「バカの壁」に続いてベストセラーとなった「死の壁」の続編にあたる。
前2冊を読んだ読者からの反響を受け、著者に届いた「身の上相談」を項目別に整理してそれぞれを章のテーマとし、それらに対する回答をまとめたものと、前書きにある。
取り扱われるテーマは「若者」「自分」「テロ」「男女」「子供」「戦争責任」「靖国」「金」「心」「人間関係」「システム」「本気」という12項目。
本書を要約すると、現在起きている様々な問題は果たして本当に問題になるものであるのか。昔はこんな問題は起きなかったというが、そのかわり別な問題があったのではないか。システムが変わっただけで本質が変わったといえるのか。システムが変わったために起きた問題に対して、無理矢理その問題の現象面だけに対処しても問題が解決したとはいえないのではないのか。要は自分の原則というものをしっかり作り、それにそって生きていくこと、これが大切なのだ。以上が著者の主張の主眼であるように思われる。
本書はテーマ別に内容をまとめたため、前2冊よりも読みやすく、すっきりとしている。明晰さというものがいかに大切かということがわかる。「バカの壁」を超えるから「超バカの壁」らしいけれど、本書を読む限りでは「壁を超える」ようなしんどい真似をせず、物事の本質を見極め、現象面だけを切り取って大騒ぎしなければよいというような内容で、「壁を超える」よりも、「壁が崩壊するまで待つ」というスタンスのものであるように読めた。
さすがにいろいろと参考になる考え方が提示されており、それがテーマ別に平易な語り口で読めるようになっているので、著者の考えを理解しやすくなっている。しかしまあ、いってみればそれだけのことで、内容的には第1冊目の「バカの壁」のものを整理したものといって差し支えないと思う。さすがに3冊目ともなるともう目新しいことはそうそう出てこないのだろう。内容的には「バカの壁」を超えるところまではいっていない。でも売れるのだろう。同じことを何度も説教してもらいたい人は世の中にたくさんいるのだろうから。
(2006年1月23日読了)