日本シリーズは場所を京セラドーム大阪に戻す。第6戦はノイジーが山本由からホームランを放ち先制したが、村上が打たれて逆転を許し、14奪三振の完投負けで勝敗を五分に戻された。最終戦となった第7戦は宮城からノイジーがスリーランホームランを放つと、さらに集中打で宮城をノックアウトし、青柳、島本、伊藤将の継投でバファローズ打線を無失点に抑えて日本シリーズの優勝を決めた。1985年以来、38年ぶりの日本一に輝いた。最高殊勲選手賞は近本。優秀選手賞は森下、ノイジー、山本由。敢闘選手賞は紅林。SMBCみんなの声援賞は大山。
◎バファローズ6回戦……1-5
タイガースの先発は村上。初回から球が高めに浮いて本調子とは言えない内容。1回裏、中川圭にレフト前ヒットを打たれ、宗のバントで二進。紅林を歩かせ、森のライトフライで2死一三塁とされたが、頓宮のヒット性の当たりは木浪が横っ跳びで好捕しショートライナーで失点を防いだ。バファローズの先発は山本由。2回表、1死からノイジーがライトスタンドにソロホームランで先制。佐藤輝の二塁打、糸原のセンター前ヒットと続き、木浪は見逃し三振に倒れたが、坂本は左爪先に死球で満塁とした。しかし近本は空振り三振に倒れ、ここで打ち崩せなかったのが最後まで尾を引いた。2回裏、ゴンザレスセンター前ヒット、杉本のドームの屋根に乗るエンタイトル二塁打で無死二三塁に。セデーニョは見逃し三振に打ち取ったが、若月のライト前タイムリーヒットで追いつかれると、中川圭のレフト犠牲フライで逆転された。4回表、糸原の二塁内野安打、木浪のレフト前ヒットで2死一三塁としたが、近本のライトフェンスにあたるかという当たりは森に好捕され得点できず。岡田監督のリクエスト申請も判定は覆らず。5回裏、ヒットの中川圭を置いて紅林にレフトスタンドにツーランホームランを打たれ3点差とされる。村上は5回4失点で降板。6回裏以降は、二番手西勇が登板。走者を出しながらも後続を断つ好投でバファローズ打線を抑える。7回表、2死から近本と中野の連打でチャンスを作るも森下は二塁へのフライに倒れ、山本由から得点できず。8回裏、好投の西勇も頓宮にレフトスタンドにソロホームランを打たれて4点差とされる。9回表、1死から木浪がライト前ヒットを放つも、代打渡邊諒は見逃し三振、近本は二塁ゴロで完投勝利を許してしまい、バファローズとの決着は第7戦に持ち越された。
◎バファローズ7回戦……7-1
バファローズの先発は宮城。1回表、センター前ヒットの近本を中野がバントで送り、森下はハーフスイングをとられて空振り三振となり、大山のヒット性の当たりは胸が好捕し三塁ライナーと不運な攻撃。タイガースの先発は青柳。3回裏、福田のライト前ヒットと宗への四球で2死一二塁とされたが、このシリーズのラッキーボーイである紅林を一塁ゴロに仕留めて先制点を防ぐ。4回表、森下がレフト前ヒットで出ると、大山には背中に当たる死球。それまで大胆に内角を突いていたのが、この四球から甘くなり、ノイジーがレフトスタンドに先制のスリーランホームランを放つ。5回表、坂本と近本の連打で1死一二塁とし、中野のショートゴロで二封されるも中野は一瞬早くベースを駆け抜け内野安打に。最初の判定は併殺だったが、岡田監督のリクエスト申請で判定が覆り、2死一三塁に。ここで宮城は降板。二番手比嘉から森下がレフト線にタイムリー二塁打を放ち、大山の三遊間の当たりは紅林に好捕されるもショート内野安打となり、中野が生還して5点差に。ノイジーがセンター前タイムリーヒットを放ち、6点差とする。5回裏、1死から野口が一塁への内野安打、福田のセンター前ヒットで一二塁とされる。中川圭をレフトフライに打ち取ったところで青柳は無失点のまま降板。二番手島本が宗をレフトフライに打ち取り得点を許さず。6回表、三番手小木田から木浪が一塁エラー、近本がライト前ヒットで一三塁としたが、森下は二塁ゴロで追加点はならず。6回裏からは三番手伊藤将が8回まできっちりと抑える。7回表は四番手宇田川の前に三者凡退。8回表は五番手山崎颯に抑えられる。9回表、六番手東に対し、近本が一塁内野安打で出ると、中野の二塁ゴロで二進。森下のシリーズ新人打点記録となるセンター前タイムリーヒットで7点差に。9回裏、四番手桐敷は紅林にヒットを打たれるも森を二塁ゴロ併殺に打ち取る。ここでクローザーの岩崎に交代。頓宮にレフトスタンドへソロホームランを打たれ、ゴンザレスにもセンター前ヒットを打たれたが、杉本をレフトフライに打ち取り、ウィニングボールはノイジーがつかみ、1985年以来38年ぶりの日本一に輝いた。岡田監督が5回の胴上げ、また、横田慎太郎さんのユニフォームを持った岩崎も宙に舞った。監督インタビューに続き、シリーズMVPの近本が珍しく「サイコーです」と吼えた。
愛すれどTigers日本シリーズMVP
投手……青柳晃洋 どうしても負けられない最終戦に先発し、バファローズ打線を翻弄。シーズン中の悔しさをばねに、日本シリーズ優勝に導いた。初戦に好投した村上は6戦目で打ちこまれたために次点としたい。シーズン中同様、リリーフ陣がよく踏ん張り、投手陣全体で勝ちとった優勝だが、一番緊張し、しびれる試合でゲームを作った青柳をたたえたい。
野手……シェルドン・ノイジー トータルの打率では近本がMVPにふさわしい活躍をしたが、ポイントとなるところで効果的なヒットを放ったのはノイジーだった。特に6戦目で外国人選手ではバース以来というシリーズのホームランを山本由から放ち、7戦目では宮城をノックアウトするスリーランを放ったのは特筆もの。ぜひ来季も契約を結んでほしい。
ついにタイガースが悲願の日本一に輝いた。初戦の佐藤輝の盗塁、4戦目の湯浅の投入など、岡田監督の打つ手が流れをタイガースに導いたのは言うまでもない。今季は最後の最後までシーズンを楽しませてくれた。これが黄金時代の始まりのだと語り継がれる優勝にしてもらいたい。そして、バファローズの強さを思い知らされたシリーズでもあった。残念ながらバファローズの竹安投手と小野投手が戦力外通告となった。勝負の世界の非情さを感じさせられる。さて、来季はどれだけ若手が活躍するか。岡田監督の采配には今後も注目だ。
(2023年11月6日記)