読書感想文


名誉を越えた闘い
封仙娘娘追宝録・奮闘編 3
ろくごまるに著
富士見ファンタジア文庫
2000年7月25日第1刷
定価520円

 「刃を砕く復讐者(上)」に続くシリーズ11冊目(外伝を含む)。外伝の短編集としては「切れる女に手を出すな」に続く3冊目となる。短編5本と書き下ろしの中編1本が収録されている。短編は雑誌に掲載されたもので、書き下ろしは各短編に使われたエピソードをうまくからめたものになっているのは前巻と同じ。
 短編はアイデアが命である。特に本シリーズは設定が固まっているだけに、宝貝という仙人の用具をいかにうまく考え出すかにかかっている。今回は、表題作に出てくる仮想の戦闘を行う場所を作り出す宝貝と、「揺るぎない誓い」に出てくる誓約を取り交わしたら何があっても守らせる宝貝というアイデアが優れていたと思う。これは作者もそう感じたのだろう。書き下ろしの「最後の審判」でこの2つの宝貝をうまく使ってストーリーを組み立てている。
 アイデアをもとにストーリーにうまくひねりを加える力がこれまでよりもよくなってきたように感じられる。毎度感じていることだが、本シリーズ以外にも、本格的なSFやファンタジーに取り組んでもらいたいと思うのだが。

(2000年8月1日読了)


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