愛すれどTigers


2021年を黄金時代の始まりに

 昨年のドラフト会議で、矢野監督が佐藤輝明を引き当てた時に、この変化は始まっていたのかもしれない。
 藤川球児の引退、福留孝介、能見篤史の退団で、様相は変わった。ベテランと言えるのは糸井のみになり、その糸井もひざの故障で常時出場は難しい。チームの柱となるのはまだ20代の後半であるキャプテンの岩貞と大山、選手会長の近沢であり、ローテーションの軸は西勇、青柳、秋山、藤浪、ガンケルら。正捕手を争うのは梅野、坂本、原口。そしてキャンプからオープン戦でその一挙一動を注目され、その期待にこたえ続けてきた新人の佐藤輝。佐藤輝はオープン戦でとドラフト制度開始以降最多の6本塁打を放ち、それ以前の別当、長嶋に1本差と迫る記録を作った。
 外国人選手はコロナ禍で新加入のロハスとアルカンタラの入国が遅れているが、野手ではマルテとサンズが枠内にとどまる活躍を見せ、ガンケルは実力で開幕ローテーション入りをもぎ取り、エドワーズとスアレスはオープン戦で十分な調整ぶりを見せた。マリーンズから加入のチェンは期待されたがオープン戦で打たれて二軍落ちしたが、それで戦力がガタ落ちしたというイメージはない。
 高橋の故障での離脱は痛いが、先発候補はまだまだいる。新人の伊藤将、ベテランの岩田と中田、高卒2年目の西純と及川。他のチームなら見切り発車でローテーションに入れざるを得ない投手がタイガースはファームで調整させられる。リリーフ陣は抑えのスアレス、中継ぎには岩崎、桑原、エドワーズのほかにも小野、馬場、小林、守屋、石井大等がベンチ入りを競う。
 内野では四番三塁に大山がどっしりと座り、一塁はマルテ、サンズが競い、二遊間には木浪と糸原のほかに北條、植田、小幡、中野、熊谷等が虎視眈々とレギュラーの座を狙っている。
 外野はセンターの近本が固定され、そこに佐藤輝、糸井、サンズ、中谷、高山、江越、島田、陽川、俊介、板山、井上が挑む。
 誰が先発メンバーで出場してもおかしくない。ロハスやアルカンタラが入り込む余地があるのかとさえ思う。
 層の厚さではジャイアンツと遜色ない。いや、ジャイアンツ以上だろう。
 変則ルールで9回打ち切り延長戦なしとなったことがどういう影響をもたらすのか。五輪休みが1ヶ月近くあるがそこから切り変わるチームも出るだろう。そういう意味では予想しにくいペナントレースになるのだが、頼っていた大ベテランたちがいなくなって、がぜん若手から中堅がやる気になった。開幕投手は藤浪。対戦相手はスワローズ。
 もしかしたら黄金時代の始まりの年になるかもしれないと予測しつつ、私は今季の優勝を微塵も疑ってはいない。
 期待のシーズンが、今始まろうとしている。

(2021年3月25日記)


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