愛すれどTigers


首の皮一枚!首位に踏みとどまる

 今節は甲子園球場でスワローズ3連戦。初戦は青柳が好投し、7連打5得点と打線にも火がつき先勝。第2戦はアルカンタラと高梨の投手戦で引き分け。第3戦はガンケルと奥川の投手戦で引き分け目前でスアレスが打たれて敗れ、1勝1敗1
分。マツダスタジアムに移動してカープ戦。初戦は西勇がめった打ちにあい、組み替えた打線も玉村の前に音無しで敗れる。2戦目は伊藤将が好投し、打線も意地を見せて勝つ。3戦目は秋山に早い回で代打を送る賭けに出たが裏目に出、森下からチャンスを作るも残塁の山で惜敗し1勝2敗。今節は2勝3敗1分。今季通算44勝28敗3分で勝率.611の首位。2位のジャイアンツが迫ってきて1.5ゲーム差。タイガースが敗れジャイアンツが勝てば-0.5差で2位に陥落するというところまで接近された。それでも首の皮一枚残っている。どんな状況であろうと、首位にいるというだけで有利なのである。

◎スワローズ10回戦……5-3
 タイガースの先発は青柳。1回表は塩見、青木、山田を三者三振に取る立ち上がりを見せるが、2回表、村上宗にソロホームランを右中間スタンドに放りこまれて1点先制される。2死から中村に二塁打を打たれ、元山を申告敬遠したが、この敬遠がこの試合唯一の四球。スワローズの先発は田口。2回裏、2死から梅野隆がライト前ヒットで出ると、青柳もレフト前ヒットで続き、近本のライト前タイムリーヒットで同点に。一三塁から糸原がセンター前にタイムリーヒットで続くと、マルテのレフト前に落ちるタイムリーヒット、サンズのセンター前タイムリーヒット、佐藤輝のライト前タイムリーヒットと7連打5得点で4点差とする。4回表、村上宗とオスナの連打、宮本のバント、中村のライト犠牲フライで3点差とされるが、青柳は7回2失点9奪三振の好投を見せた。田口は4回で退き、5回と6回は大下に抑えられる。また7回も三番手星の前に三者凡退。8回表、セットアッパーの岩崎は2死から山田のレフトスタンドへのソロホームランを打たれて2点差とされる。8回裏は2死から梅野隆の投手ライナーが星の足に当たるアクシデントがあったが、代打糸井は三振に抑えられた。9回表、クローザーのスアレスが三者凡退で締めて連敗脱出。ヒーローインタビューは7勝目をあげた青柳と、同点打を含む猛打賞と二盗を決めた近本。
◎スワローズ11回戦……2-2
 タイガースの先発はアルカンタラ。1回表、塩見を空振り三振に取るも、青木に二塁打を打たれる。それでも山田、村上宗を連続空振り三振に取る好投。スワローズの先発は高梨。1回裏、近本がセンター前ヒットで出ると、1死後、マルテの打席で二盗。マルテの左中間を越えるタイムリー二塁打で先制した。しかし、サンズ、佐藤輝と連続空振り三振で1点どまり。2回以降、アルカンタラは速球が冴え、2回表の中村の大きなフライを近本がダイビングキャッチするなど守備陣も盛りたてる。しかし4回表、村上宗にライトスタンドに同点のソロホームランを打たれてしまった。さらに中村とサンタナの連打、元山は一塁キャンバスに当たってはねた打球がマルテの顔面に当たる内野安打で満塁に。しかし高梨の投手ゴロ併殺で追加点は許さず。6回表には中村にライトに長打コースのフライを打たれるも佐藤輝がランニングキャッチで救う。7回表、先頭の代打宮本を歩かせ、塩見のバントで二進。ここでアルカンタラは交代。二番手は及川。青木を見逃し三振に取ると、山田は平凡なライトフライ。両者とも若い及川にやられて苦い表情。高梨は6回1失点で交代し、7回裏は二番手今野に三者凡退に抑えられる。8回表、三番手岩崎は1死からオスナにレフト前ヒットを打たれると、中村のバントで二進。サンタナにライトの頭を越すタイムリー二塁打を打たれる。サンタナは三塁を欲張りタッチアウトで1点差にとどまる。8回裏は三番手清水が登板。マルテのライトポール直撃の打球は最初は三塁打の判定だったが、矢野監督の抗議でビデオ判定に持ちこみ、同点のソロホームランに判定が覆る。9回は両チームともクローザーを投入し、スアレス、マクガフ両投手がそれぞれ三者凡退に抑えて引き分けた。
◎スワローズ12回戦……1-6
 タイガースガンケル、スワローズ奥川の投手戦。ガンケルはいつものゴロアウトよりも奪三振でアウトを重ね、奥川は力のある球でタイガース打線をつまらせる投球。試合が動いたのは6回表、梅野隆がレフトスタンドに先制のソロホームランを打ちこむ。直後の7回表、今度は山田がライトポール際にソロホームランを放ち同点に。ガンケルは7回1失点で交代。8回表、二番手岩崎は三者凡退に抑える。8回裏、二番手清水から梅野隆がヒットを放つも小野寺のバントは捕手の前にとどまり併殺に。9回表、切り札のスアレスが打たれる。山田のセンター前ヒットとオスナのセンター前ヒット、代打川端の四球で2死満塁とされ、代打宮本にレフト前に2点タイムリーヒットを打たれる。スアレスはここで降板。スワローズに流れた試合は馬場ではせきとめられず。代打吉田大成を歩かせて満塁にされると、中村のピッチゅー返しの打球は馬場のグラブに当たり、センター前に抜ける2点タイムリーヒットとなる。塩見の打球は二塁後方にフラフラと上がるが、糸原の出したグラブの先をこすってライト前に落ちるタイムリーヒットとなりこの回5点を奪われてしまった。9回裏は坂本光の前に、糸原がヒットを放つもマルテの三塁ゴロは村上宗の好捕で併殺となり、代打原口の二塁へのフライで試合終了。奥川を攻略できなかったのが大きかった。
◎カープ8回戦……1-7
 タイガースはサンズ、佐藤輝、中野を外し、ロハスJr.、小野寺、山本泰をスタメンで起用するという大きな賭けに出た。カープの先発は若い玉村。1回表、2死からロハスJr.がセンター前ヒットを放つ。しかしマルテの打席で牽制球に釣りだされてタッチアウト。タイガースの先発は西勇。2回裏、鈴木誠にレフトスさんしんにとって、タンド場外に消えるソロホームランを打たれると、坂倉にもヒットを打たれ、林の二塁ゴロで二進。野間は空振り三振。安部を申告霊園して2死一二塁に。玉村の内野ゴロは打球が死に、西勇がなんとか抑えたが間に合わず満塁に。菊池涼がレフト前2点タイムリーヒット。続く西川もレフト前タイムリーヒット、小園の内野安打で満塁となり、鈴木誠に走者一掃の3点タイムリー二塁打を打たれる。よもや西勇がここまで打たれるとはだれも予想していなかったのではないか。西勇は3回以降は立ち降りを見せたが、5回7失点で降板。6回と7回は石井大が、8回は岩貞、9回は藤浪がそれぞれ持ち味を出して抑えた。打線は7回表に山本泰と北條のヒットで作ったチャンスを近本の犠牲フライで1点返したが、8回はコルニエル、9回にはフランスアに抑えられ、思わぬ大敗を喫した。
◎カープ9回戦……5-0
 タイガース伊藤将、カープ大道のルーキー対決。前半は投手戦。3回表、1死から近本と糸原の連打、ロハスJr.の四球で満塁とし、マルテのショートゴロ併殺崩れの間に近本が生還してタイガースが先制。5回裏、坂倉と林の連打で無死一三塁とされるが、野間のショートゴロで中野が二塁ベースを踏んだあと本塁へ送球し、坂倉は憤死。石原のライト前ヒットでまたも一三塁とされるが代打長野は二塁ゴロでピンチを脱した。大道は5回1失点で交代し、6回表、二番手の森浦に対し、大山の四球と中野のレフト前ヒットで無死一二塁に。梅野の三塁ゴロでそれぞれ走者が進み二三塁に。伊藤将が歩き満塁と攻め立てたが、近本は投手ゴロで本封。糸原は三塁ゴロで三封と得点できず。7回表、三番手コルニエルからマルテがレフトスタンドにソロホームランを放ち、2点差に。7回裏、鈴木誠とのレフト前ヒットと坂倉への四球で無死一二塁とされ、林は二塁へのライナー、野間は二塁ゴロで二封。石原を歩かせたところで矢野監督がマウンドへ行き伊藤将にカツを入れると、代打松山は二塁ゴロでピンチを脱した。8回表、四番手バードから梅野がレフト線に二塁打を放つと、サンズが左中間を深々と破るタイムリー二塁打で3点差に。代走に植田。近本の一塁ゴロで植田は三進。糸原のライト前タイムリーヒットで4点差とし、糸原の代走に江越。2死後、マルテの打席でバードがボーク。江越は二塁へ。マルテのライト前タイムリーヒットでさらに1点追加して5点差とすると、佐藤輝もライト前ヒットで続き、ここでバードは降板。五番手のケムナに対し大山は凡退したが、この追加点で試合は決した。8回裏は齋藤が抑え、9回裏は及川が三者凡退で締めた。ヒーローインタビューは5勝目の伊藤将。
◎カープ10回戦……3-4
 1回表、カープの先発森下の初球を近本がとらえ、ライト線の三塁打を放つと、糸原の一塁ゴロの間にホームインして1点を先制。3回表にはレフト前ヒットの糸原を置いてサンズがレフトスタンドにツーランホームランを叩きこんで3点差とする。タイガースの先発秋山は3回裏につかまる。レフト前ヒットの石原を森下が送り、菊池涼のセンター前タイムリーヒットで2点差に。野間のレフト前ヒットで1死一三塁とされ、小園のレフト犠牲フライで1点差に迫られる。4回表、1死から大山がセンター前ヒットで出ると、中野は左中間を破る二塁打で二三塁とする。梅野は浅いライトファールフライに倒れ、秋山の打席で代打原口を送る賭けに出たが、ライトフライに倒れる。4回表は齋藤が抑え、4回裏、近本の二塁打と糸原の一塁ゴロエラー、サンズの四球で無死満塁に。しかしマルテが一塁へのファールフライに倒れると、佐藤輝は空振り三振、大山は三塁ゴロに倒れ、無得点に終わる。5回裏は糸井大が登板。1死から野間を歩かせると、小園の長打性のレフトフライはサンズが好捕。鈴木誠のセンター前ヒットで一三塁とされ、ここで石井大は交代。四番手岩貞は坂倉にレフトの頭上を越す2点タイムリー二塁打を打たれてついに逆転を許してしまう。森下は6回3失点で降板。タイガースは6回裏から馬場、7回裏は及川を投入。及川が2死満塁のピンチを作るも長野をセンターフライに打ち取り無失点でしのぐと、8回裏は藤浪が抑えて打線の奮起を待つ。7回表はフランスアに、8回表はコルニエルから中野と梅野がヒットほ放つも代打糸井の見送り三振などで同点はならず。9回裏、クローザーの栗林に対し、1死からサンズとマルテの四球で同点のチャンスを作るも佐藤輝と大山は連続空振り三振。期待の和製大砲が不発で、カード負け越し。

愛すれどTigers週間MVP
投手……青柳晃洋
 監督推薦でオールスター出場も決定。いまや西勇や秋山以上に安定したエースである。梅野がゴールキーパーよろしく飛びついて捕っていた新人のころとはかくせ隔世の感があるなあ。
野手……ジェフリー・マルテ
 大山、佐藤輝、サンズが不振の間、一人でタイガース打線を引っ張った今節であった。一時不調だったが、ボール球に手を出さないことによって打撃の調子を取り戻した。

 次節はオールスターとオリンピック前の9連戦。神宮球場でのスワローズ3連戦。青柳、ガンケルでしっかりと勝っておきたい。甲子園にもじってジャイアンツと前半の最大の山場となる首位攻防戦。原監督のことだから選手をすりつぶしてでも勝ちにくるだろう。矢野監督の人情野球はそんなものに負けてはいけない。3連勝してほしいところだが、西勇次第だろうな。
 中谷将大外野手とホークスの二保旭投手のトレードが決まった。先発も中継ぎもできる二保と、右打ちの外野手が手薄なホークスとの利害が一致した。なかなか出番のない外野陣だけに、中谷はこれをチャンスにして一軍に欠かせない戦力になってほしい。むろん二保にもフル回転してもらいたい。いいトレードだったといわれるようになってほしいものだ。
 オールスターのファン投票で、中継ぎ・岩崎、クローザー・スアレス、捕手・梅野、一塁・マルテ、遊撃・中野、外野・佐藤輝、近本が選出され、監督推薦で青柳投手も出場が決まった。一昨年の近本がそうだったように、不振の続く佐藤輝もオールスターをきっかけに勢いをつけてもらいたい。フレッシュスターでは西純、及川、井上、小野寺が出場。ここでの活躍をきっかけに一軍に定着した選手は多い。一軍で安定した結果を残している及川はともかく、西純と井上に期待したい。

(2021年7月5日記)


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