ぼやき日記


3月3日(日)

北野勇作さん
 1日の金曜日は、午前中は学校で生徒と散歩。給食を食べると、休暇を取ってすぐに退出し、新大阪へ直行した。新幹線に乗り、夕刻には東京へ。この時点で、むやみに鼻水がでてて、鼻のまわりが赤くなるほどかみ続ける。ようようホテルにチェックイン。鼻をかみながら休憩。市販の鼻炎カプセルをのむけれど、全く効かへん。体もだるく、これは本格的に風邪をひいたかなあと思う。実は、掲示板でいちみさんから教えていただいた濡れマスクを午前中から新幹線の中、ホテルのチェックインまでずっとしてたんやけど、時すでに遅し、やったみたい。
 東京會館に到着したのは17時45分頃。知った顔を見つけて挨拶をしたりしていると、時間がきて「日本SF大賞・新人賞贈賞式」がはじまる。今年の大賞は北野勇作さんの「かめくん」。北野さんはさすが役者らしく実におもろいスピーチをしてはった。いや、その前の「大薮春彦賞」受賞者である奥田英朗さんが実にかたいスピーチで「賞金はアフガン難民救済に全額寄付いたします」てなことを言うていただけに、その対比が際立った。「SFと上方落語で育ったから、SFの名のつく大賞をもらえるのが嬉しい。もうひとつ『上方お笑い大賞』ももらえたらいいのですが、それは無理なので……」。いやいや、小劇団の喜劇役者として上方お笑い大賞もねらっていただきたい。さらに賞というのは作品に付随するおまけやといった上で「おまけにも嬉しいおまけとしょうもないおまけがありまして、このおまけは嬉しい方のおまけです。チョコエッグセマルハコガメが当たったような嬉しさで……」。会場は大爆笑、とまではいかへんのが残念。けっこう受けてるんやけど、この面白さを理解でけへん方もけっこういてはったらしい。やはり「上方お笑い大賞」をねらうべきやないかと。あ、雀三郎さんの新作漫才を次々と書いて「秋田實賞」をねらうという手もあるか。まあともかく、北野さんの受賞は他人事やないように嬉しい。
SF新人賞
 「SF新人賞」は「マーブル騒動記」の井上剛さん。佳作に「○○式歩兵型戦闘車両」の坂本康宏さん(写真中央が井上さん、左が坂本さん)で、井上さんは京都の方。年は私より2つ下なだけ。早生まれなんで学年では1つだけ下。スピーチでは「ポール井上と呼んで下さい」とギャグをかましてはった。堀晃さんが私の横にいてはって、「また関西勢が増えた」と喜んではる。私も井上さんと少しお話をして「京都SFフェスティバルにきて下さい」と京大SF研のスポークスマンみたいなことをする。よう考えたら、去年谷口裕貴さんにも同じことをいうたかな。進歩のない人間ではあります。
 パーティ終了後は、翻訳家の山岸真さん、いろいろ作家の北原尚彦さんと行動をともにする。これも例年と変わらず。喫茶店でおしゃべりをしてる横で、いただいたばかりの「SFJapan」を開いて読む。自分が構成した座談会がどんな感じで掲載してあるかの確認。編集部によってさらにいい感じに構成し直してあった。そして、恒例になった徹夜カラオケに突入ということになり、電車で新宿へ。今は「古典SF研究会」の天野さんや、ライターの柏崎さん、SFファングループ連合会議議長の牧さんがいっしょ。天野さんは終電の関係で先に帰らはった。
 この間、実は体力的にかなり厳しくなっていた。パーティーが終り、喫茶店にいた時点でなんかだるいなあと思い、カラオケボックスではもう限界にきていて、結局2時くらいで失礼することに。山岸さんには悪かったけど、実はここで無理をせんでよかったのでした。
 ホテルで目がさめた時点でかなりしんどく鼻水も止まらん。朝食をとるとすぐに東京駅へ。新幹線の中ではひたすら眠る。どこにも寄り道せずに家に直行。体温をはかったら37.6度あったんで着替えて寝る。4〜5時間寝て目をさまし、夕食前に体温をはかり直したら、38.6度まであがってるやないか。妻についてきてもらい、「休日・夜間診療センター」に行くけど、土曜の夜は休みらしく閉まっていた。「市民病院」にいったけど、ここでは診察券がないということでことわられ、救急診療をしているお医者さんを電話で探して一番近くの病院へ。若いお医者さんが見てくれはって、栄養剤と解熱剤の点滴を打つ。内田有紀に似た看護婦さんでした。
 日曜である本日は、一日寝て過ごす。なんとか回復途上にあるのか今は37度台前半を維持してます。インフルエンザ用の薬を処方してくれはって、これが効いてるみたい。明日は出勤できるかなあ、どうかなあ。妻は無理するなというてくれてるんやけどなあ。
 というわけで、へろへろの週末でありました。

3月4日(火)

 今日は大事をとって欠勤。再度医者にいく。熱さえ上がらへんかったら明日からの出勤も可能ということで、風邪は治りつつあります。体温をまめに計る。だいたい36度後半を維持。夕食後、37度にまで上がったけど、食欲はあるし、体の調子も悪くない。やれやれであります。お医者さんの説明では軽いインフルエンザとのことやけど、もしかしたら木曜あたりから熱はあって土曜がピークやったんかなあ。
 それにしても、1月から今月末まであんまり休んでるひまもないし、かなり無理はしてたような気がする。4月からは学校も完全に週5日制になるから、比較的無理はせんですみそう。
 というわけで、今日は午前中は医者、午後は睡眠。夜は、録画していたテレビ番組を見たりする。「仮面ライダー龍騎」を見ていたら、ザリガニマンが出てきてびっくり。『仮面ライダーシザーズ』などと偽名を名乗っておるが、あれはザリガニマンに相違ない。その割に凶暴な気もするけど、それは脚本家が北野勇作さんと違うからで、まあ、テレビ化に際して原作がねじ曲げられるということはよくあることやから、それは気にせんとこうと思う。

 昨日の新聞報道で、『ワッハ上方、存続』の朗報。トップページで長らくはっていた『ワッハ上方を救え!』キャンペーンも一応終りにいたしました。どれだけ効果があったかはわからんけど、少しでも存続の力になれたのなら嬉しいな。

 明日は都合で更新はお休みします。次回更新は水曜深夜の予定です。

3月6日(水)

 昨日、半村良さんの訃報に接する。死因は肺炎。享年68。
 なんというてええのか、わからん。それくらいショックは大きい。
 十代の頃に読んだ「石の血脈」「産霊山秘録」、「戦国自衛隊」、「妖星伝」……。いずれもが私にとってはその後の読書傾向に影響を与える傑作ばかりやった。実際、「S−Fマガジン」で伝奇アクションと架空戦記の書評をはじめた時に、自分の中で作品評価の基準として半村さんのこれらの作品を想定したものである。どれだけ半村作品に面白さで迫れているか、というのが私の評価基準やった。
 どんな架空戦記も「戦国自衛隊」の面白さに追いついたものはないと、今でも確信している。伝奇SFについては、半村伝奇に迫り、あるいは別種の面白さを感じさせてくれるものには出会うことはできた。そやからというて、半村伝奇の評価が下がったわけやないけどね。
 半村作品は、とにかくどれも面白い。読み手を作品世界にひきつけ、堪能させる技術では有数の作家やったと思う。それは伝奇SFだけやない。伝奇的要素のない「岬一郎の抵抗」のようなSFでも、「雨やどり」のような人情話でも、すべてがそうやった。
 ここ数年、長らく未完やった「妖星伝」、「虚空王の秘法」などの作品を、残った宿題を片付けるように完結させてきた。読者としては嬉しかったわけやけど、よう考えてみたら半村さん自身、自分の余命というものを考えてはったんと違うかと、そんな気がしてしまう。「太陽の世界」だけは完結することなく終わったわけやけど、まあ、これは最初から完結するかどうかわからん作品やったからね。
 国枝史郎などの伝奇小説の系譜にSFという要素をくわえて伝奇小説というものを現代に通じるものにしたという功績は、私なんかがここに書くまでのことはないやろう。それだけやない、豊富な人生経験からにじみでる優れた人間描写、世界を巨視的に俯瞰しつつ市井の人たちの動きをもとらえきった広い視野、ああもう何をどう書いても紋切り型の褒め言葉になってしまう。
 とにかく、半村良の小説は面白い。そやから、その死を惜しむにはあまりある。また一つの時代が過ぎ去っていく。
 謹んで哀悼の意を表します。

3月7日(木)

 なんとかインフルエンザは治ったみたい。体温は36.5度あたりで安定してるし、倦怠感もなくなった。やれやれであります。
 ところで、病院でもろうた薬の説明書に「喜田哲士様」と書かれていて、いささか気分が悪い。薬の袋にも領収書にもちゃんと「喜多」と書かれてるのに、なんでそれだけ誤記されてるのかようわからん。薬剤師がコンピュータに「きた」と打ちこんだ時、辞書が勝手に「喜田」と変換したのをそのままプリントアウトしたんやろうなあ、きっと。
 そやけど、実は「喜田」と誤記されるのは珍しいことやない。「喜多」という姓はそう珍しいものやないけど、そやからというてちょくちょくお目にかかるというほど多くもない。逆に「喜田」の方が少ないのと違うやろうか。
 学生時代、百貨店でアルバイトをしていた時の話。お客さんから商品発送の注文を受けて、伝票を書いていた。伝票には係員の名前を書く欄がある。私はもちろんそこに「喜多」と書いた。すると、そのお客さんが「あ、そこは『田』と書くんです」と言うやないか。人の名前を勝手に変えるなよ。私は名札を指差して、「いいえ、『喜多』でございますが」と言うた。するとそのお客さんは申し訳なさそうに「ごめんなさいよく間違えられるもので……」と恐縮してはった。なんと、その方の苗字が「喜田」やったんである。私は「喜田」と誤記されるが、逆に喜田さんはしょっちゅう「喜多」と書かれるんやろうね。で、反射的に間違いを指摘した、とまあそういうことやろう。
 名前やと、「哲二」と誤記されることが多い。「喜田哲二」と両方間違われることはないけど。しかしそうなると、別人やね。同人誌時代には「きたてつじ」とフルネームをひらがなで表記したペンネームを使うてたくらいであります。というか「SFアドベンチャー」誌で書評デビューした際もひらがな表記のペンネームを使うつもりやったんに、担当のS氏が何の確認もせんと漢字表記の本名を掲載してしまわはった。改めて訂正するとまたややこしいんで、そのままにして現在に至るんであります。
 それほど平凡な名前やないと自分では思うてるんやけどなあ。なんで間違えるかなあ。激怒したりはせえへんけど、甘栗を食べていて虫をかんだ時みたいないやーな感じがする。

 明日は私の担任している学年の卒業式。打ち上げなんかもありますから、更新はお休みします。次回更新は土曜深夜の予定です。

3月9日(土)

 昨日の卒業式は、やはり泣きました。そやけど、3年前に送りだした生徒の時ほど涙腺ゆるみっぱなしということもなかったな。さしさわりがあってこの日記には書かへんかったけど、いろいろとしんどいことも多かったんで、ほっとしたという面もなくはない。別れが惜しいという気持ちと、肩の荷を下ろしたという気持ちが半々、といったところでしょうか。それでも、3年間担任をもちあがり、入学から卒業までつきあい続けた生徒たちやから、感慨深いことは確かやったね。

 夕刻、妻が食事の支度をし始めたころ、自動給湯システムがエラー音を発しはじめた。説明書をひっぱりだして読むと、温水床暖房の着火状態が悪いらしい。何度もスイッチを切ってはつけ直してみる。その度にエラー音が出る。月曜日にガス会社に電話しようと言うて暖房は切る。と、思うたら、天井のスピーカーから管理人さんの声が聞こえてきた。なんでもマンションの建物全体の元栓に問題が起きたらしい。各戸で元栓を切って待機してほしいとのこと。
 さあ、妻は困った。これから食材に火を通そうとしていたからね。結局電子レンジで過熱したけど、火を使うて焼くのと電子レンジで熱を発生させるのとでは、できあがりの食感が違う。煮炊きにはやっぱり火を使わんとあかんということです。
 部屋の気密性が高いから、暖房が切れていてもそれほど震えるということはなかったからよかった。これが前の家やったら、むやみに風通しがよかったから、ヒーターを切ったらすぐに冷えこんだことやろう。
 22時をまわったころ、復旧。ガス会社の人がきて、ガスがちゃんと使えるかの点検をしてくれはった。これ、全ての家を何人かでまわったはるわけで、大変ですぞ。なにしろ30階くらいある高層マンションで、各階に6〜7軒の所帯がある。何時頃までかかるものか想像もつかへん。
 最近のマンションというのは床暖房やら給湯システムやら浴室乾燥装置やらがそろっていて便利ではあるけど、危機管理ということになると、けっこう脆弱なんやなあと感じた。一応カセットコンロやなんかは家にあるし、煮炊きについてはなんとかなる。暖房も電気のファンヒーターがあるから、ガスが使われへんでもまあ次善の策はとれる。問題は風呂やね。うちはちょうど食事前で風呂は使うてへんかったからよかったけど、ガスが止まった時に風呂に入ってはった人は大変やったやろうなあ。特にシャワーを使うてはった人。この季節に水シャワーはきついでえ。
 快適なマンションライフにも落とし穴はあるということですな。いやそれにしても管理人さんも大変ならば、ガス会社の人も大変ですわ。

3月10日(日)

 昨日と今日はゆっくり休み、1年の疲れを癒す。
 テレビでプロ野球のオープン戦を見る。タイガースが調子がええんで気持ちがよろしいな。まだ公式戦は開幕せんのかと、わくわくしてくる。もしタイガースが負け続けてても、やっぱり野球中継を見てるとむずむずしてるんやろうなあ。
 タイガースだけやなく、ジャイアンツとライオンズの試合も見たりする。野球中継に飢えてたんやなあと実感する。ただ、ジャイアンツの中継はスタジオから女性アナが司会をしたりという構成で、どうも野球中継のわくわく感が薄れてしまう。日本テレビというのは不粋な放送局やと再確認したね。
 そのジャイアンツの野球中継のコマーシャルを見て笑うてしもうた。
開幕戦、ジャイアンツが総力戦でタイガースに挑む!
 いやあ、まるでジャイアンツが最下位でタイガースが優勝チームみたい。タイガースにきたら文句なしで4番を打てるバッターが4人以上もいてるチームが「挑む」わけですからね。日本テレビはいつからそんな謙虚になったんや。「挑む」のはこの場合タイガースでしょう。もっとも、たとえば「ジャイアンツがタイガースに胸を貸す」というようなコピーやったらむかついてしかたないやろうけど。
 なんかもう日本語の使い方もおかしいぞ日本テレビ。今年もさぞかしけったいな野球中継を見せてくれるんやろうな。それもまあ楽しみではあります。テレビを見ながらつっこめるからね。早く開幕してほしいなあ。


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