愛すれどTigers


近本肋骨骨折で長期欠場

 タイガースに危機が訪れた。前節のジャイアンツ戦で高梨から死球を食らった近本が肋骨骨折で長期欠場を余儀なくされることになったのだ。攻守すべてにチームを引っ張っていた選手会長の代役はいない。今節は苦しい試合内容が続いた。まずマツダズームズームスタジアムでのカープ3連戦。初戦は西勇と加治屋が打ち込まれて大敗し、両者が二軍で再調整することになった。2戦目は大竹がプロ入り初完封、島田の先頭打者ホームランで押し返したが、3戦目は村上打たれて野村からの完封リレーでこのカードは1勝2敗。甲子園球場に戻ってスワローズ戦。雨天中止のあと、1戦目は伊藤将が好投するも打線が振るわず伊藤将の甲子園連勝記録は11でストップ。2戦目は西純、岩貞、岩崎の完封リレーと森下のプロ入り初アーチで辛勝し、このカードは1勝1敗。今節は2勝3敗1分と負け越し、今季通算は43勝32敗3分で勝率.573と首位を辛うじて守り、2位ベイスターズとは1.0差。3位カープとは3.0差。

◎カープ10回戦……1-9
 前節のジャイアンツ戦で高梨から死球を受けた近本が肋骨の骨折で登録抹消。代役に一番中野、二番木浪、センターは島田で臨む。カープの先発は床田。1回表、中野がショート小園の守備のもたつきにも助けられて内野安打で出ると、木浪のバントで二進。渡邉諒の三遊間の当たりは小園がまわりこんで捕球し、内野安打に。ここで大山は長打確実という大きな当たりをセンターに放つが、秋山翔の美技に阻まれセンターフライ。ノイジーは平凡なライトフライで先制のチャンスを逸した。タイガースの先発は西勇。1回表、菊池と野間の連打、秋山翔のバントで1死二三塁とされ、西川にライト前2点タイムリーヒットを打たれる。2死後、坂倉を歩かせ、田中のライトスタンドへのスリーランホームランで初回からいきなり5失点。3回裏、西川のヒットと松山への四球で無死一二塁とされ、坂倉のセンター前タイムリーヒットで6点差とされる。西勇は3回6失点で降板。そのまま登録抹消という厳しい結果に。4回裏から登板した二番手の馬場が好投。6回まで無失点に抑える。床田に手を焼いていたタイガース打線だが、6回表、中野がライト前ヒットで出て反撃開始と思われたが、後続を断たれて走者を二塁に進めることもできず。7回表、ノイジーのレフトスタンドへのソロホームランで1点返し、1死後、梅野と島田の連打でチャンスを作るが、代打原口は投手ライナーを床田に好捕され、中野は空振り三振で続かず。7回裏、三番手の加治屋は1死から野間と秋山翔の連打で一二塁とされ、西川にバックスクリーンにスリーランホームランを打たれてダメ押しを食らった。加治屋も登録抹消。8回表、二番手ケムナから小幡が内野安打で出るがここも後続が続かず得点できない。8回裏、プロ入り初登板となる四番手岡留が無失点で抑えたのはこの試合のわずかな光明。9回表、三番手の塹江に対し1死から梅野が猛打賞となる内野安打で出たが、島田、代打坂本と空振り三振に倒れ、初戦を落とした。
◎カープ11回戦……2-0
 カープの先発は森下暢。1回表、島田が先頭打者ホームランをライトポールにぶち当てる。これがプロ入り第1号。タイガースの先発は大竹。1回裏、野間と西川のヒットで2死一二塁とされるが、田中を見逃し三振に仕留めて切り抜ける。3回表、島田の四球と中野のセンター前ヒットで無死一二塁とし、前川のレフト前ヒットは西川が後逸し、島田が生還して2点差とする。森下暢は6回2失点で降板。7回表は二番手中崎に三者凡退に抑えられる。7回裏、ここまで快調に抑えていた大竹だったが、1死から西川のライト前ヒット、田中のセーフティバントは内野安打に。しかしデビッドソンをショートフライに打ち取ると、會澤を空振り三振に取って切り抜ける。8回表は三番手大道に三者凡退に抑えられる。9回表は四番手栗林の前に坂本、木浪、大竹が三者三振。9回裏、大竹は野間と秋山翔を投手ゴロ、西川を三塁ライナーに打ち取り、プロ入り初完封で7勝目。ヒーローインタビューは先制ホームランの島田。
◎カープ12回戦……0-4
 カープの先発は野村。1回表、2死から前川がショートとレフトの間に落ちるテキサスヒットを放つも大山は二塁ゴロに倒れる。2回以降は野村のペースで打線は沈黙。タイガースの先発は村上。2回裏、レフト前ヒットの松山を置いて、小園にライトスタンドにライナーで飛び込むツーランホームランを打たれて先制される。3回裏、1死から野間に二塁内野安打を打たれ、秋山翔とのエンドランが決まりショートゴロで一塁はアウト。西川にライト前タイムリーヒットを打たれて3点差とされる。4回以降は村上も調子を取り戻して抑えたが、3点は重すぎた。野村は6回無失点で交代。7回表、二番手ターリーに対し2死からノイジーが歩き、代打渡邊諒がレフト線に二塁打を放つが、思い切って本塁をついたの意地の足は遅く、ストライク返球の前にタッチアウト。8回表は三番手島内の前に木浪、代打糸原、島田が三者三振。村上は7回3失点で交代。8回裏、二番手及川は代打末包にレフト前ヒットを打たれ、代走に羽月。菊池の打席で羽月が二盗。菊池のバントで三進。野間の一塁ゴロの間に羽月が生還してダメ押しの4点目を与える。9回表、クローザーの矢崎の前に2死から大山がライトを超す二塁打を放ったが、佐藤輝は二塁へのフライに倒れて完封リレーを食らってしまった。
◎スワローズ13回戦……2-3
 タイガース伊藤将、スワローズピーターズの投手戦。先制したのはスワローズ。1回表、並木に三塁内野安打で出塁されると、山崎は二塁ゴロで二封。サンタナのセンター前ヒットで1死一三塁とされ、村上宗のレフト犠牲フライで1点を失う。しかし、2回以降は低めの変化球を打たせて取る投球で立ち直る。3回裏、二塁打の木浪を伊藤将がバントで三塁に送り、森下のユニフォームをかする死球で一三塁に。しかし中野は内角球を空振り三振。ノイジーは一塁へのフライで得点できず。5回まで、ピーターズのスライダーに手を焼いていたが、6回裏、中野の四球とノイジーのレフト前ヒットで無死一二塁とし、大山のレフト線へのタイムリー二塁打で同点に。佐藤輝は空振り三振に倒れたが、ここでピーターズは降板。二番手は木澤。ミエセスのセンターフライでノイジーが生還したかに思われたが、三塁を狙った大山は好返球でタッチアウト。ノイジーのホームインの前にアウトになったという判定で得点は入らず。岡田監督がリクエスト申請をしたが、判定は覆らず。7回表、村上宗にレフト線に二塁打を打たれ、オスナの一塁ゴロの間に村上宗は三振。三ツ俣を三振に取るが、長岡には右手首に死球。中村の打席で長岡は二盗。中村を歩かせて満塁に。ここで代打の川端にセンター前2点タイムリーを打たれて勝ち越される。伊藤将はここで降板。二番手の石井は並木のヒットでまたも満塁とされるが、山崎を空振り三振に取り、追加点は許さず。7回裏、三番手石山に抑えられる。8回表、三番手島本は丸山和にヒットを打たれ、村上宗のライト前ヒットで丸山和は三塁を狙うが、ライト森下の強肩でタッチアウト。後続を断ち、追加点は許さず。8回裏、四番手清水に対し、2死から大山が二塁打を放つも佐藤輝はライトフライに倒れる。9回表、四番手浜地は三者凡退に抑え、9回裏、クローザーの田口がマウンドに。代打原口が歩き代走に小幡。梅野のレフト前ヒットで一二塁とし、代打渡邊諒を送る。しかし渡邉諒はショートゴロ併殺で2死三塁に。それでも代打小野寺のライト前タイムリーヒットで1点差に迫った。しかし反撃もここまで。森下は空振り三振で逃げ切られ、伊藤将の甲子園連続勝利は11でストップ。
◎スワローズ14回戦……1-0
 タイガース西純、スワローズ高橋奎の投手戦。2回表、村上宗が空振り三振のあと、オスナに二塁打を打たれるも、後続を断つ。4回表、1死から村上宗にレフト前ヒットを打たれたが、オスナの打席で村上宗は二盗失敗。オスナにも二塁打を打たれるも長岡を一塁ゴロに打ち取る。4回裏、2死から大山が二塁打で出るが佐藤輝は一塁ゴロで得点できず。5回裏、梅野隆の四球、西純のレフト前ヒット、森下の死球で2死満塁としたが、中野はショートフライでここも絶好のチャンスを生かせず。6回裏、ノイジーがヒットで出るも、大山、佐藤輝、ミエセスが三者三振。高橋奎は6回無失点で交代。7回裏、二番手大西の前に三者凡退。西純は7回無失点で交代。8回表、二番手岩貞が三者凡退に抑えると、8回裏、三番手木澤の初球を叩き森下がプロ入り第1号となるソロホームランを左中間スタンドにライナーで叩きこみ、ついに先制。9回表、クローザーの岩崎はサンタナにレフト前ヒットを打たれ代走に山崎。しかし村上宗をレフトフライ、オスナを空振り三振、代打川端をレフトフライに打ち取り、逃げ切った。岩貞が今季初勝利。ヒーローインタビューはプロ入り初アーチが決勝打となった森下と、12セーブをあげた岩崎。

愛すれどTigers週間MVP
投手……大竹耕太郎
 現役ドラフトで移籍してきた男がついにプロ入り初完封。投手陣の柱となっている。オールスターでは監督推薦で出場が決定。環境が変わっただけでこれほど大化けするとは誰が予想しただろうか。いつも不利なマツダズームズームスタジアムで連敗しなかったのは大きい。
野手……島田海吏
 近本に代わり1番センターで出場し、カープ戦では先頭打者ホームランで期待にこたえた。左腕相手の時は森下にポジションを譲っているが、近本ほどとは言わないまでも、攻守走がそろった代役としては今は島田が一番。近本の復帰まで、なんとか結果を出し続けてほしい

 次節は倉敷マスカットスタジアムと甲子園でベイスターズと3連戦。オールスター前に首位争いをしている相手と直接対決となった。ベイスターズ打線も決して好調とは言えず、復帰登板の青柳、大竹、村上の3本柱で突き放したい。1日置いて甲子園でドラゴンズ3連戦。伊藤将、西純は計算できる。ここで富田が2度目の先発でその力を試されることになる。そしてオールスター戦。近本と湯浅は残念ながら出場辞退。その他のメンバーはこのオールスターを弾みにして後半戦に活躍するきっかけとしてほしい。特に打線はいま非常に危機的状況にある。それだけに復帰した佐藤輝は結果を気にせず思い切りよく自分のスイングをしてほしいものだ。OBの藤井栄治さんが甲子園を訪れてアドバイスをくれたという。名打撃コーチとしても知られる鉄仮面の金言をぜひ生かしてほしい。

(2023年7月10日記)


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