愛すれどTigers


渡邉諒と江越がたがいに恩返しのヒーローに

 交流戦は降雨のため日程がずれて9連戦になり、しかもマリーンズとの第3戦は5時間を超すドロー。翌日には仙台に移動してナイター。野手の振りがかなり鈍くなってしまったのは仕方ないが、今節はかなり苦しい連戦となった。まずは楽天モバイルパークでゴールデンイーグルス3連戦。初戦は村上頌が打ちこまれ、それでも完投しリリーフ陣を休ませたが、打線が則本にタイミングを狂わされて敗れる。2戦目は田中将を打ちこみ、西勇も好投して勝つ。3戦目は辛島の軟投に手こずり、伊藤将もマウンドが合わず高めに行ったところを打たれて惜敗し、このカードは1勝2敗。続いてエスコンフィールド北海道に移動してファイターズ戦。初戦は江越が古巣相手に張りきりみごとに恩返しをされて敗れ、2戦目は大竹が予想外にうたれたが、伊藤大を打ち返して同点のまま終盤戦に。ついに大竹も力尽きて勝ち越しを許し、今季初の3連敗を喫する。3戦目は才木が完封ペースで好投、打線は渡邉諒がこちらも古巣に恩返しとなる決勝打を放って連敗を止め、このカードは1勝2敗。今節は2勝4敗。今季通算は36勝20敗2分で勝率.643とそれでも首位を堅持。2位ベイスターズとは4.5差。交流戦はベイスターズ、ジャイアンツが同率首位で、マリーンズ、ドラゴンズと並んで5勝6敗1分、勝率.455となり首位とは1.5差で同率9位。

◎ゴールデンイーグルス1回戦……1-4
 前日5時間を超す試合をし、翌日は仙台に移動。そのせいか選手の動きがいくぶん鈍く感じられる試合。イーグルスの先発は則本。1回表、1死から中野が右中間フェンスに当たる三塁打を放つと、2死後、大山のセンター前タイムリーヒットで1点先制。しかし、2回以降は則本が立ち直り、抑えこまれる。タイガースの先発は村上。初めてローテーションに入った疲れや、慣れないマウンドということもあってか変化球の切れが良くない。2回裏、岡島と鈴木大の連打とフランコの四球で満塁とされ、山崎は空振り三振にとったが、太田にレフト前2点タイムリーヒットを打たれて逆転を許す。4回裏、二塁打の鈴木大を置き、太田にまたもレフト線にタイムリー二塁打を打たれ2点差とされる。5回表、2死から近本が歩き、中野の猛打賞となるライト前ヒットで一三塁とするが、ノイジーの一二塁間の当たりは浅村に好捕されて二塁ゴロで得点できず。則本は6回1失点で交代。7回表、二番手宋家豪から前川がライト前にプロ入り初安打を放つも、木浪と坂本は内野フライに倒れ、近本の二塁を襲うヒット性の打球はまたも浅村が好捕。浅村の守備にことごとくチャンスをつぶされた。7回裏、山崎を歩かせ太田のバントで二進。渡邊佳の二塁ゴロで三進されるも小深田のレフト前のフライはノイジーがすべりこんで好捕。8回表、三番手酒居から大山がヒットを放つが得点にはつながらず。8回裏、辰巳にバックスクリーンにソロホームランを打たれ、3点差とされる。9回表、クローザーの松井裕に対し代打攻勢をかけるが、渡邉諒はセンターフライ、小野寺もセンターフライ、森下は空振り三振で連勝ストップ。村上は4失点ながら完投。前日フル回転したブルペンを休ませる役割は果たした。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……11-3
 タイガースはノイジーと木浪を外し、なんと前川を三番打者に置く大胆なオーダー変更。イーグルスの先発は田中将。1死から中野と前川の連打でチャンスを作るも後続を断たれて先取点は取れず。タイガースの先発は西勇。1回裏、辰巳に内野安打を打たれるが小深田は二塁ゴロ併殺。小郷にセンター前にヒットを打たれ二盗されるも浅村をライトフライに打ち取り、課題の立ち上がりをしのぐ。2回表、1死からミエセスと小幡の連打でチャンスを作るも島田は投手ゴロ併殺。3回表、近本が歩くと、中野のショートゴロで二進。前川の二塁内野安打と大山の死球で満塁とし、佐藤輝が右中間を深々と破る走者一掃の3点タイムリー三塁打で先制。しかし3回裏、安田と辰巳の2者連続のライトスタンドに入るソロホームランで1点差に迫られる。5回表、1死から佐藤輝の三塁打でチャンスを作ると、梅野がライト前に落ちるタイムリーヒットで2点差に。ミエセスの三塁ゴロは小深田が弾き、焦って一塁悪送球で1死一三塁とし、小幡のセーフティスクイズが決まり3点差とする。石井監督のリクエスト申請も判定は覆らず。田中将は5回5失点で降板。6回表、二番手は内。近本が四球で出るが、後続は三者凡退。6回裏、2死から岡島にレフト前ヒットを打たれ、鈴木大の打席で西勇は投球後足首をひねって転倒。西勇はここで降板。二番手に急遽及川が。鈴木大歩かせたが代打炭谷を空振り三振に打ち取り切り抜ける。7回表、三番手津留崎からミエセスがバックスクリーン右にソロホームランを放ち4点差とする。7回裏、続投の及川は代打和田、安田、辰巳を三者三振。8回表、四番手渡辺翔には抑えられた。8回裏、三番手岩崎が小深田のライト前ヒットと浅村のライト前ヒットを島田が弾いて1死一三塁に。岡島にレフト前タイムーヒットを打たれ3点差に。しかし小野寺の返球が素早く三塁を狙った浅村は憤死。石井監督のリクエスト申請も判定は覆らず。代打フランコをレフトフライに打ち取り、追加点は許さず。9回表、五番手石橋を攻める。大山が歩き、1死後、梅野のレフトオーバーのヒットで大山は三進。梅野は一二塁間に挟まれるが、二塁ベースカバーに誰も入らず二三塁に。小野寺のレフト前2点タイムリーヒットで5点差とすると、小幡がライト前ヒットで続き一三塁に。島田のライト線の2点タイムリー三塁打で7点差をつける。近本のセンターへの犠牲フライで島田が生還し8点差と試合を決定づけた。9回裏、四番手西純が三者凡退で締め、連敗はせず。負傷退場の西勇が3勝目。ヒーローインタビュー先制の三塁打と追加点のきっかけを作った三塁打を放った佐藤輝。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……4-6
 イーグルスの先発は辛島。1回表、近本と中野の連打で無死一二塁とするも、ノイジーは二塁へのフライ、大山はヒット性の当たりながらショート山崎に好捕されショートライナー、佐藤輝はライトフライと先制点が取れず。タイガースの先発は今季初めて梅野とのバッテリーを組む伊藤将。1回裏、2死から小郷にレフト前ヒットを打たれると、浅村のセンター前の当たりは近本がスライディングキャッチをしたが慣れない芝生に足を取られて捕球した球を大きく弾いてしまう。これがタイムリー二塁打となり、先制を許す。2回裏は2死から山崎に三塁打を打たれたが、太田を空振り三振にとり切り抜けた。3回裏、センター前ヒットの辰巳を小深田がバントで送り、小郷の打席で暴投、辰巳は三進。小郷のライト犠牲フライで2点目を失った。その後は持ち味の低めの球を使い立ち直るが、打線は辛島の大きなカーブにてこずりつかまえることができない。7回表、大山のショートゴロを山崎が弾き出塁。佐藤輝が歩き一二塁に。渡邉諒は空振り三振に倒れたが、ミエセスが歩き満塁とし、代走に島田。小幡の一塁ゴロは阿部が弾きそのまま直接ベースを踏むも小幡が駆け抜けてセーフの判定。石井監督のリクエスト申請が通り、小幡は一塁ゴロでアウトとなったが、その間に大山が生還し1点差に。ここで辛島は降板。二番手は安樂。梅野が歩いて満塁にしたが、近本のライトの頭上を襲う当たりを小郷に好捕され逆転機を逸した。7回裏、フランコを歩かせ代走に伊藤裕。阿部のバントで二進、山崎のショートゴロで三進。太田のセーフティースクイズが決まり、またも2点差にされる。8回表、三番手酒居から中野が歩くと、ノイジーの平凡なライトフライを小郷が落球して一二塁に。大山の右中間を破るタイムリー二塁打で1点差とし、無死二三塁としてノイジーの代走に植田。佐藤輝の一塁ゴロで植田が生還して同点とし、大山は三進。渡邉諒のセンター犠牲フライでついに逆転した。8回裏、二番手の岩崎は小幡のエラーや岡島のヒットで走者を許すも伊藤裕を空振り三振にとり切り抜ける。9回表は四番手内の前に三者凡退。9回裏、クローザーの湯浅は1死から山崎と代打島内を歩かせ、辰巳は空振り三振にとったが、小深田にライトスタンドにサヨナラ打となる逆転スリーランホームランを打たれてしまった。ライオンズ戦では3点差を追いつかれ、この試合では逆転を許した湯浅について、岡田監督はクローザーからの配置転換を示唆した。
◎ファイターズ1回戦……0-4
 ファイターズの先発はアンダースローの鈴木健。1回表、2死から前川がライト前ヒットで出ると、大山のセンター前ヒットで前川は一気に三塁を狙う。しかしセンター江越の強肩に阻まれ憤死。タイガースの先発はプロ入り初先発の富田。2回裏、松本剛にライト前ヒットを打たれると、マルティネスのレフト前ヒットは島田が弾いてしまい走者が進んで無死二三塁に。野村は三塁ゴロ、奈良間は空振り三振と2死までこぎつけたが、伏見にレフト前2点タイムリーヒットを打たれて先制を許す。3回表、ライト前ヒットの島田が近本の打席で二盗。近本のライトフライで三進。中野の二塁ゴロは前進守備のハンソンが本塁に送球し、ギャンブルスタートの島田は本塁憤死。3回裏、2死からヒットの万波と四球の松本剛を置き、マルティネスにライト線へタイムリー二塁打を打たれて3点差とされる。富田はこの回限りで降板。4回裏は二番手西純が登板。江越にライトスタンドにソロホームランを打たれて4点差に。6回表、中野が歩き、前川の打席で二盗。しかし前川、大山、佐藤輝はすべて外野フライに倒れて得点できず。6回裏、続投の西純は野村の二塁打、奈良間のヒットと江越への四球で2死満塁とされたが、ハンソンを二塁ゴロに打ち取って切り抜ける。鈴木健は6回無失点で交代。7回表、二番手河野から梅野がヒットを放つも反撃はならず。7回裏、三番手浜地が抑えると、8回表は三番手池田から前川が二塁打を放つも大山は見逃し三振とつながらない。8回裏、四番手島本は三者凡退に抑える。9回表、四番手田中正に対し、原口のヒットと梅野の四球で2死一二塁とするが、ミエセスはセンターフライに倒れて完封リレーを食らい、連敗。江越のきつい恩返しにはタイガースファンも拍手。ファイターズのヒーローインタビューで江越は「心待ちにしていた試合」で、まさかヒーローになるとはと、嬉しそうに語った。
◎ファイターズ2回戦……3-4
 タイガースの先発は大竹。1回裏、四球の江越を置いて、マルティネスにレフト線にタイムリー二塁打を打たれて先制される。2回裏、伏見のレフトスタンドへのホームランで2点差に。ファイターズの先発は伊藤大。3回表、ミエセスの二塁内野安打と木浪のセンター前ヒット、坂本の送りバントで1死二三塁とし、近本の二塁ゴロの間にミエセスが生還して1点差とする。しかし3回裏、マルティネスの右中間フェンス最上段に当たる二塁打は審判団のリプレー検証でホームランと判定され、またも2点差に。4回表、ノイジーのレフト前ヒットと大山のレフト線への二塁打で無死二三塁に。佐藤輝は空振り三振に倒れたが、前川がプロ入り初打点となるライト前2点タイムリーヒットを放ち、同点に。5回表、木浪のショートゴロはヘッドスライディングで一瞬早くベースに届き内野安打に。坂本のバントで二進したが、近本はレフトフライに倒れ、中野のライト前ヒットで木浪が一気に本塁をつくが、ライト万波の好返球で憤死。岡田監督のリクエスト申請も判定は覆らず。伊藤大は7回3失点で交代。8回表、二番手宮西の前に三者凡退。好投を続けていた大竹だが、8回裏、ついにつかまる。江越にレフト線に二塁打を打たれ、マルティネスを歩かせると、加藤豪のセンター前タイムリーヒットでついにリードを許す。大竹はここで降板。二番手加治屋は万波を二塁ゴロ併殺に打ち取り、2死三塁として松本剛を三塁ゴロに打ち取り、追加点は許さず。9回表、クローザーの田中正の前に三者凡退に打ち取られ、今季初の3連敗。大竹も今季初の負け投手となってしまった。
◎ファイターズ3回戦……1-0
 タイガース才木、ファイターズ北山の投手戦。1回裏、郡にレフト前ヒットを打たれ、2死後、万波の打席で二盗を許すも、万波は高めの球を空振り三振に取る。2回表、前川がライトフェンスに当たる三塁打を放つと、渡邉諒のセンター前タイムリーヒットで先制、これが決勝点となる。3回表、梅野が歩き、近本の二塁ゴロで二封。中野はレフトフライに倒れるが、ノイジーの打席で近本が二盗。ノイジーと大山は四球で満塁とするが、前川はレフトフライに倒れ追加点はならず。3回裏、福田光を歩かせ、アルカンタラのレフト前ヒットで無死一二塁とされるが、郡のバントは投手への小フライ。細川を空振り三振に取ると、加藤豪は一邪飛で切り抜けた。5回表、近本が四球で出ると、中野の打席で二盗。中野とノイジーは連続三振に倒れたが、大山が申告敬遠で一二塁に。前川も歩き満塁に。ここで北山は降板。二番手福田俊に対し渡邉諒は空振り三振でまたも満塁機を逸する。5回裏、2死からアルカンタラのセンターの頭を越そうかという当たりを近本が好捕し、才木を盛りたてる。6回表、三番手杉浦に対し、糸原がユニフォームをかすめる死球。木浪がバントで送り、梅野は三振したが近本は四球で一二塁に。中野のショートへのヒット性の当たりは奈良間の正面をつきここも得点できず。6回裏、郡にレフト前人を打たれたが、細川のバントはまたも投手への小フライ。加藤豪のセーフティーバントは三塁内野安打となり一二塁とされるが、万波をショートゴロ併殺に打ち取る。7回表、四番手の宮内からノイジーが四球を選ぶと、代走に植田。大山のフェンス前のライトフライで、一塁走者の植田は二塁から帰塁しようとしてハンソンと接触し、走塁妨害で一塁に生きる。前川の見逃し三振の間に植田は二盗。しかし渡邉諒はライトフライでここもチャンスを生かせず。才木は7回無失点で交代。8回裏、セットアッパーの岩崎は代打松本剛の投手ゴロをこぼしてエラーでの出塁を許す。代打江越のバントで二進。しかし郡のショートゴロで松本剛は飛び出し二三塁間で狭殺。郡は一塁にとどまる。代打野村を三塁ゴロに打ち取り乗り切った。9回表は六番手池田に抑えられ、9回裏、クローザーの湯浅が登板。2からマルティネスの四球とハンソンのセンター前に落ちるヒットで位置にるとされるが、奈良間を三塁ゴロに打ち取り、辛くも逃げ切った。才木は5勝目。ヒーローインタビューは決勝打となる先制点をたたき出した渡邉諒。古巣ファイターズのファンからも声援を浴びた。

愛すれどTigers週間MVP
投手……才木浩人
 前回の完封に続き、今回も無失点の好投。打線の援護はなくとも自分のペースで投げ切って5勝目をあげ、防御率は大竹に続く2位に。なによりチームが苦しい中、連敗を止めたのは大きい。次節は甲子園でホークス戦。この調子でチームを交流戦勝ち越しに導いてほしい
野手……渡邉諒
 いきなり三番を打って活躍した前川も印象に残ったが、イーグルス戦では一時は勝ち越し点となるタイムリーを放ち、ファイターズ戦でも決勝点となるタイムリーヒットで昨年まで所属した古巣に恩返しをした。連敗を止める打点という意味でも大きな意味を持つ。この調子で甲子園でもバファローズの生きのいい投手を打ち砕いてもらいたい
番外……江越大賀  やってくれたなあ、ホームラン。そして強肩を見せてくれたなあ。そのおかげで連敗したけれど、北の大地でがんばっている姿を見て、今は敵ながら嬉しくなったよ。今年だけ、番外としてMVPだ。

 次節は甲子園に戻り6連戦。まずは3連覇を狙うバファローズ。いわゆる関西ダービー。若い投手陣に対して、自宅でゆっくり疲れを取った近本と中野が今節は活躍してくれることを祈ろう。続いて強敵ホークス。今度は大竹が古巣に恩返しをする番だ。見違えるようになった姿を見せてやろう。むろん加治屋も復活のリリーフエースぶりを見てもらおうやないですか。まだ交流戦は1つ負け越しているだけ。ホームグラウンドで一気にひっくり返すことも可能ですよ。
 4月も月間MVPはタイガースから。大竹が投手部門でセ・リーグのMVPを受賞。野手はドラゴンズの細川で、どちらも現役ドラフト組の受賞となった。今シーズン末も現役ドラフトは行われるだろう。チーム事情で出番のない選手がほかのチームに行けば活躍できる、それを証明して見せてくれた。さて、6月は才木がいただく番ですな。ふふふふふ。

(2023年6月12日記)


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