甲子園でのジャイアンツ戦はみごとに３連勝。これで１つ勝ち越して札幌ドームでスワローズと対戦、１勝１敗。今節は４勝１敗と、大きく勝ち越した。今季はジャイアンツがお得意さん。厳しい展開になっていても負ける気がしない。新外国人マイヤーズとホッジスも来日し、前半戦を５割以上で乗り切れる可能性が見えてきた。昨年のチャンピオンチームという称号は伊達ではないのだ。
◎ジャイアンツ１６回戦……８−５
初回、杉山が３四球。３つ目の四球は満塁でペタジーニに与えた押し出しの四球で１点を先制される。しかし、二岡を三振に打ち取りなんとかこらえた。その裏、桑田から金本がライトスタンドに飛び込む逆転２ラン。金本らしい豪快な当たりだった。それでも杉山はまだ不安定。２四死球のあと清水に二塁打を打たれて同点に追いつかれ、ローズのセカンドゴロの間に仁志が生還して逆転を許した。そのあとも高橋、小久保と四球を与えてピンチは続いたが、ペタジーニを三振に打ち取って１点差で踏ん張った。これが効いた。３回以降５回までは速球主体でぐいぐい押すピッチングに変え、得点を許さない。４回裏、先頭の金本がボールをよく見て四球で出塁し、桧山がライト前ヒットでつなぎ、矢野のレフト前にぽとりと落ちるヒットで同点に追いつく。ここらあたり、レフト清水の守備の悪さに助けられた感じか。５回裏、同点のまま杉山に代打鳥谷を送る。本来ならここで勝ち運が消えたはずなのだが、この日の杉山は幸運だった。今岡の当たりはレフトスタンドに飛び込む勝ち越しホームラン。さらに赤星が四球で出塁、関本がセンター前ヒットでつなぐ。ここで投手は前田に。金本の一塁ゴロは、ペタジーニがトンネルをしてライト前へ。赤星が一気に本塁を突き、大きな追加点となった。ジャイアンツは条辺、岡島とつなぐが、その岡島から７回裏に矢野のライト前へのタイムリー、そして藤本のライトオーバーの三塁打で３点を奪って試合を決定づけた。タイガースは金澤、安藤が８回まできっちり抑え、点差のあいたところで吉野を投入したが２死から高橋由、小久保、ペタジーニの３連打で２失点。最後の打者の二岡を迎えたのは桟原。みごと三振に切ってとってプロ入り初セーブをあげた。杉山は２勝目だが、なんと幸運な勝利だろう。途中で攻めのピッチングに転じたのがよかったか。
◎ジャイアンツ１７回戦……６−５
下柳が２回につかまった。ペタジーニのライトスタンドに飛び込む先制３ランを浴びたのだ。３回表には小久保の二塁打で１点を追加される。しかし、その裏に藤本を二塁において木佐貫から今岡がレフト前ヒットで返し、１点を取る。取られたら取り返す、これが伏線となってチームを劇的な勝利に導いたといえる。５回表、２死満塁のピンチを二岡の投手ゴロで切り抜けた下柳は、その裏に代打が出て降板。次の回はモレルが抑えた。６回裏、１死二三塁でアリアスのショートゴロの間に三塁走者の金本が生還してまず１点。矢野が歩き、藤本がレフト前に運んで１点差に。代打の神様八木がライト前に運んで矢野を迎え入れついに追いついた。同点で迎えた７回表、先頭のローズに吉野をぶつけた岡田監督だったが、それが裏目に。初球をセンターバックスクリーン左に運ばれて再びリードを許した。桟原、ウィリアムスとつないで８回まで無失点で流れをつかむと８回裏、三番手のシコースキーをつかまえた。桧山の二塁打のあと、アリアスは一塁ペタジーニへの内野安打。ペタジーニは何を焦ったか体勢の悪いまま一塁に投げると、ベースカバーのシコースキーが必死に飛びついたグラブの先をすり抜ける悪送球。これで再び同点に追いついた。９回表、安藤が３者凡退で９回裏に勢いを与えてくれた。９回裏、シコースキーから赤星がセンター前にヒット。関本が歩くと打席には〈兄貴〉金本。打球はセンター前に弾み、俊足の赤星が一気にホームへ。ローズの必死の返球もそれて劇的なサヨナラ勝ち。この勝利でタイガースは６月を５割で終了。３ヶ月連続の５割である。むろん、通算成績も５割。相手のミスと主砲のサヨナラといういい形で６月を終えた。
◎ジャイアンツ１８回戦……１１−０
１回表、福原は清水にヒットを許したが続くローズを併殺に打ちとって勢いをつけた。１回裏、林から関本がタイムリー二塁打で１点を先制。３回には先頭福原の内野安打と今岡の二塁打でチャンスを作ると、関本がライトへの犠牲フライで追加点を奪う。金本もライト前にタイムリーを放ち３点差。福原は２回には小久保、ペタジーニを、４回から５回にかけてはローズ、高橋由、小久保を連続三振に取る快調なピッチング。６回裏、二番手はファイターズから移籍の中村隼人。四球の桧山が盗塁を決めると矢野がレフト前ヒットで返して４点目。ジャイアンツは８回には四番手として高卒ルーキーの選抜優勝投手西村を投入。ここから怒涛の攻撃が始まった。藤本がセンター前ヒット。福原が送ると今岡のセンター前ヒットで１点目。赤星が左中間に二塁打。関本がライト線へ三塁打で２点を追加。金本の二塁打でさらに１点。桧山のセンターバックスクリーンへのホームランでまた２点。１死をとってから６失点で春の甲子園のヒーローはずだぼろになって降板した。代わった条辺からアリアスがとどめのホームランをライナーでレフトスタンドに叩き込み、この回一挙７点を奪った。福原は９回も三者凡退と危なげないピッチングで１００球ちょうどの完封勝利。完封は４年ぶりでプロ入り２度目。開幕からのジャイアンツ戦５連勝は１９７９年の小林以来というからすごい。福原は６月は無勝利に終っただけに、７月以降の巻き返しに期待が持てる。
◎スワローズ１４回戦……６−３
スワローズの先発ベバリンには前回も甲子園でやられていた。札幌ドームに舞台を移しても、その荒れ気味の速球にタイミングがあわない。６回まで４安打散発と完封されそうなムード。一方の井川は２回裏、無死一二塁から古田に技ありのセンター前ヒットで先制を許したが、マーチンを三振、城石を併殺と打ち取り、そのあとは６回までこの１点で踏みとどまった。チェンジアップが効いた。７回表、好投を続けていた井川に代打鳥谷を出す。この賭けが当たる。鳥谷は四球を選び、今岡はライト前の凡フライだったがマーチンが取りに行かずライトファウルラインのそばにぽとり落ちるラッキーなヒット。赤星が歩き満塁のチャンスで代打葛城が登場。葛城はレフトへの大きなフライ。ファウルゾーンだったが同点覚悟でラミレスが捕球、鳥谷が生還して同点に追いついた。さらに金本が歩いたところで若松監督は田中にスイッチ。桧山のセカンドゴロは、田中がベースカバーにはいるのが遅く城石が悪送球（記録は内野安打）し、２者生還で勝ち越した。続く杉本からアリアスがレフトスタンドに３ランを叩き込んでこの回一気に６点を奪う。８回裏、ウィリアムスを投入するが連打を浴びて２失点。ここで安藤が登板、後続をぴしゃりと抑える。９回も安藤が投げ逃げ切って４連勝。タイガースの勝ち越しは２に。
◎スワローズ１５回戦……２−３
杉山と川島という若い投手が持ち味を出して投げ合う投手戦。５回まで１安打に抑えられていたタイガース打線だが、６回に金本がライトスタンドに２ランを放り込んで先制点を奪った。しかし、これで勝ちを意識したか、杉山はその裏四球を連発して満塁とし、古田にも押し出しの四球を与えて１点差とされた。７回には桟原が登板。連打と四球で１死満塁としてウィリアムスにマウンドを譲った。そのウィリアムスが岩村に犠牲フライを打たれて同点に。スワローズは８回以降は川端、田中、ゴンザレスとつないでタイガース打線を断ち切る。８回からタイガースは新外国人のマイヤーズを投入するという賭けに出た。８回こそなんとか抑えたが、９回裏、マーチンの内野安打とバントでサヨナラのピンチを作り、最後はラミレスの三遊間を抜くヒットで試合を決められた。連勝を狙うならば安藤投入ではなかったか。初登板のマイヤーズは責められない。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……福原忍 ４年ぶりの完封。しかも相手は今季完封負けのないジャイアンツ打線。文句なしの選出でしょう。
野手……金本知憲 ジャイアンツ戦でのホームラン、サヨナラヒット。札幌でも先制の２ランと、夏男が波に乗り始めた。
倉敷と広島でのカープ３連戦で前半は終了。前回甲子園で３連勝した勢いがあれば、最低でも勝ち越しが期待できそう。マイヤーズのめどがついたので、モレルに代わってホッジスをテスト登板させてもよいかも。少しでも首位ドラゴンズとの差をつめてオールスター休みに入ってほしいものである。
（２００４年７月５日記）
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