愛すれどTigers


ウィルカーソン、佐々木朗に投げ勝つ

 今節からセ・パ交流戦が始まった。まずは甲子園球場でのゴールデンイーグルス3連戦。初戦は西勇と田中将の投手戦。佐藤輝がワンチャンスをものにして先勝。しかし2戦目は西純が一発攻勢に泣き、打線も辛島を打ちあぐねて敗れと、3戦目は岸の前に打線が沈黙しまたも好投のガンケルを見殺しにし、1勝2敗。ZOZOマリンスタジアムでのマリーンズ戦は初戦、ウィルカーソンと佐々木朗の投手戦となり、小技で佐々木朗をつかれさせて無失点ながらマウンドから引きずり下ろすと、ウィルカーソンの好投と佐藤輝の一発で試合を決める。2戦目は青柳が安定した投球でマリーンズ打線を翻弄し、若手の佐藤奨の立ち上がりを攻めて連勝。3戦目は千葉出身の伊藤将がマリンスタジアムの風を利用できず先制点を許すと、打線はロメロの立ち上がりを攻めきれず佐藤輝の特大ホームランで1点差に迫ったが及ばす2勝1敗。今節も3勝3敗。今季通算20勝32敗1分で勝率は.385で最下位。首位スワローズとの差は11.5。5位ベイスターズとの差は3.0。交流戦の勝率は.500で4位。

◎ゴールデンイーグルス1回戦……1-0
 タイガース西勇、イーグルス田中将の投手戦。1回表、1死から小深田に内野安打を打たれ、2死後、島内にライト前ヒットを打たれいきなり一三塁のピンチ。しかしここはマルモレホスを空振り三振に取って切り抜けた。1回裏、近本が初球を叩いて左中間を破る二塁打で出ると、中野が送って三進。マルテが歩きこちらも一三塁としたが、佐藤輝は二塁ゴロ併殺に倒れてしまう。2回表、立ち直った西勇は辰巳、渡邊佳、炭谷を三者三振に切って取る。対する田中将も2回裏、大山、糸井を連続三振と調子をあげてくる。3回表、2死から小深田を歩かせ、浅村のヒットと島内への四球で満塁に。ここもマルモホレスをレフトフライに打ち取り切り抜ける。4回表、辰巳と渡邊佳の連打でピンチを作るが、炭谷を一塁ゴロ併殺に打ち取ると、走者を三塁に残しながらも田中将を三塁ゴロに打ち取り、またも切り抜けた。4回裏、中野がレフトフェンス直撃の三塁打で出たが、マルテはショートゴロ、佐藤輝は浅いセンターフライ、大山は一邪飛とここでもチャンスをつかめず。5回裏、1死から糸原、坂本の連打でチャンスを作るが西勇はバントで送れず空振り三振、近本も空振り三振と田中将に歯が立たない。6回表、2死から辰巳にヒットを打たれ、渡邊佳にあわやフェンス直撃という大きなレフトフライを打たれたが、大山がこれをジャンプして好捕し、先取点は許さない。6回裏、中野が内野安打で出ると、2死後、大山の打席で二盗。大山はセンター前に弾き返すタイムリーヒットでついに千社点をもぎ取った。田中将の悔しそうな表情がこの1点の重みを示す。7回表、炭谷のピッチャー返しの打球は西勇の左手を直撃。センター前ヒットとなり、代打山崎のバントは西勇が二塁へ送球するも少しそれてしまい悪送球で無死一二塁に。ここで西勇は降板。二番手は渡邉雄。西川のバントで1死二三塁とされたが小深田を空振り三振に取ると、三番手アルカンタラと交代。浅村のライト前への鋭い当たりは島田がスライディングキャッチでここも切り抜けた。田中将は6回1失点で無念の降板。7回裏は二番手安樂に三者凡退に抑えられる。8回表は四番手湯浅が抑え、8回裏は鈴木翔に抑えられる。9回表、クローザーの岩崎が登板。太田にテキサス性のセンター前ヒットを打たれ、山崎のバントで二進。西川の二塁ゴロで三進を許す。代打銀次は歩かせてしまい一三塁とされたが、浅村を二塁ゴロに打ち取って逃げ切った。両チームともチャンスは再度作るがなかなか決定打の出ない重い試合となった。ヒーローインタビューは3勝目の西勇とファインプレーのあと決勝タイムリーを放った大山。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……1-6
 イーグルスの先発は今季初先発初登板の辛島。2回裏、大山がレフトスタンドに先制のソロホームランを放つ。しかし、それ以外は辛島のシュートにてこずり攻略できず。タイガースの先発は西純。3回表、2死から西川、小深田、浅村の三連打で同点に追いつかれると、4回表には辰巳にレフトスタンドにソロホームランを打たれてリードを許す。4回裏、佐藤輝と糸原のライト前ヒットで2死一三塁としたが、小野寺はショートゴロに倒れる。5回表、ヒットの小深田を置いて浅村にレフトスタンドにツーランホームランを運ばれて3点差に。なおも四球とエラーで2死一三塁と攻め立てられたが、マルモレホスをレフトフライに打ち取ってなんとか切り抜ける。西純はこの回限りで降板。6回表は二番手加治屋が太田と小深田を歩かせて2死一二塁とされるも浅村をショートゴロに打ち取ってなんとか切り抜ける。辛島は5回1失点で交代。6回裏は二番手鈴木翔の前に三者凡退。7回表、三番手の齋藤が打たれる。渡邊佳のヒットと辰巳と太田への死球で2死満塁とされ、代打銀次のレフト前2点タイムリーヒットで5点差とされた。8回から9回は四番手の石井が抑えたが、イーグルスは7回裏は安樂、8回裏は宋家豪、9回裏はクローザーの松井と小刻みな継投でタイガース打線を抑えて連敗ストップ。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……0-1
 タイガースはガンケル、イーグルスは岸の投手戦。2回裏、2死から糸原がライト前に落ちるテキサスヒットでチーム初安打を放つも、高山は空振り三振。3回表、死球の炭谷を岸のバントで送られ、2死後、小深田の二塁内野安打で一三塁とされるも浅村は見逃し三振で切り抜ける。3回裏、1死からガンケルの左中間を破る二塁打と近本の二塁ゴロで2死三塁とチャンスを作るも中野は二塁ゴロに倒れて先取点は取れず。5回表、2死から西川の二塁内野安打で走者を許すも、二盗を試みた西川を捕手長坂が強肩で刺す。7回表、渡邊佳にレフト前ヒットを打たれるが、ここも二盗を試みた渡邊佳を長坂が刺して強肩ぶりを見せつける。7回裏、大山があわやホームランというセンターの頭上を越える二塁打で出たが、佐藤輝はレフトフライ、糸井は捕者日、糸原はショートゴロと走者を進めることすらできず。ガンケルは7回無失点で交代。8回表、二番手の湯浅は代打武藤を歩かせ、西川のバントで二進を許す。しかし小深田をセンターフライに打ち取ると、浅村は歩かせたが、島内を打席に迎えたところで三番手渡邉雄を送りこみ、二塁フライに打ち取った。岸も7回無失点で交代。8回裏、二番手宋家豪に対し、1死から長坂がレフト前ヒットを放ち、代打北條のバントで二進。ここで代走は送らず走者はそのまま長坂。近本のレフト前ヒットで一気に本塁を突くも、いかんせん俊足とはいえない長坂は本塁憤死。ここでの選手起用が勝敗を分けた。9回表、クローザーの岩崎をマウンドに送るが、渡邊佳にセンター前ヒットを打たれ。辰巳のバントで二進。丸もほレスは空振り三振に取ったが、炭谷のセンター前ヒットで一塁三塁とされ、代打銀次にうまくレフト前に運ばれてついに1点を先取される。9回裏はクローザー松井の前に、中野、大山、佐藤輝が三者三振と手も足も出ず惜敗。
◎マリーンズ1回戦……1-0
 タイガースのウィルカーソンとマリーンズの佐々木朗の投手戦。2回表、佐藤輝、糸井が連続三振で2死となるが、糸原がレフト前ヒットでチーム初安打。高山の打席で糸原は二盗。しかし高山は三塁ゴロで先制点はならず。2回裏、1死からマーティンの高く上がった内野フライは風邪で落下点を見極められず、捕手前に落ちるヒットとなる。しかしエチュバリアを見逃し三振に取ると、安田の打席でマーティンを牽制球で釣り出して一二塁間で狭殺。4回表、中野の投手ゴロは佐々木朗が弾いてエラーで出塁。大山の打席で佐々木朗が暴投し、中野は二進。大山の三塁ゴロの間に三進。1死三塁のチャンスに佐藤輝は二塁ゴロ。中野は三本間で狭殺。さらに二塁から三塁を狙った佐藤輝も二三塁間で狭殺される珍しい形の併殺となった。5回表、1死から糸原がレフト前ヒット。佐々木朗攻略の手本となる軽打でマルチヒット。高山は空振り三振に倒れたが、島田はセンター前ヒットで2死一二塁と攻め立てる。しかし長坂は二塁へのライナーに倒れ、得点できず。5回裏、マーティンの四球と安田のライト前ヒットでピンチを招くが、松川をショートゴロ併殺に取って先制点を防ぐ。6回表、中野のヒットと二盗、大山の三塁ゴロで2死三塁とするも佐藤輝は空振り三振でここも得点できず。6回裏、荻野の内野安打と中村奨のレフト前ヒットで1死一二塁とされるもレアード、佐藤都を外野フライに打ち取って先制点をまたも防ぐ。佐々木朗は6回無失点で交代。7回表は二番手東條から糸井がレフト前ヒットを放ち、代走に熊谷。しかし後続を断たれて得点できず。8回表は三番手ゲレーロに対し三者凡退。ウィルカーソンは8回まで無失点で投げ切る。9回表、四番手益田の沈む球を佐藤輝が見事にすくい上げ、バックスクリーンにソロホームランを放ってついに先取点を奪うと、9回裏はクローザーの岩崎が久々に三者凡退で締めて連敗ストップ。ヒーローインタビューは佐々木朗と投げ合い無失点で4勝目のウィルカーソン。
◎マリーンズ2回戦……6-2
 マリーンズの先発は、開幕直前に育成枠から支配下登録され、まだプロ入り未勝利の佐藤奨。1回表、近本が四球で出ると、中野のセーフティバントは一塁内野安打となり一二塁に。大山のライト線へのタイムリー二塁打で先制。佐藤輝の犠牲フライで2点目を追加すると、糸井の一塁ゴロで大山は三進。糸原が右中間を破るタイムリー二塁打で3点差とする。3回表、1死から四球の大山を置いて佐藤輝がセンター前に鋭い当たりのヒットを放つと、センターが後方にそらしてタイムリー三塁打となる。タイガースの先発青柳は初回から打たせて取る投球が冴え、四球で走者を出しても併殺に取るなど、マリーンズ打線を手玉に取る。5回裏には唯一タイミングの合う安田にマルチ安打となる二塁打を打たれたが、後続を断ち得点を許さない。6回裏、2死から荻野と角中の連打で一二塁とされるもマーティンはセンターフライでここも失点せず。佐藤奨は6回4失点で降板。7回表、二番手の新人廣畑に対し坂本の二塁打、廣畑の冒頭、近本の死球と盗塁、中野の四球で無死満塁とするが、大山のショートゴロは本封併殺。佐藤輝の空振り三振で大量点どころか追加点もならず。8回表はやはり新人の三番手八木が登板。糸原の一塁ゴロエラー、代走熊谷の二盗と島田のライト前ヒットと盗塁で2死二三塁とするも、坂本は空振りの三振でまたも追加点は取れず。8回裏、福田を歩かせ高部にもヒットを打たれ無死一二塁とされるが、荻野をショートフライに打ち取ると角中とマーティンを連続空振り三振に取ってここも切り抜けた。9回表、四番手はやはり開幕直前に育成枠から支配下登録された小沼。ヒットの近本と連続四球の大山、佐藤輝で満塁とし、大山には植田、佐藤輝には小野寺が代走に出る。そして糸井がレフト前に2点タイムリーヒットを放ち待望の追加点を奪う。9回裏、完封を賭けて青柳が登板。1死から中村奨の三塁ゴロを熊谷の一塁送球がそれて出塁を許す。やはりタイミングの合っている安田に二塁打を打たれて二三塁とされると、代打山口のショートゴロの間に中村奨が生還して完封はならず。なおも2死二三塁で福田秀にセンター前タイムリーヒットを打たれ、ここで青柳は降板。二番手の岩貞は高部を空振り三振に打ち取り逃げ切った。ヒーローインタビューは完封こそ逃したもののセ・リーグトップに並ぶ5勝目と防御率1位に躍り出た青柳。
◎マリーンズ3回戦……2-3
 マリーンズの先発はロメロ。1回表、近本と中野の連打と中野の二盗、大山の四球で無死満塁と絶好のチャンスを迎えるが、佐藤輝は空振り三振、原口は捕邪飛、糸原はセンターフライで得点できず。ロメロは2回以降立ち直り、速球に押されてしまっただけに初回のこの拙攻があとあとまで響いた。タイガースの先発は地元千葉出身の伊藤将。2回裏、佐藤都の四球と岡のレフト前ヒットで2死一二塁とされ、高部にレフト前タイムリーヒットを打たれる。本塁のタッチで矢野監督がリクエスト申請をするが、判定は覆らず。3回裏、ライト前ヒットの角中と近本のグラブを弾くセンターへの二塁打の佐藤都を置いて、2死二三塁からレアードに左中間に2点タイムリー二塁打を打たれ、3点差に。5回表、2死から近本と中野の連打でチャンスを作るが大山はセンターフライに倒れて得点できず。6回表、2死から糸原がヒットで出るも牽制に釣りだされてタッチアウトと拙攻が続く。ロメロは6回無失点で交代。7回表は二番手東條から代打島田が二塁打を放つが後続を断たれる。伊藤将は6回3失点で交代。7回裏、二番手加治屋は三者凡退に抑える。8回表、三番手ゲレーロに対し、ヒットと二盗の中野を置いて佐藤輝がライトスタンド最上段にツーランホームランを叩きこみ、1点差とする。しかし反撃もここまで。8回裏は三番手のアルカンタラが三者凡退に抑えて流れを作るが、9回表、クローザーの益田の前に三者凡退で逃げ切られ、3連勝はならず。

愛すれどTigers週間MVP
投手……アーロン・ウィルカーソン
 佐々木朗の快速球に対し、ていねいにコントロールで攻める投球。佐々木朗が走者を気にして球数を増やしスタミナ切れになったのに対し、8回を投げ切って佐藤輝のホームランによる1点によって勝利投手に。これまだ打線の援護に恵まれなかったが、それでも辛抱して自分の投球をし続けた成果があった。
野手……中野拓夢
 ここは佐藤輝か長坂かとも思ったが、中野の小技と足で相手をかき回し、相手はそちらに気を取られて大山や佐藤輝に打たれるという得点スタイルを作った。盗塁も近本や塩見(S)を突き放す13盗塁にのばしたのも特筆もの。今後の交流戦に光明をもたらした。

 次節は甲子園で6連戦。まずはライオンズ戦。昨年佐藤輝が3連発したのを思い出す。果たして今年はライオンズの投手陣はどう対策を練ってくるのか。続いてファイターズ戦。待ちに待った「ビッグボス」こと新庄監督との甲子園決戦だ。ビッグボス野球が選手に浸透し始めているだけに、油断はならないが、まずビッグボスが古巣甲子園でどれだけ観客を楽しませてくれるかというパフォーマンスに期待したい。

(2022年5月30日記)


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