愛すれどTigers


佐藤輝1試合3ホーマーの新人記録

 今節からセ・パ交流戦。まずは甲子園のマリーンズ戦。初戦は西勇が調子を取り戻したが、マリーンズの鳥谷のタイムリーで流れが変わり、敗れる。第2戦は秋山の好投で征したが、第3戦はアルカンタラが突如打ちこまれて現状5回までしか持たないことを露呈し、佐々木朗に初勝利をプレゼントのおまけつきで敗れ1勝2敗。メットライフドームに場所を移し、コロナ禍で戦力を欠くライオンズ戦。初戦は乱打戦も佐藤輝の2リーグ制での新人タイ記録となる1試合3ホームランで決着。齋藤がプロ入り初勝利。第2戦は伊藤将が1失点に抑える好投を見せたが打線が振るわず敗れる。第3戦は糸井と梅野のホームランが効いてリリーフ陣も岩崎が珍しく失点した岩貞が1点差に迫られた以外はなんとか無失点で抑えて、及川がプロ入り初勝利で2勝1敗。今季通算31勝15敗2分で勝率.674の首位。2位のジャイアンツとは4.5ゲーム差と変わらず。なんと交流戦首位はこの時点ではドラゴンズ。福留がファイターズ戦で1試合4安打したというからすごい。タイガースは3勝3敗でバファローズ、ジャイアンツと並んで4位。

◎マリーンズ1回戦……3-5
 タイガースの先発は西勇。1回表、荻野と中村奨のヒットで1死一三塁とされ、安田の打席で西勇の一塁牽制球が悪送球となり、先取点を献上してしまう。マリーンズの先発は二木。3回裏、ヒットの中野を置いてマルテがバックスクリーン左へ逆転ツーランホームランを放つと、サンズも同じくバックスクリーン左にソロホームランを放ち2点差とする。二木は4回3失点で降板。5回からは二番手大嶺に抑えられる。7回表、1死から角中と藤岡の連打で一二塁とされると、代打鳥谷にライト前タイムリーヒットを打たれて1点差に。7回裏は三番手佐々木千に抑えられ、8回表、必勝を期して二番手に岩崎を送る。しかしヒットの荻野を置いてマーティンにレフトスタンドに逆転ツーランホームランを打たれ、中村奨に二塁打を打たれたところで岩崎は降板。3番手岩貞がレアードのレフト線へのタイムリー二塁打で2点差とされる。8回裏、四番手唐川に対し、ヒットの中野がマルテ三振の間に二盗。2死後、サンズの打席で暴投があり中野は三進。しかしサンズは二塁フライに倒れて得点機を逸する。9回表、四番手石井大が井上の二塁打と、江村のバントを梅野が三塁にさすも、石井監督のリクエストで判定はセーフに。荻野の打席で江村は二盗。荻野の当たりはライト前ヒットかと思われたが、小幡が好捕して一塁アウト。この間、走者はなぜか進塁せず。マーティンは申告敬遠。そして後続を断ち、無失点で切り抜けた。それでも2点差は大きく、9回裏は益田の前に三者凡退で交流戦の初戦は逆転負けとなった。
◎マリーンズ2回戦……3-2
 マリーンズの先発は岩下。3回裏、先頭の小幡が四球で出ると、秋山のバントで二進。近本はレフトの頭上を越すタイムリー二塁打で先制した。中野の打席で岩下が暴投し、近本は三進。中野は浅いレフトフライに倒れたが、近本がタッチアップから俊足を飛ばしてホームインし、犠牲フライとなって2点差に。5回裏には内野安打の小幡をまたも秋山が送り、近本のセンターフライで小幡は三進。中野のライト線へのタイムリー二塁打で3点差とした。マリーンズは6回から横山、小野郁とつなぐ。8回裏、2死から大山が歩き、代走江越が二盗。しかし牽制に吊りだされてタッチアウト。タイガースの先発は秋山。無四球で必ず先頭打者をアウトにするという安定した投球で7回まで無失点。8回表、1死から角中に二塁打を打たれると、藤岡のショートゴロは中野が弾いてレフト前タイムリーヒットとなり2点差に。秋山は8回1失点でクローザーのスアレスにバトンタッチ。9回表、2死からマーティンのレフト前ヒットを江越がファンブルしマーティンは二塁に到達。中村奨にレフト前タイムリーヒットを打たれて1点差に迫られたが、代打エチュバリアをセンターフライに打ち取って逃げ切った。ヒーローインタビューは先制タイムリーの近本と4勝目をあげた秋山。
◎マリーンズ3回戦……4-6
 タイガースの先発はアルカンタラ。1回表、先頭打者の初球、いきなり荻野にレフトスタンドにホームランを打たれる。しかし、それ以降は落ち着いた投球でマリーンズ打線を抑える。マリーンズの先発は佐々木朗。2回裏、大山が右中間を破る二塁打で出ると、サンズのショートゴロは全力疾走で内野安打とし、一三塁に。佐藤輝のレフト前タイムリーヒットで同点にすると、梅野と小幡は連続三振に取られたがアルカンタラがライト前タイムリーヒットで勝ち越す。井口監督がホームインに対してリクエスト申請を行うも判定は覆らず。3回裏、中野が歩き、マルテの打席で一塁牽制悪送球で中野は二進。2死後、サンズの打席で佐藤郁が捕逸し中野は三進。サンズのライト前タイムリーヒットで2点差に。自分のペースを取り戻したアルカンタラだったが、5回表、二塁打の角中を藤岡とエチュバリアの連続の外野フライで生還させてしまい1点差に。5回裏、2死から大山が歩き、サンズの打席で佐々木朗は暴投して大山は二進。サンズはライトの頭を越すタイムリー二塁打で2点差に。佐藤輝は申告敬遠で梅野に期待がかかるが、ショートゴロに倒れてビッグイニングは作れず。佐々木朗は高校時代には届かなかった甲子園の初マウンドで5回4失点で降板。6回表、2死から中村奨を歩かせるが、これがアルカンタラの来日初与四球。レアードらセンター前ヒットを打たれると、角中には左中間を深々と破る2点タイムリー二塁打を打たれてここで降板。二番手岩貞は藤岡に一二塁間を抜くかという当たり。マルテが好捕するもベースカバーで走者と交錯し、岩貞は後逸してリードを許す。なんとノックアウトしたはずの佐々木朗に勝利投手の権利がついてしまった。6回裏は佐々木千、7回裏はハーマンに抑えられ、7回表は馬場が抑えるも8回表に続投の馬場がマーティンに左中間スタンドにソロホームランを打たれて2点差とされる。それでも代打鳥谷をレフトフライに打ち取るなど後続は断つ。8回裏、四番手唐川からサンズがレフト前ヒットを放ち、代走江越が二盗。しかし佐藤輝と代打糸井は連続空振り三振に倒れ、代打陽川も一塁ゴロに倒れチャンスを逸する。9回表、四番手小林は1死からエチュバリアと井上晴の連打で一二塁とされるも岡をショートゴロ併殺に打ち取る。9回裏、益田の前に三者凡退に終わり、佐々木朗にプロ入り初勝利をプレゼントしてしまった。
◎ライオンズ1回戦……10-7
 ライオンズの先発は高橋光。2回表、佐藤輝が片手ですくい上げるようにして放った一打はバックスクリーンに飛びこむ先制ソロホームラン。3回表、近本が歩き、中野の打席で二盗。さらに高橋光の暴投で三進。中野のライト線へのタイムリーヒットで2点目をあげる。しかし後続を断たれて1点どまり。タイガースの先発は青柳。得意のゴロを打たせて取る投球で4回まで無失点。5回裏、呉とスパンジェンバーグの連打で1点を返されると、2死後、若林のレフト前タイムリーヒットで同点に追いつかれる。しかし直後の6回表、サンズと佐藤輝の連続ホームランでまたも2点リード。6回裏、森に左中間に飛びこむソロホームランを打たれて1点差に。さらに中村と栗山の連打で無死二三塁とされ、山川を空振り三振に取ったところで青柳は交代。二番手の岩貞は後にライトの頭上を越す同点タイムリー二塁打を打たれる。それでも2死満塁から山田を見逃し三振に取ってリードは許さず。7回表、二番手森脇に対し、坂本が歩いて代走に熊谷。近本の投手ゴロで二進し、2死後、マルテの打席で森脇は暴投し近本は三進。マルテは歩き、大山が三塁線を抜けるタイムリーヒットでまたも1点リード。7回裏、三番手馬場がヒットの若林を置いて森のレフト線へのタイムリー二塁打で同点に追いつかれる。レフトのロハスJr.が打球処理をもたつくも三進は許さず。中村にはライトスタンドにツーランホームランを打たれてついに2点差をつけられる。1死後、四番手に及川がプロ入り初登板。山川を歩かせ、呉にはセンター前ヒットを打たれるも、スパンジェンバーグを空振り三振に取ると、岸はショートゴロで無失点デビューを果たした。8回表は平良に抑えられ、8回裏は今季初登板の齋藤が三者凡退で抑える。9回表、クローザーのギャレットに対し、梅野の二塁打と近本の内野安打で無死一三塁とし、1死後、マルテのライト前タイムリーヒットで1点差とし、マルテの代走に植田。一三塁から大山のレフト前同点タイムリーヒットで追いつくと、サンズのライトフライで植田は三進。そして佐藤輝のライトスタンド最上段に飛びこむスリーランホームランで試合は決した。ロハスJr.9回が歩くと、五番手與座には後続を断たれた。裏はスアレスが三者三振で締めて齋藤がプロ入り初勝利。ヒーローインタビューは2リーグ分裂後3人目となる新人の1試合3ホームランを記録し決勝打を放った佐藤輝。
◎ライオンズ2回戦……0-1
 タイガース伊藤将、ライオンズ今井の投手戦。2回裏、山川にソロホームランを打たれ、これが決勝点となる。6回表、近本の投手ライナーは今井の左腕を直撃。バックアップの二塁呉の攻守で近本は二塁ゴロ。矢野監督のリクエスト申請も覆らず。急遽登板した二番手宮川からも得点できず。6回裏、2死から山川とスパンジェンバーグを歩かせて伊藤将は降板。二番手小林は愛斗をショートゴロに打ち取る。7回表、宮川に対しサンズのヒットとロハスJr.、梅野の四球で2死満塁とするも、代打糸井は空振り三振。8回表は武隈に抑えられ、8回裏は連投の齋藤が三者凡退に抑える。9回表、五番手平良に対し、大山が歩き、代走の植田が二盗。しかしサンズは投手ゴロ、佐藤輝は空振り三振。ロハスJr.のレフトファールフライはネットに当たったところを岸に捕球されたが判定はアウト。矢野監督がリクエスト申請したが判定は覆らず。試合終了後も矢野監督の抗議は続いた。テレビのビデオでは捕球したところをしっかりとらえられてなかっただけに、目の前で見ていた矢野監督には納得できなかったに違いない。
◎ライオンズ3回戦……9-8
 ライオンズの先発は平井。2回裏、二塁打のサンズを置いて糸井がライトスタンドへ先制間ツーランホームランを放つ。タイガースの先発は新人の村上。死球の呉とヒットのスパンジェンバーグを置いて愛斗にレフトポール際にスリーランホームランを打たれて逆転を許す。3回表、1死から中野がレフト前ヒットで出ると、マルテのセンター前ヒットはセンターの若林が捕球の際に足を傷めて倒れ球を弾いてしまう。その間に中野は一気に生還、同点タイムリーヒットとなる。3回裏、森を歩かせ、中村の二塁ゴロの間に森は二進。栗山のレフト線へのタイムリー二塁打でまたもリードを許す。ここで村上は降板。二番手の及川は呉に右中間を破るタイムリー二塁打を打たれて2点差とされたが、なんとか後続を断ち、大量リードは許さず。4回表、糸井と梅野の連打のあと、木浪のバントは捕手の森が球をこぼしてしまいどこにも投げられず満塁に。平井はここで降板し、二番手は佐野。近本の二塁ゴロは二塁手の呉が木浪をタッチアウトにしたあと一塁へ送球して併殺を狙う。一塁の判定はアウトだったが、矢野監督のリクエスト申請で覆り、糸井が生還して1点差に。中野は一二塁間を抜くライト前タイムリーヒットで梅野も生還して同点に。ここでライオンズは佐野から與座にスイッチ。4回裏は及川が2死三塁のピンチで栗山を一塁ゴロに打ち取り切り抜ける。5回表、続投の與座に対し、2死から糸井が歩き、梅野のレフトスタンドに入るツーランホームランで勝ち越す。5回と6回は小林と馬場の継投で抑え、ライオンズも6回は武隈が抑える。7回表、五番手十亀に対し大山と佐藤輝のヒットでチャンスを作ると、糸井のライトへの犠牲フライで大山が生還。この間に佐藤輝も二進。梅野の左中間を深々と破るタイムリー三塁打で4点差とした。7回裏、岩貞が誤算。二塁打の森とヒットの栗山を置いて一三塁から呉にライト前にタイムリーヒットを打たれると、山川を歩かせ1死満塁に。スパンジェンバーグのライト前タイムリーヒットと愛斗の犠牲フライで1点差に迫られる。8回表は六番手森脇に抑えられ、8回裏は岩崎がメヒアの二塁打から1死一三塁のピンチを作るも中無村をショートフライに打ち取り、栗山も二塁ゴロで得点は許さず。9回表、ギャレットに対してサンズのヒット、代走植田の二盗、糸井の四球で1死一二塁とするも、梅野のレフト前ヒットは植田が本塁憤死、代打原口はセンターフライに倒れ、追加点はならず。9回裏、スアレスも山川の内野安打、愛斗への四球で2死一二塁とピンチを作ったが、岸を三塁ゴロに打ち取り、なんとか逃げ切った。ヒーローインタビューはプロ入り初勝利の及川。

愛すれどTigers週間MVP
投手……秋山拓巳
 これぞプロの投球。コントロールを間違えさえしなければ、パ・リーグ相手でもそう簡単には打たれないのだ。それは敗れはしたがライオンズ戦での伊藤将も同じ。御祝儀的に齋藤や及川のプロ入り初勝利を祝ってMVPといきたいところだが、乱戦の多かった今節、秋山と伊藤将はこれぞ投手というものを見せてくれた。勝利したので秋山をMVPに。
野手……佐藤輝明
 参りました。ライオンズ戦の3発のインパクトには誰もかなわない。泳いで片手で打った打球がバックスクリーンに届くんだからなあ。3発目など本人も打った瞬間に手ごたえありで、軽くバットを投げ捨てるのがまたさまになっているのだ。

 次節は甲子園で6連戦。まずは関西ダービー。バファローズは吉田正をとにかくマークすること。平野が一軍に戻ってきてリリーフ陣も整備されてきているだけに油断は禁物。そのかわりに二軍落ちしたのが竹安だったのは残念。竹安の投球も見たかったのだが。そしてホークス戦。ジャイアンツは3戦目に戦力総動員でなんとか連敗を止めたが、今季のホークスは現状ではそれほど恐れる相手かどうか。梅野と甲斐の強肩合戦など見所満載で楽しみだ。
 1976年から3年間在籍した「赤鬼」ブリーデンが死去。高めの球を軽く振ってスタンドに持っていく腕っ節にはしびれた。もう少しで王貞治からホームラン王を奪う活躍を見せた翌年に故障で退団。それがなければもう少し長く活躍してタイトルも取ったのだろうが。ブリーデンのかわりに1974年に入団してきたのが三振王スタントンでした。スタントンも当たればでかかったのだけれどね。

(2021年5月31日記)


目次に戻る

ホームページに戻る