ぼやき日記


6月1日(日)

 「鉄腕アトム」の第9話を見る。今回は「フランケン」の巻。ロボット泥棒が必要なパーツを抜き取った後で不法投棄した残骸がまだ生きていて、他の残骸やあたりの機械を取込みながら巨大化していくが、その本性は自分が仕えていた主人の少年を探し求めているというアイデアは面白い。ディテールの書き込みも過不足なく、いい水準やなあと思う。ただ、異形のものがその異形ゆえに攻撃され……というのはどう考えても「ウルトラマン」のテーマと違うか。「鉄腕アトム」やったら、不法投棄するロボット泥棒に対する怒りがテーマになるんやないかなあと感じた。まあ別に、脚本書いてるのが「ウルトラマンティガ」の脚本チームやから、そう思うて見たら手塚的なものを追求するよりも円谷的なテーマの方が書きやすかろうし、その方がええもんができるんやったら、それでええんと違うかな。というか、その路線をはっきり打ち出してくれた方が中途半端にならんでよろしいな。

6月2日(月)

 昨晩は夜更かししてラジオの前に陣取る。田中啓文さん作のラジオドラマ「恐怖のダイエット」を聞くためであります。田中さん自ら書いたという脚本は、流しの山伏が登場し「昔からいうではないか」と駄洒落をいう実に恐ろしいもの。そやけど、時間配分を間違えたか放送時間は1時間ほどやのに実質の内容は30分ほどのものやなあ。演出の人はかなりがんばって効果音を長く入れたりと工夫をしてはった。30分枠やったらもっとおもろかったと思うぞ。それにしても「新住所」にはやられたな。なに? 何のことやらわからん? つまりロシア人のくしゃみです。ますますわかりませんか。昔からいいまんがな。「イワンが洟」。やっぱり本家には勝たれしませんな。
 それにしてもラジオドラマなんて久しぶりに聞いたなあ。学生時代にFMラジオで「音の本棚」(「2001年宇宙の旅」のHALを女性が演じたのには仰天。これがまたなかなかよかった)、「ふたりの部屋」(伊武雅刀の「さらば国分寺書店のオババ」はもう一度聞きたい)をよう聞いていたなあ。その前はNHK第一放送で「ラジオSFコーナー」という短編朗読ものもあった(山田康雄の「馬は土曜に蒼ざめる」は最高! 音源は残ってへんのか? 残ってたらCD化してほしい)。最近ではゲーム原作ものやヤングアダルト小説のCDドラマなんていうものもあるけどね。そういうキャラクターがはっきりイメージできるものとは違う面白さがあった。昨晩は久しぶりにその楽しさを味わいました。それでもなあ、朝6時起きはちょっと辛かったぞ。

6月3日(火)

 おがわさとし君のファンサイトである「トリケラトプスの午睡」の管理人、ミドリコさんよりメールが来た。なんとおがわ君がテレビに出演するんやそうな。おおお、大丈夫か、おがわ君。ちゃんとしゃべれるんかなどと心配することはないか。彼も大学の常勤講師、人前でしゃべるのが仕事やもんな。それにしても単行本の発売は大きいなあ。思わぬ仕事が入るんやなあ。
 放送は6月5日(木)、京都ローカルのUHFですがKBS京都のお昼の情報番組「田淵岩夫の得ダネ!てれび」やそうです。おがわ君の出演時間は11:15から6〜7分程度やそうな。おがわ君をサポートする役目を果たすのはなんとミドリコさんご本人。京都、大阪エリア以外の方は見られへんかもしれへんけれど、見られる環境にある方はぜひどうぞ。私もビデオに録画しておがわ君の勇姿を確認しようと思う。
 単行本といえば、わたしの書いた童話「おどりじいさん」を収録した読みきかせCD付き『おひさま』傑作選、「5歳のお気に入り絵本集」(小学館)が、いよいよ6月10日に発売されますのです。おお、あと1週間やないか。話自体はここにアップしているけれど、飯野和好さんによるすばらしい挿絵がついているので値打ちは倍増。書店でお見かけの場合は、一度手にとってやって下さい。まあ、これが出たからというて私がテレビ出演することはないやろうけれど。
 本日は、宣伝日記でありました。「どこが『ぼやき日記』やねん!」というお叱りの声もなく、皆様の御健康と御多幸をお祈りいたしまして、本日の日記、これにて予定終了でございます。

6月4日(水)

 前から気になっておったんやけれど、調べてもわからんのでここに書く。
 オセロゲームというのは、ツクダオリジナルの商標ですわな。そやから「オセロゲーム」と称して売っているゲームにはそのように明記されている。ということは、このゲームを発案した人のところにも実用新案の権利金が入ってるはずやわな。ところが、同じゲームを「リバーシ」という名で売っている場合、ゲームの発案者に権利金は入ってるんやろうか。
 コンピュータ用のゲームソフトはたいてい「リバーシ」で売られている。この場合、商標は使用してへんからツクダには使用料は当然払われてへんやろう。そやけど、ゲームそのものに関しては発案者がちゃんといてるわけで、名前を変えたからというて発案者に無断では使用でけへんのやないかと思うんやけれど、そこらあたり、法的にはどうなってんのやろう。
 それがどうした、といわれると、まあ私の悩む筋のもんやないんやけどね。
 でも、気になりだしたらなんかどっかにひっかかってスッキリせんのです。どなたかごぞんじの方がいてはったら、ぜひご教示下さい。

6月5日(木)

 おがわさとし君出演の「田淵岩夫の得ダネ!てれび」を見る。「トリケラトプスの午睡」の管理人、ミドリコさんもいっしょに出演。なんというか、彼女のようなすばらしいファンがついているおがわ君は幸せ者やと思う。
 テレビを見ていてだんだん羨ましくなってきた。いや、私もテレビに出たいと思うたわけやないです。田淵岩夫さんとお話でけてええなあと思うたんやね。田淵さんの物真似芸はほんまに絶品で、大橋巨泉をやらせたらたぶん今でも一番やないかと思う。私の子ども時分には演芸番組にもよう出たはったけど、最近はKBSの専属パーソナリティーみたいな感じになっている。あの時分の田淵さんの物真似芸、私は大好きやった。その田淵さんとテレビで共演できるやなんて、なんて羨ましい。
 それはともかく、以前私の妹が祇園囃子の稽古場でお囃子の稽古をしているのがテレビに写ったりしているのを見た時にも感じたんやけれど、自分の知っている人がテレビに出演しているのを見るのはなんか不思議な感じがするなあ。テレビに出ている人と酒席を同じくし、おしゃべりしたりしている時には、ああ、この人もちゃんと生身があるんやなあと妙な感心の仕方をしてしまうんやけれど、今回は逆。生身の彼が異空間に迷いこんだような、そんな妙な気分がした。
 とはいえ、テレビに出演していてもおがわ君はおがわ君。ちょいと緊張気味ではあったけど、田淵さんとの受け答えなんか、いつもの彼といっしょやしね。そういう姿がテレビに写ってるというのが、また不思議なんやなあ。

6月6日(金)

 ジャイアンツのラス投手が1試合に3つのボークを審判にとられ、その結果ジャイアンツが敗れた翌日、「スポーツ報知」に書かれた水野雄仁の解説ほど最近の私をあきれさせたものはあらへん。水野氏はこの3つのボークが緊迫感のあった試合を締まりのないものにしてしもうたと指摘する。それは当然やろう。普通の解説者なら、ここでボークをおかしたラス投手に対する批判を加えるところ。そやのに、水野氏の矛先はなんと審判に向くんやね、これが。なんと「もっと融通をきかせるべき」というわけやねん。水野氏によると、ラスの少々のボークは大目に見たれや、ということになる。手心を加えよ、ということや。こんなむちゃくちゃな解説を私は今まで読んだことがない。誤審をした審判に対する批判なら、わかる。水野氏は全く逆で、わざと誤審せえという。反則投球とわかってても、試合を演出するためやったら見逃してええ。そんな論理が通用すると思うてる水野氏の審判に対する傲慢さ、そしてそれをそのまま掲載する「スポーツ報知」紙もまた、審判をないがしろにすることを容認しているということになる。「スポーツ報知」紙は讀賣新聞の系列紙やというのは周知の事実。水野雄仁はジャイアンツ生え抜きで他チームを経験したことのないOB。ジャイアンツの関係者全てがこうやとは言わへん。そやけど、このチームの関係者にこうやって審判を軽んじるものがいてるというのは事実やねんな。
 翌日、審判はジャイアンツに有利な判定を2つもした。主戦投手と4番バッターを退場させた。主戦投手はボールボーイに投げ返した球が強すぎるという理由で……。これでジャイアンツは有利な試合展開になったはずやった。ところが、土壇場で追いつかれ、サヨナラホームランを打たれて敗れた。むちゃくちゃな論理をふりかざして天に唾する者たちに対して、勝利の女神が手痛い罰を加えたというべきか。

6月7日(土)

 「なにわ研究」という授業で昔の漫才のビデオを次から次へと見せている。昨日の授業では「かしまし娘」「お浜・小浜」「ラッパ・日佐丸」「はんじ・けんじ」といったところを見せた。高校3年生ばっかりですからね。その存在すら知らなんだやろうというようなコンビばかり見せている。見せられる方にしたらわけわからん授業やろうなあと思うけど。見せるこっちにしたら、せめてこういうおもろい漫才があったということを知ってもらいたいという気持ちではあります。
 で、「人生幸朗・生恵幸子」を見せたわけですな。そしたら生徒が言うんですわ。「この人、太平サブローが物まねしてる人やなあ!」。そ、そうか。生徒たちにしたら、サブローさんの物真似の元を知らんのや。ということは、もしかしたら横山やすしもほんまもんの映像を見たことはないのかもしれへんぞ。島田紳助の「ツッパリ漫才」も、ダウンタウンの「漫才」も見たことないのと違うやろうか。
 ううむ。元ネタを知らず、物真似やパロディーだけ見て笑う、か。歌舞伎をちゃんと見てへんのに落語の「芝居噺」を聞いて笑うてる私も同じようなもんかもしれへんけど。これほんまに「文化の継承」いうやつをちゃんとしとかんと危ないぞ。例えば「ワッハ上方・レーベル」でDVDを出して販売するとか、そういうことをしてかんとあかんのと違うやろうか。

6月8日(日)

 「鉄腕アトム」の第10話をみる。今回は「金星ロボット」の巻。下敷きになっている原作は「ロボット爆弾」の巻。もっとも、原作ではアトムのピンチを陰で天馬博士が助けるという場面があって、今日放送された脚本で徹底的に天馬博士が悪役として登場しているのとは好対照ではある。実は、下敷きになった原作を読み返してみたんやけれど、なんで原作そのままにせんのかなあと思うくらい。人間の勝手な都合で海底に廃棄されたロボットが自分たちで新たにロボットを作り始めるという同じ設定から、原作では「人間らしさ」というものを問い掛ける内容になっているんやけれど、今日放送されたものでは天馬博士一人が悪いというような展開になってしもうている。物語自体に大きな破綻はないし、これはこれでええんやろうけどね。ただ、悪役として天馬博士を全面に押し出しているから、スカンク草井、アセチレン・ランプ、ハムエッグ、メイスン、丸首ブーン、金三角というような魅力的な悪役スターの出番がないのが寂しいなあ(スカンクは「電光」の巻で出てきたけど)。ヒゲオヤジの出てこないのも寂しい。もう10話になってるのにどんな役でもええからヒゲオヤジを出してほしいと、わがままなことを思うてしまう。

6月9日(月)

 携帯への迷惑メールもええ加減にしてほしい。メールのタイトルが「アドレス変更」とあるんで知人がアドレスを変えたんかと思うたらいきなり接続し始める。女性の写真が添付されたメールで、その写真を携帯電話は自動的に読み込み始めるわけです。接続すると料金がかかる。あわてて中止のボタンを押す。速攻で削除するけど、実に不愉快やね。差出人を登録してへんメールは極力開かんと削除してるけど、「アドレス変更」やと当然新しいアドレスは登録してへんからなあ。つい開くわなあ。みなさん、知恵というものはね、人様のお役にたつように使うのが当たり前やと、そない思いませんか。つまらんことに頭を使わんと、もっと生産的なことに頭を使わんか、馬鹿者! 責任者出てこい!

6月10日(火)

 拙作「おどりじいさん」収録の『5歳のお気に入りえほん集』は本日発売予定。家に届くのが待切れず、ちょうど梅田に寄る用事もあったんで旭屋書店に行く。7階まで上がって児童書のコーナーを見るが、一切見あたらん。なんぼ探してもない。平積みになっている「おひさま」を手にとって確認する。「6月10日には本屋さんに」と麗々しく書かれている。店員さんにきいてみた。わざわざ奥までいって入荷のチェックをしてくれる。「今日は入荷してませんねえ。発売日というのは目安ですから……」。店員さんから見たら、お父さんが子どものおみやげに買いに来たという感じやったかな。
 家に帰っても本そのものも送られてへん。今までたくさん作家さんたちから本をいただいているので、今回は私から送ろうと注文した分ももちろんまだ届いてへん。どうなってんねん、小学館。
 今日は仕事の疲れをその本を広げてにまにましながら取ろうと思うてたんに、よけいに疲れてしもうたよ。明日も本屋には行ってみよう。今度こそ出ていてくれよ。

 「日本芸能再発見の会」次回6/21例会には狂言師が登場! くわしくはこちらをご覧下さい。


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