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星野新監督誕生

 12月18日、タイガースの新監督に星野仙一前ドラゴンズ監督が就任した。
 私は、野村克也前監督が就任した時にこう書いた。今回の星野監督就任は、3年前のやり直しのような気がする。3年たって、タイガースは確かに変わった。成績はたいして変わってないが、野球の質は変わった。ただ、変わらなかったのはフロントの体質であった。このチームは「フロントが変わらなければ強くならない」といわれはじめてから何十年になるのだろう。私が小学生のときにすでにそういわれていたのだから、少なくとも三十年にはなる。三十年たっても電鉄本社がスポーツ紙記者の言に左右されて右往左往するという体質は全く変わってないのだ! 今回の星野監督就任についてもS紙の記者が久万オーナーに進言したのが決め手になったと噂される。かつてはある歯科医が監督人事に口を出していたというが、外部の者の言葉で監督が決まるなどというわけのわからんチームなのだ、阪神タイガースは。
「鬼になる」。
 監督就任発表の記者会見で星野監督はこういった。やる気のない選手は使わない、ということだ。ドラゴンズでやってきた野球を、タイガースでもやる。星野監督がやる以上、やってくれるだろう。負けることに慣れ、野村監督との間に亀裂のはいっていた選手たちが目の色をかえることは間違いないと思う。
 しかし、今度こそタイガースはフロントが変わらなければならないのだ。星野監督を全面的にバックアップする球団代表にタイガースOBで星野監督の元でヘッドコーチもした一枝修平さんあたりをいれるなどする必要があるのではないか。それぐらいしてこそ星野監督を招聘した意味があると私は思う。
 まあ、フロントのことはこれくらいにしておこう。
 私は、かねてからドラゴンズを羨ましいと思っていた。それは、星野仙一がいたからだ。選手とともに怒り喜び深い信頼関係を結ぶ、星野仙一のような監督がいればと何度思ったか。しかも、星野監督はドラゴンズのユニフォームを着ながらタイガースファンを公言し、故村山実さんへの思慕を隠そうとはしなかった。そういう人をどうしてタイガースはドラフトで獲得しなかったのだ。もっとも、この時ドラフトで星野さんを獲得してたら田淵捕手はまんまとジャイアンツにとられていただろう。ううむ、なかなか難しいところですな。
 その星野仙一がとうとうタイガースのユニフォームを着る。嬉しくないわけがない。「反ジャイアンツでいかなければならん」と就任発表で星野監督は断言した。野村前監督同様、タイガースは再びジャイアンツに対する敵愾心を表に出す人物を監督にすえたのだ。これも嬉しいことだ。今季はジャイアンツに負け越したというものの、ほとんど互角の対戦成績を残している。さらに星野監督が闘志を前面に押し出してジャイアンツをたたきにいく。そう思うだけで嬉しくて嬉しくて早く来シーズンの開幕を迎えたいと思うのだ。
 星野監督一人の力でタイガース全体がそうかんたんに変わるとは思われないが、野村前監督によって注入された野球に関する奥深い知識と星野監督が注入する闘志が結合した時に、選手がどう変わるかはみものである。タイガースで腐りかけていた関川がドラゴンズでよみがえったような、そんな変化をタイガースの選手すべてが見せてくれたらと思う。それは夢物語ではなかろう。なぜなら、星野仙一その人が監督としてタイガースを率いるのだから。
 あとはFAやトレードの結果次第だろう。くどいようだが、そのためにはフロントが変わらねばならないのだが。

(2001年12月18日記)


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