ぼやき日記


3月11日(日)

 日本画家、上村松篁さんの訃報に接する。享年98。
 私は母や妻の影響もあって、上村松篁さんのお母さんである上村松園さんの美人画は好きなんである。ちょうど私の母校であるO高校に松園さんの代表作が寄贈されてて何かの機会に間近で見たのがきっかけで、百貨店や美術館で開かれる展覧会に足を運ぶようにもなった。
 そうやって見ていくと「松園・松篁親子展」やとか「松園・松篁・淳之三代展」というような企画にぶちあたる。どうしても比較して見てしまう。松園さんは人物画、松篁さんと淳之さんは風景画と守備範囲は違うんやけれど、やっぱりどう見ても松園さんの凄みに圧倒されて、特に松篁さんは地味にうつってしまう。淳之さんは松園さんの艶みたいなものを引き継いでる感じで、やっぱり松篁さんは地味な感じ。
 あの「上村松園」の息子。そして日本画家。この重圧はご本人にしかわからへんことやと思う。そして、おそらく母親の持っている凄みをご自分が引き継いでいるかどうかということに関しては、松篁さん自身がわかり過ぎるほどわかってはったんやないか、とも。そやから独自の画風を確立しようとしはったに違いない。
 私は画家の世界について特にくわしいわけやないけれど、日本画ともなると誰に師事したかとか、どの系列の画家やとか、そういう縛りはかなりきついんやないかと思う。そんな中で美術史に残る天才の母を持った画家の立場というのはかなり難しいもんがあったんやろうなあと推察する。もしかしたら、松篁さんは最後まで松園さんの残像と戦ってはったかもしれへん。松篁さんの絵を見ると、松園的なものを一切廃していこうとした結果、あのような写実的ではあるけれど地味な画風になっていったんやないかというような気がしてならない。
 上村松園の息子に生まれ、敢えて日本画家としての道を選んだ勇気、私にはちょっと真似でけへんもんがあるなあと思う。それだけでも凄い人やったんやないかという気がするね。
 謹んで哀悼の意を表します。

3月12日(月)

 ここしばらくCDショップに行ってへんかったんやけれど、この前の土曜に行ったら諏訪内晶子さんの演奏する「チャイコフスキー&メンデルスゾーン、ヴァイオリン協奏曲」のCDが並んでいたんで迷わず買う。
 私は10年前に諏訪内晶子さんが「チャイコフスキー・コンクール」でグランプリに輝いた時からのファンなんです。その時に出たガラ・コンサートのCDももちろん持っている。可愛かったというのと、その演奏の情熱的なところに惚れ込んだんでありますね。むろん、そのCDに収録されてるのは「チャイコフスキー、ヴァイオリン協奏曲」であります。つまり、今回のCDは10年ぶりの再録音ということになる。
 まず驚いたのは、ジャケットの写真。諏訪内さんは少しクセっ毛なんでありますが、ストレートパーマをあてたんか見事に真直ぐ。最近は真ん中から分けているのを今回は斜めから流すようにしてる。これでぐっと印象が変わった。ポップスシンガーのアルバムというて差し出しも不思議やないほど。すごいイメージチェンジやなあ。私は昔の諏訪内さんのイメージの方が好きなんやけれど。
 いやいや、クラシックの場合、外見だけではあきません。演奏が大事。で、昨日から今日にかけてじっくりと聴いてみる。特にチャイコフスキーは10年前の強烈な演奏が印象に残ってるから、よけいに注目。
 うーむ。なんか違うぞ。確かにテクニックはみごとやし、悪い演奏やない。そやけど、10年前の演奏でビリビリとしびれさせてくれたパッションが感じられへん。いや、もしかしたら私が10年前の演奏を美化してるんかもしれへん。
 というわけで、10年前のCDを引っぱり出して聴いてみた。うん! これです。この演奏! やっぱりこれは違う。コンクールで優勝した直後の演奏ということもあるんやろうけれど、燃え尽きてしまいそうなまでのエネルギーに満ちている。
 それなら私の好きな名盤と比べてみたらどないやろう。というわけで、今度はヤッシャ・ハイフェッツのCDやらチョン・キョンファのCDを出して聴き比べる。ハイフェッツはやっぱり人間やないみたいな恐ろしいまでのテクニックで、聴いていて思わず吸い込まれる。チョンは死んでしまいそうなくらいもの狂おしい表現。これも思わず全てを忘れて聴き惚れてしまいそう。諏訪内さんの旧盤もそこまではいかなくともぐっとひきつける魔力を持っている。
 残念ながら、諏訪内さんの新盤は、彼女が10年間の間にプロずれしてしまったことを証明したものみたいに聴こえてしもうた。悪い演奏やないけど、人に「チャイコフスキー、ヴァイオリン協奏曲」のCDを薦める時、私がこの新盤を勧めることはないと思う。それよりもハイフェッツやチョンや諏訪内さんの古い方のCDを薦めるやろう。それくらい優等生的に聴こえてくるんやね。
 アマチュア時代は一つの演奏に全てを賭ける。そこに感動が生まれたのかもしれへん。プロになってからは常に一定水準の演奏を求められる。それだけにひとつ間違えるとどの演奏も平均的なものになってしまいかねない。新盤からはそんな印象を受けてしもうた。なんか、ちょっと寂しい気分になってしもうた。悪い演奏やないんやけどなあ。ああ君は昔の君ならず。

3月13日(火)

 今朝は雪がちらつく寒ーい空。ああもうこの時期に雪が降りますか。天気予報によると明日から一気に春が来て、日中の最高気温も十何度まであがるんやて。ほんまか、ほんまに上がるんか。こんな冷え冷えした夜から、目がさめたらぬくーい朝が訪れるんか。なんか信じられへん。しかし、いくら三寒四温というても、そんなに極端な寒暖差があるとホメオスタシスなるものがびっくりして体温調節でけへんのやないかと心配になるね。変温動物の私にとっては一番辛い事態ですな。

 朝と夜にラジオを聞いていると、しきりに「バーミヤン、モリモリパクパクワッハハワッハハ、バーミヤンバーミヤンバーミヤン」と歌うコマーシャルが流れてくる。どうやら食堂のコマーシャルらしいんやけど、ちょうどアフガニスタンのバーミヤン石窟の仏像が破壊されたというニュースと重なり、なんか破壊者が「ワッハハワッハハ」と笑いながら仏像をぶち壊しているような感じがする。なんてタイミングが悪いんやろね、この店。
 ところで、この店はいったい何を食べさせる店なんやろう。中華料理らしいけど、それにしたら「バーミヤン」というネーミングはなんか変やなあ。
 店に石の仏像が飾ってあったりして。事実にあわせて破壊してたりして。過激な宗教原理主義者が店を占拠してたりして。というようなしょうもないことを言いあいながら晩飯を食べている我々夫婦も困ったもんでありますが。
 そのうちラジオから「バーミヤーン」と歌が聞こえてくると妻はさっとスイッチを切るようになった。一日中聞かされるとさすがに嫌になるそうです。もう終わったかと妻がスイッチを入れたら、いきなり「バーミヤンバーミヤンバーミヤン」と連呼する。スイッチのタイミングが悪いぞ。
 しかしこれ、テレビのコマーシャルやったら即刻差し換えをしているかしれへんな。ラジオとはのどかなメディアであることよ。

3月14日(水)

 2月14日の日記で私は妻から今年のSt.ヴァレンタイン・デイに「ベビースターラーメン」の詰め合わせセットをもろうたと書いたけど、今日はそのお返しをする日。「ホワイトデイ」とかいう意味のようわからん名前を与えられた日で、なにどうせ菓子メーカーが売り上げをのばすためにこしらえたもんでしょう。お祝いのお返しという習慣のある我が国ならではの発想でありますね。
 というわけで、江坂の東急ハンズで買物。特設コーナーがあって、年令を問わず男たちがきれいにラッピングされた商品に群がっている。そんなところは横目でちらりと見て通り過ぎる。なにしろ「ベビースターラーメン」のお返しやからね、ありきたりのものを贈るわけにはいかん。もう既に私は「妻と勝負だ」モードに入っている。
 宴会用のわけのわからん粉ジュースやらいろいろ見てまわるけど、どうもインパクトに欠ける。ちょうどそこに外国人の子どもたちが3人ほど遊んでた。マジックハンドを手にとって追っかけあいをしている。こらこら商品で遊ぶんやない。おっちゃんもそないして遊びたいのを我慢してるんやで。鈴木その子のゴム製お面なんか売ってる。誰が買うんやそんなもん。
 ああもう東急ハンズに一歩踏み込んだら本来の目的を忘れてあっちこっちへ行って遊び倒してしまうよな。いつやったか生徒のお楽しみ会用に買うた当て物のセットを探したんやけど、あらへんかった。
 見つけました。亀田製菓の柿の種。全国各地限定販売のいろんな種類の柿の種が置いてある。これやこれや。というわけで、「関西限定たこ焼き味柿の種」と「中部限定ウナギの蒲焼き味柿の種」、そして「東北限定ホタテ醤油味柿の種」を買う。ほかにもチョコレートコーティングしたのやらいろいろあったけど、柿の種ばっかりで5000円以上も使うのは気がひける。
 帰って妻に渡す。開封した妻は脱力したあと大笑い。ふっふっふ勝った勝ったと喜んでたら、「いーや、負けへんでえ」と妻。どうやら勝負はこれかららしい。どこの夫婦もこの1ヶ月、こういう勝負をしてるのかと思うとお互いなかなか大変やなあと思う。

3月15日(木)

 どうにもこうにもアレルギー体質というのはかなんもんで、とにかく目が痒い。これが花粉症なんかようわからん。高校時代は寒冷性蕁麻疹に悩まされたもんやけれど、日によって寒暖差が激しいから、そちらかもしれへん。というのも、寒い日に熱い風呂にはいると体がぬくもってるのにくしゃみを連発することがあるからね。
 とにかく目が痒い。ついつい手でこすってしまう。よけい痒くなる。目の玉くりぬいてアレルゲンをごそごそとかきおとし、その眼球をきれいに洗うてもとのところに収めたくなる。そんなことはでけへんから目薬を常備し、痒みを感じたらすぐにさすようにしている。
 ところが、目薬をさすと今度はそれが鼻粘膜を刺激するんか鼻水が止まらんようになる。せっかく目の痒みが収まったら、今度はティッシュが手放されへん。鼻粘膜にコーティングして刺激を受け付けへんようにしたいくらいやけれど、それも無理。市販の鼻炎カプセルを呑むとむやみにのどが乾いてペットボトルのお茶が手放されへん。おまけに小便が近くなる。
 やっぱり空気が悪いんかなあ。いつぞや書いた団地の外壁塗装工事のおかげで家に帰るとペンキの匂いがプンプンしてきて胸が悪うなる。ああもう早いとこ工事も終わって気候も安定して目も鼻もスッキリさせたい。
 てなことを書いてたら、今度は耳が痒くなってきた。ああもうかんべんしてくれい。
 とはいえ、これで暖かくなると今度は蚊が発生してかまれて痒くなるんやなあ。どないせいちゅうのん!

3月16日(金)

 私、ここんとこいろいろとあってメゲてしもうてるんやけど、大間違いをやらかしてちょっと立ち直られへん。
 それというのは、先日「読書感想文」のページでアップした
「刻Y卵(こくあらん)」についてであります。私は解説を読んでてっきりこれは解説を書いている竹本健治さんが別名義で書いた小説やと思い込んでしもうたんですね。東海洋士という作者の名前に全くなじみがなかったし。
 ところが、昨日、翻訳家の山岸真さんからメールをちょうだいしまして、東海洋士さんは竹本健治さんとは別人であることがわかったんですね。
 以下、山岸さんのメールを引用します。

 第1回奇想天外新人賞の最終候補に残って、その候補作「遠雷」(掲載時は「雷鳴の中に……」と改題)がなぜか、第2回新人賞の発表された1979年3月号に掲載されてるんですよ(ちなみにこの号は、新人賞佳作で谷のつかない甲州と、修ではない牧野ねこが載ってるほか、いま見ると小説もコラムも、おおっ、という作品・ネタだらけ)。

 ううむ、さすが山岸さん。「東海洋士」という名前をちゃんと記憶しているとは。実は現在のところ、「刻Y卵(こくあらん)」について書かれたもので作者について指摘したものはないらしい。ま、いずれおいおい出てくるんやろうけれど。それにしてもこういう実績のある人やったとは。ネットで検索して裏をちゃんととってたらこんなことにはならへんかったのになあ。
 というわけで、感想文を書き直しました。この件については弁解のしようもない私のミスです。山岸さん、ありがとうございました。
 しかしなんですねえ、自業自得とはいえ泣きっ面に蜂、痛い上に塩を塗る、盗人に追い銭……はちょっと違うか。とにかくメゲてる時はなにやってもあかんというようなことでありましょうね。ああ今日も目が痒い。

3月17日(土)

 電柱の貼紙というのはなんか怪し気で私は好きなんやけれど、例えば「スナックの店鋪をサントリーリザーブボトル50本付きで売却いたします」というような貼紙を見つけるとそんなもん普通は雑誌に広告を打つか個人的なコネで人を探すかするやろうに、きっとうかうかと電話なんかしたらえらい目にあうに違いないと思うね。
 ここ数年最寄り駅前によく貼ってあり、駅員か誰かがはがしてもはがしても必ず新たに貼られている貼紙がある。今日も新しく貼られたばっかりのを見つけて喜んでいた。

歌手・タレント見習
映画・テレビ・ラジオ・舞台
◎デビューまで完全責任指導
学生不可 月謝不要 (住込者歓迎)
××プロ新人係 マネージャー見習・楽器できる方も募集

 私はもうこのポスターを見るたびにこのプロダクションに電話してみとうなってたまらんのです。もういかがわしさ100%やね。
 いくらふんだくられるんやろう。「歌手・タレント
見習」というところがミソやね。あくまで「見習」やからね。「デビューまで」というのはなにをもって「デビュー」とするんやろう。よもやエキストラのバイトあたりを「デビュー」とみなすんやなかろうな。「学生不可」というのは金をふんだくりにくいからやないかという気がするし、「月謝不要」というのも嘘臭くてたまらん。「住込者歓迎」という不思議な文言がよろしいな。パチンコ屋の店員を募集してるんやないんやから「住込者歓迎」はないでしょう。
 けっこうしつこく貼り続けているところを見ると、こんなポスターでも信じこんで電話してくる人がいてるんやろうかね。歌手やタレントになりたかったら、ちゃんと養成所もあるしそれなりの金を要求してくるのは当たり前。てなことも知らへん人は意外に多いかもわからんぞ。
 ここに電話したらどんなめにあわされるんやろう。わくわく。

3月18日(日)

 今日はたちよみの会細井威男さん岡田英之さんたち京大SF研の面々に加え、WEB本の雑誌の新刊採点員である中川大一さんが初参加。新刊採点員が一同に会した集まりでは、同じ本を読んでいるということで共通の話題があり、話が弾んだなど、これまでの例会とはまた違ったお話を聞くことができて楽しかった。まあ、初参加ということでお互い緊張した部分もあったと思うけど、これに懲りずまた参加しほしいなあと思う。
 他には「サイバーパンク以降SFを読まなくなった」というよくある言説に対する細井さんの異論等が出る。これは中川さんの「サイバーパンクってつまりはどういうものですか?」という素朴な質問から発展した話題。確かに、何か新しいムーヴメントが起こるとそこにばかり注目が集まり、それ以外の流れがまるで無くなったかのように言うのは間違いではあるやろうね。サイバーパンクが流行した時にもちゃんとハードSFの新作も紹介されてたわけやし。私の前の世代やと「ニューウェーヴ以降SFを読まなくなった」というような言説もあったんやなかったかな。そこらあたり、もう少しいろんな立場の人の意見を聞いてみたいところ。誰かSF大会かコンベンションの合宿でディスカッション企画をたてる人はいてくれへんやろか。自主企画として持ちこむという方法もあるかもしれへんけれど、人選から出演依頼までやるとなるとちょっと大変やなあという気がする。それと、あんまりタイムリーなテーマやないという気もするしね。
 ただ、私としては「SF冬の時代」という言説と「サイバーパンク以降SFを読まなくなった」という言説にはなにか関連があるような気がしてあの「クズSF論争」以来、実はちょっとひっかかってる部分ではあるんです。でも、私の中では情報不足ということも手伝ってうまい答えが出てこない。
 「丸善」京都店で来週森岡浩之さんのサイン会があるというチラシを配ってて、そこには「SFに春が来た!!」というコピーが書かれてた。それを見てますます上記のような思いが強くなった次第。
 あんまり難しいことを考えるとますます目が痒くなるぞよ。関係ありませんか。

3月19日(月)

 暑さ寒さも彼岸まで。昔の人はうまいことを言うたもんですな。ほんまに一気に春が来た。妻曰く「こんなに暦通りに気候が変わったんは珍しいんと違う?」。奈良東大寺二月堂のお水取りの時期は冷え込みが厳しかったし、お彼岸にちゃんと暖かくなったし。その寒暖差についていかれへん私の体は現代人そのものなのかもしれへんな。
 というわけで、お彼岸ですんで私も昨日は「たちよみの会」の前に墓参りに行ってきた。うちのお墓は東山にあるんで、わりと行きやすい。お線香をあげたあと、八坂神社の境内を通って祇園に出る。境内では昔ながらの生姜漬や豆板の露店なんかが出ていてそれを冷やかすのも楽しい。
 しかしなんですな、そういう昔ながらの露店にまじって、パワーストーンというんですか水晶やらラピスラズリやらを売ってる露店が出ていたり、幸運を呼ぶマスコット人形の露店があったりするのは今どきですねえ。ええところに目をつけてるとは思うね。神社にお参りに来る人はなにかしら願いをかなえてほしいという気持ちがあるわけやからね。パワーストーンの露店を覗いたら、「勾玉ストラップ」なんてものまで売ってあった。1000円もする。私の隣に立ってた家族連れの話に耳を傾ける。「水晶って、エネルギーをためる力があるらしいよ」てなことを言うてる。ないないそんなもん。信じたい人は信じたらええけど。その露店の前にはけっこう人が集まってたから、そこそこ売り上げはあるんやろうね。
 しかしよう考えたら神社の境内でそんなもんを売ってええんかね。神さんが怒って罰を当てるかわからんぞ。日本の神さんは基本的には荒らぶる神でそれを鎮めるために神社で祭ってるんと違うんかいな。また神社に来てそこのお守りやなしにパワーストーンを買うかね。なんやわけがわからん。
 素通りするのもなんやから、お賽銭をあげて柏手を打っておみくじをひいて神社を出た。パワーストーンは買うてません。そやから罰は当たらへんと思う。

3月20日(火)

 昨日、少しだけ「昭和の爆笑王」というテレビ番組を見る。横山やすし・西川きよしと林家三平の特集番組やけれど、なんで今そういう番組をするんかその意図はわからへんまでも、芸人さんの芸を振り返る番組を放送してくれるのはええことやと思う。
 ゲストもビデオ出演している人選も悪くなく、東京制作でこれだけやったら十分かもしれへんね。ただ、思うにこれでますます大阪の漫才というたら「やすし・きよし」が最高という印象が視聴者に残ってしまうのだけが私としては満足でけへんところで、だいたい「やすし・きよし」はその最盛期でも「爆笑王」とは呼ばれてへんかったと思う。ちなみに上方演芸関係の本を読むと、「爆笑王」の称号は初代桂春團治、中田ダイマル・ラケット、二代目桂枝雀といったところに使われてる。やすきよがおもろなかったわけやないけれど、「爆笑王」かなあと思う。まあそやからというて今ダイラケの特集を組んでも視聴率はとられへんか。それは仕方ないなあ。
 できたら突発的にこういう特集番組を組むんやなしに深夜でもええからレギュラー番組としてやってほしいところなんやけどね。そしたら「やすきよ・三平」以外の「爆笑王」にもスポットを当てることができると思う。もっともこれはちょっとマニア向けやろうから企画としては通らへんか。「やすきよ・三平」やから企画が通ったんやろうな。
 そやけど、ちらっとだけ見ただけやったけど、見てるとやっぱり笑わせてくれるね。私は最近のテレビバラエティは見てへんから偉そうなことは言われへんけど、ハプニングで笑いをとることが主流になってるという印象がある。それだけにやっぱり一世を風靡した芸人さんの芸をゴールデンタイムに放送することには意義はあったと思うね。


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