愛すれどTigers


星野、遠山、涙の引退試合

 甲子園で木曜にドラゴンズ戦で1勝。広島市民球場で土曜にカープ戦で1勝。そして甲子園に戻り月曜にドラゴンズ戦で1勝。ドラゴンズに2勝。カープに1勝。3連勝で公式戦を締めくくった。これで単独4位が確定した。藪、金沢、伊達がそれぞれ勝ち投手。ファームの日本一決定戦ではライオンズを下して日本一に。一方、星野、遠山、伊藤、葛西が引退と、新旧交代を意味付けた1週間でもあった。今季は来季へのホップとなる1年であると確信している。
 タイガース、今季は66勝70敗4分。勝率.485。セントラルリーグ4位。

◎ドラゴンズ27回戦……7−0
 防御率1位を狙うドラゴンズ川上から、初回、四球と盗塁で赤星が二塁に。桧山のライト線の当たりで一気にホームインして先制する。3回には二塁打の赤星が三盗、鈴木捕手のエラーを誘い、2点目。6回にはアリアスの流し打ちのホームランで3点目。田中が二塁打で続き、藪のタイムリーが出て4点目。川上は途中降板で防御率1位から陥落してしまった。7回には代わった平松から濱中の犠牲フライとアリアスの32号2ランで決定的な7点目を入れる。このアリアスのホームランは見事な当たり。来季残留は微妙だそうだが、この日のバッティングを見る限り、もう1年やらせてみたい選手であると思う。タイガースの先発藪は井端以外は二軍クラスの選手が並んだ打線に対し余裕の投球。今季最終のマウンドを完封で飾り、4年ぶりの10勝を記録した。怪我での離脱がなければもっと早く到達していただろうが、昨年勝ち星から見放されていただけに、この10勝目は嬉しい。赤星もこの日の2盗塁で2年連続盗塁王を確実なものとした。
◎カープ28回戦……2−1
 先発は金澤。初回と2回を完璧に抑える。打線もそれに応えて、苦手の黒田から2回に4連打で2点を先取した。金澤は3回裏に東出のタイムリーで1点を失ったものの、5回を3安打に抑える好投で、来季のローテーション入りに名乗りをあげた。吉野、井川とつないでカープ打線を抑え切り、この勝利で最悪同率4位が確定。井川はプロ入り初セーブ。
 この日、ファーム選手権ではタイガースの二軍が16−3でライオンズに圧勝。岡田二軍監督が胴上げされた。この中から来季はどれだけの若手が一軍で活躍してくれるだろうか。
◎ドラゴンズ28回戦……10−5
最終戦のスコアボード
 先発は星野。先頭の大西を三球三振に討ち取り、引退に花を添えた。2人めの打者からは伊達が登板。2回に高橋光にホームランを打たれて先制されたが、タイガース打線もこの日の試合の意味をよくわかっていた。引退記念の試合で負けてはなんにもならない。2回裏、若手ナンバーワンの朝倉から片岡がレフト前ヒットで出塁すると、上坂の内野ゴロの間に二塁に進む。藤本がレフト前に弾き返して片岡は三塁に。続く山田は投手ゴロ。投手朝倉は飛び出した片岡をアウトにしようとあせって三塁側に十分追い込まずに三塁手森野へ送球。ランナーと捕手が重なって見えたか、森野は田上捕手へ悪送球。片岡に続いて藤本も一気に生還して逆転した。山田を三塁におき、伊達が初球をスクイズ。高いバウンドのゴロとなり投手の頭をこえる内野安打となって山田が生還。赤星は詰まった当たりだったがセカントの後方に落ちる幸運なヒット。田中はライト前にクリーンヒットを放ち、満塁に。ここで桧山が犠牲フライを打って4点目が入った。濱中、片岡とうまい打ち方でヒットを続け、さらに2点追加。とどめは上坂、ショートフライかと思われる打球もレフト前にぽとりと落ちるタイムリー。なんと一挙7点のビッグイニングだ。伊達は3回に1点取られたものの、5回まできっちり投げて谷中につなぐ。4回には上坂が2打席連続となる8点目のタイムリーを放ち、朝倉をKO。来季のことを考えると、朝倉にとっては嫌な相手という印象を与えられたことだろう。8回に小山から2点を奪い、楽勝と思われたが、8回に登板した川尻は甘い球を狙い撃ちにされて3点を奪われてしまう。しかし、最終回、ランナーを一人出して2死としたところで、遠山に交代。遠山は渡辺を三振に討ち取ってゲームセット。マウンドを降りる遠山の顔は涙でくしゃくしゃになっていた。なお、この試合のさらにくわしい様子はここにも書いてあるので御一読を。タイガースはこれで全日程を終了。カープが残り2試合全部勝っても勝率で上回るため、単独4位が確定した。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藪恵壹 完封で10勝目。これまでは10勝しても10敗する投手だったが、今年は6敗にとどめたのは大きい。来季は投手陣の精神的支柱として1シーズン投げ抜いてほしい。
野手……赤星憲広 途中欠場しながらも、2年連続盗塁王。来季は目標の53盗塁をぜひ達成してほしいものだ。

 舩木投手、根本内野手、吉田浩外野手が戦力外通告を受け、二軍コーチの御子柴、湯舟、山脇、中山も解雇通告。来季に向け、戦力の入れ替えが始まった。根本選手はパワーもあり、少しもったいない気がする。舩木、吉田両選手は今季一軍で結果が出なかったので仕方ないだろう。さらに、カーライル、ハンセル両投手も解雇決定。
 去る人あれば来る人あり。バファローズの山崎投手はテストで3年ぶりのタイガース復帰がほぼ決定、ファイターズの左腕柴田投手もテスト入団が内定した。FAやドラフトでも星野監督の色が大きく出るだろう。できればドラゴンズで移籍を希望している久慈内野手を復帰させてほしいのだが。
 とにかく、1年間チームを率いて全体を把握した星野監督がどうチームを作っていくか、このオフシーズンも目が離せない。今季の総括は来週書きます。書きたいことはいっぱいあるのだ。

(2002年10月15日記)


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