読書感想文


ダーティペアの大復活
高千穂遥著
早川書房
2004年8月15日第1刷
定価1000円

 「ダーティペア 独裁者の遺産」以来久々のシリーズ第6巻。物語としては「ダーティペアの大脱走」の続きとなる。
 WWWAのトラブル・コンサルタントであるユリとケイのコンビは、冷凍睡眠の状態で宇宙空間にただよっていた。彼女たちを助けたのはバイオボーグのフローラ。フローラによると、2人が冷凍睡眠に入ってから153年の歳月がたっており、その間に人類は滅亡、ドクター・パニスという人物が戦争が終ってから目覚めるようにと冷凍睡眠で最後の人類としてグリヤージュという都市衛星に138人の有志を生き延びさせたという。ところが、システムの故障でフローラの力だけでは彼らを助けられない。そこで2人を蘇生させて手伝ってもらうように依頼したのである。フローラの言葉を信じたユリとケイは、最後の人類を救うために勇躍ドーム基地に乗り込むが……。
 「クラッシャー・ジョウ」に続き、ダーティペアも復活を果たした。オールドファンとしては懐かしくも嬉しいことである。ただし、2人を待ち受ける罠は、最初の方を読んだだけですぐにわかってしまったし、ストーリーもごく単純で、なぜ21世紀になってダーティペアを復活させたのか、その意義がもうひとつつかめなかった。もっとも、冷凍睡眠のまま物語が終ってしまったのでは、クラッシャージョウは生まれてこないことになってしまうので、ジョウが生まれて物語世界がきちっと形になるまで書き続けることにしたのかもしれない。
 さて、若い読者たちはこの新作をどう受け止めるのか。どちらかというと、そっちの方が気になる次第である。

(2004年8月13日読了)


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