愛すれどTigers


矢野監督ついに終戦

 クライマックスシリーズのファイナルステージは、首位のスワローズと神宮球場で対戦。初戦は小川泰の前に打線が沈黙し、西勇がおよそ1ヶ月ぶりの実戦登板でペースをつかむ前に一発攻勢で完敗。第2戦はサイスニードを打ち倦み、藤浪が村上宗にホームランを打たれて敗退。第3戦、青柳が完封ペースで投球し、打線も高橋奎を攻略して一矢報いることができるかと思われたが、マルテ、浜地と守備のミスが重なって逆転されて3連敗。アドバンテージの1勝を加えて最短でファイナルステージ敗退が決定した。矢野監督はついに最終戦を迎え、神宮球場で最後のユニフォーム姿でファンに手を振りながら退場していった。

◎スワローズ1回戦……1-7
 スワローズの先発は小川泰。1回表、1死から島田がレフト前ヒットを放つも近本は初球を打って二塁ゴロ併殺に倒れる。タイガースの先発は西勇。1回裏、2死から山田と村上宗を歩かせて一二塁とされ、オスナにレフトスタンドに先制のスリーランホームランを打たれてしまう。2回表、大山がCS初安打となる二塁打をレフト線に放ったが、原口はファールで粘った末、13球目、バットを止めたと思われたが塁審に空振りと判定されて三振。温厚な原口が珍しく塁審に対して吼えた。この判定が試合結果を左右した。佐藤輝と糸原は外野フライに倒れて得点はならず。2回裏、ヒットの長岡を小川がバントで送り、塩見のライトフライで三進。山崎のセンター前タイムリーヒットで4点差に。3回裏、二塁打のオスナは中村の二塁ゴロで三進。サンタナのセンターへの犠牲フライで5点差とされる。西勇は4回5失点で降板。5回裏は二番手ケラーが村上宗を空振り三振に取るなどして三者凡退に抑える。6回表、代打梅野隆が二塁打を放ち、代打ロドリゲスの二塁ゴロで三進。2死後、島田のセンター前のテキサス性のタイムリーヒットは塩見が飛びつくも取れず、1点を返す。6回裏、三番手加治屋はヒットの中村を置いてサンタナにバックスクリーンにツーランホームランを打たれ、試合は決した。7回表、大山の四球と糸原のヒットで2死一二塁とし、ここで小川泰は交代。二番手石山の前に梅野隆は空振り三振で得点できず。8回表、代打マルテがレフト線に二塁打を放ち、石山から三番手田口にスイッチ。中野と代打陽川凡退の後、近本のレフト前ヒットでマルテが本塁を突くも憤死。8回裏は島本が抑え、9回表、四番手清水に対し原口のヒットと清水の暴投で1死二塁とするも佐藤輝は空振り三振。糸原の一塁ライナーはオスナに好捕され、最後まで流れをつかむことができずアドバンテージを含めていきなり2敗目を喫してしまった。
◎スワローズ2回戦……3-5
 スワローズの先発はサイスニード。1回表、中野が右中間を破る三塁打を放つ。島田のレフトフライは浅く、中野は動けず。しかし近本の前進守備の一二塁間を抜けるタイムリーヒットでこ1点を先制。大山もライト前に落ちるヒットで続くが、後続を断たれて1点どまり。タイガースの先発は藤浪。1回裏、塩見と山崎を連続空振り三振に取るも山田を歩かせ、村上宗の四球が暴投となり山田は三進。しかしオスナをセンターフライに打ち取り切り抜けた。2回表、糸原と中野のヒットで2死一二塁とし、島田のショートゴロは長岡が弾いて満塁に。しかし近本は空振り三振で追加点が取れない。3回裏、ヒットの塩見を置いて村上宗に外角の難しい球をレフトスタンドに運ばれ逆転を許す。藤浪は3回2失点で降板し、4回裏は西純が二番手として登板。長岡にライトスタンドにソロホームランを打たれて3点差に。5回裏には二塁打の山田を置いてオスナにツーランホームランを打たれて4点差とされる。6回表、2死から梅野両の二塁打と代打佐藤輝のサイスニードは降板。二番手は久保。中野の四球で満塁としたが、代打北條はセンターフライに倒れて得点できず。6回裏、三番手ケラーは塩見と山田を歩かせたが、村上宗を空振り三振に取るなどして追加点は許さず。7回表、三番手石山に対し、近本のレフト前ヒット、大山の投手強襲内野安打、石山の暴投で無死一三塁とし、マルテの犠牲フライで3点差に。7回裏は4番手加治屋が抑え、8回表は4番手清水に抑えられる。8回裏、5番手の島本は塩見、村上宗、オスナに四球を与えて2死満塁とされたが、中村を三塁ゴロに打ち取り切り老けた。9回表、クローザーのマクガフに対し、近本の四球と大山の二塁打で無死二三塁とし、マルテの犠牲フライで2点差と迫ったが、反撃もそこまで。後続を断たれて連敗し、スワローズはあと1勝で日本シリーズに手が届くところまで来た。
◎スワローズ3回戦……3-6
 タイガース青柳、スワローズ高橋奎の投手戦。1回裏、2死から宮本にセンター前ヒットを打たれるも村上宗を三邪飛に打ち取る。2回表、大山とマルテが連続四球で出ると、佐藤輝にはバントをさせるが三封。陽川は空振り三振に倒れるが、梅野隆は四球で満塁に。しかし青柳は空振り三振で得点できず。4回表、ええ山が歩くとマルテのライト前ヒットで一三塁とし、佐藤輝は三邪飛に倒れたが、陽川のセンターへの犠牲フライで1点を先制する。5回表、青柳がレフト線に二塁打を放つも、中野のバントで三封。北條のレフト線への二塁打で二三塁とし、近本は空振り三振に倒れたが、大山のセンター前2点タイムリーヒットで3点差とする。5回裏、サンタナを歩かせるも長岡の三塁ゴロで二封。アウトのあと北條の足がベースから離れ、高津監督はリクエスト申請したが判定通りアウト。代打川端を二塁ゴロに打ち取ると、塩見を空振り三振に取る。高橋奎は5回3失点で降板。6回表は二番手木澤から佐藤輝が内野安打で出るも陽川は三塁ゴロ併殺。梅野隆はセンター前ヒットを放つも青柳は二塁へのライナーで追加点は取れず。7回裏、三番手田口から北條がショート内野安打で出るも後続を断たれる。7回裏、1死からサンタナを歩かせ、長岡の二塁ゴロで二封。代打青木は死球で代走に内山壮。塩見を歩かせ2死満塁とされる。山崎の一塁ゴロしマルテが二塁に悪送球し、長岡と内山壮が生還して1点差とされる。ここで青柳は降板。二番手の浜地は宮本を歩かせて満塁とされ、村上宗を当たり損ねの投手ゴロに打ち取ったが、浜地のグラブトスは大きくファールグラウンドにそれ、走者一掃の投手内野安打となってしまった。逆転されて2点差をつけられると、8回表は清水に抑えられる。8回裏、三番手岩貞は中村を歩かせ、サンタナは空振り三振に取ったが長岡のバントで2死二塁とされ、四番手ケラーに交代。山田に前進守備の近本の頭を越すタイムリー二塁打を打たれて3点差に。9回表、クローザーのマクガフに三者凡退で締められ、スワローズの日本シリーズ出場が決まった。バント失敗の拙攻と肝心なところでのエラーは、今季のタイガースのウィークポイントを象徴する負け方であった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……青柳晃洋
 勝っていたはずの試合を落としたが、スワローズ打線を向こうにまわし、村上宗と堂々の勝負をし、セ・リーグ投手三冠王の力を見せてくれた。四球から崩れてしまいピンチを作ったが、最後まで投げさせてあげたかった。もしかしたらリードを保ったまま切り抜けたのではなかろうか。来季こそは日本シリーズのマウンドを踏ませてやりたい。
野手……大山悠輔
 ファーストステージではノーヒットに終わったが、見事に切り替えてヒットやタイムリーを打ちまくった。四番打者の意地を見た。来季に向けて、存在感を示してくれた。

 大阪のスポーツ紙が「史上最大の下克上」とあおったが、やはりシーズン5割を切ったチームが日本シリーズまで勝ち上がるのは不可能だった。矢野監督は翌日退任会見を開き、勝つこと以上の理想を選手たちは達成してくれたと述べた。シーズン総括は日本シリーズなどがすべて終わってからにしたいが、なにはともあれ、矢野監督の4年間はわくわくすることの多い4年間だったことだけは確かだ。岡田次期監督についても項を改めて書くことにしたいが、矢野監督のまいた種を踏みつぶすようなことだけはしてほしくない。

(2022年10月17日記)


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