター前ヒット、マルテのライト前ヒットで一二塁とすると、大山のレフト前タイムリーヒットで1点先制。ジャイアンツが中継途中でバックホームをあきらめてくれたため糸原は楽々ホームイン。2回表、木浪がライト前ヒットを放つも、坂本誠の三塁ゴロで二封。しかし坂本誠が秋山の打席でプロ入り初となる二盗を決め、近本のライト前タイムリーヒットで生還し、2点差とする。タイガースの先発は秋山。切れのある速球と絶妙のコントロールでジャイアンツ打線を寄せ付けず。4回裏、2死から坂本勇に二塁打を打たれるも、岡本にはいい当たりながらも三塁ライナーで得点を与えない。5回表、二塁打の大山を置いて陽川がレフトスタンドにツーランホームランを放ち、4点差に。畠は5回4失点で降板。6回表は二番手桜井に対して坂本誠の四球、近本の死球で1死一二塁とするも糸原とマルテはともにセンターフライで追加点ならず。8回表からは三番手古川が登板。糸原がヒットを放つも得点には至らず。9回表は四番手田中豊が登板。2死から陽川がヒットで出るも木浪の打席で二盗を試み刺殺。9回裏、テンポよく無失点を続けてきた秋山が完封をかけてマウンドに。内野安打の松原を置き、坂本勇はライトフライ、岡本は空振り三振とあと一人までこぎつけたが、丸に左中間スタンドに入るツーランホームランを打たれて完封を逃す。最後は若林を一塁ライナーにしとめ、完投で9勝目をあげた。ヒーローインタビューは完投勝利の秋山。

愛すれどTigers週間MVP
投手……高橋遥人
 菅野との今季3度目の投げ合いでついに勝つ。完投こそ逃したが、この試合に負ければ完全に優勝の可能性がなくなるという試合での好投は来季、西勇と並ぶ左右の両輪となる希望を抱かせた。
野手……原口文仁
 故障が完全にいえない梅野、リード面とキャッチングで安定感を見せる坂本との併用であるが、本職の捕手としても、代打の切り札としても、ここ一番で打ってくれる勝負強さを買う。今節は抜きんでた存在が出ず、他にもしぶとさで好打を見せた糸原や正捕手争いで存在感を示す坂本なども次点としてあげておきたい。

 次節は甲子園球場でドラゴンズ戦。ナゴヤドームでの3連敗のお返しをしたい。甲子園では圧倒的に強さを見せているだけに、2位奪還のためにも目の上のたんこぶのようになっているドラゴンズにだけは負けてほしくない。続いては横浜スタジアムでベイスターズ戦。関東遠征はこれが最後。関東のタイガースファンに藤川の最後の雄姿を見せられるか。監督交代が決定している相手だけに、気持ちの上では有利だろう。残り試合でジャイアンツが5敗してタイガースが全勝したら奇跡の逆転優勝ということも、実はまだ計算上では可能なのです。今のジャイアンツだとそれくらいしそうなので、残り12試合全部勝て。無茶ですか。それくらいの気持ちで挑んでほしいということです。

 福留、能見の両ベテランが戦力外通告を受けた。コロナ禍の影響で、高給取りのベテランがまず首を切られることになるのは寂しい限りだが、長くチームに貢献してくれた選手たちだけに、藤川とはまた別の形でファンとの別れの場を作ってほしいものである。

 ドラフト会議で一巡目に指名した近畿大の佐藤輝明選手を4チーム競合のくじ引きで矢野監督がみごとに交渉権を獲得した。即戦力としてJR東日本の左腕投手、伊藤将司を二巡目で指名。三淳目は上武大の右腕佐藤蓮投手、四巡目は立命館大の栄枝裕貴捕手と、昨年は高校生主体の使命だったのに対し、今季は大学生が中心のドラフトとなった。特に今ドラフトの目玉であった糸井や柳田(H)の衣鉢を継ぐと言われる佐藤輝の交渉権獲得は喜ばしい限り。福留、能見、藤川が去るが、それにとってかわる若トラの卵たちに期待したい。

(2020年10月26日記)


目次に戻る

ホームページに戻る