ぼやき日記


2月11日(水)

 疲れてはいたけれど、予定通り外出。妹が狂言のお稽古に通っていて、今日はその発表会。13時ごろの出演というので、なんとか間に合うように出かける。会場の観世会館にはいると妹の出番のひとつ前の出し物をしていた。よかった間に合うた。とりあえず一番後ろの座席に陣取ると、前の席の着物姿の女性に見覚えが。隣には小さい女の子がちょこんと座っている。菅浩江さんみたいやなあ。そろりと立ち上がり、他の観客の邪魔にならんように近づいて横から様子をうかがう。間違いない。ご本人や。というわけで、ごあいさつ。
 菅さんのMLの一員である岡田さんが茂山七五三社中にいてはって、今日の会は茂山千五郎社中の会やったけれども出演してはったんやね。岡田さんには以前に私の妹が千五郎社中でお稽古をしてるという話をしていたんで、番組表を見て妹の出番も見てくれたはったらしい。ありがたことです。私が見に行くことも想定してはったということです。私は想定してませんでしたからね。驚いたけれど、京都ですからねえ、こういう会で知人に会うことはそう珍しいということもないんかもしれんね。
 妹は「千鳥」という狂言で太郎冠者からまんまと酒を持っていかれてしまう酒屋の役。家庭の事情で練習時間があんまりとられなんだので、私はちょっとはらはらしながら見ていた。
 妹の出番が終り、2会の喫茶室で菅さんや岡田さんと歓談。お嬢さんは7月の会で狂言の初舞台を踏み、11月には日本舞踊の初舞台も待っているという。ううむ、がんばりはるなあ。こういう人たちに接すると、自分も何かお稽古ごとをしたくなるね。
 妹は「千切木」という演目でその他大勢の役でも出演。この出し物では最後に主役の男が「えい、えい、おう」と見栄を切るんやけれど、そこで「阪神タイガース、今年も優勝、えい、えい、おう」とやったのに驚いていたら、後見についていた千五郎さんが知らん間にタイガースの帽子をかぶって旗を振っていたりした。おもろい趣向でした。
 千作さんの小舞も見たかったけど、体調が万全でなかったんで、出番の終った妹にロビーで挨拶してから帰る。
 菅さんといい、千五郎さんといい、いろんな方に驚かされた一日でありました。

2月13日(金)

 昨日は職場の進路指導部「お疲れ会」という飲み会。スキーやスノーボードの話題となるととてもついていけず、にこにこ笑いながら話を聞くだけである。もっとも、そちらの方面にはうといだけに、話を聞くだけで知らんことがいっぱいでてきて面白い。面白いけれど、その前日に自分の好きなジャンルの方で楽しんできただけに、ギャップは感じるね。なんというか、同じ空間にいてるのに、別の世界にまぎれこんだような居心地の悪さというのか。ここで落語やアニメやSFやクラシックや相撲の話題を熱く語ることはでけへんのやなあ。タイガースの話題くらいかなあ、できるのは。こうやってかたよった興味の持ち主はますます片意地になっていくのであります。いじいじ。

2月14日(土)

 今日はクラブ活動の付き添いで出勤。なんやかんやで仕事をする。たいてい休日は読書にあてるんやけれど、職場にいたらどうしてもやり残した仕事をしてしまう。そのために出勤してるわけやないのにねえ。

 読書感想文でのデータの間違いをメールでご指摘いただく。「爆撃聖徳太子」で著者のデビュー作を小松左京賞作品としていたのですね。実は講談社X文庫ホワイトハートの第3回「ホワイトハート大賞」受賞作がデビューやったんですね。たぶん守備範囲が三村美衣さんの方面やったんで、私は見逃していたのでしょう。訂正いたしました。ちゃんと著者略歴にも書いてあるのに見落とすとは。がっくり。もっとも、ご指摘して下さった方はもうひとつミスをしてるのには気がついてはらへんみたいでね、こっそり直しときました。いやはや。

 今日はバレンタイン・デー。クラブの生徒のうち、手作りのチョコケーキを持ってきた生徒がいて、私もおまけでおすそわけしてもらう。世間はつくづくイベント好きであるなあと思う。節分巻寿司まるかぶりであるとか、ホワイト・デーであるとか、もともと一般的ではないものや新たに作られたものもちゃんと定着している。
 吉野家の牛丼発売終了の日の騒ぎっぷりも、あれはひとつのイベントやねんやろうなあ。そこまで騒ぐほどうまいかね、あれ。私にとってはあってもなくてもええもんやから、ああ、なくなったんか、でしまいやけどね。「これが最後の一杯です」と一般客をカメラが取り囲んでるのを見てると、タマちゃんがどうしたこうしたと言うたりしてるのと同じつまらなさを感じてしまう。なんでもイベント化してしまう。
 自衛隊のイラク派遣も、なにやらイベント的な発想をどこかで感じる。派遣したというイベントが大切なんであって、現地で何をせんならんのか、そのために自衛隊やないとあかんのや、という発想やないように思うんやね。筒井康隆さんの「東海道戦争」などに代表される疑似イベント社会の悪夢が現実化しているのやなあと感じてしまう。
 むろん、私もそういう疑似イベントに乗せられてしまいやすいたちなんで、そこらあたりは意識的に自覚しておかんならんなあと思うわけですね。

2月15日(日)

 本日は「たちよみの会」。古参会員Y氏、今年の京フェス実行委員長が参加してくれた。「SFが読みたい」を手に大森望さんの作った「SF作家地図」を見て「うまくできているけれど、『関西地方』というのをいれたらおもろかったのに」などとヨタをとばしたりする。

 さてみなさん、今週の「鉄腕アトム」は第44話「龍の森へ」。シナリオは太田愛さん。今週は間違えへんかったぞー。
 以前登場したマユーラ王国の王女から招待を受けて、アトムやケンイチたちは南国へ。インドネシアあたりをイメージした風俗。アメリカ好みのオリエンタル趣味といえなくもない。ロボットたちを受け入れて農作業などを共同で行わせているが、最近ロボットたちが人間を避けるようになったのが王女の悩み。弟の王子は夢で伝説の龍神を見たという。森へ遊びにいったアトムたちはその龍神を目撃する。実はロボットたちが日頃の恩にむくいるために龍神を自分たちの手で作って王国にプレゼントしようとしていたのだ。ところが、龍神が出現したので今は夢の世界にいるのだと勘違いした王子が、夢の中なら空を飛べると信じ込んでダイビングを敢行しようとしたので、アトムたちは大慌て、という話。
 ロボットと自然、ロボットと人間の宗教感は共存できるかというのがテーマらしいけれど、かなり単純に「できる」としてしまっているのが物足りない。いかにもアメリカ向けという感じで、シブガキが食べるお弁当のサンドイッチはアメリカンスタイルのもの。うーむ。
 ロボットと自然や宗教が共存できるという結論はいいけれど、ロボットのエネルギーの問題や廃棄物の問題などはクリアできてるんやろうかという疑問も残ってしもうた。この楽天的な展開は、先週と同じシナリオライターが書いたものとは思えんくらい。毒にも薬にもならんというか。どうもアメリカ臭いんですなあ。ストーリー原案はマークかジョー?

2月16日(月)

 夕刊のトップが「大阪市がUSJに30億円追加支援」という記事で、私は一瞬USJをUFJと見間違えたよ。銀行を支援できるほど余裕があるのか大阪市、と思うた。違いましたね。出資しているテーマパークが運営資金の不足で苦しんでるから資金を投入したということらしい。というても融資の追加やから、あくまで返済を前提としてるということではあるけれど。
 鳴り物入りで開園したテーマパークやけれど、苦戦してるみたいやなあ。私は遊園地に行く趣味はないんで、遠足の引率で一度行った切りやけれど。大阪では安くておもろい娯楽やないと通用せんからなあ。関空とタイアップして、アジア方面の客をどんどん入れるようにしたらまた違うんやないかという話もあったけれど、関空からUSJが、これまた遠い。交通費だけでもかなりかかる。これではアジアのお客もリピーターにはなってくれへんか。
 一度行っただけで偉そうに言うのも気がひけるけれど、映画の面白さを伝えるような、そんな施設があまりにも少ない。映画をテーマにした遊園地やねんから、撮影所のムードなんかをもっと味わせてほしいという印象が残っている。そういう点では、太秦東映映画村の方が映画をテーマにしているというコンセプトがはっきりと打ち出されてるように思うね。つくりは古いけれども。私が遠足の下見で行った日には、実際に「水戸黄門」の撮影をしてたし。USJにはそれがないもんなあ。

2月17日(火)

 日本テレビが「マネーの虎」なる番組でサブリミナル映像を使用していたと今朝のスポーツ新聞の報道で知った。私はその番組は見てへんから、その映像が視聴者にどれだけの影響を与えたかは身を持って体験でけんけれど、お金を扱った番組で一万円札が一瞬アップでうつっても別にかまわんやないのと思う。だいたいサブリミナル効果というものがどこまで信憑性があるかというのも疑わしいとされているのにね。番組関係者も「サブリミナルのつもりではなかった」というのなら、別に謝罪する必要ないやん。
 昔、「刑事コロンボ」の「意識の下の映像」でサブリミナル効果をうまく使った完全犯罪というアイデアを見た時には非常に面白かった。あれは全然関係のない映像をPRフィルムに紛れ込ませて、殺したい相手を試写室から水飲み場に行くようにし向けるというもので、そういう意識操作なら確かに危険ではある。
 お金を扱ったバラエティで札の映像を紛れ込ませてどういう効果が得られるのか、私には理解でけんなあ。サブリミナル映像というのはそういう使い方をするもんやないでしょう。

2月18日(水)

 今日、大きな仕事が一段落ついた。昨年の3月に引き受けてから1年、まだ仕事が残ってへんわけやないけれど、これで一息つける。疲れがどっとでたものの、その残ってる仕事を黙々と片付けていく。
 疲れてたから、甘いものが欲しかったんやろうね。仕事帰りに「あなたとコンビニ」のお店によって、デザートを買う。そのコンビニでは現在「アジアン・フェア」みたいなのをしていて、杏仁豆腐を売っていた。コンビニのデザートというと、その杏仁豆腐になにかプラスしてたりするんやけれど、これはなんにもついてへん。デザートのおいしさではそこは他の追随を許さん。よほど味に自信があるんやろうと感じた。ただ、それはもうひとつだけしか残ってなんだから、イチゴ味の生クリームの乗ったババロアも買う。
 夕食後、妻は杏仁豆腐を選び、私はババロアを食べる。ババロアもおいしかったけど、杏仁豆腐は絶品。コンビニのデザートの域をこえとるね。ほんまもんの味がした。「あなたとコンビニ」のデザートは、洋菓子のチェーン店のものよりよほどうまいぞ。口の肥えた女性客を対象に、徹底的にリサーチしてるんやろうと妻は推測している。
 というわけで、本も読めず。とっとと寝ます。

2月19日(木)

 期末テスト前というので、生徒がプリントをとりに職員室へくる。欠席をしていたんでもらわれなんだ分があるというのです。
「何番や?」
「1年8組25番です」
「私がきいてるのはプリントの番号や」
 30年以上前のマンガみたいな会話やけれど、ほんまにこんな風に答えたんだ。現実に起こるとなると、なんか奇跡にでも出くわしたみたいな気になるぞ。

2月20日(金)

 今日読了した「関西弁講義」を読んでいたら、関西人は共通語やと思うているけど実は関西以外では通用しない言葉というのが紹介されていた。
 「なおす(片付ける)」や「ごもく(ゴミ)」が関西弁やとはわかってたけど、「半時間(30分)」や「校区(学区)」が他の地方で通用しないというのは驚いた。もっとびっくりしたのは、他の地方の人は蚊には食われへんのやということ。私らは蚊に噛まれたり食われたりするのに、他では刺されるんやねえ。さらに信じられんのは、「押しピン」が関西以外では通用しないということやね。こちらでは教師が出すプリントにも「押しピン」と書いてあるぞ。さてここでクイズです。「押しピン」は標準語では何のことでしょう。正解は明日の日記で。
 こうなると、私のこの日記も全国でいろんな方に読んでいただいているわけやけれど、関西以外の方は頭の中でどういうイントネーションで読んでくれたはるんやろうなどと考える。書き言葉に関西弁を使うのは、実は難しい。関西弁のわからん人にもニュアンスが伝わるようにしながら、関西人が音読しても不自然にならへんような文章やないとあかん。
 それでも関西弁で書くのにこだわるのは、標準語やと細かいニュアンスを伝えきられん時があるからやね。ボキャブラリーが違うんですわ。しゃべるように書きたいし、聞くように読んでもらいたい。そういうこだわりがある。
 それでも自分は標準語やと思うて書いてても、実は他の地方では通用しない言葉をけっこう使うているんかもしれんな。「押しピン」みたいに。まあ、この日記やったら関西弁を使うて書いてるから許されるけど、商業誌でそういう失敗をしてしまうと困るなあ。気をつけねば。


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