ぼやき日記


6月21日(木)

 昨日までの2日間の疲れがまだ尾をひいているなあ。前にも書いたけれど、私の疲れを計るバロメーターは本が読めるか読めないか、であります。今日はタイガースが緊迫した好ゲームをしていたせいもあってそちらに気持ちが集中し、本どころではございませんでした。
 ところで、タイガースが2日連続でジャイアンツにサヨナラ勝ちしたわけやけれど、こう、なんともいわれん幸福感に包まれるねえ。たかがプロ野球のひいきチームの勝ち負けといえど、ここまで自分の気持ちを左右してくれるというのはなんか尋常やないような気もする。今日の試合では広澤選手の打球がセンター松井の頭を越えて甲子園の一番深いところに弾んだ時、大声で叫びだしたい気持ちになり、そのあとじんわりと心の奥底に暖かいものが流れ込んできた。テレビで何度もその場面を繰り返して写す度にその時の喜びをかみしめる。
 1985年にタイガースが優勝を決定したスワローズ戦の映像なんか、いまだに見る度に目頭が熱くなるもんね。こうまで他人がやっていることに対して感情を移入できるというのは、よう考えてみたら不思議なことやなあ。タイガースに依存している、というのとも少し違う。毎年最下位のチームに依存しきってたら、とっくの昔に首でもくくってる。
 こういうのをファン心理というのやろうかね。ほんまに今もなにか満たされたような気持ちになってるもんね。なんでここまでと自分でも思うくらいやね。

6月22日(金)

 ここ4週間教育実習生が来ていて、本日最終日。約1ヶ月というとけっこう長い。少人数ということもあり、生徒の顔も覚え、ちょっと楽しくなり始めてきた時分に終了ということになる。そのせいか、生徒から記念の色紙を渡してもらうと涙ぐんでいた。私、割とウェットなたちなんで、こういうの苦手。しかしまあ初々しくてよろしいな。
 で、実習生を見ていて自分の時のことを思い出した。いやもう大変な教育実習やったぞ。母校の高校に実習に行ったんやけど、割と若い先生が指導教官としてついた。実習前に一度打ち合わせに行って、かんたんに授業の進度を教えてもらい、予定を決めて、というところまではやってもろうた。ところがですね、実習期間が始まったとたん、その先生は急病でぶっ倒れてしもうた。私ともう一人の実習生は急遽2日目から教壇に立つはめに。普通は指導教官の授業を見学してからということになるんやけれど、そんな間もあらへん。私は塾でバイトしたことも家庭教師をしたこともなかったから、そらもう大変。高校時代に教えてもろうたベテランの先生が指導教官に着いてくれることになったけど、この先生は生徒指導部長で、やたら忙しい。その先生が私の授業を見に来られへん時は、教頭先生やら校長先生が見に来てた。病気で倒れた先生の代理で来ることになった講師の先生も見に来てた。指導案の書き方もじっくり時間を取ってもらわれへんかって、なんかもうばたばた。ホームルームは最初から私の担任をしてくれはった先生のクラスに入ったんで、そっちの方はけっこうしっかりでけたけどね。そやから、私の教育実習の思い出はどちらかというとホームルームの生徒とのものがほとんどで、教科の授業についてはまるで独学みたいなもんやったなあという尋常やないものでありますね。
 もっとも、教えた生徒はちゃんと覚えてくれていて、私の授業を受けた部活の後輩が、卒業してからOB会で「喜多先輩が授業でバルタン星人の話をしたのが印象的でした」と教えてくれた。そう言われて初めてそんな話をしたことも思い出したけれど、いったい人権についての授業でなんでバルタン星人の話なんかしたんや、私は。
 あれから20年、なんとか教師をやっている自分にちょっと驚いたりもしてる。あの時の生徒たちは元気にしてるかなあ。もし読んでたらメールでも下さいね。

6月23日(土)

 今日は北野勇作さんの所属している劇団「虚航船団パラメトリックオーケストラ」の公演、『セスナ製作キット』を見に行く。昼の部に行ったんやけど、梅田のHEPファイブは雨というのに若者たちでいっぱい。ふだん若者の集まるところにはあまり行かへんのであてられてしまう。
 お芝居は今回も楽しかった。ある母子家庭に突然セスナ機を製作できるキットが届く。1ヶ月以内に完成させないと100万ドルの罰金を取られてしまうという。その家庭を出勤の通り道にしている人たちやキットを配達してきた出入りの宅配業者らが力を合わせて作り始めるが、子どもたちは非協力的で製作はなかなか進まない。やがてセスナ機が完成に近づき……。
 セスナ機製作という疑似イベントで高揚したあとのいわば「祭の後」という感じの寂寥感がたまらなくよかった。舞台の上に(ハリボテながら)セスナ機を作ってしまうという舞台装置も迫力があっていい。私たち夫婦は「虚航船団パラメトリックオーケストラ」の公演を見に行くのは昨年に続いて2回目やけれど、前回と同様よく考えられた脚本と歌あり笑いありの演出で楽しませてもろうた。まだ明日も公演は残ってるんで、関西方面の方は一度ご覧になっては。
 帰りにHEPファイブ7Fの中華料理店「リュータン」で夕食。(たぶん)台湾出身のウェイトレスさんが本上まなみに似ていて妻が大喜び。「これは冬樹蛉さんに見せびらかさんと!」とか言うていたので、書いておく。冬樹さんは羨ましがって下さいって、何を書いておるのやら。
 というわけで、北野さんはじめ劇団のみなさん、今回も楽しい舞台をありがとうございました。

6月24日(日)

 昨日書き忘れたんですが、「日本芸能再発見の会」のご案内のページを作りました。興味をお持ちいただいた方はぜひご入会下さい。また、「ワッハ上方を救え」運動もご協力をよろしくお願いします。

 東京の都議会選挙、自民党の圧勝という感じですね。まあ、森首相のままやったら惨敗やったやろうから、小泉首相に変わった目的は達成したんと違うかな。「無党派層」=「浮動票」ということがますますはっきりしたという感じかな。しかしなあ、選挙の間に都知事が遊びに行ったりしておるということは、知事にしたら議会でどの党派が勝とうがワシには関係ないという姿勢をはっきりさせたみたいですな。
 地方議会選挙やから、大事なんは知事であって首相と違うやろうと思う。だいたい小泉首相は地方分権をすすめるんと違うの。それやったらいくら首都の議会選挙とはいえ、報道する側がまるで国政選挙みたいに扱うのはいかがなものかと思うね。都政が変われば国政が変わるというのはなんか東京中心にものを考えたがる連中の思い上がりやないか。
 しかしなあ、小泉首相は人気があるなあ。今回の選挙と次の参議院選挙は小泉首相の人気投票になるんやろうなあ。小泉首相自体は私はおもろいと思うけれど、それとこれとは別やと思うがなあ。そうは思わへん人が多いということなんやろうね。
 え? 大阪在住の私がなんで東京都議選挙のことを気にしてるか、ですか。ええ、つまりこの日記を書き出し始めた時にテレビで選挙速報を始めたんで、ついネタに……。ほんまは妻の見ていた『ラブ・ストーリー』というドラマについて書くつもりやったんやけどね。ま、どっちでもよろし。その程度の関心であります。

6月25日(月)

 とうとうこの日がやってきた。1年以上前のこと、そろそろ今の住まいから転居しようとマンションのモデルルームをあちこち見てまわり、中古の家を買おうかと悩み、結局欠陥住宅の恐れありと断念し、やっとこさ決めた高層マンションの一室。これも抽選で外れたら他の中古住宅を、なんて考えてたんやけれど無抽選で当たり。住宅金融公庫は10年たったら金利が高くなるからと夏休みはあらゆる都銀をまわってどこが有利かを調べ、結局外資系の銀行でローンを組むことに決め、私も妻もあちこち走り回り、時間がとれる時にと春休みやゴールデンウィークをフルに使って片付けを始め、それでも6月に入ってなんか多忙になりあまり進まず……。
 やっとのことで今日、鍵を受け取った。30階くらいのマンションの20階くらいの部屋。鍵を開けて入ってもこれが自分たちの家やという実感はまだわかない。ベランダから大阪城が見える。値段も高かったけど、その分見晴しがよろしい。新築やからきれいです。別にマイホームを夢見たりはしてへんかったし、ローンはこれから少しずつ返していかんならん。それでもこれが自分たちが住む家なんやと思うとなんか不思議や。
 転居までまだ1ヶ月以上ある。まだまだやらんならんことはいっぱいある。仕事もあるし準備が順調に進むかどうかはこれからなんやけれど、なんとか一段落ついてどっと疲れが出てきた。今こうして家にいてるとほんまにあんな上等のマンションに住むのかというのが疑わしく思えてきた。いやいや、あれは夢でも幻でもない。
 それはそうと、1年前にモデルルームを見にいった時はあそこの部屋は何もない空間やったよなあ、確か。できるもんなんやなあ、あの空の上に部屋なんか。何の不思議なこともないんやけど、やっぱり騙されてるみたいな気分です。

6月26日(月)

 昨年のSF大会「Zero-con」のアフターレポートが送られてきた。なんだかずいぶん昔のことのように思うけど、まだ1年たってへんのですね。企画も盛り沢山でしかも一本貫くロング企画があったりして、都市型大会としては理想的な大会やったんと違うかな。
 で、いろんなことを思い出しながらページをめくる。それぞれの企画を担当した人が原稿を書いているらしい。その中で気になったことがある。「セッティングはしたけれど企画そのものは見ていないので内容はわかりません」というレポートがいくつかあるんやね。これはアフターレポートとしてはどうかなあと思う。原稿を依頼した編集担当の人は企画担当者を信頼してるわけやろうから、原稿を依頼された人がその時に「書けない」と意志表示をすべきやと思う。もし意思表示をしたのに編集担当の人が「いいから書いて」としたのなら、それは編集者としては無責任のように思う。ならば原稿の書き手は「内容は知りません」とは書かずにゲストの名前を記載するにとどめておくべきやと思うし、「内容は知らない」などという原稿を受け取った編集者はその部分を削らせるかどうかすべきやろう。
 つまり、書き手も編集者も読者のことを考えてほしいところやったなあと感じたわけです。なかなかしっかりしたアフターレポートだけに、そこんところだけが残念やったなあ。私自身「Daicon5」でアフターレポートの編集スタッフをした経験があるだけに、そこらへんはちょっと点が辛くなるんです。編集担当者が知り合いだけに、よけい残念。
 それはともかく、アフターレポートのおかげでいろんなことを思い出せた。スタッフのみなさん、ありがとうございました。

6月27日(水)

 ただいま発売中の「S−Fマガジン」8月号にレギュラー書評が掲載されています。ということを一昨日から書こう書こうとして書き忘れ、更新してから気付くということを繰り返している。蒸し暑さでうだってぼけているに違いない。そう、蒸し蒸し蒸ししているからや。年のせいでは決してないっ! と思う。

 今日テレビで見たCMの話。プレステのゲームソフトで「蚊」というののCMがおもろかった。男女のカップルがいて女性の方が肌に止まった蚊を叩く。それを見た男性がいきなり口に蚊の口の形をしたマスクを装着して女性の血を吸おうとする。すると女性はドレスの裾から足を出して男を挑発する、というやつ。蚊取り線香を突きつけたりとなかなか激しい。
 いやしかし、蚊はうちでは切実な問題でしてね、下水が整備されてへんのでとにかく蚊が多い。クーラーに弱い私たちはクーラーを設置せず窓を開けて風を入れたり扇風機をかけたりしてるというのは前にこの日記で書いたけれど、そうなると敵は蚊。妻はとにかく蚊を叩くのがうまい。蚊がふらふらと飛んでいくその進路を正確にキャッチし的確に叩く。私はというと叩いても叩いても蚊はあざ笑うかのようにすり抜けていく。
 うちにはプレステはないけれど、このゲームはきっと私より妻の方が強いに違いない。ゲームは自分が蚊をコントロールして人の血を吸いにいくものらしいけれど、蚊を叩くのがうまいということは、逆の立場になったら相手の動きを読むことなど屁でもないやろうからね。
 ま、なんというても実際に蚊を叩く方が集中力、判断力、反射神経、運動神経、動態視力を駆使せんといかんし、取り逃したら蚊にかまれて痒い思いをするわけやからそらもう真剣。うちにきたらゲーム以上に面白いスリリングな戦いを味わうことができますぞ。

6月28日(木)

 トーベ・ヤンソンさんの訃報に接する。享年86。
 ヤンソンさんといえばムーミン、ムーミンといえばヤンソンさん。子どもの頃に見たテレビアニメから、学生時代に全巻を揃えて読んだ原作の文庫本。いずれも深い印象に残っている。特に原作を読んで、シリーズ全体に漂う暗いトーンが気に入った。北欧のイメージはこれで形作られたといっていい。長い冬、それゆえに春を待ち続ける思いの強さ。そんなものが刻み込まれていった。これはその後シベリウスの交響曲を聴いた時にその心象風景を自分なりにイメージする助けともなった。
 そういう意味でシリーズでもっとも印象深いのは『ムーミン谷の冬』と題された短編集かな。冬、みんなが家の奥にこもって春になるのを待っている間に起こるできごとを詩情豊かに描いたものばかり。テレビアニメでは決して味わうことのできない寂寥感が全編に漂っている。
 だから最初に東京ムービーが製作したアニメに対してヤンソンさんがクレームをつけた気持ちがわかる。あれは誰がどう見てもカバやったわな。キャラクターの性格もかなり違うし。もちろん、原作をそのままアニメ化しても、子どもには理解でけへんかったやろうとは思うけど。
 いわゆる「児童文学」なるものが子どもの頃から今にいたるまでどうも苦手な私やけれど、佐藤さとるさんの『コロボックル』のシリーズとヤンソンさんの『ムーミン』のシリーズだけはすんなりと違和感なく読めた。転居して本を整理し直したら、再読してみようかな。あの寂寥感は、この年になって読み返すとまた違う印象を持つかもしれへしね。
 謹んで、哀悼の意を表します。

6月29日(金)

 原チャリのマフラーが詰まり、走っている途中でエンジンが止まってしもうた。近くにあったガソリンスタンドでバイク屋の場所を教えてもろうてそこまで押していく。マフラーの掃除をしてもろうたらすぐに走れるわいと軽く考えてたら、マフラーをまるまる換えんならんといわれた。これで今の愛車ホンダジョルノのマフラーを換えるのは2回目。なんでも今のミニバイクのマフラーはいわばユニットになっていて掃除しにくい構造になってるらしい。今回の場合、詰まり方がきつく交換せんとあかんのやと説明された。
 確か前回換えた時、バイク好きの同僚に「オイルをガソリンスタンドで入れてもろたらあかんで。質のええオイルやないとじきに詰まるからな」とアドバイスをくれたんで、必ず自動車用品の店でホンダが出しているオイルを買うて入れてたんやで。あとはカストロールの一番高いオイルにせんとあかんのかいな。
 それはともかく、バイクの部品もユニット化されているというのはどうにもなあ。やっぱり2サイクルエンジンの単車は寿命が短いのかなあ。若い頃はカブに乗ってて実に重宝してたんです。あれは4サイクルエンジンで馬力も強く気に入ってた。ところが交通事故に合うて軸が歪んだんで廃車にせざるを得なくなった。代わりに買うたんが発売されたばかりのタクト・メットイン。シートの下にヘルメットがすっぽり入るというのがきにいった。その後何度か買い替えたけれど、必ずメットインのものにしている。買物の荷物が入ったりととかく便利やし、ヘルメットが盗難にあう確率も低い。
 残念ながら、カブにはメットインのタイプはあらへんのね。最近はちょっとおしゃれな型のカブもあったりして「あれ欲しいなあ」と思うんやけれど、メットインの便利さを知ってしまうと、そちらも捨て難い。結局2サイクルエンジンのミニバイクに乗り続けることになるわけです。
 しかしなあ、マフラー交換で2万円くらいするんやで。転居に備えてなにかと物いりなこの時期に痛いわいなあ。

6月30日(土)

 妻のつきあいでTVドラマ『明日があるさ』を時々見ていたけど、今日が最終回。吉本の芸人さんを使うて熱血サラリーマンドラマを作るという発想はおもろかったと思うけど、いかんせん脚本にリアリティがないのが見ててしんどかった。わざとリアリティのないストーリーにして笑いを誘うというわけでもなかったみたいやからねえ。同じ吉本の漫才師ちゃらんぽらんをゲストに出して「ちゅーとはんぱやなあー」と言わせてみたかった。唯一松本人志が突如出てきて浜田雅功と不条理なコントを繰り広げる、そこだけがよかった。いつその場面が出てくるかわからへんかったから、松本が出てくるまでは見逃してはならじとTVの前にはりついていたりしたんやけどね。CMをドラマにするというのは難しいんやなあ。
 東京制作のドラマやから、まあそんなに期待はしてへんかったんやけど。ただ、東京制作のメリットを感じたんは、今日見た最終回に笑福亭鶴瓶がゲスト出演していたことやね。いやあ、浜田と鶴瓶の共演かあ。できたら喜劇で共演してほしかったけど、ま、しゃあない。これは東京制作のメリットですな。
 なんのことかわかりませんか。つまりダウンタウンの所属しているのは吉本興業、笑福亭鶴瓶の所属しているのは松竹芸能。大阪では二大演芸会社で、松竹芸能の芸人さんが出ている番組には吉本の芸人は出演せえへんし、その逆もない。つまり大阪制作の番組ではこの共演はよっぽどやないと(『上方お笑い大賞』など)見られへんというわけ。それを見られただけでも値打ちかな。
 ところで、ここでも故香川登枝緒さんの説、「役者型人間と漫才型人間が組むとコンビは成功する」がこの番組でも証明されたね。浜田雅功の役者としてのカンのよさを十分見せてもろうたし、松本人志が役をつけずにイレギュラーに徹していたのも正解やった。それを確認できたのがこの番組の収穫やったかも。


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