愛すれどTigers


2024年、オカちゃん、主役と違うよ、そら選手よ、おーん

 日本一に輝いた後、優勝景気に沸いた中で、岡田監督が異常にもてはやされた。選手の起用法がズバズバとあたり、「岡田語録」はビジネス書にまで波及した。
 勝負事は勝たなあかん。それを実感させられた。
 ただ、優勝を勝ち取るには「運」を味方につけなければならない。2008年、タイガースは独走していたが、五輪大会で主力が抜けたりしたこともあり、ジャイアンツに大逆転された。2021年には両リーグで最も勝利したにもかかわらず、引き分けの数の差もあり、ゲーム差なしで優勝を逃してしまった。18年ぶりの優勝となった昨年までの間に、何度も優勝のチャンスはあったが、残念ながら「運」を味方につけることができず栄冠を勝ち取ることができなかった。それでもCSを勝ち抜いて日本シリーズに進出したこともあった。この時は「運」を味方につけていたと思う。
 なぜ昨シーズンタイガースは優勝できたか。それは他の5チームが勝手にこけてくれたからという「運」もあったと、私は見ている。
 岡田監督の手腕を認めないわけではない。もし当初予定されていた平田監督であったらどうだったか、それはわからない。ただ、岡田監督はバファローズの監督を退任したあと、いつタイガースの監督になってもいいように「解説者」として常にシミュレーションをしていた。それがちょうど働き盛りの選手の伸びと相まって大当たりした。2021年に力を見せたように、優勝するだけの力は備わっていた。ただ、「コロナ禍の特別ルール」という「運」をスワローズが味方につけたためにそれが果たせなかった。2022年は矢野監督のキャンプ前の退任宣言の影響もあり開幕から9連敗し、どん底のスタートを迎えた。それでもAクラスにすべりこんだ。それだけの戦力はあったのだ。それを岡田監督が生かした。そして他のチームの監督は戦力を生かしきれなかった。ベイスターズはバウアーが故障で欠場してから「運」を手放した。スワローズは連覇したあとの緩みが出た。ジャイアンツはリリーフ投手陣が軒並み打たれて4位に沈んだ。戦力的に手薄だったカープとドラゴンズは、カープが床田や森下暢の活躍もあって2位に浮上したが、ドラゴンズは打線を整備することができず最下位に沈んだ。そして、「普通のことを普通にやる」「優勝を意識し過ぎないよう”アレ”」と呼んだタイガースが独走することになった。
 今季はどうか。岡田監督は名将と持ち上げられた。その「運」をどれだけ呼びこめるか。
 戦力的には昨シーズンと大きな変化はない。馬場とケラーは抜けたが、岡留とゲラがその穴はは埋めるどころかそれ以上の働きをするだろう。村上大竹が昨シーズンのようにいかなくとも、青柳西勇が復活してその役割を果たし、さらに門別がラッキーボーイ的な働きをするだろう。ノイジーが打たなくとも、前川が一気にブレークするだろう。石井や島本に昨シーズンの疲れが出たとしても、新人の下村や椎葉、石黒がカバーするだろう。西純、井上、及川、遠藤、藤田らも勝負の年と背水の陣で臨むだろう。育成枠から支配下枠に移った野口や、育成ドラフトで加入した福島も出てくるだろう。そして、高橋遥が復帰すれば、他チームの打線は手も足も出なくなってくるだろう。
 しかし、他チーム、特にジャイアンツはトレードを活発に行って戦力補強をし、下馬評も低くない。何よりタイガースから移った馬場とケラーが崩壊していたリリーフ陣に加わって大きな戦力になるだろう。
 だから、今シーズンは岡田監督がもてはやされるようでは、昨シーズンのようには勝てないと見る。岡田監督が「主役」になってはいけないのだ。近本が、中野が、大山が、佐藤輝が、森下翔が、青柳が、西勇が、才木が、伊藤将が、村上や大竹が「主役」にならなければならない。そして、相手の警戒網をぶち破るだけの力の差を見せなければならない。
 監督の用兵や作戦がもてはやされたけれど、それを結果として残したのは選手たちだ。
 選手が「主役」になれば、連覇は難くない。とにかく「運」をつかむこと。昨シーズンの村上や大竹のように「化ける」選手が出てくれば、その後から「アレンパ」はついてくる。

(2024年3月28日記)


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