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佐藤輝、満塁弾で単独首位浮上

 今節は甲子園球場で6連戦。まずはスワローズ戦。初戦は村上頌が1失点の好投を見せたが、打線が吉村の前に振るわず完封リレーで惜敗。2戦目は西勇がまたも先取点を許し石川の老獪な投球に翻弄されて連敗。3戦目は伊藤将が好投し、接戦の末糸原の野選で決勝点をもぎ取り石井がプロ入り初勝利で、このカードは1勝2敗。続いて首位のベイスターズ戦。初戦は青柳が先制されるも立ち直り、ノイジーの好返球など美技も多く逆転勝利。2戦目はガゼルマンを打ち崩し、相手のミスにもつけこんで、大竹の好投もあり快勝。3戦目は佐藤輝がスリーランと満塁の2発で圧勝。このカードは3勝0敗。今節は4勝2敗。今季通算は20勝13敗1分で勝率.606で単独首位に浮上。2位ベイスターズとは1.0差。ミスの多いベイスターズとミスの少ないタイガースの差が出た。

◎スワローズ7回戦……0-1
 タイガース村上頌、スワローズ吉村の投手戦。2回表、村上宗がレフト前に落ちるヒットで出ると、サンタナもレフト前ヒットで続く。しかしオスナを空振り三振、長岡と古賀を捕邪飛に打ち取り無失点記録をのばす。4回裏、中野が無初安打となるライト前ヒットで出るも、ノイジーは空振り三振。大山のヒット性の当たりはショート真正面のライナー。佐藤輝が空振り三振に倒れ得点できず。5回表、オスナのライト前の当たりはミエセスがスライディングキャッチでアウトに。長岡にはセンター前ヒットを打たれたが、古賀の一二塁間の当たりは中野が好捕し、反転して二封。吉村を空振り三振に打ち取ってここも切り抜ける。6回表、青木にヒットを打たれるも、山田のレフトへのファールフライはノイジーが好捕し、村上宗は見逃し三振で、開幕からの連続イニング無失点の日本タイ記録を作る。6回裏、2死から中野、ノイジー、大山が連続四球で満塁としたが、佐藤輝は空振り三振に倒れ、先取点は取れず。そして7回表、サンタナに左中間ステンドにソロホームランを打たれ、ついに今季初失点。連続イニング無失点の記録もタイのままストップ。吉村は6回無失点で交代し、7回裏、二番手石山に抑えられる。村上頌は7回1失点で交代。8回表、二番手岩貞が登板し、初球を投じようとした時にスコアボードが真っ暗になるアクシデントが起きた。岩貞は三者凡退に抑える。8回裏、三番手清水に対し1死から中野がセンター前ヒットで出、ノイジーの打席で清水が暴投し中野は二進。しかしノイジーは見逃し三振。大山は空振り三振で同点機を逸する。9回表、三番手K・ケラーは村上宗の四球と山崎のバント、オスナの申告敬遠で2死一二塁とされるが長岡をショートゴロに打ち取り切り抜ける。9回裏、クローザーの田口から佐藤輝がレフト線に二塁打を放ち、代走に植田。ミエセスの二塁ゴロで植田は三進。しかし代打渡邊諒、木浪が連続空振り三振に倒れ、完封リレーを許してしまった。1点に抑えながら村上頌は敗戦投手に。吉村には今季2敗目で、苦手をまた一人作ってしまった。
◎スワローズ8回戦……0-5
 序盤はタイガース西勇とスワローズ石川の投手戦。3回裏、梅野隆がセンター前ヒットで出ると、木浪もレフト前ヒットで続き無死一二塁とするが、西勇はバントを続けてファールにし、バスターに切り替えるもショートゴロで三封。近本はショートフライに倒れ、中野は一塁ゴロで先制できず。4回表、2死から村上宗、サンタナを歩かせ、中村の死球で満塁に。オスナのレフト前2点タイムリーヒットで先制される。6回裏、近本が二塁打で出るも、中野はショートゴロで進塁できず。ここで無失点のまま石川が交代。二番手木澤の前に小野寺は空振り三振、大山はセンターフライで得点できず。7回表、長岡と塩見のヒットで2死一三塁とされ、青木の二塁ゴロは青木の足が一瞬早くタイムリー内野安打となる。岡田監督のリクエスト申請も判定は覆らず。青木の代走に山崎。3点差とされたところで西勇も交代。二番手ビーズリーは山田をショートゴロに打ち取り追加点は防いだ。7回裏、三番手石山に抑えられると、8回表、続投のビーズリーがつかまる。1死からサンタナが歩き、代走に並木。中村のレフト前ヒットで一三塁とされ、オスナのショートゴロの間に並木が生還して4点差に。さらに長岡のセンター前タイムリーヒットで5点差に。8回裏、四番手大西から代打糸原が死球で出るも近本の二塁ゴロで二封。中野はショートゴロでまた二封と走者を進められず、小野寺のセカンドゴロでチェンジに。9回表は三番手及川が山田のヒットだけに抑える。9回裏、五番手星の前に三者凡退で連続完封負け。石川は入団以来22年連続で勝利をあげ、米田哲也の記録に並んだ。
◎スワローズ9回戦……2-1
 タイガース伊藤将、スワローズサイスニードの投手戦。1回表、1死から濱田の一二塁間のゴロを中野が好捕するも送球がそれて今季初のエラーに。山田の打席で濱田は二盗。しかし山田は空振り三振、村上宗はショートフライで得点は許さず。1回裏、中野と大山のヒットで2死一二塁とするも佐藤輝はレフトフライに倒れる。2回裏、1死から坂本がセンターの頭を越す三塁打を放つと、木浪も右中間のフェンスに当たるタイムリー三塁打を放ち先制。伊藤将は三進したが、近本が歩いて一三塁に。中野の打席で近本が二盗するも、中野は見逃し三振で追加点はならず。4回表、山田と村上宗の連打で2死一二塁とされ、内山の三塁線を破るタイムリー二塁打で同点に追いつかれる。オスナは申告敬遠で満塁とし、長岡をセンターフライに打ち取り逆転は許さず。4回裏、伊藤将と近本の四球、中野のセンター前ヒットで満塁としたが、ノイジーは一塁へのファール降らすに倒れて得点できず。5回表、サイスニードが降り逃げで出るが、塩見のセンターの頭上を襲う当たりは近本が好捕し、濱田の三塁ゴロ併殺で切り抜ける。6回表、1死から村上宗とサンタナの連打で一三塁とされたが、ここも内山をショートゴロ併殺に打ち取る。サイスニードは5回1失点で交代。6回裏は二番手大西に抑えられる。7回表、オスナにライト前ヒットを打たれるも、長岡のバントは伊藤将への投手ハーフライナーとなり、飛び出していたオスナは帰塁できず併殺に。プロ入り初打席の代打澤井は一塁ゴロ。7回裏、三番手木澤に対しクリーンアップトリオという好打順も三者凡退。伊藤将は7回1失点で交代。8回表、二番手石井が2死から山田にライト前ヒットを打たれ、ミエセスが打球をこぼす間に二進。山田の代走に山崎。村上宗は四球で一二塁とされたが、サンタナは一塁へのファールフライで切り抜けた。8回裏、四番手清水からミエセスがレフト前ヒットを放ち、代走に島田。坂本のバントは投手前に転がり二封。坂本の代走に小幡。木浪の三塁を襲う当たりは村上宗のグラブを弾き、バックアップの長岡の逆方向に転がって二塁打となる。1死二三塁で代打は糸原。ショートゴロで小幡が思い切ってホームに突っ込み、ヘッドスライディングできわどく生還し、野選でついに勝ち越し点をもぎ取る。なおも1死一三塁としたが、近本の一塁ゴロで木浪は本塁憤死。中野は空振り三振で追加点は取れず。9回表、クローザーの岩崎が三者凡退で逃げ切り、中継ぎで好投した石井がプロ入り初勝利。ヒーローインタビューは決勝点となるホームインをした代走の小幡と、決勝打となったショートゴロ野選の糸原。控えとして少ない出番をものにした二人が嬉しいインタビューとなった。
◎ベイスターズ6回戦……6-3
 浜地が二軍から昇格したが、前日にプロ入り初勝利をあげた石井が腰の不調から二軍に。好事魔多しというが、文字通りの事態になった。
 タイガースは青柳、ベイスターズは今永とエースの対決。先制したのはベイスターズ。1回表、佐野を歩かせ、京田のショートゴロで二進。神里のセンター前タイムリーヒットであれよあれよという間に1点奪われた。牧のライト前ヒットで一三塁とされるが、桑原を一塁ゴロに打ち取り、神里を三本間で狭殺。なおも2死二三塁と攻められたが関根を一塁ゴロに打ち取り、最少失点に抑える。1回裏、近本がレフト前ヒットと二盗でチャンスを作るが、中野とノイジーは空振り三振に打ち取られ、大山もライトフライで得点できず。2回表、戸柱がセンター前ヒットで出、林のレフト前ヒットで一気に三塁を狙うもレフトノイジーの好返球で憤死。林は二進したが、後続を断ち無失点で切り抜けた。このノイジーのプレーが大きかった。2回裏、佐藤輝がライト前ヒットで出ると、ミエセスの捕手へのゴロで二進。梅野は空振り三振に倒れたが、木浪は申告敬遠で2死一二塁に。青柳がレフト線に2点タイムリー二塁打を放ち逆転すると、近本のレフト前のフライはレフトとショートがお見合いをして間に落ちるタイムリー二塁打となる。さらに中野のセンター前タイムリーヒットでこの回4得点。3回裏には佐藤輝が低めの球をうまくすくい上げてバックスクリーンにソロホームランを放ち4点差に。4回裏は2死から近本が三塁打を打ってあとはホームランを打てばサイクル安打になるところまで行く。ただ、中野はレフトフライで追加点はならず。今永は4回5失点で降板。二番手は上茶谷。ノイジーのヒットと佐藤輝の四球でチャンスを作るも追加点は取れず。6回裏、木浪と青柳が連続三振に倒れたが、近本の二塁ゴロは牧がこぼしてエラーで出塁。中野のレフト前ヒットで一二塁とし、ノイジーの打席で上茶谷は暴投し二三塁に。ノイジーは空振り三振に倒れたが、またも上茶谷の暴投でこれが降り逃げとなり、近本が生還して5点差に。7回裏と8回裏は三番手石川の前に得点できず。8回表、佐野が内野安打で出ると代走に柴田。京田のライト前ヒットで一二塁とされ、神里をセンターフライに打ち取ったところで青柳は降板。二番手は加治屋。牧のレフト線へのタイムリー二塁打で2点目を入れられると、桑原のショートゴロの間に京田の生還を許し、3点差に。しかし9回表、クローザーの岩崎が三者凡退で締めて3セーブ。ヒーローインタビューは2勝目をあげた青柳、あと一歩でサイクル安打を逃すも猛打賞と盗塁の近本、ホームランの佐藤輝。
◎ベイスターズ7回戦……7-2
 タイガースの先発は大竹。3回表、1死からガゼルマンに右中間を破る二塁打を打たれると、佐野は見逃し三振にとったがソトにライト前にタイムリーヒットを打たれて先取点を許す。宮崎のショートゴロは木浪が球を握り損ねて一塁へ悪送球し、二三塁に。しかしここは牧をレフトフライに打ち取って追加点は許さず。ベイスターズの先発はガゼルマン。3回裏、木浪が死球で出ると、バントの構えをした大竹にストレートの四球で一二塁とし、近本の打席で暴投、木浪は三進。近本のライト前タイムリーヒットで同点に追いつく。中野が歩いて満塁とし、ノイジーのセンター犠牲フライで大竹が生還し逆転。なおも一三塁と攻め立て大山の三塁ゴロは宮崎が落球し、近本が生還して2点差に。なおも1死一二塁から佐藤輝のセンター前タイムリーヒットで3点差とする。4回裏、木浪が歩き、大竹のバントで二進。近本のセンターフライで木浪は三進。中野に四球を出したところでガゼルマンは降板、二番手は三嶋。ノイジーのライト線へのタイムリー二塁打で4点差とする。5
回裏、三番手森原の前に三者凡退。6回表は1死から宮崎を歩かせたが牧を投手ゴロ併殺に打ち取る。6回表、四番手坂本裕から近本の四球と中野のレフト前ヒットで2死一二塁とするもノイジーは二塁へのフライで追加点はならず。大竹は6回1失点で交代。二番手は再昇格の浜地。桑原のライトへのフライは風でファールゾーンに逃げていくのを島田がスライディングキャッチ。勢い余ってフェンスに突っ込むが、大事には至らず。関根にはレフト前ヒットを打たれたが、大和と伊藤光をフライに打ち取って切り抜ける。8回表、三番手岩貞が代打大田にレフト前ヒットを打たれ、1死後ソトにもセンター前ヒットを打たれ一二塁に。宮崎のレフト前タイムリーヒットで2点目を失う。ここで四番手加治屋がマウンドに。牧を見逃し三振にとり、代打楠本には死球を与えて満塁とされたが、関根を二塁ゴロに打ち取り切り抜けた。8回裏、五番手入江に対し、ヒットの木浪を代打小幡がバントで送り、近本のセンターの頭を越すタイムリー三塁打で再び4点差に。2死後、ノイジーのレフト前タイムリーヒットでダメ押しの1点を加える。9回表は五番手のK・ケラーが大和と代打戸柱を歩かせて1死一二塁とされるが、佐野をセンターフライに打ち取ると、ソトはショートゴロで二封し、逃げ切った。ヒーローインタビューは開幕から5連勝でチーム記録に並んだ大竹と、3打点をあげたノイジー。TORACOデーということで、ファンクラブから女性インタビュアーが質問した。
◎ベイスターズ8回戦……15-7
 ベイスターズの先発は平良。1回裏、レフト前ヒットの近本とやはりレフト前ヒットのノイジーを置いて2死一二塁から佐藤輝がライトスタンドに先制のスリーランホームランを放つ。タイガースの先発は西純。二塁打の牧は楠本の投手ゴロで三進。関根の打席で梅野が捕逸し、牧が生還して2点差に。なおも関根の二塁打、ソトの四球、伊藤光のヒットで1死満塁とされるも平良を三振にとり、佐野を一塁ゴロに打ち取って最少失点にとどめた。3回表、一塁強襲ヒットの京田を置いて宮崎にレフトスタンドに同点ツーランホームランを打たれると、続く牧にもレフトスタンドにソロホームランを打たれて逆転される。4回裏、梅野のヒットと西純のヒットで1死一三塁とし、近本のセンター前タイムリーヒットで同点に。ここで平良は降板し、二番手は三嶋。ノイジーのセンター前ヒットで2死満塁とし、大山は押し出し四球で逆転。さらに佐藤輝の満塁ホームランで一気に5点差に。5回表、2死から楠本、関根、ソトの連打で満塁とされたが伊藤光を二塁ゴロに打ち取り、なんとか切り抜けた。5回裏、三番手上茶谷に対し近本と中野の連打でチャンスを作るもノイジーが二塁ゴロに倒れて追加点はならず。西純は5回4失点で交代。6回表は二番手及川が抑える。6回裏、四番手ウェンデルケンに対し大山がヒットを放つも後続を断たれる。7回表、続投の及川は宮崎のヒット、牧への死球、関根も歩かせ1死満塁に。ここで三番手加治屋が三連投。ソトのライト前タイムリーヒットで4点差に。代打戸柱に対し、四番手岩貞が登板し二塁ゴロ併殺に打ち取る。7回裏、五番手森原に対し、木浪、代打小幡、近本の連打で無死満塁とし、中野のセンター前2点タイムリーヒットで6点差に広げる。ノイジーが歩いて代走に小野寺。またも満塁で大山がレフト前に2点タイムリーヒットを放ち8点差に。1死後、島田のヒットでまたも満塁に。梅野のライト犠牲フライで9点差と試合はほぼ決した。8回表、五番手浜地はライト前ヒットの佐野を置いて宮崎にツーランホームランを打たれ7点差に。8回裏、続投の森原に対し、近本と小野寺の四球で2死一二塁とし、大山のセンター前タイムリーヒットで8点差をつけ、9回表、六番手ビーズリーが三者凡退で締め、単独首位に立った。味方の援護のおかげで西純が2勝目。ヒーローインタビューは2発のホームランで7打点の佐藤輝と4安打の近本。佐藤輝がどんな質問にも「最高です」と答えると、近本も同じように「最高です」を連発。インタビュアーを困らせていた。

愛すれどTigers週間MVP
投手……岩崎優
 打線がリードし、セーブがつく場面で、二軍調整中の湯浅に代わりクローザーとして安定した投球を見せた。先発投手では、伊藤将、大竹も好投したし、中継ぎでは石井がプロ入り初勝利をあげたりもしたが、今節は奮闘するリリーフ陣の代表として岩崎に。
野手……佐藤輝明
 ベイスターズ戦での3本塁打が印象に残った。サトテルのホームランはチームのムードを一変させる。スターというのはそういうものだ。大山がどんなにがんばっても地味なものは地味で、気の毒。ベイスターズ戦のバッティングを維持して次節以降、本塁打連発を期待したい。なにより村上宗と並んでリーグの打点トップに躍り出たのが大きい。 

 次節は豊橋とナゴヤでドラゴンズ戦。鬼門ナゴヤで打線がいかにドラゴンズの先発を崩していくか。そういう意味では初戦が地方球場なのはいいめぐり合わせなのかもしれない。続いて甲子園でカープ戦。新井監督のもと、前評判を覆して健闘している相手だけに、突き放しておきたいところ。西純がローテーションから外れて才木が復帰の予定。先発では青柳の復調、村上、大竹の奮闘、安定感のある伊藤将と好投が見込める投手がそろってきただけに、西勇と才木の復調を待ちたい。リリーフでは石井が欠けたのは大きいが、浜地の復調に期待したい。
 村上がセ・リーグ3・4月の月間MVPに選ばれた。前節でのJERAアワードに続いての表彰。5月に入っても負けはしたが1失点のみの安定した投球で今後も期待大。木浪が規定打席に到達してリーグ第3位についた。近本も好調を維持しているので、木浪が作ったチャンスを近本が返すという変則キナチカコンビが勝敗のカギを握りそう。もちろん大山、佐藤輝にも打ってもらわないと困るのだが。

(2023年5月15日記)


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